山津 幸司 - 佐賀大学 産学地域連携機構

教育学部
YAMATSU
K O J I
山津 幸司
准教授
「児童生徒の学業成績に関連する要因の検討」
「児童生徒のメンタルヘルスに関連する要因の検討」
[キーワード]
学業成績,メンタルヘルス,身体活動,座位行動,体力
「高い体力」と「良好な学業成績」の関係を科学する!
研究紹介
◆研究概要
(なぜ体力と学業成績の関係を研究するのか?)
定期的な身体活動の実施など,高い体力を維持するこ
とは,健康状態の保持・増進に寄与すると一般的に知ら
れています.近年,この効能について,ヒトの認知機能に
好影響を及ぼし,最終的には学業成績にまで波及する可
能性があることが分かってきました.例えば,高い体力
を保持する児童生徒ほど学業成績が良好で,携帯電話や
ゲームなどのスクリーンタイム(座位時間の一種)が長
過ぎる児童生徒の学業成績は悪化するとの報告がありま
す.これらの研究成果の多くは海外発であり,国内では
未開拓な領域でした.そこで当研究室は,本分野につい
て我が国の児童生徒を対象とした研究を開始しました.
◆体力と学業成績は「生きる力」の一部である
我が国の小中学校では,文部科学省の学習指導要領に
定められる「生きる力」の育成に取り組んでいます.この
学習指導要領において『生きる力』とは,
「豊かな人間性」,
「健康・体力」,
「確かな学力」の三要素から構成されると
定義されています.これからの変化の激しい社会を生き
るために,この三要素をバランスよく育むことが重要で
あると考えられています.
さっぽろがくりょく
◆札幌 学 力 スタディ
これらを背景として2012年度より,札幌近郊の公
立中学校に在籍する中学 1 年生の体力と学業成績の関連
性を横断的かつ縦断的に検証する研究「札幌学力スタデ
ィ」を開始しました.このプロジェクトは森田憲輝准教
授(北海道教育大学)と中島寿宏准教授(北海道科学大
学)を中心に活動しています,
本研究は,生きる力の三要素の中でも「健康・体力」と
「確かな学力」の要素に焦点を当て進めています.
◆これまでの研究成果
以下に,研究成果の一部をご紹介します.
①包括的な体力や運動系の部活動(学外スポーツクラブを
含む)が様々な要因を経由して学業成績に好影響を及ぼ
している可能性がある.
②座位による学習は学業成績を高めるが,携帯型ゲームな
どのスクリーンタイムは学業成績の悪化と関連する可
能性がある.
③肥満などの生理的要因や達成動機などの心理的要因が
学業成績に影響する可能性がある.
④上記の結果は,保護者の学歴や世帯年収など社会経済的
要因の影響を取り除いても関係性が認められた.
◆今後の展開
これまでの研究結果から,佐賀県の小中学生では以下2
点の検討が不足していると考えられます.今後は教育委員
会,各学校および本学が共同して研究を進め,本県の小中
学生の『生きる力(体力,学力)』を高めるための具体的な
方策を明らかにする必要があります.
①「体力が高い」若しくは「学業成績が高い」かの二者択
一ではなく,学業成績を良好に保つことを保証する要因
として「どの体力をどのように高めると学業成績の向上
につながるのか」を具体的に導出する研究を検討する.
②授業時間割の配置による学業成績への影響(最適化)を
検討する(例:保健体育授業のすぐ後にそのクラスの苦
手科目を時間割配置することによって,苦手科目の解消
に繋がるのかなど).
イメージ図
体力と学業成績の関係
掲載情報 2016 年9月現在
学校関係者へ
一言アピール
教育委員会や各学校が持っている種々のデータを上手く連結し分析を進め
ることで,学業成績を効率的かつ効果的に高めるための秘訣が見つけられ
る可能性があります.
産学・地域連携機構より
「良好な学業成績」を目指すための手法として「体力を向上」するという概念は,
新しい研究領域です.共同研究を希望する方や,ご興味がある関係者の方は,是
非,お声掛けください.
佐賀大学研究室訪問記
2016
佐賀大学
産学・地域連携機構
(佐賀県佐賀市本庄町1番地)
(お問い合せ先) 国立大学法人 佐賀大学 学術研究協力部 社会連携課
TEL:0952-28-8416
E-mail:[email protected]