Door-to-balloon time(DTBT)90分以内の達成率 Door-to-balloon time(DTBT)とは、急性⼼筋梗塞の患者さんが病院に到着してから再潅流療法(閉塞し た冠動脈の⾎流を再開させる治療)が開始されるまでの時間のことをいいます。循環器内科医の努⼒だけ で、DTBTを短くすることは不可能です。救急患者さんを受け⼊れる救急外来、緊急⼼臓カテーテール検査 を⾏う放射線部などの部署が緊密に連携をとる協⼒体制がないと、DTBTの短縮は到底達成できません。 4⽉(N=6) 83% 5⽉(N=6) 100% 6⽉(N=10) 80% 7⽉(N=11) 91% 8⽉(N=9) 100% 9⽉(N=6) 83% 10⽉(N=12) 92% 11⽉(N=10) 90% 12⽉(N=8) 75% 1⽉(N=5) 100% 2⽉(N=11) 82% 3⽉(N=10) 90% H27年(N=104) 88% H26年(N=101) 80% 0% 20% 40% 60% 80% 100% 120% 当院値の定義・算出方法 分⼦: 基準時間(90分)内の実施患者数合計 分⺟: 急性⼼筋梗塞(急性冠症候群)の患者数(N) ×100(%) ※グラフ中のN数は分⺟の値を⽰しています。 解説(コメント) 2015年に、当院で治療を受けた急性⼼筋梗塞は137例でした。急性⼼筋梗塞、とりわけST上昇型急性⼼筋 梗塞(STEMI)では、病院到着(搬送収容時)から冠⾎流再開までの時間 Door-to-balloon time (DTBT) が伸びるほど予後が悪くなると報告されています。⽇本循環器学会のSTEMIの診療に関するガイドライン (JCS 2008)では、DTBT 90分以内が求められています。 STEMIの患者さんは、⼼肺停⽌状態で救急搬送されてくる重症例から、胸痛以外の⾮定型的な症状しかな くて徒歩で受診される⽅まで本当に様々です。90分以内のDTBTを達成するには、365⽇24時間、迅速かつ 適切な診断と治療ができる診療体制が必須であるのは⾔うまでもありません。さらに、受け付け事務・救急 外来の看護師・初療に当たる研修医・救急医(救急部・総合診療部)・放射線部看護師や放射線技師など、 STEMI患者の診療に携わるあらゆる⼈々の⼒を集結させないとDTBTの短縮は実現できません。DTPTは、 STEMI診療のキーポイントであると同時に、病院の救急診療体制の総合⼒の指標と云えます。 改善策について 年間を通じての、DTBT 90分以内の達成率は88%でまずまずの成果でした。 ⽂責:循環器内科主任部⻑ 岡部 眞典 Door-to-balloon time(DTBT)60分以内の達成率 Door-to-balloon time(DTBT)とは、急性⼼筋梗塞の患者さんが病院に到着してから再潅流療法(閉塞し た冠動脈の⾎流を再開させる治療)が開始されるまでの時間のことをいいます。循環器内科医の努⼒だけ で、DTBTを短くすることは不可能です。救急患者さんを受け⼊れる救急外来、緊急⼼臓カテーテール検査 を⾏う放射線部などの部署が緊密に連携をとる協⼒体制がないと、DTBTの短縮は到底達成できません。 4⽉(N=6) 67% 5⽉(N=6) 50% 6⽉(N=10) 40% 7⽉(N=11) 55% 8⽉(N=9) 55% 9⽉(N=6) 67% 10⽉(N=12) 75% 11⽉(N=10) 60% 12⽉(N=8) 50% 1⽉(N=5) 60% 2⽉(N=11) 64% 3⽉(N=10) 80% 56% H27年度(N=104) 0% 20% 40% 60% 80% 100% 当院値の定義・算出方法 分⼦: 基準時間(60分)内の実施患者数合計 分⺟: 急性⼼筋梗塞(急性冠症候群)の患者数(N) ×100 (%) ※グラフ中のN数は分⺟の値を⽰しています。 解説(コメント) 「Door-to-balloon time 90分以内の達成率」の項で述べたように、ST上昇型急性⼼筋梗塞(STEMI)で は、病院到着(搬送収容時)から冠⾎流再開までの時間 Door-to-balloon time (DTBT)をできるだけ短く することが患者さんの予後改善に直結します。「短いDTBT」は、救急診療体制の総合⼒がハイレベルであ ることの証しです。なぜなら、STEMI患者の診療に携わる全ての職種の⼒を結集させないと「短いDTBT」 は達成できないからです。 STEMI診療で推奨されているDTBT 90以内の達成率に加えて、循環器内科が⽬標としているDTBT 60分 以内の達成率をQIとして取りあげました。 改善策について 2015年は、DTBT 90分以内達成率は88%でしたが、DTBT 60分以内達成率は56%とやや低調でした。 病院到着からカテ室に搬⼊されるまでは約30分ほどであり、診断と治療の決断が適切かつ迅速に下されて いると⾔えます。カテ室では、PCPSやIABPなどの挿⼊で時間を要する場合はどうしようもありませんが、 ⼿技的な問題で冠再還流が遅れることがないように更に徹底していきたいと思います。 ⽂責:循環器内科主任部⻑ 岡部 眞典
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