経済数学 (7/1) の略解 今日の授業では, 二変数関数に対する二階の条件

経済数学 (7/1) の略解
今日の授業では, 二変数関数に対する二階の条件を学習しました. 二変数関数の極
値問題は本科目の主たるテーマの一つですので, きちんとできるようにしておいてく
ださい.
これまで学習してきたことをまとめておきます. 多くの場合, 次のステップを踏む
ことで二変数関数 f (x, y) の極値を過不足なく求めることができます.
Step 1.(一階の条件) 連立方程式

f (x, y) = 0,
x
fy (x, y) = 0
(1)
を解く. 連立方程式の解が, f (x, y) が極値を取る (x, y) の候補となる.
Step 2.(二階の条件) 連立方程式 (1) の解を (x, y) = (a, b) とする.
1. fxx (a, b)fyy (a, b) − (fxy (a, b))2 > 0 のとき, f (x, y) は (x, y) = (a, b) で極値を取
る. この場合,
(a) fxx (a, b) > 0 ならば, f (x, y) は (x, y) = (a, b) で極小値 f (a, b) を取る,
(b) fxx (a, b) < 0 ならば, f (x, y) は (x, y) = (a, b) で極大値 f (a, b) を取る.
2. fxx (a, b)fyy (a, b) − (fxy (a, b))2 < 0 のとき, f (x, y) は (x, y) = (a, b) で極値を取
らない.
これを Step 1 で求めた極値を取る候補すべてに対し試す.
上の Step を忠実に実行することで問題 11.1 を解くことができます. 問題 11.1 の
(1), (2) はきちんとできるようになって欲しいです. (3) も同じ手続きでできるのです
が, 計算がやや大変です. (3) までできれば自信を持っていいと思います.
問題 11.1 の解答例. (1) fx (x, y) = 3x2 − 3y, fy (x, y) = −3x + 3y 2 より,



y = x 2
3x2 − 3y = 0
f (x, y) = 0
x
⇐⇒
⇐⇒
x = y 2
−3x + 3y 2 = 0
fy (x, y) = 0
第二式 x = y 2 に第一式 y = x2 を代入して, x = (x2 )2 = x4 . よって, x(x3 − 1) = 0.
x3 − 1 = (x − 1)(x2 + x + 1) だから, x(x − 1)(x2 + x + 1) = 0. 故に, x = 0, x = 1 また
1
は x2 + x + 1 = 0 である. x2 + x + 1 = 0 について, (判別式)= 12 − 4 × 1 × 1 = −3 < 0
だから, 実数解を持たない. 故に, x = 0, 1 である. y = x2 に注意すると, 連立方程式
の解は (x, y) = (0, 0), (1, 1) であり, これが f (x, y) が極値を取る (x, y) の候補である.
二階の条件を用いて, (x, y) = (0, 0), (1, 1) で実際に極値を取るかを調べる. fxx (x, y) =
6x, fxy (x, y) = −3, fyy (x, y) = 6y より,
fxx (x, y)fyy (x, y) − (fxy (x, y))2 = 36xy − 9.
よって,
fxx (0, 0)fyy (0, 0) − (fxy (0, 0))2 = 36 × 0 × 0 − 9 = −9 < 0.
故に, f (x, y) は (x, y) = (0, 0) で極値を取らない. 一方,
fxx (1, 1)fyy (1, 1) − (fxy (1, 1))2 = 36 × 1 × 1 − 9 = 27 > 0
および fxx (1, 1) = 6 × 1 = 6 > 0 だから, f (x, y) は (x, y) = (1, 1) で極小値を取る. そ
の値は f (1, 1) = −1 である.
以上より, f (x, y) は (x, y) = (1, 1) で極小値 −1 を取り, 他の (x, y) では極値を取ら
ない.
(2) fx (x, y) = 2x − 2y, fy (x, y) = −2x + 3y 2 より,


f (x, y) = 0
y = x
x
⇐⇒
fy (x, y) = 0
−2x + 3y 2 = 0.
第一式を第二式に代入して, −2x + 3x2 = 0. よって, x = 0, 32 . 連立方程式の第一式
より, 連立方程式の解は (x, y) = (0, 0), ( 23 , 23 ) となる.
二階偏微分を計算すると, fxx (x, y) = 2, fxy (x, y) = −2, fyy (x, y) = 6y. 故に,
fxx (x, y)fyy (x, y) − (fxy (x, y))2 = 12y − 4.
よって,
fxx (0, 0)fyy (0, 0) − (fxy (0, 0))2 = −4 < 0.
故に, f (x, y) は (x, y) = (0, 0) で極値を取らない. 一方,
(
fxx
2 2
,
3 3
)
(
fyy
2 2
,
3 3
)
(
− fxy
(
2 2
,
3 3
))2
=4>0
および, fxx ( 23 , 23 ) = 2 > 0 だから, (x, y) = ( 23 , 32 ) で極小値を取る. その値は f ( 23 , 32 ) =
4
− 27
である.
2
4
以上より, f (x, y) は (x, y) = ( 23 , 23 ) で極小値 − 27
を取り, 他の (x, y) では極値を取
らない.
(3) 商の微分法を用いると,
fx (x, y) =
故に,
1 − x2 + y 2
,
(x2 + y 2 + 1)2

f (x, y) = 0
x
fy (x, y) = 0
fy (x, y) = −
(x2
2xy
.
+ y 2 + 1)2

xy = 0
⇐⇒
1 − x2 + y 2 = 0.
第一式 xy = 0 より, x = 0 または y = 0 である. x = 0 のとき, 第二式は 1 + y 2 = 0
であり, これは実数解を持たない. 一方, y = 0 のとき, 第二式は 1 − x2 = 0 であり,
x = ±1 となる. よって, 上の連立方程式の解は (x, y) = (1, 0), (−1, 0) である.
上記の解で極値を取るか調べるため, (結構大変だが商の微分公式, 合成関数の微分
公式などを駆使して) 二階偏微分を計算すると,
2x(3 − x2 + 3y 2 )
,
(x2 + y 2 + 1)3
2y(1 − 3x2 + y 2 )
fxy (x, y) = −
,
(x2 + y 2 + 1)3
2x(1 + x2 − 3y 2 )
fyy (x, y) = −
(x2 + y 2 + 1)3
fxx (x, y) = −
となる. よって,
1
fxx (1, 0) = − (< 0),
2
1
fxy (1, 0) = 0, fyy (1, 0) = − ,
2
( ) ( )
1
1
1
fxx (1, 0)fyy (1, 0) − (fxy (1, 0))2 = −
× −
− 02 = > 0
2
2
4
となる. 故に, (x, y) = (1, 0) で極大値を取る. その値は f (1, 0) =
1
2
である. 同様に
して,
1
fxx (−1, 0) = (> 0),
2
fxy (−1, 0) = 0,
fxx (−1, 0)fyy (−1, 0) − (fxy (−1, 0))2 =
1
fyy (−1, 0) = ,
2
1
>0
4
となる. 故に, (x, y) = (−1, 0) で極小値を取る. その値は f (−1, 0) = − 12 である.
以上より, f (x, y) は (x, y) = (1, 0) で極大値
取り, 他の (x, y) では極値を取らない.
3
1
2
を, (x, y) = (−1, 0) で極小値 − 12 を