経済数学 (7/8) の略解 今日の授業では, 次回以降に扱うラグランジュの未定乗数法の問題意識について簡 単に説明しました. まず, 有界閉区間 a ≤ x ≤ b を定義域とする一変数 (連続) 関数 f (x) について, 最 大・最小の候補となるのは, • 端点 x = a, x = b. • a < x < b を満たす x(内点と言う) で, f (x) が極値を取るような x に限られます. これを用いて問題 12.1 を解くことができます. 問題 12.1 の解答例. f ′ (x) = 3x2 + 6x − 9 = 3(x − 1)(x + 3) より, f ′ (x) = 0 を解く と x = −3, 1. よって, 0 < x < 3 の範囲で f (x) が極値を取りうるのは x = 1. 故に, f (x) が最大, 最小をとりうるのは x = 0, 1, 3 の三つ. 今, f (0) = 1, f (1) = −4, f (3) = 28 だから, 0 ≤ x ≤ 3 の下, f (x) は x = 3 で最大値 28 を, x = 1 で最小値 −4 を取る. 問題 12.2 は一階の条件の確認問題です. 問題 12.2 の解答例. fx (x, y) = 2x + y + 1, fy (x, y) = 2y + x + 1 より, f (x, y) = 0 2x + y + 1 = 0 x ⇐⇒ fy (x, y) = 0 x + 2y + 1 = 0. これを解いて (x, y) = (− 31 , − 13 ). (− 13 )2 + (− 13 )2 = 2 9 < 1 より, (x, y) = (− 13 , − 31 ) は x2 + y 2 < 1 の範囲にある. 故に, 求める極値の候補は, (x, y) = (− 13 , − 13 ). 注 1. 例 12.2 の答えを先に言っておくと, x2 + y 2 ≤ 1 の下, f (x, y) = x2 + y 2 + xy + x+y+1は • (x, y) = ( √12 , √12 ) のとき最大値 52 + • (x, y) = (− 13 , − 13 ) のとき最小値 23 √ 2, を取ることが分かります. 導出方法ですが, ラグランジュの未定乗数法を使うと, x2 + y 2 = 1 上で f (x, y) が 最大・最小となりうるのは ( (x, y) = (0, −1), (−1, 0), 1 1 1 √ ,√ 2 2 ) ( , 1 1 −√ , −√ 2 2 ) (1) の四つであることが分かります. これと問題 12.2 を合わせることで, 有限個の値の大 小比較に帰着することができます. 今後の授業では, 最大, 最小の候補 (1) を求める手法であるラグランジュの未定乗 数法を学習していきたいと思います. 2
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