道東地域の景気は

2016 年 9 月 8 日
日本銀行釧路支店
道東地域1の金融経済概況
【全体感】
道東地域の景気は、緩やかに回復しつつあるものの、長雨等の影響や台風
被害による下押し圧力がみられている。
すなわち、公共投資は、全体としては緩やかに増加している。設備投資は、
総じてみると、横ばい圏内で推移している。住宅投資は、全体としては緩や
かに減少している。個人消費は、一部に弱めの動きがみられるものの、底堅
く推移している。生産は、総じてみると、緩やかに増加している。雇用情勢
は、着実に改善している。
先行きについては、国内外の需要動向や燃料価格などの各種コストの動向
に加え、今般の台風により大きな被害を受けた生産・観光面へのマイナスイ
ンパクトや、企業や家計のマインドへの影響などに注視していく必要がある。
【各
論】
1.需要項目別動向
公共投資は、全体としては緩やかに増加している。
8 月の公共工事請負金額を地区別にみると、十勝では前年を下回ったものの、
釧路、根室では前年を上回り、全体でも 4 か月連続で前年を上回った。
設備投資は、総じてみると、横ばい圏内で推移している。
主要企業の 16 年度設備投資計画をみると、年度初としては底堅い投資計画
にあるものの、大口投資が減少しており、一部では内部留保の蓄積などを企
図し、設備投資を控える動きがみられる。この間、農業や医療・福祉系など
では、引き続き新規投資がみられる。
また、7 月の建築物着工床面積は前年を上回った。
住宅投資は、全体としては緩やかに減少している。
7 月の新設住宅着工戸数は、持家、貸家ともに 2 か月連続で前年を下回り、
全体でも 2 か月連続で前年を下回った。
個人消費は、一部に弱めの動きがみられるものの、底堅く推移している。
主要小売店の売上高(7 月)は、衣料品は低調だったものの、休日日数の増
加や、食料品を中心に高品質な商品を求める動きがみられることから、前年
を上回った。
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道東地域とは、当店の業務区域(釧路、帯広、根室の3市および釧路・十勝総合振興局、
根室振興局の所管区域)を指す。
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耐久消費財をみると、乗用車新車登録台数(8 月、含む軽)は、軽自動車が
前年を下回ったものの、普通車や小型車が新型車効果もあって堅調に推移し
たことから、全体でも前年を上回った。家電販売は、パソコンなどで弱めの
動きが続く一方、テレビや白物家電は堅調に推移している。
この間、旅行・観光関連をみると、主要温泉地の宿泊人数(7 月)は、国内
団体客の減少などから、前年を下回った。また、市内ホテルの宿泊人数(7
月)は、イベントの開催数減少などから前年を若干下回ったほか、空港乗降
客数(7 月)も、前年を下回った。
2.生産
生産は、総じてみると、緩やかに増加している。
主要業種の動向(7 月)をみると、水産加工が原魚価格の高騰を背景に前年
を下回った。一方、乳製品は、原料となる生乳生産が堅調に推移しているこ
となどから前年を上回ったほか、製紙、製材でも前年を上回った。
3.雇用
雇用情勢は、着実に改善している。
7 月の有効求人倍率は、有効求職者数が前年を下回り、有効求人数は前年を
上回っていることから、81 か月連続で前年を上回った。
4.企業倒産
企業倒産は、概ね落ち着いた動きを示している。
8 月の企業倒産は、件数が前年並みとなる中、負債総額は前年を上回った。
5.金融情勢
預金残高は、流動性預金を中心に増加している。
貸出残高は、前年を上回った。
貸出金利は、銀行、信金ともに低下した。
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上