平成 26 年度新潟薬科大学薬学部卒業研究Ⅰ

平成 26 年度新潟薬科大学薬学部卒業研究Ⅰ
論文題目
乳酸菌の免疫調節に関わる知見
Knowledge of immunoregulation of Lactobacillus .
微生物学研究室 4 年
11P134 冨井 茉里子
(指導教員:福原 正博)
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要 旨
ヒトの腸内には多くの菌が存在しており、その常在菌は腸管免疫に大きく関わっている
ことが明らかになりつつある。Lactobacillus にはヒトの腸管免疫を刺激し、免疫能の賦活
作用やアレルギーの改善などの作用を有するものがある。その有用性についてヒトの免
疫能と Lactobacillus との関連性や、臨床評価に着目して調べた。
Lactobacillus が産生する多糖体には免疫賦活作用が報告されており、リン酸基を持つ
酸性多糖体と持たない中性多糖体を比較した場合、酸性多糖体のほうが IFN-γの上昇
が優位であると報告されている。また、水―ヨーグルトと水―多糖体との比較実験により、
免疫賦活作用にはヨーグルト摂取が有効であり、これには Lactobacillus の多糖体が寄
与していると考えられている。
ヒトの免疫系では、抗原提示細胞から分泌される IL-12 は未分化 T 細胞から Th1 細胞
への分化を促進する。Th1 細胞から分泌される IFN-γは細胞性免疫の活性化などの生
理作用を示し、また、Th2 細胞の機能を抑制する。Lactobacillus の中には IL-12 の産
生を促進する株があることが報告されており、その菌株による Th1 と Th2 のバランスの改
善は、アレルギーの軽減に有効であると考えられている。
これらから免疫と Lactobacillus は深く関与していることが近年解明されつつあり、病気
やアレルギーの改善の可能性が期待される。
キーワード
1.乳酸菌
2.Lactobacillus
3.多糖体
4.腸管免疫
5.IL-12
6.Th1 細胞
7.Th2 細胞
8.アレルギー
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