平成 26 年度新潟薬科大学薬学部卒業研究Ⅰ 論文題目 ヒトパピローマウイルス感染に関連した 癌発症についての知見 Knowledge of Human Papillomavirus infection associated with pathogenesis of cancer. 微生物学研究室 4 年 11P053 谷口 晃子 (指導教員:福原 正博) 1 要 旨 HPV は 8000 塩基対の環状 2 本鎖 DNA をゲノムとする小型のウイルスである。Zur Hausen らによって子宮頸がんと 16 型、18 型 HPV の因果関係が示唆された。HPV は 性交渉などで傷ついた皮膚や粘膜から表皮基底細胞に侵入することで潜伏感染し、宿 主細胞が表皮形成のため分化すると共にウイルス粒子を産生する。通常ウイルスの増加 後に感染細胞は表皮あるいは粘膜の表面から剥がれ落ち死滅するが、90%以上の子宮 頸がんでは 16 型や 18 型などの高リスク型 HPV が HPV ゲノム複製のため E6,E7 を 発現しておりそれぞれ p53、pRB がん抑制遺伝子産物を不活化することがある。これによ り細胞は不死化し、さらに変異が蓄積して癌化する。 HPV 感染と子宮頸がんの発生の因果関係が確定的なものであることから HPV の感染 を阻止する方法が有効である。しかしながら HPV は性交渉により蔓延しており既感染者 にはワクチンは無効である。このような研究の進展に対する障りは、HPV ウイルスが上皮 系細胞の分化に依存しているため単層培養条件では複製できず HPV のウイルスの性状 はほとんど解明されていない。従って次世代の HPV ワクチンの開発や新たな治療法の 開発のためには HPV 感染や性状の解明は不可欠である。ここでは HPV のウイルスの性 質、感染様式、発癌メカニズムについて概説する。 キーワード 1.HPV 2.16 型 3.分化 4.E6 5.E7 6.p53 7.pRB 8.癌化 9.複製 2 3 4 5 6 7 8 9
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