豚の飼料給与に関する予備試験

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豚の飼料給与に関する予備試験
福留功・竹下万蔵・坂ロミツ子・岡野香
豚の飼料の給与法には、大別して2通りがある。1つは、豚の体重や日齢によフて給与量の標
準を定めて飼育する方法であり、他の1つは、飼料を飽食させて飼育する方法である。その場合
飼養標準がどの程度の意味を持つものか、また飽食が経済的にはたして不利であるのかどうか、
疑問がもたれる。そこで、M社の飼料を用いて検討することにした。
材料および方法
試験に用いた豚は、肉畜研究室で飼育している種牡豚と、2頭の種牡豚との交配により、昭和
48年6月に出産した異母兄妹18頭であり、16週齢までは飼料を制限給与した。16週齢時
にそれらの豚を無作為に、5群に区分した。すなわち飽食させるもの:2区、各4頭(100%
給与区1知よび皿)飽食量の80%を給与するもの:5頭(80%給与区)さらに飽食量の60
%を給与するもの:5頭(60%給一与区)とに区分し試験を開始した。100%給与区1、∬は
給一与量を毎日増加させ、残した場合はいく分少なめにして、いつも満腹できる状態とした。体重
は2週毎に測定し、26週三時で試験を終了した。その間の体重の変動於よび飼料給与量、増体
量、飼料要求率を調べた。
結果および考察
飼料給与量の推移は、図1に示すとおりである。試験開始直後は、それまで制限給与していた
:影響のためか、採食量が非常に不安定であったので、実際は、17週齢より試験を開始した状態
になった。16週齢より26週齢までのM社指定の標準給与量は、80%給与区よりやや少なめ
であり、腹8分ぐらいが標準給与量になっていることがわかる。次に、体重の増加の傾向を図2
に示した。∼これによると、週齢が進むにつれて100%給一与区、80%給与区、60%給与区の、
の差が、顕著になってきていることがわかる。飽食区1と且の差は、ほとんど見られず、最も大
きな差が見られた18週齢でも、わずか3Kソ程度で、最終的にはその差が1Kg以内であった。そ
こで、この飽食区1、皿㊧測定値をまとめて、平均の値を算出し、これに対する80%給与区、
60%給与区のそれぞれの増体量、飼料要求率を算出した。表1はその結果を示したものである。
最終測定時の体重は、100%給与区が、8Z7xタであったのに対して、80%給与区は、7駐7
K:タ(100%給与区との差一8.OKg)また60%給与区は、6a4Kソ(100%給一与区との差一193Kg)
であった。増体量は、100%給与区が、52.7K7であったのに対し、80%給与区は44.8K7
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(100%給一与区との差一ZgKの60%給与区では52.8K7『(100%給一与区との差一199Kの
で、体重の差が、そのまま増体量の差につながっていることがわかる。飼料要求率は、100%
給与区が4.26、80%給与区が4.10、60%給与区が100%給与区と同じく4.26であり、80
%給一与区が最も良好であることがわかる。100%給与区と80%給与区との飼料要求率の差は、0.16であり、
飼料量に換算して、約40K7である。本試験にさきがけて、47年6月に生産した異母兄妹9頭
身用いて、12週齢より、26週齢まで飽食させた試験の結果(表丑)でも、飼料要求率は、
4.24であり、今回の試験の、100%給与区とはほとんど差はなく、この試験で示された飼料
要求率は、かなり信頼できるものと思われる。60%給与区は、体重の増加も少なく、加えて飼
料要求率も高いので、これを除外して、他の2区を比較してみると、100%給一与区の体重は、
80%給与区に比べて8K7重いが、40K7も多くの飼料を摂食している。ちなみに枝肉の歩留ま
り60%として、約5kg、価格にして約2,000円あまりとなる。一方20Kg入り濃厚飼料が、1Kg
当り1,000円とすると、2,000円となり、差し引きはゼロとなる。結局は、枝肉価格と、濃
厚飼料価格の変動を予測して、より有利な効果をあげるために、標準の給与量に従うか、飽食さ
せるかのいずれかが決定されるべきものであろう。
表1
増体量および飼料要求率
増体量
飼料要求量
フ重Kg
終了時
フ重K夕
@K7
@Kg/1頭
55.0
8Z7
527
224.6
100.0
.4.26
54.9
797
・44.8
1856
8t7
4.10
55.0
68.4夢
61.8
4.26
開始時
100%
距^区
80%
距^区
32.8
1『
P48.6⋮
60%
距^区
100%給与区を
P00とした場合の量
表皿 飽食時の飼料要求率
終 了 時
開 始 時
増 体 量
フ重㈲ D体重㈲ @働
52.5
91.5
W
598
飼料要求量
飼 料
j7/1頭
v 求率
・2556
4.24
Q
飼 料
v求率
福留 功・竹下万蔵・三日ミツ子這岡野 香
144
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図2
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