2016・17年度 内外経済見通し

2016・17年度 内外経済見通し
∼3L(低成長・低インフレ・低金利)長期化の「新常態」、
世界にうずまく不確実性 ∼
2016.8.16
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見通しのポイント
○ 世界経済は、Brexitの行方、欧州政治問題、米大統領選、中国の構造調整など、不確実性を
高める問題が山積、下振れリスクに警戒が必要
○ 欧州経済はBrexitの影響のほか、政治問題や不良債権問題に警戒が必要
○ 米国経済は弱い投資と強い雇用が併存する中、低空飛行続く。大統領選も含めた内外の不
確実性から金融政策の年内据え置き予想は変わらず、さらに利上げ後ズレのリスクも
○ アジアは自律的景気回復力に欠ける。複数の国が過剰債務問題を抱え、資本流出に脆弱。
中国とインドでは不良債権が増大し、バランスシート調整が続く
○ 日本経済は民需、外需とも持ち直しは弱く、当面の回復は公需依存。経済対策は複数年の累
計でGDPを約1.1%押し上げ。インフレ期待底上げのため「賃金ターゲット」導入も一案
○ 米大統領選を控え、ドル高是正圧力が高まりやすく、円高が日本経済の下押し要因
○ 2016年度のコアCPI上昇率はゼロ%近傍。日銀は政策の総括的検証と同時に長期戦に備え
緩和スキームの見直し
1
《構 成》
Ⅰ.全体概要
P 3
Ⅱ.海外経済
P 36
(1)米国経済
P 37
(2)ユーロ圏経済
P 42
(3)アジア経済
P 46
Ⅲ.日本経済
P 54
Ⅳ.金融市場
P 62
2
Ⅰ.全体概要
∼世界経済、うずまく不確実性と「3L」∼
3
(1)全体概要 ∼ 世界経済は2016年も減速、下振れリスクに警戒
⃝ 予測対象地域計の成長率は、2年連続の減速。2017年に向けて持ち直しの見方を維持するが、不確実性は増大
‧ Brexit後に改訂した7月見通しから米国を下方修正の一方、ユーロ圏のほか対策効果の期待される日本を上方修正
‧ ただし、2017年を中心にBrexit前の見通しと比較し世界経済の下振れ不安継続
【 世界経済見通し総括表 】
(前年比、%)
暦年
2014年
2015年
2016年
2017年
(実績)
(実績)
(予測)
(予測)
(%ポイント)
2016年
2017年
(6月予測からの修正幅)
(%ポイント)
2016年
2017年
(7月予測からの修正幅)
3.5
3.3
3.2
3.6
▲ 0.1
▲ 0.1
▲ 0.1
-
日米ユーロ圏
1.5
2.0
1.3
1.6
▲ 0.2
▲ 0.2
▲ 0.2
-
米国
2.4
2.6
1.4
2.2
▲ 0.4
▲ 0.1
▲ 0.4
▲ 0.1
ユーロ圏
0.9
1.7
1.5
1.1
-
▲ 0.3
0.1
-
▲ 0.0
0.5
0.5
0.7
-
▲ 0.2
0.2
0.2
6.4
6.1
6.0
6.0
-
-
-
-
中国
7.3
6.9
6.6
6.5
-
-
-
-
NIEs
3.4
1.9
1.8
2.2
-
-
-
-
ASEAN5
4.6
4.8
4.7
4.6
0.1
0.1
0.1
0.1
インド
7.0
7.2
7.7
7.6
-
▲ 0.1
-
▲ 0.1
オーストラリア
2.7
2.5
2.7
2.5
-
-
-
-
ブラジル
0.1
▲ 3.8
▲ 3.4
0.8
-
-
-
-
ロシア
0.7
▲ 3.7
▲ 1.2
1.0
-
-
-
-
日本(年度)
▲ 0.9
0.8
0.6
0.9
-
▲ 0.1
0.2
0.2
93
49
42
45
▲2
▲1
▲2
▲1
予測対象地域計
日本
アジア
原油価格(WTI,$/bbl)
(注)予測対象地域計はIMFによる2014年GDPシェア(PPP)により計算。
(資料)IMF、各国統計より、みずほ総合研究所作成
4
日本:海外経済減速や円高が下押し。2017年度にかけて持ち直すも、公需依存
⃝ 2016年度の日本経済は、海外経済の減速や円高の影響などにより、2015年度から減速。もっとも、公的需要の増加が下
支えとなり、成長率は+0.6%と潜在成長率(みずほ総合研究所では+0.3%∼+0.5%と試算)を上回る伸びを維持
‧ 7月時点の予測値(+0.4%)からは上方修正。経済対策による公需の積み増しや足元の住宅投資の上振れなどが要因
⃝ 2017年度の成長率は、経済対策の進捗本格化などから、成長率は+0.9%に上昇(7月予測(+0.7%)から上方修正)
【 日本経済見通し総括表 】
2014
2015
2016
2017
年度
2015
7∼9
2016
10∼12
1∼3
4∼6
2017
7∼9
10∼12
1∼3
4∼6
2018
7∼9
10∼12
1∼3
前期比、%
▲ 0.9
0.8
0.6
0.9
0.5
▲ 0.4
0.5
0.0
0.3
0.0
0.2
0.2
0.3
0.3
0.3
前期比年率、%
--
--
--
--
2.0
▲ 1.7
2.0
0.2
1.3
0.1
0.7
0.8
1.0
1.2
1.1
前期比、%
▲ 1.5
0.7
0.6
1.0
0.3
▲ 0.5
0.4
0.3
0.1
0.1
0.2
0.3
0.3
0.3
0.3
前期比、%
▲ 1.9
0.8
0.2
0.6
0.4
▲ 0.6
0.2
0.2
0.0
▲ 0.1
0.2
0.2
0.2
0.2
0.3
個人消費
前期比、%
▲ 2.9
▲ 0.2
0.7
1.0
0.5
▲ 0.8
0.7
0.2
0.4
▲ 0.1
0.3
0.3
0.3
0.3
0.3
住宅投資
前期比、%
▲ 11.7
2.4
5.1
▲ 3.7
1.1
▲ 0.5
▲ 0.1
5.0
2.9
▲ 2.3
▲ 3.4
▲ 0.8
0.3
▲ 0.3
0.4
設備投資
前期比、%
0.1
2.1
0.5
1.7
0.7
1.2
▲ 0.7
▲ 0.4
0.5
0.3
0.4
0.4
0.5
0.5
0.4
在庫投資
前期比寄与度、%Pt
0.6
0.3
▲ 0.5
▲ 0.2
▲ 0.1
▲ 0.2
▲ 0.1
▲ 0.0
▲ 0.4
0.0
0.0
▲ 0.1
▲ 0.1
▲ 0.0
0.0
前期比、%
▲ 0.3
0.7
1.9
1.9
▲ 0.1
0.0
0.8
0.6
0.4
0.4
0.3
0.5
0.6
0.6
0.4
政府消費
前期比、%
0.1
1.6
1.6
1.7
0.2
0.8
0.9
0.2
0.2
0.2
0.2
0.5
0.6
0.5
0.5
公共投資
前期比、%
▲ 2.6
▲ 2.7
3.0
3.1
▲ 1.9
▲ 3.3
0.1
2.3
1.6
1.6
0.8
0.5
0.6
1.0
▲ 0.1
実質GDP
内需
民需
公需
前期比寄与度、%Pt
0.6
0.1
0.0
▲ 0.1
0.2
0.1
0.1
▲ 0.3
0.2
▲ 0.0
▲ 0.0
▲ 0.1
▲ 0.0
▲ 0.0
▲ 0.1
輸出
前期比、%
7.9
0.4
0.3
2.1
2.6
▲ 0.9
0.1
▲ 1.5
1.6
0.6
0.5
0.4
0.4
0.5
0.4
輸入
前期比、%
3.4
▲ 0.0
0.2
2.8
1.2
▲ 1.1
▲ 0.5
▲ 0.1
0.4
0.8
0.8
0.7
0.7
0.7
0.7
名目GDP
前期比、%
1.5
2.2
1.1
1.5
0.6
▲ 0.3
0.8
0.2
0.6
▲ 0.4
▲ 0.3
0.9
1.1
0.1
▲ 0.2
GDPデフレーター
前年比、%
2.4
1.4
0.4
0.6
1.8
1.5
0.9
0.8
0.9
0.4
▲ 0.3
0.2
0.7
0.8
0.9
前年比、%
2.1
▲ 0.2
▲ 0.3
0.8
▲ 0.1
▲ 0.2
▲ 0.5
▲ 0.6
▲ 0.5
▲ 0.2
0.1
0.4
0.7
0.9
1.0
外需
内需デフレーター
(注)網掛けは予測値。
(資料)内閣府「四半期別GDP速報」より、みずほ総合研究所作成
5
日本:コアインフレ率は2016年後半にかけゼロ%近傍。2017年度も1%前後に
【 日本経済見通し総括表(主要経済指標) 】
2014
2015
2016
2017
年度
2015
7∼9
2017
2016
10∼12
1∼3
4∼6
7∼9
10∼12
1∼3
4∼6
2018
7∼9
10∼12
1∼3
鉱工業生産
前期比、%
▲ 0.5
▲ 1.0
0.6
2.6
▲ 1.0
0.1
▲ 1.0
0.2
1.2
0.9
0.5
0.6
0.5
0.5
0.7
経常利益
前年比、%
5.1
3.5
▲ 4.2
5.6
8.5
▲ 3.1
▲ 9.6
▲ 6.9
▲ 2.3
▲ 3.8
▲ 3.1
0.9
2.7
6.6
12.7
名目雇用者報酬
前年比、%
1.9
1.7
1.8
1.7
1.7
1.9
2.5
1.9
1.6
1.7
1.5
1.4
1.7
1.8
1.7
%
3.5
3.3
3.2
3.1
3.4
3.3
3.2
3.2
3.2
3.2
3.2
3.1
3.1
3.0
3.0
新設住宅着工戸数
年率換算、万戸
88.0
92.1
96.1
90.7
91.7
86.8
94.7
100.5
97.9
95.0
91.0
89.7
90.5
91.4
91.2
経常収支
年率換算、兆円
8.7
18.0
18.3
19.0
15.9
19.2
19.9
18.8
17.1
15.5
16.2
16.0
15.7
15.7
16.9
国内企業物価
前年比、%
2.7
▲ 3.2
▲ 2.7
1.1
▲ 3.7
▲ 3.7
▲ 3.4
▲ 4.3
▲ 3.6
▲ 2.3
▲ 0.4
0.6
1.1
1.5
1.4
消費者物価(除く生鮮食品)
前年比、%
2.8
▲ 0.0
▲ 0.0
0.9
▲ 0.2
▲ 0.1
▲ 0.1
▲ 0.4
▲ 0.2
▲ 0.0
0.5
0.8
0.9
1.1
1.1
消費者物価(同上、除く消費税) 前年比、%
0.7
▲ 0.0
▲ 0.0
0.9
▲ 0.2
▲ 0.1
▲ 0.1
▲ 0.4
▲ 0.2
▲ 0.0
0.5
0.8
0.9
1.1
1.1
消費者物価(除く食料(酒類除く)
前年比、%
及びエネルギー、除く消費税)
0.5
0.5
0.3
0.6
0.5
0.6
0.6
0.5
0.4
0.3
0.3
0.5
0.7
0.6
0.7
完全失業率
無担保コール翌日物金利
%
0.02 ▲ 0.00 ▲ 0.05 ▲ 0.05
0.01
0.04 ▲ 0.00 ▲ 0.06 ▲ 0.05 ▲ 0.05 ▲ 0.05 ▲ 0.05 ▲ 0.05 ▲ 0.05 ▲ 0.05
新発10年国債利回り
%
0.48
0.39
0.31
日経平均株価
円
対ドル為替相場
WTI原油先物最期近物
0.30 ▲ 0.12 ▲ 0.09
16,273 18,841 16,100 16,800
19,412 19,053
0.06 ▲ 0.12 ▲ 0.19 ▲ 0.15 ▲ 0.10 ▲ 0.10 ▲ 0.10 ▲ 0.10 ▲ 0.05
16,849 16,408 16,300 15,800
15,800 16,100 16,600 16,900
17,500
円/ドル
110
120
103
105
122
121
115
108
103
100
101
103
105
106
107
ドル/バレル
81
45
44
45
47
42
34
46
42
45
44
44
45
46
46
(注)1.網掛けは予測値。実数データより変化率を計算しているため、公表値と一致しないことがある。
2.経常利益は法人企業統計の全規模・全産業ベース(金融・保険、電気業を除く)。
3.完全失業率、新設住宅着工戸数、経常収支の四半期は季節調整値。
4.金融関連の指標について、無担保コール翌日物金利は期末値、新発10年国債利回りは月末値の期中平均値、その他は期中平均値。
(資料)内閣府「四半期別GDP速報」、経済産業省「鉱工業指数」、財務省「法人企業統計季報」、総務省「労働力調査」、「消費者物価指数」、国土交通省「建築着工統計調査報告」、
日本銀行「国際収支」、「企業物価指数」、「金融経済統計月報」、「外国為替相場」、日本相互証券㈱「主要レート推移」、日本経済新聞、Bloombergより、みずほ総合研究所作成
6
(2)世界経済の全体観 ∼ 新興国は持ち直すも、先進国は想定外の減速
⃝
‧
‧
‧
先進国の回復モメンタムは昨年後半から鈍化傾向となる一方、低迷が続いていた新興国は足元で一部持ち直しの兆し
企業景況感は、先進国が昨年後半から大幅に低下した水準で横ばう一方、新興国は足元で改善
2016年初に想定した先進国、中でも米国主導の回復シナリオへの移行は実現できず
Brexit決定後は、英国が大幅に悪化したものの、その他の主要国・地域への影響は今のところ限定的
【 先進国と新興国の合成PMI 】
(Pt)
58
【 主要先進国・地域の合成PMI 】
(Pt)
65
世界
米国
ユーロ圏
先進国
日本
新興国
56
60
減速
英国
54
拡張
拡張
← 景気
← 景気
52
停滞
55
50
50
→縮小
→縮小
48
2013
14
15
45
16
(年)
(資料) Markitより、みずほ総合研究所作成
13
14
15
16
(年)
(資料) Markitより、みずほ総合研究所作成
7
世界経済の不確実性高まる
⃝ Brexitの行方、欧州政治問題、米大統領選、中国の構造調整など、世界経済にとって不確実性を高める問題が山積
‧ 経済政策不確実性指数はBrexitを受けて英国や欧州が歴史的な水準に急上昇、大統領選を控える米国も大幅上昇
――― 構造問題を抱える中国や景気後退下にあるブラジルなど、主要新興国の一部は上昇トレンドが継続
【 経済政策不確実性指数 】
800
(Pt)
英国
(Pt)
500
欧州
米国
(Pt)
500
450
450
400
400
350
350
300
300
400
250
250
300
200
200
150
150
100
100
50
50
700
600
500
200
100
0
07 08 09 10 11 12 13 14 15 16
(年)
0
07 08 09 10 11 12 13 14 15 16
(年)
中国
ブラジル
0
07 08 09 10 11 12 13 14 15 16
(年)
(注) 不確実性に関する新聞記事の数、将来失効予定の税制条項の数、エコノミスト予測のばらつき度合いから算出。
(資料) Economic Policy Uncertaintyより、みずほ総合研究所作成
8
世界は、「3L」(低成長・低インフレ・低金利)長期化の「新常態」
⃝ 先進国を中心に低成長・低インフレ・低金利の「3L(Low)」が常態化、不確実性が高まる中、脱却のめどは立たず
‧ 先進国、新興国ともにリーマン・ショック以前の水準に比べて成長率、インフレ率が低下
‧ バランスシート調整の残存から世界的な「日本化現象」
【 先進国・新興国の成長率 】
(%)
世界
先進国
【 先進国・新興国のインフレ率 】
(%)
新興国
10
世界
先進国
新興国
10
9
8
8
6
7
6
4
5
2
4
3
0
2
▲2
1
▲4
0
2003 04
05
06
07
08
09
10
11
12
13
14
15
2003 04
05
06
07
08
(年)
(注) 成長率は実質GDPの前年比。
(資料) IMFより、みずほ総合研究所作成
09
10
11
12
13
14
15
(年)
(注) インフレ率は消費者物価の前年比。
(資料) IMFより、みずほ総合研究所作成
9
世界的低金利、グローバルに長期金利は低下傾向
⃝ 低インフレや大規模な金融緩和を背景としてグローバルに長期金利は低下傾向
‧ 日本や欧州はマイナス金利が常態化、利上げを模索する米国でも長期金利には低下圧力
【 世界の金利水没マップ 】
スイス
ドイツ
日本
オランダ
フィンランド
デンマ ーク
フランス
スウェーデン
アイルランド
スペイン
イタリア
ポルトガル
英国
ノルウェー
カナダ
米国
オース トラリア
中国
インド
1年
- 0.8 9
- 0.6 1
- 0.2 1
- 0.6 3
- 0.5 6
- 0.5 7
- 0.5 9
- 0.5 0
- 0.3 8
- 0.2 5
- 0.2 0
- 0.0 2
0.14
0.44
0.52
0.52
1.49
2.27
6.85
2年
- 0 .8 8
- 0 .6 4
- 0 .2 0
- 0 .6 0
- 0 .5 9
- 0 .5 3
- 0 .5 8
- 0 .6 6
- 0 .4 4
- 0 .1 8
- 0 .0 9
0.39
0.10
0.49
0.51
0.68
1.43
2.35
6.84
3年
-0 .98
-0 .67
-0 .19
-0 .63
-0 .60
-0 .47
-0 .57
-0 .60
-0 .40
-0 .10
-0 .04
0.83
0.08
0.55
0.47
0.80
1.39
2.45
6.90
4年
- 0.9 5
- 0.6 3
- 0.1 8
- 0.6 1
- 0.5 3
- 0.4 0
- 0.5 2
- 0.5 4
- 0.3 4
- 0.0 2
0.03
1.31
0.10
0.59
0.51
0.94
1.44
2.57
6.97
5年
- 0 .8 9
- 0 .5 5
- 0 .1 9
- 0 .4 8
- 0 .5 0
- 0 .3 3
- 0 .4 4
- 0 .4 0
- 0 .2 7
0.11
0.22
1.58
0.13
0.64
0.57
1.07
1.50
2.69
7.03
6年
-0 .82
-0 .53
-0 .19
-0 .47
-0 .41
-0 .29
-0 .40
-0 .35
-0 .19
0.19
0.37
1.84
0.22
0.71
0.66
1.20
1.58
2.73
7.10
7年
- 0.7 7
- 0.4 7
- 0.2 1
- 0.3 8
- 0.3 3
- 0.2 4
- 0.3 0
- 0.2 9
- 0.0 7
0.39
0.55
2.10
0.31
0.79
0.73
1.33
1.67
2.76
7.10
8年
- 0.6 9
- 0.3 6
- 0.1 8
- 0.2 5
- 0.2 4
- 0.2 0
- 0.2 0
- 0.1 6
0.10
0.67
0.73
2.50
0.42
0.84
0.80
1.39
1.76
2.75
7.12
9年
-0 .61
-0 .24
-0 .14
-0 .13
-0 .13
-0 .08
-0 .04
-0 .05
0.24
0.79
0.91
2.56
0.46
0.96
0.89
1.45
1.83
2.75
7.15
1 0年
- 0.56
- 0.11
- 0.10
- 0.02
0.01
0.05
0.10
0.06
0.33
0.95
1.08
2.75
0.53
1.03
0.99
1.51
1.87
2.75
7.10
1 1年
- 0.5 2
- 0.0 9
- 0.0 7
0.02
0.06
0.07
0.17
0.14
0.39
1.01
1.14
2.81
0.61
12 年
-0 .48
-0 .06
-0 .04
0.06
0.12
0.09
0.24
0.22
0.46
1.07
1.21
2.88
0.70
1.05
1.54
1.94
2.80
7.26
1.11
1.58
2.02
2.85
7.27
1 3年 1 4年 15 年 2 0年 3 0年
- 0.44 - 0.3 9 -0 .35 - 0.23 - 0.0 9
- 0.04 - 0.0 2
0.01
0.21
0.39
- 0.01
0.02
0.05
0.27
0.39
0.10
0.14
0.17
0.25
0.46
0.17
0.22
0.27
0.34
0.48
0.11
0.13
0.15
0.26
0.46
0.31
0.38
0.44
0.71
0.88
0.30
0.38
0.46
0.87
0.52
0.58
0.64
0.79
1.11
1.14
1.20
1.26
1.50
1.98
1.27
1.34
1.40
1.70
2.04
2.94
3.01
3.08
3.35
3.59
0.78
0.86
0.95
1.11
1.26
1.17
1.62
2.09
2.89
7.16
1.23
1.65
2.17
2.94
7.16
1.30
1.69
2.24
2.99
7.79
1.60
1.87
2.45
1.61
2.23
7.24
7.88
0%未満
0%以上0.5%未満
0.5%以上1.0%未満
1.0%超
(注)2016年8月10日の値
(資料)Bloombergより、みずほ総合研究所作成
10
日米の自然利子率のマイナスがもたらす「3L」
⃝ 日米の実質均衡金利(自然利子率)はマイナス圏に低下。金融政策は緩和的な運営が求められる状況
‧ 米国の実質均衡金利はリーマン・ショック後にマイナス圏に低下。主に需要の減少から生じていると分析
‧ 日本は1990年代前半よりマイナス圏に低下していたとの推計結果。日銀の金融緩和にも関わらずデフレから脱却でき
なかった要因である可能性
【 実質均衡金利(自然利子率)の変動要因(米国) 】
(%)
【 実質均衡金利(自然利子率)(日本) 】
(%)
4
8
3
6
実質均衡金利(自然利子率)
推計誤差(±1σ)
2
4
1
潜在成長率要因
2
0
▲1
0
実質均衡利子
▲3
▲2
需要要因
▲4
▲6
1960
▲2
▲4
▲5
▲6
70
80
90
2000
10
(年)
(注) 小野亮(2016)「米実質均衡金利はマイナス2%∼修正LWモデルに基づく試算とその示唆∼」
みずほインサイト、4月4日に基づくアップデート。
(資料) みずほ総合研究所作成
85 87 89 91 93 95 97 99 01 03 05 07 09 11 13 15
(年)
(注) 自然利子率は、Laubach, T., & Williams, J. C. (2003)"Measuring the natural rate
of interest"の手法に基づき試算。
(資料)内閣府、日本銀行、総務省などより、みずほ総合研究所作成
11
長期化する原油安が低インフレ圧力に
⃝
‧
‧
⃝
‧
‧
原油相場は需給改善期待を背景にした持ち直し基調が一服
米国では生産調整に一服感。 6月に入って新規開発(掘削)が増加に転じており、原油生産の減少にも歯止め
シェールオイル生産が持ち直しの兆しを見せる中、市場に浸透しつつあった需給の改善期待が後退
シェールオイル採算コストの低下によって原油安は長期化へ
シェールオイル生産は油井あたりの生産性が飛躍的に上昇。新規開発を決定する際の採算コストは40ドル程度まで低下
米国では40ドル台でも生産調整が進みにくくなっており、原油安はさらに長期化する可能性が高まっている
【 シェールオイルの採算コスト 】
(ドル/バレル)
【 原油相場の見通し 】
WTI(期近)
WTI(24カ月先物)
平均
Bakken
Eagle Ford
Niobrara
Permian
120
110
100
90
80
(ドル/バレル)
(需用比、%)
120
8
在庫変動(右目盛)
WTI(左目盛)
100
80
60
4
3
40
2
50
40
20
30
0
20
2014
14
15
16
(年)
(注)採算コストは、シェールオイルの新規開発の動向から、みずほ総合研究所が試算。事業
計画時に想定する原油の予想価格には、代理変数としてWTIの24カ月先物価格を使用。
(資料)米国エネルギー情報局(EIA)、 Thomson Reutersより、みずほ総合研究所作成
6
5
60
70
7
1
0
▲1
2012
13
14
15
16
17
18 (年)
(注)在庫変動は4四半期移動平均。
(資料)米国エネルギー情報局(EIA)、 Thomson Reutersより、みずほ総合研究所作成
12
日本は通貨戦争の敗者、四面楚歌の円高
⃝ 円独歩高の状況続く。ドル高は一服も、米大統領選を控え年末にかけて再びドル高是正圧力が高まる見通し
‧ 円以外の主要通貨では、ポンドが英国のEU離脱決定後に急落。ユーロ、元は対ドルで概ね通貨安地合い
‧ 円はどの主要通貨に対しても円高の四面楚歌状態、しかもそうした状況への心地よさが市場に存在
――― ドル安は新興国の通貨安不安の緩和や原油価格の底入れに寄与
⃝ 米大統領選に加え伊国民投票など、年末にかけて市場の不透明感を高めるイベントは多い
‧ Brexitによるリスクオフ地合いは一服も、リスクセンチメントが再び悪化に向かえば円高圧力として働くことが想定
【 主要5通貨の推移 】
【 ドル円相場とリスクセンチメント指標 】
(円/ドル)
(2016/1/1=100)
通貨高
125
120
通貨安
円
ポンド
ドル
ユーロ
元
120
110
115
105
110
100
105
95
100
90
95
85
15/1
90
15/1
15/7
15/10
5
リスクセンチメント
改善
125
115
15/4
(指数)
130
16/1
16/4
16/7
(年/月)
(注)図表上のドルは名目実効レート。ドル以外の通貨は対ドル。
(資料) Bloombergより、みずほ総合研究所作成
0
▲5
第一次
中国ショック
▲ 10
第二次
中国ショック
ドル円相場
リスクセンチメント指数(右目盛)
15/4
15/7
15/10
16/1
Brexit
ショック
16/4
▲ 15
リスクセンチメント
▲ 20 悪化
16/7 (年/月)
(注)リスクセンチメント指標は株・金利など16指標よりグローバル金融市場の相関性の度合いを
示したもの。主成分分析にてみずほ総合研究所推計。2005年末を基準とした累積変化値。
(資料) Bloombergより、みずほ総合研究所作成
13
米国経常収支からみた均衡ドル円相場は98円、米国第一主義の不安も
⃝ ドル円相場の均衡レートは1ドル=98円との試算も(2021年時点での経常収支がGDP比±3%に収まるための為替水準)
【 米有力シンクタンクによる主要通貨の均衡ドル相場 】
経常収支・GDP比(%)
IMF予測
経常収支・GDP比が正常な
範囲(±3%以内)に収まる
ために必要な調整幅(%Pt)
対ドル相場
左記の調整に必要な
実質実効レートの修正幅
(2016年4月実績比、%)
均衡対ドル相場
直近の
対ドル相場
当該通貨に
対する
増価圧力(%)
2016
2021
円
3.8
3.7
▲0.6
+3.6
ユーロ
3.5
2.6
±0.0
±0.0
1.21
人民元
2.6
0.5
±0.0
±0.0
5.95
韓国ウォン
8.2
5.6
▲2.1
+5.2
1007韓国ウォン安 1098 ウォン高圧力
15.0
14.0
▲11.1
+25.6
24.0
▲2.9
▲3.9
+1.1
▲6.3
―
台湾ドル
米ドル
ユーロは符号逆
対ドル相場のメルクマールに
円安
円高圧力
98
102
+4
ユーロ安
1.11ユーロ高圧力
▲8
人民元安
6.63人民元高圧力 +11
台湾ドル安
+9
台湾ドル高圧力
31.3
―
+28
―
(注)1. 2021年の経常収支・GDP比が±3%のレンジに収まるために必要な実質為替レートを求めた上で、対ドルレートの調整を計算。
2. 2016年の経常収支・GDP比はIMFの世界経済見通し(2016年4月)。
3. 直近の対ドル相場は2016年8月11日。Bloombergより取得。
(資料) Cline, William R.(2016) Estimates of Fundamental Equilibrium Exchange Rates, May 2016, Policy Brief, PB15-20, Peterson Institute for International Economics, Mayにより、
みずほ総合研究所作成
14
(3)不確実性要因 ∼ 欧州政治:英EU離脱は情勢膠着、イタリアの国民投票に注目
⃝ 英国ではメイ首相のもとで、EUからの離脱に向けた準備を開始
‧ EUへの脱退通告は2017年初と予想、2016年内は情勢は変わらず。英国の対EUの経済協定の方針を巡る議論に注目
⃝ EU政治リスクという観点で、次の注目はイタリア。10月末ごろに憲法改正を問う国民投票が行われる予定
――― 結果が「改正に反対」であった場合、レンツィ首相は辞任の意向。イタリア政局不安定化のリスク。現在、国民投
票に関する世論調査では、「改正反対」派の勢いが強まっている模様
【 欧州の政治・経済日程 】
政治イベント
2016年
9月
【 イタリアの憲法改正を問う国民投票の世論調査 】
金融政策決定会合
(%)
BOE(15)、ECB(8)
50
EU27非公式首脳会合(16)
10月
英保守党党大会(2∼5)
35
イタリア憲法改正を問う国民投票(10∼12月)
30
2017年
2018年
BOE(3)
EU首脳会合(15∼16)
3月
オランダ下院選挙(15)
4月
フランス大統領選・初回投票(23)
5月
同決選投票(7)
6月
フランス議会選挙
9月前後
独連邦議会選挙(8/27∼10/22)
5月
イタリア総選挙(23まで)
(注)金融政策決定会合は2016年のみ表示。
(資料) EU、各国中銀、各種報道等より、みずほ総合研究所作成
未定
40
EU首脳会合(20∼21)
12月
反対
45
ECB(20)
オーストリア大統領選挙(再実施、2)
11月
賛成
BOE(15)、ECB(8)
25
20
15
10
5
0
2016年1月11日
2016年7月18日
(資料) EMG_Acquaより、みずほ総合研究所作成
15
イタリア不良債権:不良債権比率は高止まり、抜本的な処理は困難
⃝ イタリアの不良債権比率は約18%と高水準。根源的理由は景気の弱さだが、問題対応が遅れた背景には制度的要因も
‧ 制度的要因を一因にこれまで不良債権の売却・償却は進まず。2015年以降、政府・銀行はようやく取り組みを開始
―― ただし、政治情勢に鑑みると、売却・償却の大幅加速という抜本的処理は困難とみられる。債権者に個人投資家が
含まれ、処理に絡む損失を債権者負担とすれば、与党の支持率低下、EU懐疑政党の躍進に繋がるリスクがある
【 EU・各国の不良債権比率 】
【 イタリアの不良債権問題に関連する諸制度 】
2015年以降、政府・銀行の取り組みが進展
イタリア
スペイン
英国
(%)
30
アイルランド
EU平均
ポルトガル
オーストリア
これまでの制度
不十分
だった
引当金
25
20
進まなかった
不良債権の
償却
15
10
進まなかった
不良債権の
売却
5
0
2009
10
11
12
13
14
15
IAS39号による貸出債権の認識・測定
・貸倒引当金が不十分(いわゆる
too little, too lateという問題)
引当金の損金算入に上限
・引当金の損金算入は貸出債権元本の
0.3%(当初認識年度)。残りは繰延税金資産
今後の制度
IFRS9号による貸出債権の認識・測定
・「予想」に基づく引当
引当金の損金算入を許可
・引当金を認識した年度において、一括で
損金算入が可能に
不良債権償却に係る損失は損金算入されず
・貸出先が破綻認定されれば損金算入が
可能。ただし、破綻認定には長い時間が必要
破綻手続の短縮化
・清算計画の実行などに期限を設定。従来より
破綻手続の短縮化を目指す
担保売却に時間がかかる
・担保実行に4年程度。償却で生じる損失を
担保売却でカバーすることの誘因が低下
担保売却手続の短縮化
・債権者や裁判所に対して手続上の期限を設定
・競売の回数を削減
投資家が買取に消極的
・イタリア景気の弱さ
・担保物件の売却に時間がかかる
・不良債権に関する情報の非対称性
・買い取る場合、投資家は上記を織り込んで
慎重にCFを見積り、高めに割引率を設定。
銀行との間で取引価格の折り合いが困難
証券化による投資家需要の促進
・小口投資、信用リスク低減
・政府の保証スキーム(GACS)による更なる
信用リスク低減
・銀行などが拠出する投資基金(Atlante)。
銀行のGACS利用のハードル低下
(年)
(資料) 世界銀行より、みずほ総合研究所作成
(資料) 松本惇(2016)「イタリアの不良債権問題の現状と今後に関する論点整理」
(みずほインサイト、7月29日)より、みずほ総合研究所作成
16
米国:大統領選挙による不確実性。新政権の保護主義的姿勢がリスク
⃝
‧
‧
⃝
‧
‧
世論調査では民主党のヒラリー・クリントン氏が優勢も、選挙の行方は予断を許さず
予備選挙ではアウトサイダーが活躍、下馬評を覆して実業家のドナルド・トランプ氏が共和党の候補指名を獲得
予想外の展開となった背景には、長期間にわたる有権者の不満が存在
いずれの候補もTPPに反対するなど保護主義的な政策を主張、選挙結果にかかわらず新政権下でのリスクに
新規の通商協定締結は難航が予想され、NAFTA等の既存協定の見直しも
財政政策については、いずれの候補も財政赤字の自然増を容認、拡張的スタンス
【 支持率の推移 】
(%)
55
【 米国が進んでいる方向に満足しているか 】
(%)
クリントン氏
トランプ氏
100
90
満足していない
満足している
80
50
70
60
45
50
40
40
30
20
35
10
30
16/1
2016/1 16/2
16/3
16/4
16/5
(資料) Real Clear Politicsより、みずほ総合研究所作成
16/6
16/7
16/8
0
2000/1
00/1 02/1
04/1
06/1
08/1
10/1
12/1
14/1
16/1
(年/月)
(年/月)
(資料) ギャロップ社調査より、みずほ総合研究所作成
17
米国:米大統領選を巡る政治的不透明感が企業マインドの委縮要因に
⃝ 米大統領選挙や欧州で相次ぐ選挙を通じて不透明感が強まり、米企業マインドの委縮、設備投資の悪化を招くリスク
‧ 過去7回の大統領選を振り返ると、選挙期間後半にかけ経済政策不確実性指数が上昇
‧ 不確実性指数が過去平均並みに上昇した場合、設備投資(年率)は0.5%ポイント程度押し下げ
――― NY連銀のダドリー総裁は、大統領選が企業の先行き不透明感を強め、設備投資を抑制すると指摘(7/31)
【 大統領選挙年の経済政策不確実性指数 】
3.5
大統領選挙年の平均
2016年
3.0
過去2年間の平均
を上回る水準
2.0
1.0
(前期比年率への影響、%ポイント)
0.4
0.2
2.5
1.5
【 不確実性が設備投資に与える影響 】
過去は、選挙期間後半にかけて
不確実性指数の上昇が顕著に
0.0
▲ 0.2
▲ 0.4
0.5
0.0
▲ 0.6
▲ 0.5
▲ 0.8
▲ 1.0
▲ 1.5
▲ 1.0
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 (月)
選挙年
翌年
(注)経済政策不確実性指数は、過去2年間の平均値と標準偏差をもとに標準化した値。
大統領選挙年の平均は、1988年∼2012年までの7回の大統領選挙の平均値。
(資料) 米国商務省より、みずほ総合研究所作成
0
1
2
3
4
5
6
7
8
(四半期後)
(注)Baker,Bloom and Davis(2016) Measuring Economy Policy Uncertainty を参考に、
実質設備投資、経済不確実性指数、SP500株価指数、FF金利の4変数からなるVAR
モデルをもとに、経済不確実性指数が12ポイント(過去の大統領選挙年における夏から
11月にかけての平均上昇幅)上昇した時の設備投資への影響を示した。
点線は2 標準誤差の区間の上限・下限。
(資料) FRBより、みずほ総合研究所作成
18
新興国の債務問題がもたらす不確実性:対外債務増大で資本流出に脆弱化
リーマン・ショック以降、新興国の債務が拡大
その一環として対外債務も増大し、特にマレーシアとインドネシアが要警戒国
国債の外国人保有比率が高いため、資本流出に脆弱
外貨準備の短期対外債務に対する倍率が低下し、目安の1倍に接近 ⇒ 危機耐性が低下
⃝
⃝
‧
‧
【 債務残高(名目GDP比) 】
【 対外債務の外貨準備倍率、外国人保有比率 】
(2005年1∼3月期=100)
(外貨準備/短期対外債務、倍)
150
新興国
7
2015年末
2011年末
6
140
中国
短期対外債務増加
外貨準備減少
5
130
インド
4
120
先進国
ロシア
3
タイ
110
ブラジル
インドネシア
2
韓国
100
マレーシア
1
外国人保有増加
0
90
2005 06
07
08
09
10
11
12
13
14
15
16
(年)
(注)家計、非金融法人、金融法人、政府の債務残高
(資料)IIFより、みずほ総合研究所作成
0
10
20
30
40
(国債の外国人保有比率、%)
(注)ロシアの始点は2012年3月、インドの始点は2013年6月。
(資料)IIF、IMF、Wind、各国データより、みずほ総合研究所作成
19
新興国債務問題:企業と家計の過剰債務は投資と消費の重石に
借り入れ主体別にみると、企業部門では、中国において債務が高水準かつトレンドを大幅に超過し、過剰感が強い
韓国でも水準が高く、タイでは水準こそ低いもののトレンドを超過し、それぞれ過剰感がある
家計部門では、マレーシアとタイで債務が高水準かつトレンドを大幅に超過し、過剰感が強い
韓国でも水準が高く、中国でもトレンドを超過し、それぞれ過剰感がある
企業と家計の過剰債務は、新規借入の困難化や返済負担の増加を通じ、それぞれ投資と消費の重石に
⃝
‧
⃝
‧
⃝
【 非金融企業債務残高(名目GDP比、2016年3月)】
【 家計債務残高(名目GDP比、2016年3月)】
(債務残高/GDP、%)
(債務残高/GDP、%)
180
160
中国
韓国
高水準
100
高水準
200
80
マレーシア
タイ
140
60
120
韓国
100
80
60
中国
40
マレーシア
インド
タイ
ロシア
40
20
インドネシア
20
0
▲ 10
ブラジル
ブラジル
▲5
0
5
10
15
25
(債務残高/GDPのトレンドからの乖離、%PT)
(資料)IIFより、みずほ総合研究所作成
インドネシア
インド
トレンドを超過
20
ロシア
0
▲1
トレンドを超過
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
(債務残高/GDPのトレンドからの乖離、%PT)
(資料)IIFより、みずほ総合研究所作成
20
中国とインドでは不良債権増大、バランスシート調整圧力続く不確実性
⃝ 中国では、企業債務の拡大と共に、不良債権(要注意債権を含むベース)の貸出比率は2016年6月末に5.8%へ上昇
‧ インタレストカバレッジレシオが1未満の企業債務を不良債権化の「リスクを抱える債務」とすると、総債務の14%に相当
IMFは、 「リスクを抱える債務」の6割が不良債権化すると仮定し、不良債権比率が更に2%PTほど高まるリスクを指摘
⃝ 中国政府は、拙速な処理による金融不安定化は避けたい構え。資産管理会社による不良債権の買い取り推進や証券化
等の対策を進めているが、処理は「長期戦」となり、その間は企業部門のバランスシート調整圧力が続く見込み
‧ インドでも銀行資産の7割を占める国営銀行で不良債権比率が高く(16年3月末、9.6%) 、バランスシート調整圧力が存在
【不良債権化のリスクを抱える債務の割合(2015年) 】
【中国商業銀行の不良債権】
(10億元)
(%)
6,000
情報技術
147,229
リスクを抱える
債務額
(百万米ドル)
12,576
小売・卸売
157,113
55,145
35
製造業
501,659
88,525
18
5,342
142
3
公益事業
369,881
3,086
1
鉄鋼
115,484
45,396
39
建材
59,841
11,625
19
交通
152,096
27,548
18
鉱業
135,163
47,598
35
エネルギー
224,845
2,357
1
不動産
850,737
96,412
11
その他
55,558
1,642
3
2,774,948
392,053
14
業種
6
要注意債権残高
不良債権残高
5,000
5
不良債権比率(右目盛)
不良債権比率+要注意債権比率(右目盛)
4,000
4
3,000
3
2,000
2
1,000
1
0
0
09/3
10/3
11/3
12/3
13/3
14/3
15/3
16/3
(年/月末)
(資料)中国銀行業監督管理委員会、CEIC Dataより、みずほ総合研究所作成
リース
合計
総債務額
(百万米ドル)
リスクを抱える債務の
総債務額に占める割合
(%)
9
(資料)IMF Global Financial Stability Report, April 2016より、みずほ総合研究所作成
21
日本の不確実性:100円割れの円高が進行すれば、海外進出の動きが再び加速
⃝ さらに円高が進行すれば、機械系の業種を中心に国内空洞化懸念が再燃する可能性も
‧ 100円/ドルを割らなければ、円高による海外進出の促進効果は抑制(統計的に有意ではない)。一方、100円/ドル以上の
円高になれば、こうした抑制効果は剥落。さらに90円/ドルを上回れば、海外進出は加速へ
――― 計量分析では、実勢為替レートが均衡レート※よりも2割強円高(90円/ドル程度)で、企業の海外生産移転が加速
※ 本分析での均衡為替レートは、企業の生産コストが国内と海外とで均衡する為替レート
【 均衡・実勢為替レートかい離率の推移 】
【 かい離率分位点別・海外生産比率の為替感応度 】
(かい離率、%)
(%)
0.04
10
直近値
0
第Ⅰ分位
ドル円
100円
▲ 10
▲ 20
95円
第Ⅱ分位
90円
第Ⅲ分位
0.02
0.00
▲ 0.02
▲ 30
▲ 0.04
▲ 40
第Ⅳ分位
Ⅰ分位 Ⅱ分位 Ⅲ分位 Ⅳ分位 Ⅰ分位 Ⅱ分位 Ⅲ分位 Ⅳ分位
一般機械+精密機械
▲ 50
00
2000
05
10
15
(年)
(注)1.均衡為替レートは、各産業の単位生産費用(単位労働費用+単位中間投入費用)を
均衡させるような為替レートの水準を推計したもの。
2.かい離率は、(ln(実勢為替レート)-ln(均衡為替レート))*100で試算。
(資料) 内閣府、米国商務省、GGDC Databasesなどより、みずほ総合研究所作成
輸送機械
(注)1.以下の式により推計(四半期、推計期間は、1997年Q1∼2014年Q4)。
海外生産比率
海外生産比率
γlog 世界GDP
均衡・実勢為替レートかい離率
均衡・実勢為替かい離率
かい離率分位ダミー
,
なお、分位ダミーは、かい離率がt期にどの分位に属するかを示すダミー変数。
2.白抜きは統計的に有意ではないことを示す。
(資料)日本銀行「外国為替市場」、「実質輸出入の動向」などより、みずほ総合研究所作成
22
(4)主要国金融政策 ∼ 英国:包括緩和、事実上通貨戦争に
⃝ 8月の金融政策委員会(MPC)でイングランド銀行(BOE)は、利下げ、新たな貸出促進策、国債・社債購入の再開を決定
‧ MPC委員の多くは、より大幅な利下げを主張するも、サーベイが示唆するほど景気が悪化していない可能性が指摘され、
25bpsの利下げで決着
‧ 委員の多くは、今後の英景気がBOEの見通し通りに失速すれば、追加利下げが視野に入ると指摘
――― 状況次第では、利下げに加え、国債・社債購入額の引き上げや貸出促進策の強化なども検討
【 8月3日の金融政策委員会での決定事項 】
内
容
政策金利の引き下げ
Bank Rateを0.5%から0.25%に25bps引き下げ
主 な 目 的
貸出金利の低下
短期金融市場におけるベンチマークである政策金利を引き下げ、銀行の貸出金利の引き下げに繋げる
新たな貸出促進策(Term Funding Scheme)
対象:銀行、住宅金融組合
低コストでの貸出原資の供給
期間:4年
低金利環境において預金金利を引き下げることが困難であるため、政策金利が引き下げられても、銀行は
利ざや悪化にながる貸出金利の引き下げに消極的となる。その結果、政策金利引き下げの効果は抑制され
る。TFSにより、政策金利と同水準でBOEが銀行に資金を貸し出すことで、銀行は利ざやを変化させることな
く貸出金利を引き下げることが可能となる
コスト:政策金利+手数料
(純貸出1%の減少に対して手数料5bps、最大25bps)
規模:最大1,000億ポンド
国債購入の再開
対象:英国債
期間:当面6カ月
規模:600億ポンド。結果、購入残高(現在3,750億ポンド)は
4,350億ポンドに増加
社債購入の再開
ポートフォリオ・リバランス効果を通じた企業活動の活性化
国債をBOEに売却した銀行は中銀預金が増えるが、中銀預金の収益率は低いため、それよりも僅かでも高
い収益率を持つ資産に投資することが、銀行にとってメリットとなる。従って、銀行は、国債売却で得た資金
をBOEに留め置かず、貸出に回したり、社債や株式に投資すると考えられる。その結果、信用供給が増加し
たり、企業の資金調達コストが低下したり、資産効果が生じたりする
ポートフォリオ・リバランス効果を通じた企業活動の活性化
対象:英国経済に多大な貢献をする非金融事業法人が
発行する、ポンド建て投資適格社債
国債の場合と基本的な波及経路は同じだが、銀行は(国債売却の時よりも)高い収益率を持つ資産に投資
することがメリットとなる。この結果、国債売却の時よりも、中銀預金は貸出や社債投資に回りやすくなる
期間:当面18カ月
社債発行コストの低下
規模:最大100億ポンド
BOEの社債市場参加により流動性プレミアムが縮小し、社債発行コストが低下する
(資料) BOEより、みずほ総合研究所作成
23
ユーロ圏:物価の伸び緩慢、ECBは年末ごろに追加緩和へ
⃝
‧
⃝
‧
ECBは、7月21日の政策理事会において金融政策の枠組み(預金金利▲0.4%、資産購入800億ユーロ/月)を据え置き
QE増額以降、ドイツ、イタリア、スペインの公債購入シェアが上昇、長期金利の押し下げ要因に
物価の上昇ペースは緩慢で、ECBは年内に追加緩和に踏み切る公算大
12月の政策理事会で、ECBはガイダンス変更による、6カ月の資産購入期間の延長(17年9月まで)を実施すると予想
――― 金利低下を受けて、ドイツで購入可能な公的債券の不足感は強まる。現状では2017年2月頃に公的債券購入
プログラム(PSPP)の購入上限に達する可能性。銘柄当たり購入上限(33%)の緩和等も併せて必要に
【 PSPPにおける国別の公債購入シェア 】
【 ドイツで公債購入(PSPP)が限界に達する時期の試算 】
(2015年3月からの購入シェアの変化幅、%pt)
0.25
ドイツ
イタリア
0.20
0.15
(10億ユーロ)
500
450
400
350
300
250
200
150
100
50
0
3 4 5 6 7
2015年
資産購入増額
フランス
スペイン
0.10
0.05
0.00
▲ 0.05
▲ 0.10
▲ 0.15
▲ 0.20
購入済債券のうち、現在不適格分
政府機関債
PSPP残高
州債
国債
現状の金利水準の場合、
ドイツの公債購入は
2017年2月に上限に
8 9 10 1112 1 2 3 4 5 6 7 8 9 101112 1 2 3 4 (月)
16年
17年
(注)
▲ 0.25
15/3
5
7
9
11
16/1
3
5
7
(年/月)
(資料) ECBより、みずほ総合研究所作成
PSPP購入限度額は、現時点での金利水準における、ドイツのPSPP購入限度額(国債、
機関債、州債のうち、金利水準が預金ファシリティ金利を下回る債権の残高に、発行銘
柄当たりの購入上限33%をかけたもの)に、過去PSPPで購入した債券のうち、金利低
下により現在は購入不適格となった債券の金額(推計値)を合算したもの。ドイツの
PSPP購入額は、月次残高を週次に展開。
(資料)ECB、Bloombergより、みずほ総合研究所作成
24
米国:低インフレとリスク管理の観点から慎重な金融政策運営
⃝ 米国経済を取り巻く不確実性に大きな変化なく、低インフレも続く中、年内据え置き、利上げは2017年入り後と予想
‧ 7月FOMCは金融政策を据え置きつつ、雇用・消費の強さと「 (Brexitに伴う)短期的リスクの後退」に言及
――― 7月の企業業況や雇用統計なども良好。こうした状況が続けば9月利上げに対する観測が高まることも
‧ しかし、投資の弱さは持続しており、投資下振れリスクは無視できず。大統領選の行方も気がかり
‧ 米国の潜在成長率や中立金利の再評価、グローバル・ショック等により、利上げ開始の時期が大幅に後ズレするリスクも
【 イエレン議長が指摘した4つの不確実性(6/6)と現状評価 】
不確実性
現状評価・先行き
米国の成長力、とりわけ
投資と雇用の先行き懸念
○雇用は良好
×設備投資の弱さ続く
グローバル・リスクの増
大や、投資家のリスク・
アペタイトの急変
○Brexitに伴う混乱は一服、
新興国の大幅下振れなし
×欧州不安が再燃。政治的イ
ベントも続く(右表)
×原油価格が下落
【 2016年、2017年の金融政策と注目イベント 】
2016
2017
Q3
据え置き
Q4
据え置き
墺・大統領選
伊・国民投票
米大統領選
Q1
3月利上げ
米新議会・新政権誕生
蘭・下院選
Q2
据え置き
仏・大統領選
独・連邦議会選
異常なほど弱い生産性
×趨勢的な弱さ続く
Q3
9月利上げ
インフレの回復力
×コア・インフレ率、期待イ
ンフレ率ともに低位
Q4
据え置き
(資料) FRBより、みずほ総合研究所作成
大幅後ずれのリスク燻る
(資料) みずほ総合研究所作成
25
日本:日銀は物価目標達成の不確実性と適合的期待形成を指摘
⃝ 日銀は7月の金融政策決定会合(7/28・29)でETF保有残高増加ペースの引き上げ、企業・金融機関のドル資金調達支援
策の拡充による追加緩和策を決定。マイナス金利幅、国債買入れ額は据え置き
⃝ 展望レポートでは2016年度の経済、物価見通しを引き下げたものの、2017年度中の物価目標達成見通しを維持。ただし、
海外経済に関する不透明感などから見通し達成の不確実性は高いとの見方
‧ インフレ期待形成メカニズムで欧米に比べ日本は適合的要素が強いことが、物価が上昇しにくい一因との見方を示す
【 展望レポート(7月29日) 】
【 追加緩和策(7月29日) 】
(対前年度比:%)
緩和策
現状
今次決定
▲0.1%
据え置き
ETF:約3兆円
REIT:約900億円
ETF:6兆円
マイナス金利
ETF・REITの年間
保有残高増加額
実質GDP
2016年度
4月時点の見通し
2017年度
国債買入れの年間
保有残高増加額
80兆円
据え置き
4月時点の見通し
CP・社債等
買入れ
残高維持
社債:3.2兆円
CP:2.2兆円
据え置き
成長基盤融資
(米ドル特則枠)
120億米ドル
240億米ドル
(資料) みずほ総合研究所作成
2018年度
4月時点の見通し
+0.8∼+1.0
(+1.0)
+0.8∼+1.4
(+1.2)
+1.0∼+1.5
(+1.3)
0.0∼+0.3
(+0.1)
+0.8∼+1.0
(+0.9)
+0.6∼+1.2
(+1.0)
消費者物価指数
(除く生鮮食品)
消費税率引き上げの
影響を除くケース
0.0∼+0.3
(+0.1)
0.0∼+0.8
(+0.5)
0.8∼+1.8
(+1.7)
+1.8∼+3.0 +0.8∼+2.0
(+2.7)
(+1.7)
1.0∼+2.0
(+1.9)
1.0∼+2.1
(+1.9)
(注)政策委員の大勢見通し。( )内は政策委員見通しの中央値
(資料)日銀より、みずほ総合研究所作成
26
日本:9月会合で政策の総括的検証を行い政策フレームワーク見直しに
⃝ 日銀は次回会合(9/20・21)で物価目標早期達成の観点から緩和策の政策効果について総括的な検証を行う。国債買入
れなど政策のフレームワークが見直される可能性も
‧ マイナス金利拡大のハードルは高く、REITや社債買入れ拡大など「質」を重視した緩和策にとどまると予想
――― 社債市場の規模は限定的(60兆円程度)。外貨調達支援の拡大も
‧ 国債保有期間の長期化といったヘリコプターマネーを連想させる政策が検討されるなど、政府との一体的な対応が模索さ
れる可能性も。国債買入れ見直しの動きなど、金融政策を巡る思惑による市場変動に留意が必要
【 黒田総裁発言要旨(7月29日) 】
経済・物価
動向について
追加緩和
について
総括評価
について
・英国のEU離脱問題や新興国経済の減速
を背景に、海外経済の不透明感高まっている
・物価目標達成時期は2017年度中とみている
が、不確実性は大きい。予想物価上昇率の
形成で適合的要素が大きい
・不確実性が企業や家計のコンフィデンス悪化
につながるリスクに対応するため、ETF拡充や
外貨資金調達をサポート。これが現時点で最も
有効で適切な政策
・マイナス金利や量的拡大は限界にきていない。
・金融緩和の効果が経済全体として相当出てい
るが、物価は道半ば
・物価見通しの不確実性が高まる中、次回会合
で物価目標達成を早期に実現するため何が
必要か「虚心坦懐」に検証を行う
・2%の物価目標は政府との共同声明でのコミッ
トメントであり、変えるつもりはない
(資料)日銀より、みずほ総合研究所作成
【 主要資産の残高 】
資産
残高
うち日銀保有額
国債
901兆円
332兆円
普通社債
57兆円
3兆円
地方債
59兆円
−
政府保証債
35兆円
−
財投機関債
33兆円
−
企業・政府向貸付
588兆円
−
住宅貸付
178兆円
−
(民間金融機関貸出資産)
(注)残高は2015年度末(日銀保有額は7月末時点)
(資料) 日銀、日本証券業協会より、みずほ総合研究所作成
27
グローバル:総じて金融政策偏重の対応姿勢は変わらず
⃝ 不確実性の高まりから世界経済の下振れ懸念は根強いものの、各国の対応は引き続き金融政策が中心に
‧ G20声明などでは「政策総動員」が示されているものの、日本の経済対策などを除いて、財政出動の動きは限定的
‧ 金融政策の限界論や通貨戦争への批判から、財政政策への期待高まるも、各国の動きは鈍い
【 各国の金融・財政政策 】
国・地域
金融政策
財政政策
米国
利上げを模索するも、景気配慮から
慎重な金融政策運営を継続
新大統領下で拡大基調に転換の見込
みだが、大統領選前で政策は動かず
欧州
英BOEは包括緩和を決定。ECBも
年末ごろに追加緩和の可能性
2016年は財政拡大となるも、ドイツが
財政出動に慎重で影響は限定的
日本
7月に追加緩和を決定。9月会合で政
策の総括的検証を実施
事業規模で28兆円、真水で7.5兆円の
景気対策を発表
中国
追加利下げには慎重ながらも、緩和
的な金融環境を維持
景気下支え策として財政依存度は高
まるも、大規模な財政出動には至らず
その他新興国
各国でまちまちな対応。物価が落ち
着いてるアジア各国は利下げを実施
財政状況からみると、財政出動の余地
は乏しいか、限られる国が多い
(資料) みずほ総合研究所作成
28
グローバル:「3L」による緩和的な金融環境を背景に市場はゴルディロックスの状況に
⃝ 低金利環境の長期化観測が強まる中、株式相場、債券相場とも底堅く推移するゴルディロックスと呼ばれる状況
‧ 当面はゴルディロックスが続きやすい一方、リスク要因の顕現化や米上げ観測の強まりなどをきっかけに相場が大きく
崩れるリスクも内包
【 グローバルな株式・債券パフォーマンス 】
(6カ月前比)
50%
株式、債券とも底堅い
ゴルディロックス
40%
6%
30%
↑
株
高
(6カ月前比)
8%
4%
20%
10%
2%
0%
株
安
↓ ▲10%
0%
↑
債
券
高
債
券
安
▲2% ↓
▲20%
▲4%
▲30%
世界株価指数(MSCI World Free、左目盛)
▲40%
▲6%
世界国債価格指数(Citigroup WBGI、右目盛)
▲50%
▲8%
07
2007
08
09
10
11
12
13
14
15
16
(年)
(注)データは月中平均の6カ月前比。
(資料) Bloombergより、みずほ総合研究所作成
29
(5)日本経済・政策対応 ∼ 2016年度成長率は+0.6%、2017年度は+0.9%と予測
⃝ 2016年度の日本経済は、徐々に回復軌道に復するものの、海外経済の減速などから不透明感の強い状況が続く見込み
‧ 2016年度の成長率は+0.6%と、2015年度の+0.8%から低下する見込み。もっとも、公共投資の早期執行や経済対策が
支えとなるため、潜在成長率(+0.3%∼+0.5%と推計)を上回る伸びは維持
⃝ 2017年度は、前年の経済対策の進捗が本格化することに加えて、先進国を中心とした海外経済の回復もあり、成長率は
+0.9%に持ち直す見込み
⃝ 在庫循環図をみると、最終需要財が改善傾向。もっとも、生産財の調整圧力残存が、当面の景気回復の重石に
【 実質GDP成長率の見通し 】
【 在庫循環図 】
3
15
0
▲1
家計
(消費+住宅)
企業
(設備+在庫)
-0.9
▲2
14
15
16
17
(年度)
(資料) 内閣府「国民経済計算」などより、みずほ総合研究所作成
15年2Q
4
2
0
▲2
▲4
▲ 10
13年2Q
15年2Q
14年2Q
13年2Q
引き続き在庫調整
▲6
▲ 15
▲ 30▲ 20▲ 10 0
予測
13
▲5
回復局面
在庫調整局面
▲3
2012
0
14年2Q
6
10
20
(在庫前年同期末比、%)
30
在庫積み上がり局面
0.9
5
在庫積み増し局面
意図せざる在庫減局面
0.6
在庫積み上がり局面
0.9
0.8
1
16年2Q
10
意図せざる在庫減局面
公的需要
8
在庫積み増し局面
︵
生産前年同期比、%︶
外需
実質GDP
成長率
︵
生産前年同期比、%︶
2.0
2
(生産財)
(消費財)
(前年比、%)
在庫調整局面
▲8
▲5
16年2Q
0
5
(在庫前年同期末比、%)
(資料) 経済産業省「鉱工業指数」より、みずほ総合研究所作成
30
日本:2017年度のコアCPI上昇率は1%前後にとどまる
⃝ 円高や原油価格下落の影響で、コアインフレ率は2016年末頃までマイナス圏で推移。その後は、エネルギー価格が前年
比プラスに転じることで、コアインフレ率は1%前後に。エネルギー価格を除く基調的なインフレ率は、緩やかながら改善
‧ 7月臨時改訂見通しと比べると、コアインフレ率は2016年度(+0.1%⇒0.0%)、2017年度(+1.0%⇒+0.9%)ともに小幅
下方修正
――― 原油価格の引き下げ(2016年度ドバイ原油価格:45ドル/バレル⇒43ドル/バレル)や食品価格の上昇一服が主因
【 消費者物価指数の見通し(消費税除く) 】
【 GDPギャップとCPI 】
(%)
(前年比、%)
1.5
4
見通し
見通し
2
1.0
0
0.5
▲2
0.0
▲4
▲ 0.5
▲6
米国基準コア
エネルギー
食料(生鮮食品・酒類を除く)
生鮮食品を除く総合
▲ 1.0
▲ 1.5
13
2013
14
15
GDPギャップ(潜在GDP比)
CPI(除く生鮮食品)前年比
▲8
▲ 10
16
(注) 米国基準コアCPIは、食料(酒類を除く)・エネルギーを除く総合。
(資料) 総務省「消費者物価指数」より、みずほ総合研究所作成
17
18
(年)
CPI(除く食料(酒類除く)及び
エネルギー)前年比
2002 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18
(年)
(注)1. CPIはいずれも消費増税を除くベース。
(注)2. GDPギャップはみずほ総合研究所の推計値。
(資料)内閣府「国民経済計算」、総務省「消費者物価指数」などより、みずほ総合研究所作成
31
日本:経済対策(真水部分)はGDPを累計で約1.1%押し上げ
⃝ 経済対策(真水部分)は、GDPを累計で約1.1%押し上げると試算。建設業の人手不足などから公共事業の進捗が後ず
れし、毎年の成長率押し上げ効果は0.1∼0.3%程度に
(公共事業費については、前回の短期見通し時に1.5兆円(震災対応含むと2兆円強)を織り込み済み)
‧ 真水部分(国費ベース約6兆円)のうち、公共事業が約3兆円(建設国債増発額)。そのほか、子育て・介護の環境整備、
低所得者に対する15,000円の給付金など
‧ 財政投融資は、事業の本格的な実施が2020年代以降。短期見通しへの影響は限定的
【 経済対策の主な内容 】
Ⅰ.一億総活躍社会の実現の加速
子育て・介護の受け皿整備
保育士・介護人材の処遇改善
雇用保険料の引き下げ(0.2%)
奨学金制度の見直し
年金受給資格期間の短縮(25年→10年)
低所得者に対する15,000円の給付金(対象者2,200万人)
Ⅱ.21世紀型のインフラ整備
【 経済対策のGDP押し上げ効果(試算) 】
事業規模(兆円)
真水(兆円)
3.5
2.5
国費
GDP押し上げ効果
公共工事
約3兆円
0.75%
給付金
約0.35兆円
0.02%
その他
約1.25兆円
0.22%
雇用保険料の軽減 約1.0兆円
0.10%
2017年度から実施
2017年度から実施
2017年度から実施
2017年度から実施
2017年度夏給付予定
10.7
1.7
2016年度
補正予算
外国人観光客4000万人時代に向けたインフラ整備
農林水産物の輸出促進と農林水産業の競争力の強化
リニア中央新幹線や整備新幹線等の整備加速
Ⅲ. 英国のEU離脱に伴う不安定性な どのリ ス クへの対応並びに中小企業・ 小規模事業者及び地方の支援
10.9
0.6
中小企業・小規模事業者向けの資金繰り支援
地方創生の推進
Ⅳ.熊本地震や東日本大震災からの復興や防災対応の強化
3.0
2.7
28.1兆円
7.5兆円
2017年度
当初予算
熊本地震、東日本大震災からの復旧・復興
災害対応の強化・老朽化対策
合計
(注)真水については、地方の歳出部分である1.3兆円を含む。
(資料)内閣府、各種報道より、みずほ総合研究所作成
備考
合計
その他
約0.6兆円
0.04%
約6.2兆円
1.12%
2017年度夏に給付予定
2017年度から実施予定
(注)1.低所得者に対する給付金については、昨年度の給付金実施時と同程度の事務費が
かかると想定。
(注)2.GDP押し上げ効果には、地方の歳出部分を含む。
(注)3.8月16日時点で入手できた資料に基づく。
(資料) 各種資料より、みずほ総合研究所作成
32
日本:低所得者層全体への給付は効率性に限界。将来不安への配慮も必要
⃝ 低所得者層全体への給付措置は、景気対策としてみると効率性に限界。低貯蓄世帯に絞ることでより効率的に
‧ 低所得者層でも、流動資産を保有している層の限界消費性向は低い。低所得者層全体をターゲットにすると、こうした層
にも給付されるため(低所得者層のうち、40%は中貯蓄世帯、15%は高貯蓄世帯)、景気対策としての効率性に限界
⃝ 消費増税延期と政府支出拡大は、将来不安の増大を通じて、個人消費の抑制に働く可能性も
‧ アンケート調査によれば、老後の生活資金に向けた貯蓄は、特に若年世代において着実に増加
【 アンケート調査からみた将来不安 】
【 低所得世帯における純貯蓄階級別の限界消費性向 】
(限界消費性向)
1.2
45.0
1.0
限界消費性向
(世帯割合、%)
50
低所得世帯の分布割合(右目盛)
40.7
40
0.8
30
0.6
14.3
0.4
20
0.2
10
0.0
0
「老後の生活について『非常に
心配している』と回答した割合」
(%)
(%)
60
65
中純貯蓄世帯
高純貯蓄世帯
低所得世帯
(注)1. 被説明変数は実質消費額、説明変数は可処分所得(実質)、世帯人員、65歳以上世帯人
員、住宅ローン返済世帯割合、季節ダミーを用いて回帰分析を行った。季節ダミーを除い
て、変数はすべて対数化。サンプル期間は2007年7∼9月期から2015年10∼12月期。
(注)2. 白抜きは10%水準で有意にならなかったことを示す。二人以上の勤労者世帯の値を使用。
(注)3. 低純貯蓄は第1∼2、中純貯蓄は第3∼4、高純貯蓄は第5五分位範囲の値。
(資料) 総務省「家計調査」より、みずほ総合研究所作成
中年世帯(左目盛) (%)
33
若年世帯(右目盛)
31
55
60
50
45
29
27
55
25
40
23
50
35
低純貯蓄世帯
「貯蓄動機を『老後の生活資金』
と回答した割合」
30
若年世帯
25
21
19
45
17
中年世帯
40
20
19972000 03
06
09
12
15
15
19972000 03 06 09 12 15
(年度)
(年度)
(注)1. 30歳以下を若年世帯、60歳以上を高齢世帯、それ以外を中年世帯とした。
(注)2. 右図は複数回答。
(資料) 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査」より、
みずほ総合研究所作成
33
日本:最低賃金による賃金上昇効果は限定的も、インフレ期待底上げの方向性は評価
⃝ 最低賃金引き上げによるマクロの賃金上昇効果は小さいとみられるが、インフレ期待の底上げに向けた方向性は妥当
⃝ 人手不足対策として、子育て・介護の環境整備や女性活躍の推進は評価できるが、それだけでは不十分な面も
‧ 都市圏では雇用の増加が人手不足の主因であり、子育て・介護の環境整備や女性活躍が重要な対策に。一方、若者、
女性の人口流出が深刻な地方圏では、外国人の活用促進も含めたより大胆な取り組みが求められる
【 最低賃金引上げの影響について 】
平均賃金
賃金格差
生産性
(%Pt)
2.0
1.0
0.5
最低賃金で働く労働者の約半数は、中所得世帯の主婦
や学生。貧困世帯に対する支援としては不十分。
相対的に低賃金の労働者の雇用に対してネガティブな
影響が報告されているが、必ずしも明確な影響は出て
いない。
以下の要因で生産性が向上すると指摘されている。
①非熟練労働者から熟練労働者への代替、②生産性と
賃金水準との差を埋めるために企業が人的資本投資を
行う、③非熟練労働者側も失業を避けるため、自ら人的
資本投資を行うインセンティブをもつ。一方、利益率が悪
化することで、設備投資や人的資本投資が減少すると
いうマイナス面もある。
(資料)みずほ総合研究所作成
15歳以上人口変化要因
就業者数要因
労働力率要因
完全失業率の変化幅
1.5
0.6
0.8
0.0
0.4
▲ 0.4
▲ 0.5
▲ 1.0
▲ 1.0
人手不足進行
雇用
10歳代の低技能労働者が影響を受けやすい。ただし、
10歳代労働者の占める割合は小さいので、マクロ全体
の平均賃金は増加しないといった先行研究がある。
一方、IMFの研究では、3%の最低賃金引き上げにより、
マクロの平均賃金が+1.5%上昇するという分析もある。
【 都市圏・地方圏別の失業率変化要因(2012年∼2015年) 】
▲ 1.5
▲ 2.5
若者・女性が都市圏に流出
→子育て・介護の環境整備や
女性活躍だけでは
対策として不十分
▲ 2.0
▲ 2.5
▲ 3.0
三大都市圏
地方圏
(注)三大都市圏は、埼玉、千葉、東京、神奈川、岐阜、愛知、三重、京都、大阪、兵庫、奈良。
地方圏は三大都市圏以外の道県。
(資料)総務省「労働力調査」より、みずほ総合研究所作成
34
日本:賃金上昇へ逆所得政策(『賃金ターゲット』)導入も一案か
⃝ 求められる発想の転換。「(かつては悪とされた)ホームメード・インフレ(賃金インフレ)」はなぜ生じたか
‧ 第1次石油危機時は賃金インフレ・ホームメードインフレが発生。他方で、第2次石油危機時は賃金インフレ・ホームメード
インフレは発生せず。違いは『賃金決定と物価の関係』
‧ 第2次石油危機時もホームメードインフレが生じた欧米諸国では、賃金の物価スライド制が大きな要因との指摘あり
⃝ ここ数年、政労使会議等で賃金引き上げへの誘導が行われているが、さらに踏み込んだ『賃金ターゲット(目標インフレ率
+企業毎の労働生産性上昇率)』導入も一案
【 賃金決定に際して最重要視した要素(回答企業割合) 】
【 石油危機後1年間の物価上昇率 】
(単位%)
第1次
危機時
第2次
危機時
最近
消費増税
年
企業業績
世間相場
労働力の
確保・定着
物価の
動向
1973
30.4
34.8
18.2
3.7
1974
26.6
37.5
8.6
1975
52.9
23.2
4.3
12.9
24.0
14.6
8.0
6.5
7.1
8.8
9.3
5.8
5.1
0.5
0.2
1.2
0.3
37.5
1976
54.3
25.8
4.3
1978
67.2
18.9
2.3
1979
64.9
18.2
4.2
1981
57.3
22.2
5.2
1981
57.0
24.3
3.2
1982
62.9
23.3
1.7
2012
52.0
7.3
2.7
2013
58.6
8.4
4.2
2014
50.7
8.6
7.2
2015
52.6
5.4
9.2
(資料) 厚生労働省「賃金引上げ等の実態に関する調査」より、みずほ総合研究所作成
(%)
その他
3.3
第1次危機時
5.0
7.6
5.6
中間財
最終財
52.7
19.6
20.0
67.6
26.0
6.0
36.5
6.1
0.5
(1973/Q4→1974/Q4)
第2次危機時
6.5
6.2
素原材料
(1979/Q1→1980/Q1)
6.3
28.6
32.6
32.5
直近
(世界金融危機前)
(2007/Q2→2008/Q2)
(資料) 日本銀行「企業物価指数」より、みずほ総合研究所作成
35
Ⅱ.海外経済
∼米欧の回復緩慢、アジアは回復力を欠く∼
36
(1)米国経済 ∼ 低生産性下、弱い投資と強い雇用が併存
○ 2016年4∼6月期の実質GDP成長率は前期比年率+1.2%と、3四半期連続で1%近傍の低
成長継続。設備投資と在庫投資が低成長の主因。原油安を契機とする資源国向け輸出や
シェール関連産業の投資悪化が他部門に波及。個人消費は堅調さを維持
○ 見通しの論点は、①下向きとなった在庫投資循環と設備投資循環の評価と、②弱い投資と強
い雇用併存の背景。①については、在庫投資の調整圧力は弱く、設備投資も月次指標は峠
越え。企業業況の回復も、シェール以外では設備過剰感が深刻ではないことを示唆
○ ②については、世界経済・金融市場や内外政治情勢に起因する不透明感の高まりによる「投
資先送りの価値」増大と、生産性の低迷が要因。労働力に比べた資本財の割安さは強まって
いるが、景気変動に対し柔軟な調整弁として労働力に軍配。当面は、「投資の弱さ⇒生産性
の低迷⇒労働需要増⇒個人消費の堅調さ⇒設備投資の一段の悪化回避」の構図が続く
○ FOMCは慎重な金融政策運営を続ける公算。雇用等は良好だが、インフレ圧力は小さく、米
国経済を取り巻く不確実性に大きな好転なし。米大統領選は不確実性の一因で保護主義の
懸念が強いほか、欧州不安の再燃など、金融政策上、リスク・マネジメントの視点欠かせず
37
米国:2016年前半は低調。年後半、緩やかな拡大基調に復するが企業は慎重
⃝ 2016年の成長率を前年比+1.8%(7月予測)から+1.4%に、2017年を+2.3%(7月予測)から2.2%に下方修正
‧ 2016年の下方修正の主因は、年次改定の影響(▲0.2%ポイント)と4∼6月期の下振れ(▲0.2%ポイント)
‧ 政治的不透明感の残存等から企業の慎重な投資姿勢は継続するとみられ、今年末から来年初の設備投資を下方修正
【 短期見通し総括表 】
2015 2016 2017
暦年
2015
1∼3
4∼6
2016
7∼9 10∼12 1∼3
4∼6
2017
7∼9 10∼12 1∼3
4∼6
7∼9 10∼12
前期比年率、%
2.6
1.4
2.2
2.0
2.6
2.0
0.9
0.8
1.2
2.0
2.2
2.2
2.4
2.5
2.4
個人消費
前期比年率、%
3.2
2.6
2.4
2.4
2.9
2.7
2.3
1.6
4.2
2.5
2.3
2.3
2.3
2.0
2.0
住宅投資
前期比年率、%
11.7
5.3
3.0
13.3
14.9
12.6
11.5
7.8 ▲ 6.1 ▲ 2.0
6.5
4.0
4.0
4.0
4.0
設備投資
前期比年率、%
2.1 ▲ 1.6
1.5
1.3
1.6
3.9
▲ 3.3 ▲ 3.4 ▲ 2.2 ▲ 1.6
▲ 0.7
2.0
3.0
5.0
5.0
在庫投資
前期比年率寄与度、%Pt
0.2
0.0 ▲ 0.2
0.0
0.0
0.0
政府支出
前期比年率、%
3.8
3.5
2.0
2.0
2.0
▲ 0.0
実質GDP
純輸出
0.2 ▲ 0.4 ▲ 0.0
1.0 ▲ 0.5 ▲ 0.6
1.8
2.6
1.5
2.3
3.2
▲ 0.4 ▲ 0.4 ▲ 1.2
1.9
1.0
前期比年率寄与度、%Pt ▲ 0.7 ▲ 0.0 ▲ 0.0 ▲ 1.7 ▲ 0.1 ▲ 0.5
▲ 0.5
1.6 ▲ 0.9
2.0
0.0
0.2 ▲ 0.2
▲ 0.2 ▲ 0.0 ▲ 0.0 ▲ 0.0
▲ 2.7 ▲ 0.7
1.4 ▲ 1.9
▲ 0.9
2.0
2.2
2.4
2.2
輸出
前期比年率、%
0.1 ▲ 0.9
1.0 ▲ 5.8
2.9 ▲ 2.8
輸入
前期比年率、%
4.6
0.2
1.2
5.6
2.9
1.1
0.7 ▲ 0.6 ▲ 0.4 ▲ 0.0
0.4
1.6
1.8
2.0
2.1
%
5.3
4.9
4.9
5.6
5.4
5.2
5.0
4.9
4.9
4.9
4.9
4.9
4.9
4.9
4.8
非農業部門雇用者数 1か月当たり、千人
229
178
209
190
251
192
282
196
147
176
195
202
207
211
217
前年比、%
0.3
1.0
1.7
0.3
0.3
0.3
0.4
0.9
0.9
1.0
1.3
1.7
1.7
1.7
1.8
前年比、%
1.4
1.5
1.6
1.4
1.4
1.3
1.4
1.6
1.6
1.3
1.4
1.4
1.5
1.6
1.7
失業率
個人消費支出デフレーター
食品・エネルギーを除くコア
(注)網掛けは予測値。
(資料)米国商務省、米国労働省より、みずほ総合研究所作成
38
米国:3四半期続けて低空飛行。投資の弱さと雇用堅調が併存するパラドックス
⃝
‧
‧
‧
‧
実質GDP成長率は2015年10∼12月期から2016年4∼6月期にかけて前期比年率+1%近傍
低成長の主因は設備投資と在庫投資。実質GDP成長率に対する寄与度は両者合わせて▲1.4%Pt(2016年4∼6月期)
原油安を契機とする資源国向け輸出やシェール関連産業の投資悪化が、他のセクターに波及
一方、個人消費は2016年4∼6月期に前期比年率+4.2%と急伸。3四半期均しても+2.7%と堅調
企業の投資活動が弱い中、相対的に強さを保つ雇用が個人消費、ひいては米国景気を支える構図
【 実質GDP成長率 】
(前期比年率、%)
政府支出
設備投資
GDP
8
【 非農業部門雇用者数と失業率 】
純輸出
住宅投資
在庫投資
個人消費
(前月差、千人)
350
(%)
5.8
失業率(右目盛)
5.6
300
6
5.0
5.4
4.0
2.3
4
2.0
250
2.6
2.0
1.2
0.9
2
5.2
200
5.0
150
4.8
0.8
0
4.6
100
4.4
▲2
▲4
50
▲1.2
1
非農業部門雇用者数
4.2
0
2
3
4
1
2014
2
3
2015
4
1
2
2016
4.0
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7
2015
(資料) 米国商務省より、みずほ総合研究所作成
2016
(年/月)
(年/四半期)
(資料) 米国労働省より、みずほ総合研究所作成
39
米国:「うつむく」2つのストック循環。峠越えの動きもあり、深刻な調整は回避
⃝
‧
‧
‧
在庫循環は「意図せざる在庫増」局面、設備投資循環はマイナス圏入り。しかし企業業況は良好で、深刻な調整は回避
今次景気拡張期の在庫循環は「在庫積み増し」と「意図せざる在庫増」の間を何度も往復(若返り)
足元の在庫循環は原点近傍。今後の調整の深度が低く、若返りが早いことを示唆
2016年4∼6月期の設備投資は前年比マイナスの伸びとなったが、すでに峠を越えている公算大
――― 月次のコア資本財出荷・新規受注は悪化が一巡
――― 製造業ISM指数は50を上回って回復、シェール関連以外では「設備過剰感」は強くないことを示唆
【 在庫循環 】
【 設備投資循環 】
8
15
6
2
2016年4∼6月期
0
▲2
▲4
)
▲6
▲8
2009年1∼3月期
期待成長率
1%
5
0
2016年4∼6月期
▲5
▲ 10
▲ 15
▲ 10
▲ 12
▲ 12 ▲ 10 ▲ 8
設備投資︵前年比%︶
最終財需要 前(年比%
10
4
4%
3%
2%
▲ 20
▲6
▲4
▲2
0
2
民間在庫(前年比%)
(資料) 米国商務省より、みずほ総合研究所作成
4
6
8
9
10
11
12
前年の設備投資/資本ストック比率(%)
(資料) 米国商務省より、みずほ総合研究所作成
40
米国:パラドックスを解く鍵は「投資先送りの価値」と生産性の低迷
世界経済や内外政治の不透明感が強く「投資先送りの価値」が上昇。労働力が柔軟な調整弁として機能
労働力に対する資本財の相対的割安さは強まっているが、設備投資はやり直しが効かず、調整弁として労働力に軍配
設備投資が弱く、資本蓄積の遅れから生じる生産性の低迷が労働需要を強めるという構図が当面続く公算が大きい
不透明感が晴れれば、設備投資の加速が期待できる見通し(2017年半ばを想定)
⃝
‧
‧
‧
【 資本財物価/雇用コスト指数の推移 】
(前年比%)
【 弱い投資と強い雇用の併存 】
先送りの価値増大
資本コストの高止まり
労働力が割安
2
1
0
雇用
▲1
投資
▲2
▲3
▲4
▲5
生産性の低迷
▲6
▲7
1990
堅調な消費
資本財が割安
95
2000
05
10
(注)資本財物価は設備投資デフレーター、雇用コストは民間の雇用コスト指数。
(資料) 米国商務省、米国労働省より、みずほ総合研究所作成
15 (年)
(資料) みずほ総合研究所作成
41
(2)ユーロ圏経済 ∼ 緩やかな景気回復が続くが下振れリスクに要注意
○ 2016年、17年のユーロ圏実質GDP成長率は、各+1.5%、+1.1%。景気回復は続くが、不透
明感が高まる中で17年にかけて成長率は低下。見通し期間を通じ、下振れリスクは強い
○ 2016年の成長率は、前年より小幅減速。年前半は堅調な回復を続けたが、英国のEU離脱
決定に絡む不透明感の増大により、年後半は投資中心に景気回復ペースが減速する公算
大。2017年の成長率は低下するが、英国・EUの交渉が開始されるのに伴って不透明感が
和らぎ、年後半にかけて成長率は徐々に高まる
○ 2016年、17年のユーロ圏インフレ率は、各+0.2%、+1.1%と予測。原油価格の持ち直しなど
からインフレ率は上昇していくとみられる。ただし、賃金上昇圧力の弱さなどから、インフレ率
はECBの目安である2%を下回る状況が続こう
○ ECBは、追加緩和策の効果を見極めるステージに。インフレ率の上昇ペースは緩慢で、
12月理事会において資産購入期間の半年延長などの追加緩和策の導入を予想
42
ユーロ圏:2016年後半の景気は減速
⃝ 2016年のユーロ圏実質GDP成長率は+1.5%へ上方修正。2017年は+1.1%と予想
‧ 上方修正は、4∼6月期の成長率上振れを反映したもの。年後半は、英景気減速を受けた不透明感の高まりなどから
投資を中心に成長率は低下する見込み(7月の緊急改定見通しにおける想定と同じ)
‧ 2017年は、消費主導の景気回復が持続。英国・EUとの交渉が進む中で不透明感が徐々に解消され、投資は持ち直し
‧ インフレ率はプラス圏で推移。ただし、賃金上昇圧力の鈍さなどからインフレ率の上昇ペースは緩慢なものに
【 短期見通し総括表 】
2014
2015
2016
2015
2017
暦年
1∼3
4∼6
2016
7∼9 10∼12
1∼3
4∼6
2017
7∼9 10∼12
1∼3
4∼6
7∼9 10∼12
前期比、%
0.9
1.7
1.5
1.1
0.6
0.4
0.3
0.4
0.6
0.3
0.2
0.2
0.3
0.3
0.4
0.4
前期比、%
1.0
1.8
1.8
1.0
0.8
0.0
0.7
0.7
0.7
0.1
0.2
0.1
0.2
0.3
0.3
0.4
前期比、%
0.8
1.7
1.6
1.2
0.4
0.3
0.5
0.3
0.6
0.3
0.3
0.3
0.3
0.3
0.4
0.4
総固定資本形成 前期比、%
1.3
2.7
2.1
0.1
1.5
0.1
0.5
1.4
0.8 ▲ 0.1
0.2 ▲ 0.4
▲ 0.2
0.3
0.3
0.5
政府消費
0.8
1.3
1.5
0.9
0.5
0.3
0.3
0.5
0.4
0.3
0.2
0.2
0.2
0.2
0.2
0.1 ▲ 0.0
0.2
0.0
0.2 ▲ 0.2
0.2
0.1
0.1 ▲ 0.1 ▲ 0.0 ▲ 0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
▲ 0.0 ▲ 0.1 ▲ 0.2
0.2
▲ 0.3
実質GDP
内需
個人消費
前期比、%
在庫投資 前期比寄与度、%Pt
外需
前期比寄与度、%Pt
0.4 ▲ 0.4 ▲ 0.3
0.4
▲ 0.1
0.2
0.0
0.1
0.1 ▲ 0.0
0.0
0.0
輸出
前期比、%
4.1
5.1
2.4
4.0
1.5
1.6
0.4
0.7
0.4
0.4
0.6
0.9
1.1
1.2
1.2
1.2
輸入
前期比、%
4.5
5.9
3.2
4.0
2.3
0.9
1.3
1.4
0.7
0.0
0.6
0.8
1.1
1.3
1.3
1.4
消費者物価指数
前年比、%
0.4
0.0
0.2
1.1
▲ 0.3
0.2
0.1
0.2
0.1 ▲ 0.1
0.2
0.6
1.1
1.0
1.1
1.5
食品・エネルギーを除くコア前年比、%
0.8
0.8
0.9
1.1
0.7
0.8
0.9
1.0
1.0
0.8
0.9
1.0
1.0
1.1
1.2
0.8
(注) 網掛けは予測値。
(資料) Eurostatより、みずほ総合研究所作成
43
ユーロ圏:4∼6月期の景気は減速
⃝ 4∼6月期のユーロ圏GDP成長率は前期比+0.3%へ低下。インフレ率はプラス圏へ浮上
‧ ユーロ圏成長率の低下は、原油価格上昇による購買力悪化などによる内需減速などが背景とみられる
――― 主要国では、ドイツとスペインの成長率が低下するも底堅い水準。一方、フランスとイタリアは失速
‧ 7月のユーロ圏インフレ率は2カ月連続でプラス。エネルギー・食品物価の下落幅縮小が主因、コア・インフレ率は伸び悩み
――― コアの内訳では、サービス物価上昇率が上昇、非エネルギー工業品物価上昇率が低下
【 ユーロ圏・主要国GDP 】
【 ユーロ圏インフレ率 】
(前期比、%)
インフレ率内訳
1.0
(前年比、%)
1.2
0.8
コア・インフレ率内訳
(前年比、%)
▲ 1.0
1.0
0.6
1.2
0.8
0.4
▲ 1.5
0.6
0.2
0.4
▲ 2.0
0.0
▲ 0.2
▲ 0.2
▲ 0.4
▲ 0.4
2015/7
Q1
Q2
Q3
Q4
Q1
2014
ユーロ圏
イタリア
Q2
Q3
Q4
15
ドイツ
スペイン
Q1
Q2
16
フランス
(資料) Eurostat、各国統計局より、みずほ総合研究所作成
(年/四半期)
1.0
0.8
0.2
0.0
(前年比、%)
1.4
0.6
0.4
16/1
ユーロ圏インフレ率
コアインフレ率
エネルギー・食品等(右目盛)
▲ 2.5
16/7
(年/月)
0.2
2015/7
16/1
16/7
(年/月)
コア・インフレ率
サービス物価上昇率
コア財物価上昇率
(注) コア・インフレ率は、エネルギー・食品等を除く総合。
(資料) Eurostatより、みずほ総合研究所作成
44
ドイツ:上がらない賃金上昇率
⃝ ドイツでは労働需給が改善する一方で賃金上昇率が低下。低インフレが賃金設定に及ぼす影響は拡大
‧ 賃金上昇率の低下には、低インフレだけでなく低生産性も影響している模様
――― ドイツ最大労組IG-Metalは、2016年賃金交渉において大幅な賃上げを求めたが、経営者側は低インフレや
低生産性を理由に賃上げ率の圧縮を模索。労組の要求を下回る結果で交渉は決着
――― 過去平均並みにインフレ率、生産性が上昇していれば、足元の賃金上昇率は3%を上回っていた可能性
‧ ドイツでは、2017年にかけて賃金上昇率は加速感を欠く見込み。インフレ率上昇ペースも緩慢に
【 ドイツ賃金上昇率と失業率 】
【 低インフレ・低生産性が賃金上昇率に及ぼす影響 】
(前年比、%)
4.0
3.5
(%)
賃金上昇率
失業率(右目盛、軸を反転)
4
失業率は低下
5
3.0
(%Pt)
インフレ率
生産性
賃金上昇率への影響
0.5
0.0
6
2.5
7
2.0
賃金上昇率
は伸びず
1.5
低インフレ・
低生産性が
賃金上昇率を
約1%pt
押し下げ
▲ 0.5
8
▲ 1.0
9
▲ 1.5
Q1 Q2 Q3 Q4 Q1 Q2 Q3 Q4 Q1 Q2 Q3 Q4 Q1
1.0
10
0.5
0.0
2000/6
11
02/6
04/6
06/6
08/6
10/6
12/6
14/6
12
16/6
(年/四半期)
(注) 失業率は1期先行。
(資料) ドイツ連邦銀行、ドイツ連邦統計庁より、みずほ総合研究所作成
2013
14
15
16
(年/四半期)
(注)1. インフレ率と生産性が長期平均並みに上昇していないことが、賃金上昇率に及ぼす
影響度を試算したもの。
(注)2. 単位賃金を、NAWRUギャップ(1期前)、労働生産性、インフレ率(1期前)、定数項に回帰。
インフレ率と生産性に関し、各々の長期平均と実際の観測値との乖離に回帰モデルか
ら得られた回帰係数を乗じ、賃金上昇率への下押し度とした。
(注)3. 回帰係数は時変。推計期間は1999年Q1∼2016年Q1。
(資料) ドイツ連邦銀行、ドイツ連邦統計庁より、みずほ総合研究所作成
45
(3)アジア経済 ∼ 自律的景気回復力に欠ける展開続く
○ 2016年4∼6月期の中国の実質GDP成長率は前年比+6.7%と前期から横ばい、一段の減速
を回避。製造業を中心に投資が減速する一方で、政策により下支え
○ デレバレッジ進行による中期的な投資押し下げ圧力に加え、足元では政策の不確実性の高
まりが一時的な投資抑制に。今後は4∼6月期のような下振れは薄れるが、2017年にかけ低
調。軟調な雇用・所得を背景に、消費も緩やかな減速。輸出は2017年にかけ持ち直し。政策
により腰折れを回避しつつ、景気の減速続く
○ 2016年4∼6月期の中国を除くアジア経済は、一部の国で一時的に成長率が高まったものの、
概ね低調に推移
○ 2016年の景気は、前年からの減速傾向が続く見通し。NIEs諸国・地域を中心に輸出がやや
持ち直しつつあるが、日米欧の景気減速が続く中アジア全体でみた輸出の軟調は変わらず
○ 2017年の景気も、大幅加速を見込みづらい。Brexit問題で欧州経済が減速する一方で、米国
の成長率が上向き輸出は持ち直すとみられるが、回復ペースは緩慢。米利上げ再開などに
より財政・金融政策による下支えの余地は縮小へ
46
アジア:2016年、2017年とも+6%の成長率で変わらず
⃝
‧
‧
‧
‧
アジア経済は、+6%の経済成長は維持するものの、引き続き自律的回復力に欠ける
中国は、政策による下支えで腰折れを回避しつつ過剰生産能力等の調整を進め、緩やかな減速傾向で推移
NIEsは、主要輸出先の景気回復力の弱さなどから、+2%前後の低成長が続く
ASEAN5は、内需が堅調に推移する国もみられるが、輸出伸び悩みにより+5%以下の成長にとどまる
インドは、2016年の公務員給与大幅引き上げの影響が2017年に剥落
【 アジア経済見通し総括表 】
2011年
(実績)
ア ジア
2012年
(実績)
2013年
( 実績)
2014年
( 実績)
2015年
( 実績)
(単位:%)
2016年
( 予測)
2017年
( 予測)
(単位:%)
2016年
2017年
( 前回: 6 月予測)
7.4
6.4
6.4
6.4
6.1
6.0
6.0
6.0
6.0
中国
9.5
7.9
7.8
7.3
6.9
6.6
6.5
6.6
6.5
NIEs
4.1
2.3
2.9
3.4
1.9
1.8
2.2
1.8
2.2
韓 国
3.7
2.3
2.9
3.3
2.6
2.5
2.6
2.4
2.5
台 湾
3.8
2.1
2.2
3.9
0.6
0.9
1.8
1.1
1.9
香 港
4.8
1.7
3.1
2.7
2.4
1.5
1.5
1.5
1.8
シンガポール
6.2
3.7
4.7
3.3
2.0
1.7
2.3
1.8
2.3
4.7
6.2
5.0
4.6
4.8
4.7
4.6
4.6
4.5
6.2
6.0
5.6
5.0
4.8
5.0
4.9
4.9
4.9
ASEAN5
インドネシア
タ イ
0.8
7.2
2.7
0.8
2.8
3.2
2.8
2.8
2.7
マレーシア
5.3
5.5
4.7
6.0
5.0
3.8
4.3
3.7
4.3
フィリピン
3.7
6.7
7.1
6.2
5.9
6.1
5.5
6.1
5.5
ベトナム
6.2
5.3
5.4
6.0
6.7
5.8
6.0
6.0
5.7
6.6
5.6
6.3
7.0
7.2
7.7
7.6
7.7
7.7
オース トラリア
2.6
3.6
2.0
2.7
2.5
2.7
2.5
2.7
2.5
( 参考) 中国・ インドを除く ア ジア
4.5
4.6
4.2
4.1
3.6
3.6
3.7
3.5
3.7
( 参考) 中国を除く アジ ア
5.4
5.0
5.1
5.4
5.2
5.4
5.5
5.4
5.5
インド
(注)1. 実質GDP成長率(前年比)。網掛けは予測値。網掛けなしは実績値。
2. 平均値はIMFによる2014年GDPシェア(購買力平価ベース)により計算。
3. インドの伸び率は、2012年以前はIMF、2013年以降はインド統計計画実行省の値。
(資料)各国統計、CEIC Data、IMFよりみずほ総合研究所作成
47
アジア:一部の国の成長率加速は一時的影響大。低調な推移が続く
⃝ 2016年4∼6月期のアジア各国の成長率は一部でやや加速したが、一時的影響が大きい
‧ 韓国は1∼3月期の消費の一時的落ち込みが剥落したため、インドネシアは予算前倒しの影響により、小幅に加速。ベトナ
ムもやや加速したが、干ばつや塩害の広がりにより政府目標(+6.7%)を大幅に下回る成長にとどまる
‧ 一方、中国は民間投資の低迷を財政政策が下支えし、一層の下振れは回避。台湾・マレーシアは雇用所得の悪化を背景
に消費が落ち込み、前期から減速するなど、低調な動き
⃝ IT関連需要の回復に伴い中国・韓国・台湾の輸出は足元やや持ち直すも、アジア全体の輸出は低水準にとどまる
【 実質GDP成長率 】
2015年
1∼3
韓国
3.2
4∼6
1.7
(2010年=100)
2016年
7∼9
5.0
10∼12
2.7
1∼3
2.1
4∼6
2.7
▲ 6.2
▲ 0.6
0.8
3.1
0.2
香港
2.9
2.5
1.9
0.8
▲ 2.1
6.5
シンガポール
0.2
▲ 1.6
2.3
6.2
0.1
0.3
タイ
1.8
2.1
3.6
3.4
4.0
3.2
マレーシア
5.7
3.8
3.5
5.0
4.2
2.7
フィリピン
2.9
8.9
5.7
8.8
4.5
N.A.
(前年比、%)
中国
7.0
7.0
6.9
6.8
6.7
6.7
インドネシア
4.7
4.7
4.7
5.0
4.9
5.2
ベトナム
6.1
6.5
6.9
7.0
5.5
5.6
6.7
(資料)各国統計、CEIC Data
7.5
7.6
7.2
7.9
125
(2011年=100)
130
CPBアジア新興国輸出
N.A.
韓国
台湾
中国
125
2.9
台湾
インド
【 アジアの輸出数量 】
(前期比年率、%)
120
120
115
115
110
110
105
100
105
95
90
100
2011 12
13
14
15
16
(年)
2011 12
13
14
15
16
(年)
(注)CPBの直近値は4∼5月平均。韓国・台湾・中国の輸出数量はみずほ総合研究所季節調整値。
(資料) CPB World Trade Monitor、CEIC Dataより、みずほ総合研究所作成
48
アジア:先行きも輸出の回復テンポは緩慢。2017年まで成長率の加速は期待できず
⃝ 2016年のアジアの景気は、減速傾向が続く見通し
‧ 欧米経済が減速する中、輸出の低調が続く見込み。もっとも、中国では生産在庫バランス(生産前年比-在庫前年比)が
プラス圏まで改善するなど在庫調整による下押しは一巡、他のアジア諸国の対中輸出の一層の下振れは回避
⃝ 2017年のアジアの景気も、大幅な加速は期待できず
‧ 米国を中心に世界経済成長率がやや高まることから輸出の持ち直しが想定されるが、回復テンポは依然として緩慢
‧ その中で、内需堅調なインドネシアをはじめASEAN5は投資性向が安定的に推移しており、相対的に堅調を維持
【 中国の生産在庫バランス 】
(前年比%、%Pt)
20
実質在庫
【 アジア各国・地域の投資性向 】
生産
(名目GDP比、%)
50
15
45
10
40
5
35
0
30
▲5
25
20
生産在庫バランス
▲ 10
中国
NIES
ASEAN5
インド
15
▲ 15
11/1
12/1
13/1
14/1
15/1
(注)生産在庫バランス=生産前年比-在庫前年比。在庫はPPPで実質化。
(資料) 中国国家統計局、CEIC Dataより、みずほ総合研究所作成
16/1
(年/月)
95
97
99
01
03
05
07
09
11
13
15
(年)
(注)NIES、ASEAN5はPPPベースGDPで合成。2016年はIMF見通し。
(資料) IMFより、みずほ総合研究所作成
49
中国:製造業を中心とする投資低迷は、民間企業のデレバレッジ進行が一因
⃝ 足元の投資は製造業を中心に減速
‧ 2016年4∼6月期の固定資産投資は前年比+8.2%に減速。実質ベースの伸びも統計開始以来初の1桁台まで低下
‧ 鉱業(石炭等)の減少が続く中、製造業の投資が大きく減速したことが全体を押し下げ
――― 製造業の内訳をみると、足元で減少した業種のうち、国有企業比率が高い自動車・非鉄金属を除いて負債比率
が低下。民間企業のデレバレッジの進行が投資抑制につながっている可能性を示唆
【 固定資産投資の内訳 】
【 製造業の固定資産投資(名目)減少業種と負債・国有企業比率 】
(前年比、%)
20
実質固定
資産投資
名目固定
資産投資
15
10
第三次産業
5
ユーティリティ
・建設
製造業
0
第一次産業
鉱業
▲5
2014
15
16
(年)
(注)寄与度は名目値の内訳。投資合計・業種別投資の各系列は前年比公表値で
調整しているため、寄与度の合計が固定資産投資総額の前年比と一致しない。
(資料)中国国家統計局、CEIC Dataより、みずほ総合研究所作成
製造業
自動車
一般機械
専門機械
コンピュータ・通信・電子製品
非金属鉱物品
ゴム・プラスチック
電気製品
化学
木材
アパレル・服飾
酒・飲料
非鉄金属
印刷・記録媒体
固定資産投資
製造業内内訳寄与
16/ Q1→16/Q2
(%Pt)
負債比率
変化
15/Q1→16/Q1
(%Pt)
固有企業比率
▲4.6
▲1.5
▲0.7
▲0.7
▲0.6
▲0.4
▲0.4
▲0.3
▲0.3
▲0.3
▲0.2
▲0.2
▲0.2
▲0.2
0.5
▲1.6
▲0.9
▲1.4
▲0.4
▲1.7
▲0.2
▲1.0
▲0.6
▲0.5
▲0.8
1.4
▲1.3
43.6
10.6
14.2
8.5
8.7
4.2
8.3
16.0
1.6
0.9
16.0
32.5
7.5
2014
(%)
(注)製造業の内Q1→Q2で寄与が0.2%Pt以上低下した業種を抜粋。国有企業比率は主管業務収入
(売上)に占める比率。
(資料)中国国家統計局、CEIC Dataより、みずほ総合研究所作成
50
中国:足元の設備投資の落ち込みには「経済政策の不確実性」が影響
中国政府は投資減速の要因の一つとして、資金調達コスト高を指摘
ただしグレンジャー因果検定によると、コストの代表的指標である貸出金利から投資への影響は確認できず
製造業投資に限ると、「経済政策の不確実性」の投資への影響が確認できる
改革の進展度等を巡る不確実性の高まりが足元の製造業の投資抑制につながった模様。もっとも、不確実性が投資を
押し下げる影響は短期的との推計結果
⃝ 今後の製造業投資はデレバレッジを受け緩やかな減速傾向をたどり、不確実性の動向によって一時的に下振れる局面も
⃝
‧
⃝
‧
【 投資に影響を与えうる関連指標 】
[ 貸出基準金利 ]
(%)
8
[ 工業企業収益 ]
[ 経済政策の不確実性指数 ]
(前年比、%)
140
120
7
【 投資と関連指標のグレンジャー因果検定 】
(長期平均=100)
350
固定資産投資
貸出基準金利
300
100
6
80
250
5
60
200
4
40
3
20
150
0
100
2
製造業
固定資産投資
貸出基準金利
50
▲ 40
0
05 07 09 11 13 15
(年)
工業企業収益
経済政策の
不確実性
▲ 20
1
▲ 60
05 07 09 11 13 15
(年)
[ 投資全体 ]
[ 製造業投資 ]
製造業企業収益
経済政策の
不確実性
0
05 07 09 11 13 15
(年)
(注)「経済政策の不確実指数」は、South China Morning Post紙の記事に占める、「中国」
「経済政策」「不確実性」を示すキーワードが同時に含まれた記事の割合を、1995年
1月∼2011年12月平均を100として指数化したもの。
(資料) 中国人民銀行、中国国家統計局、Economic Policy Uncertainty より、みずほ総合研
究所作成
(注)1. 推計期間は2005年第1四半期∼2016年第2四半期。ラグ次数は1四半期。矢印は
少なくとも10%の有意水準でグレンジャー因果性が検出される関係を示す。
(注)2. 固定資産投資・製造業固定資産投資は前年比の1期差、工業企業収益・製造業
収益は前年比、貸出基準金利と経済政策の不確実性は原数値を使用。
(資料) 中国人民銀行、中国国家統計局、Economic Policy Uncertaintyより、みずほ総合
研究所作成
51
中国:利下げには慎重。財政への依存度は高まる
利下げや預金準備率引き下げには慎重。対象を絞った資金供給などで緩和的な金融環境を維持する
中国当局は資産バブルや国外資金流出への懸念を高めており、利下げや預金準備率引き下げには慎重な模様
民間企業や中小企業に対象を絞った資金供給をこれまで以上に拡大させる可能性はあり
財政政策への依存度が高まる展開に
財政部は予算執行ペースの加速を要求。さらに、企業のデレバレッジを支えるため政府がレバレッジを高めるとの発言も
2016年8月までの地方政府債発行残高は2015年実績をすでに超過。国債についても発行ペースが加速
⃝
‧
‧
⃝
‧
‧
【 貸出金利と住宅価格 】
【 国債・地方政府債の発行残高 】
(2005年7月=100)
(%)
10
250
(兆元)
4.5
国債
4.3
地方債
3.8
4.0
9
8
200
7
3.5
3.0
6
150
5
4
100
2.5
2.0
2.1
1.8
1.8
1.7
1.5
3
加重貸出金利(左目盛)
2
住宅ローン金利(左目盛)
1
50
1級都市住宅価格指数
0
2009
10
11
12
13
14
15
(資料) 中国人民銀行、中国国家統計局より、みずほ総合研究所作成
0
16 (年)
1.0
0.5
0.4
0.4
0.0
2013
14
15
16
(年)
(注)2016年は1月∼8月4日までの合計額。
(資料) Windより、みずほ総合研究所作成
52
中国:人民元の対米ドルレートは緩やかな下落が続く
⃝ 2016年以降、中国は対通貨バスケット(人民元指数)での行き過ぎた元高の修正を志向した為替運営に転換
‧ 2014年半ば以降、米国の利上げ観測が高まる中で米ドル高が加速したが、中国当局が対米ドルレートの安定を重視した
結果、人民元は米ドル高に連動し、人民元指数は大幅に上昇
⃝ 年内に緩やかなペースで人民元高修正が進展し、その後は対バスケットでの横ばい圏の推移を想定
‧ 2017年は米国の利上げに伴い米ドル上昇地合いが見込まれる中、人民元の対米ドルレートは減価
【 対米ドル人民元レートの試算値 】
【 人民元相場とCFETS人民元指数 】
(2014年末=100)
(人民元/ドル)
6.0
(2014/12=100)
(人民元/ドル)
元高
110
110
5.9
105
6.1
100
6.3
6.1
105
6.2
100
6.3
6.4
95
①
6.5
90
95
6.5
6.6
90
6.7
85
人民元/ドル(右逆目盛)
75
11
12
13
14
15
16 (年)
(注)CFETS人民元指数はみずほ総合研究所による試算値。
(資料)中国外国為替取引システム(CFETS)、Bloombergより、みずほ総合研究所作成
85
対ドル・ユーロ・円合成レート
6.9
7.0
2010
10
元安
6.8
CFETS人民元指数
80
6.7
2016年に合成レートが
①期間平均値まで
低下後、横ばいと仮定
した場合の対ドル人民
元レート試算値
人民元/ドル
80
6.9
7.1
2013
14
15
16
17
(年)
(注)対ドル・ユーロ・円合成レートはCFETS指数ウェイトで加重平均。
(資料)CEIC Dataより、みずほ総合研究所作成
53
Ⅲ.日本経済
∼民需・外需ともに低調、経済対策が下支え∼
54
日本経済 ∼ 海外経済の減速等から力強さに欠ける見込み。当面の回復は公需依存に
○ 2016年4∼6月期(1次速報)は、2四半期連続のプラス成長。もっとも、民需や輸出の低迷から、
プラス幅は小幅。昨年半ばからの踊り場局面を脱していないことを確認する内容
○ 7∼9月期以降の景気は、海外経済の減速などが下押しも、公的需要の支えなどから、緩やか
に持ち直し。2016年度成長率は+0.6%と潜在成長率(+0.3%∼+0.5%と推計)を上回る伸び
を維持。2017年度成長率は、経済対策の執行本格化もあり、+0.9%に高まる
○ 中国経済の構造調整や米国企業の設備投資の弱さに加えて、年初以降の急速な円高という
逆風もあり、輸出の回復は力強さに欠ける見込み。一方、内需については、経済対策効果が
徐々に顕在化することで、公的需要が堅調に推移。設備投資も、大企業の投資循環が回復局
面にあることなどから、緩やかに持ち直しへ。個人消費については、力強さに欠けるものの、雇
用情勢の改善に伴い徐々に回復へ
○ 円高や原油価格下落の影響に加えて、家計の節約志向も下押し要因となり、コアCPI前年比
は2016年末頃までマイナス圏で推移。その後は、エネルギー価格の前年比がプラスに転じ、予
測期間後半にはコアインフレ率は1%程度に。エネルギー価格の影響を除く基調的なインフレ
率は、緩やかながらも改善へ
55
日本:足元は依然踊り場。今後は経済対策もあって持ち直すも、そのペースは緩やかに
⃝ 4∼6月期の実質GDPは、前期比年率+0.2%とプラス成長。ただし、民需や輸出の低迷が長引く中、うるう年要因の剥落
もあり、プラス幅は小幅
⃝ 輸出回復の鈍さは当面続く見込み。一方、公的需要が堅調に推移し、設備投資や個人消費も緩やかに持ち直すとみられ
ることから、景気は徐々に回復軌道に服する見通し
【 実質GDP成長率の寄与度分解 】
【 日本経済見通しの論点 】
(前期比、%)
1.5
1.0
公的需要
実質GDP
成長率
家計
(消費+住宅)
輸出停滞
の背景
•日本の輸出シェア低下は、日本企業の海外進出や新興国
企業のキャッチアップによる長期トレンドの面が強い
•今後は、ITサイクルの持ち直しや米国製造業の受注回復が
プラスに働く一方、米国での輸出車販売が苦戦しているた
め、力強い回復は見込みがたい
内需の
回復力
•【設備投資】大企業が資本ストック循環の回復局面にある。
特にソフトウェア投資が増加基調にあるため、収益減少下で
も設備投資の底割れは回避
•【個人消費】可処分所得の伸び悩みが、消費回復を抑制。
もっとも、さらなる消費性向の低下は見込みがたいこと、耐
久財のストック調整が徐々に進展していること、食品価格の
上昇が一服していることなどが、プラス要因に
物価の
基調
•アベノミクス後の回復の動きは途切れていない。ただし、
2015年度末からみられた家計の節約志向の高まりが、ラグ
を持って2016年度中のCPI上昇率を抑制
•単位労働コストは上昇しつつあるが、価格転嫁の動きが不
十分。安定的な物価上昇率の引き上げには時間がかかる
見込み
0.5
0.0
▲ 0.5
民間設備投資
外需
▲ 1.0
民間在庫投資
▲ 1.5
Q3
Q4
2014
Q1
Q2
Q3
Q4
2015
(資料)内閣府「四半期別GDP速報」より、みずほ総合研究所作成
Q1
Q2
2016
(期)
(年)
(資料) みずほ総合研究所作成
56
論点①輸出停滞:海外生産移転、新興国企業のキャッチアップから輸出シェアが低迷
⃝
‧
⃝
‧
世界のGDPに対する日本の輸出の寄与は低下傾向
日本の輸出が世界貿易に占めるシェアが低下しているだけでなく、世界貿易の低迷も押し下げに寄与
新興国で輸出財の付加価値が上昇していることが日本の輸出低迷の一因。こうした動きは長期的なトレンドに
世界貿易に占める輸出シェアを付加価値別にみると、高付加価値財において中国を始めとする新興国が台頭
【 世界GDPに対する日本輸出の寄与 】
【 世界貿易に占める国別輸出シェア(高付加価値財) 】
(輸出シェア、%)
(2011年からの累積、%)
60%
100%
0
49.1%
49.1%
その他
50%
▲2
8.0%
世界貿易
低迷要因
▲4
40%
11.1%
NIEs
2.9%
9.2%
13.4%
中国
30%
▲6
13.0%
20%
▲8
日本からの輸出/世界貿易
世界貿易/世界GDP
日本からの輸出/世界GDP
▲ 10
▲ 12
12
2012
13
14
15.8%
11.0%
米国
10.8%
8.1%
日本
2000-2004年
2010-2014年
10%
日本のシェア
低迷要因
15
ドイツ
16
(年)
(資料)オランダ経済政策分析局 CPB World Trade Monitor 、IMF International Financial
Statistics などより、みずほ総合研究所作成
0%
(注)堀(2009)「アジアの発展と日本経済―外需動向・為替レートと日本の国際競争力」を基に、
財を10段階の付加価値カテゴリーに分類し、8∼10のカテゴリーを高品質財と定義。
(資料)United Nations UN Comtrade より、みずほ総合研究所作成
57
論点②内需の回復力:大企業を中心に、設備投資は堅調に推移
⃝ 大企業は資本ストック循環の回復局面にあり、収益悪化による設備投資の底割れは見込みがたい。一方、中堅中小企業
の設備投資は、大企業よりも早いタイミングで回復していたため、今後の減速に注意
⃝ 上場企業(連結ベース)では、ソフトウェアを増加させる企業が、有形固定資産を増加させる企業よりも多い(2015年度)
‧ 有形固定資産(償却非対象資産除く)を増加させた企業は47.5%、ソフトウェアを増加させた企業は54.8%
‧ 調査対象のうち、償却対象有形固定資産を減少させても、ソフトウェアを増加させている企業が25%超存在し、投資対象
のシフトが一部で起こっている
【 資本ストック循環図 】
(大企業・全産業)
(中堅中小企業・全産業)
(%)
(設備投資前年比、%)
(設備投資前年比、%)
15
【 有形固定資産とソフトウェア投資の関係(2015年度) 】
30
2015年度
10
2000年度
20
2015年度
2000年度
30
5
10
0
償却対象有形固定資産増加率
50
ソフトウェア減少
償却対象有形資産増加
両方とも増加
18.5%
29.0%
10
▲5
ソフトウェア
増加率
0
▲ 10
▲ 10
▲ 10
▲ 15
▲ 20
▲ 20
▲ 25
14
16
18
20
22
▲ 30
両方とも減少
ソフトウェア増加
償却対象有形資産減少
26.7%
25.8%
▲ 30
10
12
14
16
18
(前年度の設備投資/資本ストック、%)
(前年度の設備投資/資本ストック、%)
(注)1.対象は全産業(除く金融・保険)。また、資本金10億円以上を大企業、それ以外を中堅中
小企業とした。
2.データは季報による。設備投資は新設有形固定資産の4四半期の合計、資本ストックは
各3月末の数値を使用した。
(資料)財務省「法人企業統計季報」より、みずほ総合研究所作成
▲ 50
▲ 200 ▲ 150 ▲ 100 ▲ 50
⇒ 投資対象のシフトを示唆
0
50
100
150
200
(%)
(注)2015年12月∼16年3月に本決算があり2期連続でデータ取得可能で、ソフトウェア資産の
開示(1千万円以上)がなされている779社を集計(金融・保険及び日本郵政除く)。
(資料)日経NEEDSより、みずほ総合研究所作成
58
可処分所得の伸び悩みが個人消費の下押し要因に。消費性向は底入れ
⃝
‧
‧
⃝
可処分所得は、足元も引き続き伸び悩んでいる模様
家計調査を用いた推計では、実質雇用者報酬との開きは縮まっておらず、可処分所得はおおむね横ばい圏内と推察
若年・中年世帯における一世帯当たり平均の社会保障負担増加が、消費下押しの要因となっている可能性
一方、消費性向(60歳未満)は既に極めて低い水準まで低下しており、一段の低下は見込みがたい。個人消費は、昨年
後半の落ち込みから持ち直し、所得に見合った回復のペースに戻っていく
【 消費性向の推移(60歳未満) 】
【 実質雇用者報酬と実質可処分所得 】
(兆円)
270
(兆円)
実質雇用者報酬(左目盛)
310
76
305
75
300
74
295
73
290
72
285
71
280
70
275
69
270
16 (年)
68
実質可処分所得(右目盛)
265
260
255
250
245
00
2000
02
04
06
08
10
12
14
(消費性向、%)
(注)1. 点線は家計調査の二人以上世帯(勤労者世帯と無職世帯)の可処分所得を用いた
推計値のため、幅を持ってみる必要がある。
(注)2. 可処分所得の季節調整値はみずほ総合研究所による試算。
(資料) 内閣府「国民経済計算」、総務省「家計調査」より、みずほ総合研究所作成
1990 92
94
96
98 2000 02
04
06
08
10
12
14 (年)
(注)1. 暦年値。1999年以前は農林漁家世帯を除く。2000年以降は農林漁家世帯を含む。
(注)2. 消費性向=消費支出/可処分所得×100。2人以上世帯ベース。
(資料) 総務省「家計調査」より、みずほ総合研究所作成
59
論点③物価の基調:昨年以降の節約志向の強まりが、年内の物価下押し要因に
⃝ 節約志向指数(平均単価の伸び-CPIの伸び)は、昨年半ばから足元まで低迷しており、年内の物価を下押しする可能性
‧ 節約志向指数の低下は、4∼5カ月程度のラグを伴ってCPIの下押し要因に
――― 消費者の志向変化を受けて価格戦略が見直され、店頭物価に適用されるまでの期間が大体半年弱とみられる
‧ 節約志向指数は6月まで低迷しており、少なくとも年内は物価が伸び悩む可能性を示唆
【 節約志向指数とCPI(140品目) 】
【 節約志向指数とCPI(140品目)の時差相関係数 】
(%pt)
(前年比、%)
6
4
CPI(140品目)
(相関係数)
4∼5カ月のラグで
最も有意な相関
1.0
節約志向指数(右目盛)
4
3
0.8
0.6
2
2
0.4
0
1
▲2
0
12/1
12/7
13/1
13/7
14/1
14/7
15/1
15/7
16/1
(年/月)
(注)1.節約志向指数は家計調査とCPIで共通品目となる140品目で比較し、平均単価とCPIの
前年比伸び率の差をCPI(2010年基準)のウェイトで指数化したもの。
(注)2.CPIは特定商品の価格変化を示すのに対し、家計調査は品目全体の平均単価を指す。
家計の節約志向が高まればより安い商品をより多く購入するため、CPIは平均単価の
伸びよりも下振れしやすく、節約志向指数は低下する。
(資料)総務省「家計調査」、「消費者物価指数」より、みずほ総合研究所作成
0.2
0.0
0
-1
-2
-3
-4
-5
-6
-7
-8
-9 -10 -11 -12
(カ月)
(注)CPI(前年比)を基準とし、節約志向指数を1カ月毎にずらして相関係数をとったもの。
(資料)総務省「家計調査」、「消費者物価指数」より、みずほ総合研究所作成
60
単位労働コストのCPIへの波及度合いは2014年頃から小幅に上昇
⃝ 単位労働コスト(ULC)は徐々に上昇。労働コスト増加分の価格転嫁の動きも、緩やかではあるが出始めている模様
‧ 単位労働コストは、賃上げの動きやパート比率上昇に伴う平均的な生産性の押し下げにより、このところ上昇
‧ 単位労働コストのCPIへの影響度も、2014年頃から小幅ながら上昇。人手不足が長期化するなかで、価格転嫁の動きが
徐々に強まっている可能性
――― ただし、足元では、消費者の節約志向の根強さが価格転嫁を抑制する方向に働いているとみられる
【 単位労働コスト(ULC)とコアCPI 】
(前年比、%)
10
8
【 コアCPIの単位労働コスト(ULC)に対する感応度
(10年ローリング推計) 】
単位労働コスト
(感応度)
0.4
コアCPI
6
0.3
4
2
0
0.2
▲2
▲4
0.1
▲6
▲8
0
▲ 10
81 83 85 87 89 91 93 95 97 99 01 03 05 07 09 11 13 15
(年)
(注)コアCPIは消費税の影響を除くベース。
(資料)内閣府「国民経済計算」、総務省「消費者物価指数」より、みずほ総合研究所作成
92
82
94
84
96
86
98
88
00
90
02
92
04
94
06
96
08
98
10
00
12
02
14
04
16
06 (年)
(注)コアCPIは消費税の影響を除くベース。
(資料)内閣府「国民経済計算」、総務省「消費者物価指数」より、みずほ総合研究所作成
61
Ⅳ.金融市場
∼不透明要因残存。低金利・円高傾向∼
62
金融市場 ∼ 先行き不安や緩和観測を背景に金利低下、為替は円高地合い
○ 金融市場では、英国のEU離脱、11月の米大統領選など不透明要因が残存するも、日銀、
ECBの追加緩和期待など政策期待が市場を下支え。日銀は物価見通しの不確実性が高まる
中、9月会合で政策の総括的検証を行う予定。金融政策を巡る思惑が市場の変動要因に
○ 米国株は目先調整の可能性も、2017年以降は業績改善を受け緩やかな上昇基調。日本株
は円高に伴う業績悪化が懸念材料だが、日銀によるETFの買入れが下支えに。ドル円相場
は、米大統領選を控え、2016年内はドル高是正圧力が高まり易い。欧米金利は引き続き低
位での推移
○ 国内長期金利はマイナス金利の下、低位での推移が続くも、日銀金融政策への思惑から振
れ易い展開。日銀の国債買入れ見直しなどでボラティリティが高まるリスクに留意が必要
63
金融市場:国内金利はマイナス圏、円高続く
【 金融市場の予測(2016年8月) 】
2015
2016
2017
年度
年度
年度
2016
4∼6
2017
7∼9
10∼12
1∼3
4∼6
7∼9
10∼12
2018
2015
2016
2017
1∼3
暦年
暦年
暦年
日本
無担保コールO/N
ユーロ円TIBOR
金利スワップ
新発国債
日経平均株価
(末値、%)
▲ 0.00
▲ 0.05
▲ 0.05
▲ 0.06
▲ 0.05
▲ 0.05
▲ 0.05
▲ 0.05
▲ 0.05
▲ 0.05
▲ 0.05
0.08
▲ 0.05
(3か月、%)
0.16
0.06
0.06
0.07
0.06
0.06
0.06
0.06
0.06
0.06
0.06
0.17
0.08
0.06
(5年、%)
0.17
▲ 0.11
▲ 0.09
▲ 0.10
▲ 0.13
▲ 0.10
▲ 0.10
▲ 0.10
▲ 0.10
▲ 0.10
▲ 0.05
0.23
▲ 0.08
▲ 0.11
(10年、%)
0.29
▲ 0.12
▲ 0.09
▲ 0.12
▲ 0.19
▲ 0.15
▲ 0.10
▲ 0.10
▲ 0.10
▲ 0.10
▲ 0.05
0.36
▲ 0.10
▲ 0.10
(円)
18,841
16,100
16,800
16,408
16,300
15,800
15,800
16,100
16,600
16,900
17,500
19,172
16,300
16,100
0.25∼0.50 0.50∼0.75 1.00∼1.25
0.25∼0.50
0.25∼0.50
0.25∼0.50
0.50∼0.75
0.50∼0.75
0.75∼1.00
0.75∼1.00
1.00∼1.25
0.25∼0.50
0.25∼0.50
0.75∼1.00
▲ 0.05
米国
FFレート
(末値、%)
新発国債
(10年、%)
2.12
1.59
1.75
1.75
1.50
1.50
1.60
1.70
1.70
1.80
1.80
2.13
1.70
1.60
(ドル)
17,298
18,000
18,100
17,764
18,300
18,000
17,800
18,000
18,000
18,200
18,200
17,591
17,700
18,000
ECB主要政策金利
(末値、%)
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.05
0.00
0.00
ドイツ国債
(10年、%)
0.53
▲ 0.00
0.05
0.12
▲ 0.07
▲ 0.05
0.00
0.00
0.05
0.05
0.10
0.53
0.10
0.00
ダウ平均株価
ユーロ圏
為替
ドル・円
ユーロ・ドル
WTI原油先物価格
(円/ドル)
120
103
105
108
103
100
101
103
105
106
107
121
107
103
(ドル/ユーロ)
1.10
1.12
1.09
1.13
1.10
1.13
1.12
1.10
1.09
1.08
1.07
1.11
1.12
1.12
(ドル/バレル)
45
44
45
46
42
45
44
44
45
46
46
49
42
45
(注) 網掛けは予測値。予測値は期中平均。但し、無担保コールO/N、FFレート、ECB主要政策金利は期末値。
ユーロ円TIBORは360日ベース。スワップ5年は6カ月LIBORに対する固定金利払。為替相場はニューヨーク終値ベース。
(資料) Bloombergより、みずほ総合研究所作成
64
金融市場:不透明感が残存するも過度な警戒感が和らぐ
⃝ 金融市場は不透明感が残存するも英国民投票後の過度なリスク回避は和らぐ
‧ 投資家の不安心理を示すVIX指数はメルクマールの20を下回る
⃝ 新興国への資金流入の動きも見られる状況。ただし、警戒感が高まれば再び流出の可能性があり留意が必要
【 新興国への資金フロー 】
【 VIX指数(投資家の不安心理を示す指標) 】
欧州問題深刻化(ギリシャ二次支援)
米国債格下げ
50
チャイナ・ショック
(10億ドル)
Africa & Middle East
Emerging Europe
45
Latin America
45
欧州問題深刻化
(ギリシャ総選挙・スペイン支援)
40
35
米量的緩和終了
英国民投票
米量的緩和
縮小観測
25
新興国
不安 ギリシャ
米財政の崖懸念
政局不安
米財政問題
30
25
15
5
20
▲5
15
▲ 15
▲ 25
10
2011
11
12
13
14
Emerging Asia
35
15
16
(年)
(注) VIX指数はS&P500のオプション・インプライド・ボラティリティ指標で、20以上が投資の
不安心理の高まりを示すメルクマール。
(資料) Bloombergより、みずほ総合研究所作成
14/7
14/11
15/3
15/7
15/11
16/3
16/7
(年/月)
(資料) IIFより、みずほ総合研究所作成
65
円金利:日銀の金融政策への思惑でボラティリティが高まり易い
10年国債利回りは7月の日銀金融政策決定会合後に急上昇
市場の一部で期待されたマイナス金利幅拡大を日銀が見送り。政策の限界との見方が高まったことが金利上昇要因
超長期債利回りは40年国債発行増額などの報道を受け上昇
当面マイナス圏での推移が見込まれるも、日銀金融政策への思惑からボラティリティが高まり易い展開
日銀が政策検証を行う9月会合での追加緩和期待が高まり易く、金利は上下に振れる展開を見込む
政策の持続性を高める観点から国債買入れの柔軟化に動けば利回りが急上昇する可能性があり注視が必要
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【 国債利回りの推移 】
【 インプライドボラティリティ 】
(%)
(%)
1.6
(%:年率)
6.0
40年
5.5
5.0
20年
1.1
4.5
4.0
3.5
0.6
10年
0.1
3.0
2.5
5年
2.0
1.5
▲ 0.4
9
10
2015年
11
12
1
2
2016年
(資料) Bloombergより、みずほ総合研究所作成
3
4
5
6
7
8
(月)
1.0
16/1
16/2
16/3
16/4
16/5
16/6
16/7
(年/月)
(資料) Bloombergより、みずほ総合研究所作成
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内外株式:米国株は目先調整の可能性。日本株は割安も業績下振れが懸念材料
⃝ 2016年は米国や中国を除いた新興国のパフォーマンスが良い。一方、日本株や欧州株は軟調であり相対的に割安感も
・ 米国は予想PERから見ると割高であり、目先一時的な調整を挟む可能性。2017年以降業績の本格的な改善を受けて
上昇基調を維持。ただし、緩やかであるものの、利上げが実施されることで上昇ペースは限定される見込み
⃝ 主要国の先行きの企業業績の予想は日本と中国を除き持ち直し傾向に
・ 日本については、一段の円高に伴う業績悪化が懸念材料。日銀によるETFの買い入れは下支えに。欧州については、
一部金融機関の信用不安や英国のEU離脱の影響等不透明感が高い
【 各国主要株価指数のPERと騰落率 】
【 各国主要株価指数の予想EPSの推移 】
予想PER
2016年騰落率
2015年騰落率
(16/7末時点、値)
(16/7末時点、%)
(%)
米国
17.2
6.3
▲0.7
インド
17.1
7.4
▲5.0
英国
15.9
7.7
▲4.9
中国
15.9
▲15.8
9.4
ブラジル
13.6
32.2
▲13.3
(2011年1月=100)
180
日本
160
米国
140
120
100
中国
ドイツ
フランス
13.5
▲4.3
8.5
日本
13.4
▲14.5
9.9
80
ドイツ
11.9
▲3.8
9.6
ロシア
6.4
10.4
26.1
60
11/1 11/7 12/1 12/7 13/1 13/7 14/1 14/7 15/1 15/7 16/1 16/7
(資料) Datastream、Bloombergより、みずほ総合研究所作成
フランス
英国
(年/月)
(資料) Datastreamより、みずほ総合研究所作成
67
為替:米利上げに伴うドルの上昇幅は緩慢に留まる見通し
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対新興国通貨ではドル高一服。対先進国通貨では利上げ期待から一時ドル高が進む場面も
ただしドル高の進展は、現時点では米国、新興国双方の要因で非持続的との見方
ドル高により製造業などの景気指標が悪化すれば、再び米国でドル高是正圧力が高まる可能性
通貨安リスクにぜい弱な一部新興国を発端に金融市場不安定化。利上げ期待はく落に繋がりドル高修正が進む可能性
【 ドル名目実効為替レート 】
(2015年末=100)
110
【 ドル高進展とドル高是正のサイクル(イメージ) 】
ドル名目実効為替レート
ドル名目実効為替レート(主として先進国通貨)
ドル名目実効為替レート(主として新興国通貨)
堅調な
米景気指標
安定的な
国際金融市場
100
90
ドル高
是正
80
14/1 14/4 14/7 14/10 15/1 15/4 15/7 15/10 16/1 16/4 16/7
米国の
ドル高是正
圧力高まり
+
米利上げ
期待はく落
利上げ
期待
高まり
ドル高
進展
製造業中心に
米景気指標悪化
新興国からの資金流出で
国際金融市場不安定化
(年/月)
(資料) FRBより、みずほ総合研究所作成
(資料)みずほ総合研究所作成
68
(ご参考)主要国の政治日程
2016年
米国
11月 大統領選挙
2017年
1月
新議会・新政権誕生
2018年
2月 イエレンFRB議長任期満了
11月 中間選挙
10∼12月 イタリア憲法改正の是非を問う国民投票
3月 オランダ議会選挙
上期 イタリア総選挙
4月∼5月 フランス大統領選挙
欧州
6月 フランス議会選挙
9月 ドイツ議会選挙
4月 黒田日銀総裁任期満了
日本
9月 自民党総裁選
12月頃 衆議院議員任期満了
9月 香港議会選挙
10月 中国6中全会
アジア
3月 香港行政長官選挙
12月頃 韓国大統領選挙
5月 マレーシア議会選挙
秋 中国3中全会
秋 第19期中国共産党大会
年内 タイ下院選挙
その他
8月 ブラジルオリンピック開催
3月 ロシア大統領選挙
9月 G20首脳会議(中国)
7月 メキシコ大統領選挙
9月 ロシア下院選挙
10月 ブラジル大統領選挙
(資料) みずほ総合研究所作成
69
【経済予測チーム】
武内浩二
小林公司
・米国/欧州経済
小野 亮
風間春香
吉田健一郎
松本 惇
・アジア経済
大和香織
玉井芳野
・日本経済
徳田秀信
有田賢太郎
市川雄介
小西祐輔
宮嶋貴之
松浦大将
上里 啓
高瀬美帆
川口 亮
・金融市場
野口雄裕
井上 淳
大塚理恵子
坂中弥生
(全体総括)
(新興国)
03-3591-1244
03-3591-1379
[email protected]
[email protected]
(総括)
(米国)
(欧州)
(欧州)
03-3591-1219
03-3591-1418
03-3591-1265
03-3591-1199
[email protected]
[email protected]
[email protected]
[email protected]
(総括)
(中国)
03-3591-1368
03-3591-1367
[email protected]
[email protected]
(総括)
(物価)
(計量分析)
(企業)
(個人消費)
(外需)
(雇用)
(住宅)
(政府)
03-3591-1298
03-3591-1419
03-3591-1289
03-3591-1294
03-3591-1434
03-3591-1435
03-3591-1284
03-3591-1416
03-3591-1243
[email protected]
[email protected]
[email protected]
[email protected]
[email protected]
[email protected]
[email protected]
[email protected]
[email protected]
(総括)
(新興国・原油)
(内外株式)
(海外金利)
03-3591-1249
03-3591-1197
03-3591-1420
03-3591-1242
[email protected]
[email protected]
[email protected]
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