プラズマ技術を応用した付加価値の創造

工学系研究科
OHTSU
YASUNORI
大津
康徳
電気電子工学専攻
教授
「機械部品表面などへの高硬度・低摩擦薄膜コーティング」
「プラズマによる車窓材の機能化を目指した超はっ水膜合成」
「スパッタによる透明導電膜や環境発電薄膜の低温合成」
[キーワード]
プラズマ,スパッタ,機能性薄膜,工具や金型などの表面コーティング,
超はっ水性,圧電性,エネルギーハーベスト
プ ラ ズ マ 技 術 を 応 用 し た 付 加 価 値 の 創 造
研究紹介
◆研究概要
プラズマとは第4の物質状態であり,エネルギーの高
い状態を維持しているため,特殊な反応場として作用し
ます.この作用は,3D 形状を有する様々な表面に対し
て,原料の状態(固体・液体・気体)を選ばない特性があ
ります.当研究室では,プラズマ装置を独自に開発し,機
能性をもった薄膜合成技術の課題解決や新しい機能性材
料開発を目指した研究を行っています.
(付加できる機能性)
①高硬度,②低摩擦性,③超はっ水性,④透明導電性,
⑤圧電性,⑥超微細加工など
(具体的用途)
①タッチパネルの機能性膜,②HDD 表面耐摩耗性コーテ
ィング,③半導体素子(LSI)の超微細加工技術など
◆耐摩耗・低摩擦な炭素膜高速合成
DLC(Diamond Like Carbon,ダイヤモンドに近い
硬さを持つ炭素)膜は,その特性から,工業的に広く用い
られています(下記参照).例えば,プラズマ CVD 法を
用いた成膜速度は(メタンガスなどを原料として DLC 膜
を作成した場合), シリコンウェハなどの基板上で 8~
15 [nm/min] と高速です.
本研究で開発したプラズマと基板バイアス法によっ
て, 約 200 [nm/min] の高速製膜を実現しました.ま
た,その時の表面形状はほぼ均一です.これら成果の更
なる高速化・高品質化を図り,加えて立体形状物へのコ
ーティングを可能とする研究を進めています.
(DLC 膜の特性)
①高硬度, ②低摩擦係数,③高熱伝導度など
(DLC 膜の用途)
①機械部品の耐摩耗化,②長寿命化,
③駆動部の滑り安さ向上など
開発したプラズマ装置(左)と薄膜の表面状態(右)
◆車窓材の機能化を目指した超はっ水膜合成
はっ水性薄膜は,自動車窓や防水加工が必要な機器表面
などに広く利用されています.下図は,水滴が蓮の葉上と
同じようにほぼ球状になっている本研究で開発した薄膜
です.現在,密着性の改善などを進めています.
超はっ水膜上の球状になった水滴(左)と膜の表面構造(右)
◆レアメタルを使わない透明導電膜やエネルギーハーベ
スト環境発電膜の低温合成
独自に開発したスパッタ装置を用いてレアメタルを使
用しない透明導電膜(Al ドープ ZnO)の低温高品質合成
を進めています.また,有害物質である鉛などを含まない
環境にやさしい材料を用いて薄膜を合成し,圧電性能を向
上させた環境発電膜合成を目指しています.
◆特許,固有技術など
「プラズマ処理装置」 特願 2012-140903
「オゾン発生方法および装置」 特開 2005-35855
「プラズマ診断技術:静電プローブ計測,分光計測等」
掲載情報 2016 年8月現在
プラズマ技術を
活用したい企業の皆様へ
一言アピール
様々な表面に機能性を持たせた薄膜を利用したい企業や既に所有する薄膜
合成技術とプラズマ技術を融合したい企業,またその特許化についても,ご
相談ください.
産学・地域連携機構より
プラズマは特殊な反応場ですので,半導体,機械工作,化学繊維,医療分野など,
様々な業種に対応可能です.詳細は,研究室ホームページをご覧ください.
(右の 2 次元バーコードをご利用ください)
佐賀大学研究室訪問記
2016
佐賀大学
産学・地域連携機構
(佐賀県佐賀市本庄町1番地)
(お問い合せ先) 国立大学法人 佐賀大学 学術研究協力部 社会連携課
TEL:0952-28-8416
E-mail:[email protected]