日銀の追加緩和への評価・解釈は?

Japan | August 1, 2016
Q. 先週の主なイベントは?
日経平均株価の推移
株式市場(現地通貨ベース)
• 7月26-27日 米国: FOMC(米連邦公開市場委員会)、据置き
(円、2015年8月1日~2016年7月29日)
• 7月28-29日 日本: 日銀金融政策決定会合、ETFの年間買入増額、
22,000
他の手段は据え置き、次回会合で現政策の検証を行う
• 7月29日
欧州:欧州銀行監督機構(EBA)が銀行ストレステストの
結果を公表。伊大手銀行の資本不足を指摘
20,000
Q. 先週の日本株式市場の動きは?
• 日本株式は横ばい。週初からは日銀の金融政策会合を控え様子見が 18,000
続いた。その後、金曜に追加緩和が市場の期待外れに終わると、円高
進行に合わせ株価も一時下落したが、その後はETF買入の増額が改め 16,000
て意識され、反転した。結局、日経平均は前週比横ばいで取引を終了。
Q. 今週の主なイベントは?
• 8月2日
• 8月4日
• 8月5日
豪州: 政策金利理事会、市場予想0.25%の利下げ
英国:金融政策委員会、市場予想0.25%の利下げ
米国:7月雇用統計、非農業部門雇用者数の前月差、
市場予想+17.5万人、前月実績+28.7万人
Q. 日銀の追加緩和への評価・解釈は?
• 日銀の先行きに関する予測は、益々不確実性を含むものとなった。次回
会合に向けては様々な憶測や意見が飛び交うこととなろう。
• 今回の緩和の特徴は、ETFの買入増額のみが実施され、マイナス金利
や国債買入は据え置かれた点だろう。緩和の理由として、日銀は英国
のEU離脱問題や新興国の減速を背景とした、企業や家計のコンフィデ
ンス悪化を挙げている。これは1月のマイナス金利導入時とほぼ同じ根
拠であるが、なぜ今回はETF増額のみが選択されたのだろうか。3つの
手段から1つを選択するならば、選択された手段が残り2つに比べて、ど
のようにコンフィデンス改善に寄与するかの説明が必要だろう。ただ、総
裁記者会見でも、なぜETF増額のみなのか、明確な説明はなかった。
• これは今後、市場参加者を混乱させることに繋がるだろう。マイナス金利
政策導入以降、市場は銀行業績圧迫や国債買入の限界を指摘する一
方で、日銀は3次元の緩和手段をアピールしてきた。しかし、ETF増額の
みの緩和は、他ならぬ日銀自身がマイナス金利政策の副作用や国債買
入の限界に配慮していると見えてしまう。換言すれば、筆者には、日銀
の言葉と行動が一致していない状態に見える。今回の措置により、市場
参加者が考える日銀の思考回路は益々不明瞭となるだろう。
• これは次回9月の会合に影響しよう。思考回路のわかりにくさ故に、日銀
が何を打ち出すのか、市場は「深読み」せざるを得ない。「深読み」の中
には現行の緩和手段3つの強化は勿論、新手法の導入・追加や枠組み
の変更も含まれる。9月会合に向け、市場では様々な憶測・意見が飛び
交うだろう。
• 9月会合に向けて、金融政策の不確実性は非常に高い。事前報道によ
り、相場が振らされる展開も考えられよう。投資家は金融政策に依存せ
ず、業績や株主還元を軸とした個別の銘柄選択を行うべきだろう。
日次終値
200日移動平均
14,000
8月 9月10月11月12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月
国
前週末 1週間
日経平均株価
16,569
-0.3%
1カ月間 年初来
東証株価指数(TOPIX)
1,322
-0.4
6.0
-14.5
東証REIT指数
1,869
0.3
3.1
7.0
米ダウ平均株価
18,432
-0.7
4.2
5.8
米S&P500指数
2,173
-0.1
5.0
6.3
15.9
6.4% -12.9%
米MSCI REIT指数
1,275
0.7
5.1
MSCI ワールド(先進国)
1,721
0.9
5.3
3.5
MSCI AC欧州
398
2.1
5.1
-3.1
MSCI エマージング
873
0.5
6.3
10.0
MSCI ACアジア(日本を除く)
526
0.2
6.3
5.4
外国為替市場(対円)
通貨
前週末 1週間 1カ月間 年初来
米ドル
102.06
-3.8%
ユーロ
114.06
-2.1
-0.3
-12.7
豪ドル
77.53
-2.1
1.2
-11.5
ニュージーランド・ドル
73.52
-1.0
0.5
-10.5
125
ブラジル・レアル
31.40
-3.7
-1.6
3.4
120
メキシコ・ペソ
5.44
-4.9
-2.2
-22.1
115
トルコ・リラ
34.03
-1.7
-4.3
-17.4
7.35
-1.0
5.6
-5.4
15.42
-3.1
-0.4
-16.7
0.78
-4.1
-0.5
-10.8
ドル・円相場の推移
(1ドル=円、2015年8月1日~2016年7月29日)
130
南アフリカ・ランド
110
105
100
中国人民元
日次終値
200日移動平均
インドネシア・ルピア (x100)
国債市場(利回り、%)
国
95
8月 9月10月11月12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月
米国2年国債・10年国債利回りの推移
(2015年8月1日~2016年7月29日)
2.5%
前週末 1週間 1カ月間 年初来
米国10年
1.45
-0.11
-0.06
-0.82
ドイツ10年
-0.12
-0.09
0.01
-0.75
日本10年
-0.19
0.03
0.04
-0.46
ブラジル2年
12.52
0.06
-0.19
-3.94
メキシコ2年
5.35
0.16
0.39
1.28
トルコ2年
9.24
-0.20
0.49
-1.62
インドネシア2年
6.71
-0.05
-0.51
-1.90
その他
2.0%
国
1.5%
-0.7% -15.1%
10年
2年
1.0%
0.5%
8月 9月 10月11月12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月
金先物(ニューヨーク、期近物)
原油先物(ニューヨーク、期近物
前週末 1週間 1カ月間 年初来
1,349
1.9%
1.7% 27.2%
41
-5.9%
-16.6% 12.3%
Japan | August 1, 2016
出所: Bloomberg, J.P. Morgan Asset Management.
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ル)リミテッド、JPモルガン・アセット・マネジメント・リアル・アセット(シンガポール)プライベート・リミ
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セット・マネジメント株式会社(金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第330号 加入協会:日本
証券業協会、一般社団法人投資信託協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人
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