開講学期: 科目名: 2016年 前期 基礎電磁気学演習 担当教員:後藤太一, [email protected] 学籍番号:_________ 基礎電磁気学演習 第07回 導体系とコンデンサ 氏名:___________ 7.1 静電容量 C A , C B の2つの導体 A と B がそれぞれ, VA , VB の電位に帯電し,十分に離して置か れている.この2つの導体を接触させ十分時間が経ったあと,再び十分に引き離した.接触後の電位を V として,以下の問いに答えよ. (1)接触後の電位 V を C A , C B , VA , VB を使って表わせ. (2)接触によって移動した電荷量, ∆Q を求めよ. (3)接触前と後の静電エネルギーの差を求めよ. ε の誘電体でできた一様な厚さの無限に広い板がある.この板を真空中で一様 ε0 7.2 比誘電率 ε r = な電場 E0 に対して垂直に置くとき,以下の問いに答えよ. ( ) (1)誘電体板の表面に現れる分極電荷密度 σ C ⋅ m −2 と誘電分 極 P (分極ベクトル)の関係を示せ. (2)誘電体内の電場 E を比誘電率 ε r ,電場 E0 を用いて表わせ. (3)誘電分極 P を比誘電率 ε r ,電束密度 D を用いて表わせ. 7.3 図のように半径 a の導体球と同心に内半径 c の導体球を組み合わせた球形コンデンサがある.内 部には異なる誘電率 ε 1 , ε 2 の誘電体が同心状につまっている.この球 形コンデンサの静電容量を次の手順で求めよ. (1)原点 O から r 離れた場所での電場の大きさを求めよ. (2)原点 O から r 離れた場所での静電ポテンシャルを求めよ.ただし, 内側の同体球の電位を φ0 とする. (3)電極間の電位差を求めよ. (4)このコンデンサの静電容量 C を求めよ. Page 1 開講学期: 科目名: 2016年 前期 基礎電磁気学演習 担当教員:後藤太一, [email protected] 7.1 7.1 静電容量 C A , C B の2つの導体 A と B がそれぞれ, VA , VB の電位に帯電し,十分に離して置か れている.この2つの導体を接触させ十分時間が経ったあと,再び十分に引き離した.接触後の電位を V として,以下の問いに答えよ. (1)接触後の電位 V を C A , C B , VA , VB を使って表わせ. (2)接触によって移動した電荷量, ∆Q を求めよ. (3)接触前と後の静電エネルギーの差を求めよ. 【解答】 (1) 接触前に導体AおよびBに電荷Q A およびQ B が帯電していたとし接触後の電荷をそれぞれQ A ’およ びQ B ’とする.孤立導体の電位をVとすれば,その孤立静電容量Cと帯電電荷Qの間にはQ=CVの関係が ある.したがって,Q A =C A V A ,Q B =C B V B ,Q A ’=C A V,Q B =C B Vの関係がある.また,接触前と接触後で 電荷の総量が変化しないのだから, Q A +Q B =Q A ’+Q B ’が成立する. したがって, V = C AV A + C BV B C A + CB を得る. (2) 移動する電荷量 ∆Q は, Q = Q A −Q A ' = C AV A − C AV = C A C B (V A − V B ) C A + CB Page 2 開講学期: 科目名: 2016年 前期 基礎電磁気学演習 担当教員:後藤太一, [email protected] 1 1 C AV A2 + C BV B2 である.同様に,接触後では, 2 2 C V + C BV B 1 U 2 = (C A + C B )V 2 である.ただし,(1)より, V = A A C A + CB 2 (3) 接触前の静電エネルギーU 1 は U 1 = 接触前と接触後の状態の静電エネルギーを計算すると, C V + C BV B 1 1 1 U 1 − U 2 = C AV A2 + C BV B2 − (C A + C B ) A A 2 2 2 C A + CB 2 1 C A C B (V A − V B ) = 2 C A + CB 2 となる. Page 3 開講学期: 科目名: 2016年 前期 基礎電磁気学演習 担当教員:後藤太一, [email protected] 7.2 ε の誘電体でできた一様な厚さの無限に広い板がある.この板を真空中で一様 ε0 7.2 比誘電率 ε r = な電場 E0 に対して垂直に置くとき,以下の問いに答えよ. ( ) (1)誘電体板の表面に現れる分極電荷密度 σ C ⋅ m −2 と誘電分 極 P (分極ベクトル)の関係を示せ. (2)誘電体内の電場 E を比誘電率 ε r ,電場 E0 を用いて表わせ. (3)誘電分極 P を比誘電率 ε r ,電束密度 D を用いて表わせ. 【解答】 (1) σ = P の関係がある. (2) 電束密度は境界面に垂直であるので, D 0 = D である.一方, D 0 = ε 0 E 0 , D = εE であるから, ε 0 E 0 = εE 0 .したがって, E = ε0 1 E0 = E0 . εr ε (3) 誘電体中では D = ε 0 E + P である.これより P = D − ε 0 E である.この式を少し変形して, P = D− ε0 ε ε 1 εE = D − 0 εE = D − 0 D = 1 − ε ε ε ε r D となる.このように,誘電体内の分極と電束密度は密接な 関係にある. Page 4 開講学期: 科目名: 2016年 前期 基礎電磁気学演習 担当教員:後藤太一, [email protected] 7.3 7.3 図のように半径 a の導体球と同心に内半径 c の導体球を組み合わせた球形コンデンサがある.内 部には異なる誘電率 ε 1 , ε 2 の誘電体が同心状につまっている.この球 形コンデンサの静電容量を次の手順で求めよ. (1)原点 O から r 離れた場所での電場の大きさを求めよ. (2)原点 O から r 離れた場所での静電ポテンシャルを求めよ.ただし, 内側の同体球の電位を φ0 とする. (3)電極間の電位差を求めよ. (4)このコンデンサの静電容量 C を求めよ. ここで, D(r ) = εE(r ) であるが r の範囲によっ 【解答】 (1) 系は球対称であるから,電場 E(r ) ,電束 密度 D(r ) ,静電ポテンシャル φ (r ) は球対称の 関数となり,その大きさは r のみの関数である. 内側の球に+Q の電荷,外側の球に-Q の電荷 が帯電していると仮定する. 次に,ガウスの法則 ∫ D(r) ⋅ n(r)dS = S内の全真電荷 S て誘電率が変わるので, ( a ≤ r ≤ b) ε E (r ) となり, D(r ) = 1 (b ≤ r ≤ c) ε 2 E (r ) Q 4πε 1 E (r ) = Q 4πε 2 1 ( a ≤ r ≤ b) r2 1 (b ≤ r ≤ c) r2 となる. を球面 S について適用する.球面 S 上では球面 の外向き単位法線ベクトル n(r ) と電束密度 D(r ) が同方向であり, D(r ) ⋅ n(r ) = D(r ) = D(r ) である.球面 S 上で は D(r ) の大きさ D (r ) が一定であるので,積分 の中身は外に出せて, ∫ D(r) ⋅ n(r)dS = ∫ S S D(r )dS = D(r ) ∫ dS S となる.半径 r の球面 S の場合,ガウスの法則 は, ∫ D(r) ⋅ n(r)dS = 4πr S D(r ) = 2 D(r ) = Q となり, Q を得る. 4πr 2 Page 5 開講学期: 科目名: 2016年 前期 基礎電磁気学演習 担当教員:後藤太一, [email protected] (2) E(r ) = − grad ⋅ φ (r ) の関係を極座標系で r=b において, φ1 (r )とφ 2 (r ) の値は等しくなけれ 表せば, ばならない.すなわち, E(r ) = − grad ⋅ φ (r ) ∂ 1 ∂ 1 ∂ = − e r φ (r ) + e θ φ (r ) + e φ φ (r ) r ∂θ r sin θ ∂φ ∂r である.また, E(r ) は e r 方向成分しかないので, E(r ) = E (r ) × e r + 0 × eθ + 0 × eφ ∂ 1 ∂ 1 ∂ φ (r ) + eφ φ (r ) = − e r φ (r ) + eθ r ∂θ r sin θ ∂φ ∂r ∂ = − φ (r ) × e r ∂r である. したがって, E (r ) = − ∂ φ (r ) となり, φ (r ) を求 ∂r Q 1 Q 1 + k 2 となり, + k1 = 4πε 1 b 4πε 2 b k2 = Q 1 1 − 4πb ε 1 ε 2 Q 1 + φ 0 − 4πε 1 a Q 1 1 − + k 1= 4πb ε 1 ε 2 を得る. したがって, Q 1 1 ( a ≤ r ≤ b) 4πε r − a + φ0 1 φ (r ) = Q 1 − 1 + 1 − 1 1 + φ (b ≤ r ≤ c) 4π ε 2 r ε 1a ε 1 ε 2 b 0 めるには E (r ) を r について積分すればよい. (1)の結果を,それぞれの範囲で積分して, Q 1 ( a ≤ r ≤ b) 4πε r + k1 = φr (r ) 1 φ (r ) = − ∫ E (r )dr = Q 1 + k = φ (r ) (b ≤ r ≤ c) 4πε 2 r 2 2 をえる.ただし,k 1 ,k 2 は積分定数. (3) 電極間の電位の差を求めればよいのだか V = φ ( a ) − φ (c ) ら, Q 1 1 1 1 1 1 = − + − 4π ε 1 a b ε 2 b c となる. 次に,積分定数を求める.内側の導体球の電 位が φ 0 なので, φ (a) = φ1 (a) = k1 = φ 0 − (4) C = Q の関係から, V Q 1 + k1 = φ 0 となって, 4πε 1 a Q 1 4πε 1 a C= 1 Q Q = = 4π V φ ( a ) − φ (c ) ε 1 = 4π 1 1 1 − + a b ε2 1 1 − b c ε 1 a (c − b) + ε 2 c(b − a) ε 1ε 2 abc となる. Page 6 −1
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