Precious Metals Weekly Update

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Precious Metals Weekly Update
12 August 2016
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WEEK IN REVIEW:
先週金曜日に発表された米国 7 月非農業部門雇用者数が市場予測を大きく上回る強い結果であったことから、ドルが対主要
通貨で上昇し、貴金属全般は大幅に下落した。米株は史上最高値を更新し、足許では米連邦準備理事会(FRB)が年内に利上
げを行う可能性も高まった。同結果を受けてここ数日の COMEX ゴールドではロングポジションが手仕舞われ、ショートポジショ
ンが積み上げられている。米国 7 月の非農業部門雇用者数は市場予測の 18 万人に対し 25.5 万人、前月分は 29.2 万人に上
方修正された。労働力率は僅かに上昇し 62.8%(依然として 1970 年代以来の低水準にある)となった一方で、失業率は 4.9%と
横ばいであり、FRB が定める完全雇用の水準となっている。フェデラルファンド金利先物市場で織り込まれている 12 月の利上
げ確率は、6 月初旬以降で初めて 40%を超える水準まで上昇した。先週イングランド中央銀行が政策金利を過去最低となる
0.25%まで引き下げたが、今月 26 日に行われるジャクソンホール会議においてイエレン FRB 議長が年内の利上げペースの方
向性に言及するまでは金融政策に関する他の主要中央銀行の言及はないものと見られる。欧州中央銀行や日銀の資産購入
プログラムは買い入れ余地がなくなっていることから金融政策の限界が叫ばれているだけでなく、マイナス金利が広がる状況で
投資家がより利回りの高いリスク資産に手を広げており、同取引のヘッジとしてゴールドに資金が流入している。斯様な状況を
考慮すると、貴金属の投資妙味が高まるマクロ経済的環境は今後も持続する可能性が高いとみられる。今後中央銀行による
景気刺激策の効果が見られない状況が続けば中央政府への圧力が高まり、財政刺激策が更に導入されればインフレを加速さ
せることとなる。個人消費者が車や電化製品などの大きな買い物にお金を使う状況になれば、産業需要の強いプラチナの需要
は高まりを見せるだろう。
プラチナ
プラチナは先週15ヶ月振りの高値である$1,178/ozをつけた。足許では若干売られる可能性はあるものの、$1,140/ozが堅固な
支持線となっている。
7/28-8/2の週のNYMEXプラチナのグロス・ロングは112tと過去最高水準となった一方で、グロス・ショートは過去最高水準の
30%まで減少した。これによりネット・ロングは約93tとなり、過去最高水準を記録した。同状況においては利益確定の売りが入り
これが下方圧力となる可能性がある。しかし足許の低金利環境が利回りの生まない貴金属の投資妙味を高めている状況は続
いており、また南アの労働交渉に対する懸念も投資家の不安材料となっていることから考えると、プラチナは今後更に上昇して
いく可能性がある。
先週後半に投機筋のグロス・ロングが増加したのとは対照的に、現物に目を移すと7月のETFは1.3tの残高減少が見られ、これ
を受けて年初来のETF残高は2.6t(3%)減少した。先月のETFが買い戻された内の大半がロンドンのファンドのETFであり、恐ら
く7月におけるプラチナのドル建て価格が13%上昇したこと(単月では2012年1月以来で最も堅調)を受けて投機家が利益確定
の動きを仕掛けた可能性が高い。現物のコイン販売量も堅調であり、先月後半に米造幣局が2016年製のコインを販売し始めて
から2日間で1,800枚もの1ozプラチナコインが販売された。これは米造幣局が発行するプラチナコインの販売数量だけでなく、
World Platinum Investment CouncilとValcambiが共同で販売している投資用プラチナコインの販売数量についても同様に
堅調に推移する可能性がある。
パラジウム
パラジウムは6月後半以降から続く上方トレンドチャネルを下抜けた。パラジウムが足許$677/oz上で推移していることを考える
と、今後は6月安値と8月高値を結ぶフィボナッチリトレースメントの水準である$700/ozを試すと見られる。
先週にスポット高値の$723/ozをつけたことで、昨年10月のスポット高値と綺麗なダプルトップを形成した。これ以降、足許の上
方トレンドチャネルを下抜けたが、パラジウムは現在も株式や他のリスク資産の上昇に連れる傾向にあるため、短期的には再
度$700/ozを試す可能性が高い。先週発表された米新車販売台数の結果は小型トラックが前年同期比で8%の増加を記録した
ことも相まって年換算ベースで1,780万台となり、排ガス規制システム向けのパラジウム需要にとってはサポーティブな数字とな
った。
Platinum prices $/oz
Palladium prices $/oz
Gold prices ($/oz)
Silver prices ($/oz)
last week:
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last week:
last week:
1,200
1,100
1-Aug
5-Aug
Change: 0.2%
Support: $1,058
Resistance: $1,167
Outlook:
750
1,400
21
700
1,350
20
650
1,300
1-Aug
5-Aug
Change: -1.7%
Support: $632
Resistance: $724
Outlook:
19
1-Aug
5-Aug
Change: -1.2%
Support: $1,321
Resistance: $1,400
Outlook:
1-Aug
5-Aug
Change: -3.2%
Support: $19.08
Resistance: $25.36
Outlook:
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Precious Metals Weekly Update
12 August 2016
世界最大のパラジウム生産業者であるNorilsk Nickel社は同社の発行する生産量レポートの中で供給面の変化を強調した。
同社の製錬エリアをノルウェー・フィンランドとの国境近くのKola地区にシフトさせた事で、2016年前期のパラジウム生産量はロ
シア中央部に位置するPolar地区が8%減少となった一方、Kola地区は25%の増加となった。足許で進められているこの製錬エ
リアの再編成と、この再編成に伴って未製錬鉱石が増加した影響により、同社の2016年前期におけるパラジウム生産量は全
体で2%減少し41.3tとなった。同社が予測するロシアの年間パラジウム生産量は71-74tとしており、同数値は昨年の80tよりも減
少している。これにより2016年のパラジウム現物市場は逼迫した状況が続くと見られる。
ゴールド
ゴールドは、先週発表された米7月雇用統計(非農業部門雇用者数)の強い結果を受けて、6月前半から続いていた上方トレン
ドチャネルを下抜けた。今後は7月の高値と安値を結んだ61.8%フィボナッチリトレースメントの水準である$1,350/ozが短期的な
抵抗線となるだろう。
先週発表された米7月非農業部門雇用者数は市場予測を上回る結果となり、ゴールドは直近高値の$1,350/ozの水準から下落
した。米経済指標の強い結果を受けてFRBによる利上げ期待も高まりを見せてはいるが、マクロ的な経済環境に大きな変化は
なく、フェデラルファンド金利先物市場で織り込まれている12月までの利上げ確率は依然50%を下回っている。今月は主要各国
の経済政策の発表等が無い中で夏季休暇の影響から市場が薄くなることが考えられ、ゴールドは下方圧力に晒される可能性
はあるが、$1,300/ozの支持線は堅固であり同水準は維持すると見られる。
中国におけるゴールド現物取引は非常に閑散としている。8月の月初7日間の上海黄金交易所(SGE)におけるゴールド取引量
は前月と比較して25%減少、前年同期比で91%減少している。
シルバー
先週の米7月雇用統計の結果を受けて、シルバーは直近高値の$20.79/ozから下落した。足許では2週間振りの安値水準であ
る$20.00/ozを下回って推移している。
シルバーは先週金曜日の米7月非農業部門雇用者数の発表を受け下落したゴールドに連れて下落した。7/28-8/2の週(現時点
で最新のデータ期間)のCOMEXシルバーのグロス・ロング及びネット・ロングは23,483t・16,982tとそれぞれ過去最高値を記録
したが、先週金曜日の非農業部門雇用者数の発表以降はロングポジションが減少し、ショートポジションが増加していると見ら
れる。
2016年上半期は堅調だった米造幣局による銀貨の売上は、7月に入り2013年12月以来最も低い水準まで落ち込んだ。シルバ
ーは7月に2年振りの高値をつけた事で、個人投資家の購入意欲が減退した可能性がある。
ECONOMIC CALENDAR Source – Bloomberg
Aug-8
Aug-9
China:
7 月消費者物価指数
前 1.9% 予 1.8%
7 月生産者物価指数
前 -2.6% 予 -2.0%
UK:
6 月鉱工業生産
前 1.4% 予 1.6%
12th August, 2016
Aug-10
Japan:
7 月国内企業物価指数
前 -4.2% 予 -4.0%
6 月機械受注数
前 -1.4%, exp. 3.2%
US:
MBA 住宅ローン申請指数
前 -3.5%
Aug-11
US:
7 月輸入物価指数
前 0.2% 予 -0.4%
新規失業保険申請件数
前 26.9 万人
予 26.5 万人
三菱商事 RtM ジャパン(株)貴金属事業部
Aug-12
China:
7 月鉱工業生産
前 6.0% 予 6.0%
Germany:
7 月消費者物価指数
前 0.4% 予 0.4%
US:
8 月ミシガン大学消費者信頼感指数
前 90.0 予 91.5
7 月小売売上高
前 0.6% 予 0.4%
7 月生産者物価指数
前 0.5% 予 0.1%
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Precious Metals Weekly Update
12 August 2016
DATA BANK: Source – Mitsubishi from Bloomberg updated at 16.45 BST on 9
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August
Metal Price Indications (US$/oz)
Current spot price
Change from yesterday's close (%)
Platinum
1,157
0.59
Metal Forward Swap Indications (basis points)
1m
Platinum
Mid point of spreads
80.00
Daily change
0.00
Palladium
Mid point of spreads
40.00
Daily change
0.00
Gold
Mid point of spreads
98.00
Daily change
4.50
Silver
Mid point of spreads
107.50
Daily change
0.00
Palladium
694
0.16
Gold
1,340
0.30
Silver
19.83
0.24
3m
6m
12m
82.50
0.00
89.00
0.00
101.00
1.00
40.00
0.00
40.00
0.00
40.00
0.00
102.00
0.00
103.00
0.00
110.00
0.00
110.50
-2.50
112.50
0.00
117.50
5.00
PGM Sponge Indications ($/oz)
JMUK sponge vs. Zurich ingot switch
Platinum
Mid point of spreads
Palladium
Mid point of spreads
1.50
1.00
2.00
2.00
1.25
2.75
1m
0.51
0.01
3m
0.81
0.01
6m
1.19
0.02
12m
1.51
0.03
Latest
Daily change (%)
EUR / USD
1.11
-0.30
USD / JPY
101.94
0.62
ZAR / USD
13.44
1.21
DXY
96.15
0.26
Non commercial futures
As at 5th July 2016
Net long position (Moz)
Weekly change (%)
Platinum
2.1
22.9
Palladium
0.7
70.6
Gold
34.0
4.3
Silver
493084.0
3.7
Platinum
2.4
-4.7
Palladium
2.4
-10.8
Gold
65.4
36.4
Silver
657
-0.9
Gold
16,177
-5
0.6
0.7
-0.1
Silver
6,300
104
LIBOR (%)
USD LIBOR Indication
Daily change
Foreign exchange indications
Exchange Traded Funds
Total holdings (Moz)
Weekly change (%)
Physical flows in China
SGE turnover (kg)
Comparison with 30-day average (%)
Local premium /discount (%)
Daily change (%)
Platinum
158
28
7.0
0.5
6.5
PGM basket price indications
USD basket price per ounce
Daily change (%)
ZAR basket price per ounce
Daily change (%)
12th August, 2016
970
0.5
13,039
-0.7
965.6164
13137.40425
三菱商事 RtM ジャパン(株)貴金属事業部
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Precious Metals Weekly Update
Spot
Gold
Forwards
Silver
Platinum
Leases
Palladium
12 August 2016
Futures
Rhodium
Options
Ruthenium
Swaps
Iridium
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12th August, 2016
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