Precious Metals Weekly Update

Precious Metals Weekly Update
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7 April 2016
WEEK IN REVIEW:
先週金曜日に発表された米3月雇用統計は僅かに市場予測を上回る結果となった(市場予測20.5万人に対して21.5万人)。ゴ
ールドは同結果を受けてドルが上昇するとすぐに反落した。その後、主要通貨バスケットに対するドル指数が95を下回った後、
5か月振りの低水準まで反落すると、ゴールドは値を戻した。非農業部門雇用者数は市場予測を上回ったが2月の24.5万人に
は及ばず、失業率は労働力率(労働力人口が15歳以上の人口に占める割合)の増加を受けて僅かに上昇し5%となった。同結
果を受けて米連邦準備理事会(FRB)の米国利上げに対するハト派的な姿勢は強まり、特に米国の低いインフレ率と米国以外
の経済状況の先行きに関して、さらに慎重に注視していくものと見られる。米3月雇用統計の結果は4月の利上げ観測を高める
までには至らず、フェデラル・ファンド先物レートによると今月の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合で利上げが行われる可
能性は0%とされている。今週水曜日に行われる予定のFOMC議事録発表によって同会合におけるタカ派とハト派のやり取り
が明らかになる予定であり、また今週金曜日にはタカ派の代表格として知られるエスター・ジョージ(カンザスシティ連銀総裁)が
金融政策に関する講演を行う予定である。同議事録・講演でのタカ派的/ハト派的な言及内容があればマーケットは素直に反
応すると予想される。欧州中央銀行(ECB)も同様に今週木曜日に政策金利決定会合の議事録を発表する予定であり、今週末
には米国・EUの2つの主要経済圏における金融政策の方針が明らかとなる。依然として4月若しくは6月の利上げは可能性とし
て残るものの、再度先送りにされる可能性が高い。またECBの政策金利に関しても、マイナス金利を導入するメリットに対する
懸念から0.0%で据え置かれる可能性が高い。同状況を受けて、中期的にはドル並びに金利の水準は利回りを持たない貴金属
全般にとって有利なものとなるだろう。
プラチナ
プラチナは現在、1月安値から続く上方トレンドチャネルの底値を試している。このサポートラインを下抜けた場合は次のサポー
トラインは$910/oz(1月安値と3月高値を結んだ50%フィボナッチリトレースメントの水準)まで切り下がる可能性があるが、同水
準では工業需要家や投資家による安値拾いの買いが入ると予想される。
先週、プラチナは貴金属の中で最も堅調に推移し、一週間で2%上昇して対
パラジウムで3週間振りの高値をつけた。南ア鉱山会社において安全確認の
ために操業が一部停止していることやPGM価格やスクラップ鋼材価格の下
落によって廃触媒リサイクルが低調であること、またある程度の工業需要が
存在することを背景に、現物のスポンジ需給バランスは依然として逼迫して
いる。南アの三大鉱山会社における3年間の労使契約が6月末で期限を迎え
る為、将来的に南ア鉱山会社での賃金交渉が発生する可能性があるが、長
期に及ぶストライキが発生する可能性は低いことや短期的なキャッシュフロ
ーを最大化させたいこと等の理由から、鉱山会社はこれに対する備えとして
戦略的な余剰在庫は保有していないものと見られる。
プラチナは 2016 年の上方トレンドチャネルを下抜けるか? MC from Bloomberg
プラチナETFの残高は3月も減少し、3月の最終週にNYMEXのグロス・ロングは5.1t減少した(6%、2015年8月以来で最大の減
少幅)。このNYMEXの動向の要因としては、第4四半期末・年度末に際して利益確定の売りが入った可能性がある(2016年第1
四半期のプラチナ価格は9%上昇、2014年第2四半期以来の上昇であり、2012年第3四半期以来最大の上げ幅となった)。 足許
のNYMEXのグロス・ショートが減少していることは投資家が強気であることを示しており、グロス・ロングが過去最高水準の
75%であることと比較すると現在のグロス・ショートは過去最高水準の34%に留まっているが、今後投資家のポジションの両極
化が顕著となればプラチナ価格のボラティリティは更に高まるだろう。
パラジウム
米自動車販売台数の結果が強弱入り混じる中、ドル安に連れてパラジウムは2週連続で下落した。
米国の3月普通乗用車販売台数は3%増加して160万台となり、2000年以降では同期比で最高の販売台数となったが、増加の
勢いは弱まってきている。2016年3月の増加率は昨年3月の半分程度の水準であり、また自動車全体の販売台数は6%減少し
ており(トラックとSUVの販売台数増加分11%に相殺されている)、この販売台数を年単位で換算すると史上初めて165万台を下
回る計算となる。安価な自動車ローンが組める上に、自動車販売ディーラーが購入者にとって有利な条件を提示している状況
であるにも関わらず、上記の販売水準に留まっていることは少々問題である。米自動車販売台数が今年ピークを迎えた場合、
最終的には生産ペースにも影響が及ぶ可能性があり(自動車メーカーの在庫は既に減少しつつある)、結果的に自動車向けの
Platinum prices $/oz
Palladium prices $/oz
Gold prices ($/oz)
Silver prices ($/oz)
last week:
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600
1,000
580
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28-Mar
1-Apr
Change: 1.2%
Support: $933
Resistance: $962
Outlook:
28-Mar
1-Apr
Change: -1.7%
Support: $548
Resistance: $571
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1,250
16
1,200
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1,150
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28-Mar
1-Apr
Change: 0.2%
Support: $1,194
Resistance: $1,229
Outlook:
28-Mar
1-Apr
Change: -0.9%
Support: $14.66
Resistance: $15.57
Outlook:
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Precious Metals Weekly Update
7 April 2016
パラジウム・ロジウム需要は減少する可能性がある。
ゴールド
2016年3月から続くゴールドの下降トレンドチャネルは健在しており、現在50日移動平均である$1,215/ozのサポートラインを試
す展開を見せている。
先週火曜日の講演におけるイエレンFRB議長のハト派的な姿勢を受け、米国の低金利が長期化するとの見通しが強まったこと
から上昇したゴールドはその後下落した。先週金曜日に発表された米3月雇用統計の結果は、市場予測と略一致していたもの
の、ゴールドの弱材料となった。今週、FRBの今後の動向をより明確に示す材料が出てくれば、ゴールドはサポートされ得る一
方で、FOMCメンバーによる低金利の長期化に反対するようなタカ派的発言には、依然としてゴールド価格は敏感に反応する
可能性がある。
前回の発表から1年間を経て、先週Metals FocusとGFMS、World Gold Councilの3つの主要なマーケットレポートが発表され
たが、それらは全てゴールド価格に対して強気な見通しを示すものとなった。ゴールド価格は年初から16%も上昇して(直近30
年間の中で最も堅調な推移となった)第1四半期を終えた。Metals Focusはこの価格動向を、2013年以来続いていた下降トレン
ドの終焉であるとした。現在のゴールド市場において最も不可解な点は、中国の鉱山供給量・リサイクルからの供給量・国内へ
の輸入量が、同国の宝飾・投資の需要量、更には中央銀行による購入量を上回っており、昨年と比較してもその数量が増して
いるという事だ。GFMSとMetals Focusは、このような中国国内のゴールドの「余剰分」の背景として、金融取引の担保として中
国国内へ流入したもの、若しくは安全資産の一面や資産制限の回避を目的とした高所得者によるゴールド現物の購入分であ
ると考察している。またもう一つの解釈として、中国人民銀行(PBOC)が2015年5月にゴールド保有残高の公表と同時に年間ゴ
ールド購入量を104tと公表したが、中央銀行(を含む公的機関)による購入量が104tを上回る可能性があり、中国国内のゴー
ルドの「余剰分」がこれに回っている可能性もある。ここで留意すべき点は、潜在的な需要量は上海黄金交易所(SGE)における
現物受渡数量よりも少なく、正確な需要量を反映している訳ではないという事である。もしSGEで現物を引き出し、精錬後に同
数量を再度SGEに持ち込めば、当該数量が需要量として重複してカウントされるからである。もう一つの主要なゴールド現物市
場であるインドに関して、2015年は需要が堅調であった。一方で昨今発表されたデータによると、2016年の動向は昨年と異なっ
ているようだ。国外からのレポートによると、ゴールド価格の上昇や、輸入税・宝飾品の売上に対する課税等の影響によりインド
の2016年2月のゴールド輸入量は前年同期比で3分の1以下まで減少して、40tとなった。インド準備銀行は今週更なる金利の引
き下げを発表すると見られており、今後利回りを生まない安全資産であるゴールドの投資妙味が高まる可能性がある。
World Gold Council も同様にゴールドに対して強気の姿勢を見せており、マイナス金利政策が広がる世界経済においてゴー
ルド価格は堅調に推移するとの見方を示した。マイナス金利の下では、利回りを生まない資産であるゴールドを保有することに
よる機会コストは軽減され、ファンドマネージャーにとっても投資対象に制限がかかる。新興国通貨等の通貨安競争が過熱す
れば更なる通貨不安に陥り、中央銀行が追加緩和策を打ち出す余地を失くすことで世界経済への不透明性がさらに高まる。現
在日本銀行が政策金利としてマイナス金利を導入した唯一の中央銀行である為、前述の点を一般論として議論するのは難し
いが、当該政策の影響により市場全体を歪めてしまう可能性もある。もっとも、欧州中央銀行(ECB)もこれまでマイナス金利の
導入を行わなかった事や、FRB も 2 月の FOMC でマイナス金利の導入の議論は交わしたものの実現するに適さないとの結論
に終わった事を考慮すると、上記のようなリスクが起きる可能性は低いだろう。
シルバー
シルバーは2週連続で下落し、4週間振りの安値である$14.79/ozを試した。1月中旬の安値から続いた上昇トレンドを下抜け、3
月中旬の高値からの下降トレンドチャネルを辿る形となっている。
米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細によると、先週はグロス・ロングが622t減少(3.5%の減少にも関わらず過去最高水
準の98%を維持している)、グロス・ショートは808t(16%)増加し12月中旬以来最も大きな増加量となっており、シルバーに対す
る投資家の弱気な姿勢が見られた。ETFに関しては、個人投資家の大半はファンドマネージャーよりETFを長期的に保有する
傾向にある。3月を通じて個人投資家はポジションを積み増し続けており、4月に入ってもその動きは続いている。
ECONOMIC CALENDAR Source – Bloomberg
Apr-4
China:祝日
US: 3 月製
造業受注指
数
前 1.6% 予
-1.8% 2 月耐
久財受注 前
-2.8%予 2.8%
Apr-5
Japan: 3 月日経 PMI 前 51.0
India: インド中銀 政策金利
前 6.75%予 6.50%
EU:3 月総合 PMI 前 53.7 予 53.7
2 月小売売上高(前年比) 前 2.0% 予 1.9%
US: 2 月貿易収支
前 $-457 億 予 $-462
3 月非製造業 PMI 前 51.0 予 51.2
3 月総合 PMI 前 51.1
3 月 ISM 非製造業景況指数[総合]
前 53.4 予 54.1
7th April, 2016
Apr-6
Apr-7
Apr-8
China: 3 月財新メディア PMI 前 51.2.
UK: 3 月新車登録台数
前 8.4%
Germany: 2 月鉱工業生産(前月比)
前 3.3% 予-1.8%
US:FOMC 議事録公表[3 月 15-16 日分]
MBA 住宅ローン申請指数(前週比)
前 -1.0%
Japan: 日銀 黒田総裁
講演
EU: 欧州中銀、議事要
旨公表[3 月 10 日分]
US: FRB イエレン議長
講演
新規失業保険申請件
数前 27.6 万件 予 27.0
万件
US:
カンザスシティ
連銀総裁講演
2 月卸売在庫
(前月比)前
0.3% 予 -0.2%
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転用・転送 堅くお断りいたします
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Precious Metals Weekly Update
7 April 2016
DATA BANK: Source – Mitsubishi from Bloomberg updated at 12.30 BST on 4
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April
Metal Price Indications (US$/oz)
Current spot price
Change from yesterday's close (%)
Platinum
953
-0.45
Palladium
562
-0.84
Gold
1,218
-0.40
Silver
14.98
-0.48
3m
6m
12m
55.00
0.00
57.50
0.00
75.00
-4.00
20.00
0.00
20.00
0.00
20.00
0.00
50.00
1.00
52.00
-6.00
56.00
0.00
72.50
0.00
81.00
6.00
89.00
-1.00
Metal Forward Swap Indications (basis points)
1m
Platinum
Mid point of spreads
50.00
Daily change
0.00
Palladium
Mid point of spreads
20.00
Daily change
0.00
Gold
Mid point of spreads
48.00
Daily change
-4.00
Silver
Mid point of spreads
70.00
Daily change
0.00
PGM Sponge Indications ($/oz)
JMUK sponge vs. Zurich ingot switch
Platinum
Mid point of spreads
Palladium
Mid point of spreads
3.50
2.00
5.00
2.00
1.00
3.00
1m
0.44
0.00
3m
0.63
0.00
6m
0.90
0.00
12m
1.21
0.00
Latest
Daily change (%)
EUR / USD
1771.00
0.00
USD / JPY
112.96
-0.50
ZAR / USD
15.40
0.00
DXY
97.03
0.27
Non commercial futures
As at 29th March 2016
Net long position (Moz)
Weekly change (%)
Platinum
1.7
-8.2
Palladium
0.7
-16.9
Gold
20.8
4.0
Silver
340.5
-11.8
Platinum
2.4
-2.3
Palladium
2.4
-7.3
Gold
56.7
18.2
Silver
631
-0.9
Gold
16,177
-5
0.6
0.7
-0.1
Silver
1,350
-56
LIBOR (%)
USD LIBOR Indication
Daily change
Foreign exchange indications
Exchange Traded Funds
Total holdings (Moz)
Weekly change (%)
Physical flows in China
SGE turnover (kg)
Comparison with 30-day average (%)
Local premium /discount (%)
Daily change (%)
Platinum
158
28
7.0
0.5
6.5
PGM basket price indications
USD basket price per ounce
Daily change (%)
ZAR basket price per ounce
Daily change (%)
7th April, 2016
816
-0.5
12,564
4.2
819.8506
12052.62367
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Spot
Gold
Silver
Forwards
Platinum
Leases
Palladium
7 April 2016
Futures
Rhodium
Options
Ruthenium
Swaps
Iridium
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