th Precious Metals Weekly Update 29 January 2016 WEEK IN REVIEW: 株式市場の下落や原油が12年振り安値まで下落したこと、そして米産業の後退が表面化しつつあるという現実が、FOMC会合 を控えた米連邦制度準備理事会(FRB)に重くのしかかっている。現在のフェデラルファンド金利先物レートによると、今週実施 されるFOMC会合において政策金利が0.75%に引き上げられる確率はゼロとされており、次回の利上げ時期として可能性が最 も高いと見られているのは2016年12月または2017年1月とされている。期待インフレ率も下落基調で、米10年債利回りの損益 分岐点(利回りを確保する為には名目金利からインフレ率を引いた実質金利を考慮する必要がある)は7年振りの低水準である 1.29%まで下落している。投機筋のインフレヘッジとしてのゴールド需要に対してこのような状況は悪影響があると予想される一 方で、投機筋はFRBによる利上げは緩やかなペースで実施されると織り込んでいることはゴールドにとって強材料となる。ゴー ルドのグロス・ロングが増加しショートポジションが減少する中、ETF投資家は今年に入りゴールドを買い持ちしており、同期間 のゴールドスポット価格は2015年11月以来の高値をつけた。産業への見通しは依然として安定していないものの、投資家心理 悪化によってゴールドが下落した後はPGMも含め貴金属全般は落ち着いた価格推移となった。 プラチナ プラチナは先週 2 週振りの安値まで急落した。最終的には 50 日移動平均で底を打ち現在は同水準の上方で取引されており、 緩やかに上昇基調に転じている。 世界最大のプラチナ生産者である Anglo American Platinum は今週月曜日、2015 年初めの価格の約 2/3 程度の水準までプラ チナが下落していることを主な背景に同社資産の 30%に相当する 140 億南アランド(ZAR)の減損を行うことを 2015 年 12 月末 期の決算において発表した。同社によれば、2015 年通期の純損失は 121~122 億 ZAR となり、前年度の利益比で最大 94%減 となる見通しである。Amplats はじめ大勢の PGM の市場関係者が直面する苦境に対する打開策の一つとして大幅な減産が考 えられるが、大量の失業者を抱える南アにおいて生産縮小を実行するのは政治的にも社会的にも非常に難しい。従って、2 月 8 日に発表される再建策がどんなものであろうと市場を落胆させる結果に終わる可能性がある。少なくとも 2017 年までは新規 設備導入や設備交換に係る投資を全て見送るという Amplats の足元の方針から南ア鉱山会社の生産量は今後 5 年間ほぼ横 ばいとなることが予想され、これによって需給の逼迫が示唆されるため長期的には価格のサポート要因となる。 中国税関総局は今週金曜日、2015 年の年間プラチナ輸入量が前年比で 10%増加し 84.0t となり、また 12 月の月間プラチナ輸 入量は前年比 40%増の 8.8t であったと発表した。これは工業需要家や宝飾需要家が依然として昨年の低価格帯に鑑み投機 的な購入を行っていることを示しているが、上海黄金交易所(SGE)での取引量には影響が見られず、SGE の取引量は通年で 15%減少し、12 月の取引量は 9%下落している。 パラジウム パラジウムは$500/oz の水準で何度も跳ね返されたが、一日の終値は$500/oz を上回る水準に近づきつつある。先週は直近 4 週間で初めて投機筋のショートカバーが見られ、ネット・ロングは直近での低水準であったがこのショートカバーによってネット・ ロングは増加した。 2015 年のロシアからスイスへのパラジウム輸入量(パラジウム装飾品や中間製品)は前年比で 66%減少し 2.0t となり、1996 年 以来最低となった。これはスイスへのパラジウム輸入量全体の減少量が 22%減少し、16.4t となったことが背景にある。貿易中 継地としてのスイスのパラジウム輸入量はここ数年で減少しており、また 200 年代後半には 31.1t を上回っていたロシア国家在 庫の放出による大量のパラジウム輸入量は 0 になるまで減少している。実際、ロシアの貴金属や宝石の倉庫であり 2000 年代 には主要な売手であったゴクランは、2015 年はプラチナ及びパラジウムの純購入量が約 1.9t である買手となっており、またこ れは 2016 年も同様にゴクランが買手となる可能性があることを意味する。 Norilsk Nickel がロシア中央銀行(CBR)に対してパラジウムを購入したいという姿勢を示した際、CBR は 2014 年以来マーケッ トでは底をついていると見られていた最大 77.8t の備蓄在庫を同社に対して販売する可能性がある。最近の報道によれば CBR は足元の価格は売却を始めるには安すぎると考えており、これは即ち将来的に起こり得る備蓄在庫に関係する取引の時 期や規模、またパラジウムに対する投資家の心理状態次第では引き続き CBR による投機的な売却が起こり得るということを 意味する。もし結果的に現物が同社に対して売却されているとすれば、需要が増加した際に世界最大のパラジウム生産者たる 同社が供給量を増加させることが可能となり、価格に対するネガティブな影響が及ぶ可能性は低い。然しながらもし CBR が市 場に対して大量の現物の売却を検討しているとすれば、価格を押し下げる可能性がある。 Platinum prices $/oz Palladium prices $/oz Gold prices ($/oz) Silver prices ($/oz) last week: last week: last week: last week: 11-Jan 22-Jan Change: 0.4% Support: $811 Resistance: $893 Outlook: 11-Jan 22-Jan Change: 1.4% Support: $447 Resistance: $516 Outlook: 11-Jan 22-Jan Change: 0.8% Support: $1,081 Resistance: $1,136 Outlook: 11-Jan 22-Jan Change: 0.8% Support: $14.00 Resistance: $14.68 Outlook: th Precious Metals Weekly Update 29 January 2016 中国政府による貿易統計によれば、昨年半ばに見られた自動車販売台数の減少(この結果、排ガス触媒の生産量が減少)によ る影響等を背景に 2015 年のパラジウム輸入量は前年比で 25%減少している。パラジウム輸入量が前年比で 12 月に急減 (24%減少)したことから、自動車販売台数の減少と自動車触媒製造用の現物のデリバリーとの間にタイムラグが存在すること が分かる(12 月の自動車販売台数は 18.5%増加)。概して、政府による景気刺激策が自動車販売を下支えし続ける限りは中国 に於けるパラジウム現物需要は増加し得るだろう。 ゴールド ゴールドは短期的に上昇トレンドが続いている。50 日及び 100 日移動平均を突破し、2015 年 11 月高値と 2015 年 12 月安値 を結んだ 50%フィボナッチリトレースメントの水準を試している。同水準を突破すると、次の抵抗線は 200 日移動平均及び 2015 年 11 月高値と 2015 年 12 月安値を結んだ 61.8%フィボナッチリトレースメントである$1,136/oz の水準にあると考えられる。 今週の FOMC 会合では大きなサプライズがないと見られており、ゴールドは足元の抵抗線と考えられている 200 日移動平均 に達するまで上昇を続けるだろう。現在の 200 日移動平均は$1,132/oz で、同水準を超えると次の抵抗線は、2015 年 10 月高 値と 2015 年 12 月安値を結んだ 61.8%フィボナッチリトレースメントの水準である$1,136/oz となると考えられる。先週同様に COMEX のショートポジションは過去最高水準の 75%を維持している一方で、ロングポジションは(3 週連続でショートカバーが 見られたという事実はあるものの)過去最高水準の 51%に留まっている現在の状況を考えると、今後ゴールドは投機筋のショ ートカバーによりサポートされる可能性がある。 今後の見通しとして、今後ドル高に推移すればゴールドをはじめ他のドル建コモディティにとっては弱材料となるだろう。日本銀 行は今週金曜日に量的緩和政策の拡大若しくは政策金利の引き下げに関する決定会合を予定している。日銀の黒田総裁は 政策金利の引き下げは行わないと見られており、年間 80 兆円の国債買い入れ計画の延長が追加緩和策の有力候補と見られ ている。追加緩和策が行われれば円安・ドル高に推移し、ゴールドにとっては下方圧力になるだろう。同様に欧州中央銀行のド ラギ総裁は、昨今のデフレ傾向と中国経済の減速を受けて欧州圏においても 3 月に追加緩和策を講じる可能性があると示唆 した。同発言を受けてドルは買い戻され、結果的にドル建ゴールド価格は再度下方圧力に晒された。 シルバー シルバーはゴールドの価格に連れて上昇した。50 日移動平均の$14.09/oz の水準を取り戻した後、2015 年 11 月高値と 2015 年 12 月安値を結んだフィボナッチリトレースメントを突破した。現在、2015 年 11 月高値と 2015 年 12 月安値を結んだ 38.2%フ ィボナッチリトレースメントの水準且つ 100 日移動平均である$14.65-68/oz を目指して推移している。 先週の先物市場ではグロス・ロングが 777t 減少し、直近 4 週間で最も減少した。これによりグロス・ショートが相殺され 1,648t 減少した。シルバーの ETF 残高は年初より 2%減少している。過去数週間の値動きが狭い事に加えて低インフレ環境が広がっ ていることから、投資家のインフレヘッジとしての需要が減退した事が大きな理由であると考えられる。米造幣局による 1 オンス のイーグル銀貨の売上は先週も引き続き好調で、今月最初の 3 週間の売上(178t)は、既に 2015 年 1 月全体の売上(172t)と 同水準まで増加しており、個人投資家は依然として価格に対して強気な姿勢を維持しているという事を示している。 ECONOMIC CALENDAR Source – Bloomberg Jan-25 Jan-26 US: 11 月住宅価格指数 前 0.5% 予 0.5% マークイット製造業 PMI 前 54.3 予 54.0 1 月消費者信頼感指数 前 96.5 予 96.5 1 月リッチモンド連銀製 造業指数 前 6 予 2 29th January 2016 Jan-27 US: MBA 住宅ローン 申請件数 前 9.0% 12 月新築住宅販 売件数 前 49.0 万件 予 50.0 万件 FOMC 政策金利 発表 前 0.5% 予 0.5% Jan-28 EU: 1 月消費者信頼感指数 前 -6.3 予 -6.3 マネーサプライ M3 前 5.1% 予 5.2% 消費者物価指数 前 0.2% 予 0.4% Germany: 1 月消費者物価指数 前 0.3% 予 0.4% US: 新規失業保険申請件数 前 29.3 万件 予 28.1 万件 12 月耐久財受注 前 0.0% 予-0.5% 12 月中古住宅販売件数 前 -0.9% 予 0.9% 三菱商事 RtM ジャパン(株)貴金属事業部 Jan-29 Japan: 日銀金融政策決定会合 12 月鉱工業生産 前 -0.9% 予 -0.3% 12 月失業率 前 3.3% 予 3.3% 12 月全国消費者物価指数 前 0.3% 予 0.2% US: 第 4 四半期 GDP(前期比年率) 前 2.0% 予 0.8% 第 4 四半期 GDP 価格指数 前 1.3% 予 0.8% 第 4 四半期コア PCE 前 1.4% 予 1.2% 1 月シカゴ購買部協会景気指数 前 42.9 予 45.3 1 月ミシガン大消費者信頼感指数 前 93.3 予 93.0 転用・転送 堅くお断りいたします 2 th Precious Metals Weekly Update 29 January 2016 DATA BANK: Source – Mitsubishi from Bloomberg updated at 13.50 GMT on 26 th January Metal Price Indications (US$/oz) Current spot price Change from yesterday's close (%) Platinum 866 0.65 Metal Forward Swap Indications (basis points) 1m Platinum Mid point of spreads 50.00 Daily change 0.00 Palladium Mid point of spreads 30.00 Daily change 0.00 Gold Mid point of spreads 17.00 Daily change 1.00 Silver Mid point of spreads 65.00 Daily change 0.00 Palladium 500 1.90 Gold 1,114 0.72 Silver 14.41 1.09 3m 6m 12m 52.50 0.00 60.00 0.00 80.00 0.00 30.00 0.00 30.00 0.00 30.00 0.00 20.00 2.00 23.00 0.00 30.00 0.00 65.00 0.00 69.00 0.00 84.00 0.00 PGM Sponge Indications ($/oz) JMUK sponge vs. Zurich ingot switch Platinum Mid point of spreads Palladium Mid point of spreads 0.125 0.00 LIBOR (%) 1m 0.43 0.01 3m 0.62 0.00 6m 0.87 0.00 12m 1.15 -0.00 Latest Daily change (%) EUR / USD 1.08 0.02 USD / JPY 118.5 -0.05 ZAR / USD 16.47 -0.26 DXY 99.30 -0.06 Non commercial futures As at 19th January 2016 Net long position (Moz) Weekly change (%) Platinum 1.2 -10.4 Palladium 0.5 39.4 Gold 4.0 -7.8 Silver 180.2 17.9 Platinum 2.4 -2.2 Palladium 2.4 -4.9 Gold 48.3 0.7 Silver 599 -0.9 Gold 23,460 -1 0.6 0.7 -0.1 Silver 30 -99 USD LIBOR Indication Daily change Foreign exchange indications Exchange Traded Funds Total holdings (Moz) Weekly change (%) Physical flows in China SGE turnover (kg) Comparison with 30-day average (%) Local premium /discount (%) Daily change (%) Platinum 124 -1 7.0 0.5 6.5 PGM basket price indications USD basket price per ounce Daily change (%) ZAR basket price per ounce Daily change (%) 737 0.9 12,134 0.6 730.242 12060.53082 3 29th January 2016 三菱商事 RtM ジャパン(株)貴金属事業部 転用・転送 堅くお断りいたします th Precious Metals Weekly Update Spot Gold Forwards Silver Platinum Leases Palladium 29 January 2016 Futures Rhodium Options Ruthenium Swaps Iridium This document is not and should not be construed as an offer to sell or the solicitation of an offer to purchase or subscribe for any investment. 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