Precious Metals Weekly Update

th
Precious Metals Weekly Update
10 March 2016
WEEK IN REVIEW: 貴金属は依然として強気相場
先週金曜日に発表された米2月非農業部門雇用者数の結果は2つの面でサプライズがあった。1つ目は、同指標が市場予測を
上回る結果となったことである(市場予想値の19.5万人増に対して、結果は24.2万人増)。2つ目は、同指標の結果によってゴー
ルドは一時売られたがその後すぐに上昇に転じ、米国債利回りが上昇したにも拘らずゴールドは13か月ぶりの高値となる
$1,280/ozをつけた事である。雇用者数の増加によって現物需要が旺盛になる可能性が示され、特に工業メタルとしての側面が
強いPGMは上昇した。価格が大幅に上昇した現在、足元でゴールドは利食い売りを浴びてもおかしくない状況にある。
COMEXにおける投機筋のグロス・ロングポジションは4か月半振りの高水準であり、年初来で208.4t 残高が増加したゴールド
ETFは現在”含み益”状態にある。今週木曜日に控える欧州中央銀行(ECB)理事会にてECBが預金準備率をマイナス圏で更に
引下げることで金融緩和策を更に拡大すると発表されれば、それが売却の契機となるかもしれない。このECBによる追加緩和
は対ドルでのユーロの重しとなり、ドル建ての商品価格を押し下げることになる可能性が高い。ゴールドが売られることは当然
のシナリオであるように見える一方で、このゴールドにとってネガティブなマクロ環境においてもゴールドが上昇し続ければ、新
たな強気相場に入る可能性がある(ゴールドは昨年の最安値水準から20%上昇しており、テクニカル面では既に強気相場に入
った)。強気相場に入ったことが確実となれば、ゴールドは2011年高値と2008年安値を結ぶ50%フィボナッチリトレースメントの水
準である$1,302/ozを目指し上昇、他の貴金属全般もゴールドに連れ高となるだろう。
プラチナ
プラチナは昨年10月以降初めて$1,000/ozを上抜けた。
プラチナは先週金曜日に急上昇し、今週月曜日には昨年 10 月以降初めて$1,000/oz の水準を突破し短期的なレジスタンスラ
イン且つ 8 月以来到達しなかった 200 日移動平均を再度上抜けた。現在の地合では、プラチナは 2011 年高値と 2008 年安値
を結ぶ 23.6%フィボナッチリトレースメントの水準に向かっており、強気相場が形成される可能性があるが、短期的には利食い
売りが入ることでプラチナの上昇を妨げる可能性がある。NYMEX のグロス・ロングは過去最高水準の 83%まで増加している
が、プラチナ ETF の残高は資金が大量に流入したゴールド ETF と比較するとほとんど変化していない。
エンドユーザーが安値で価格を固定しようとしていることから、足元でのプラチナ上昇は工業需要にサポートされている。工業
需要家がプラチナスポンジをいち早く購入したことで市場での流通量が減少し、スポンジプレミアムは上昇しているが、過去の
水準と比較するとスポンジプレミアムはまだ安い。スポンジの流通量は 1 月の祝日や安全検査のための操業停止等が頻発し
たことで南ア鉱山の PGM の産出量・製錬量が季節的に減少する可能性があるが、詳細は今週発表される南ア鉱山統計によ
って明らかになるだろう。然しながら、プラチナ価格高騰は廃触媒回収業者の持つ廃触媒の在庫が売却される契機となり、最終
的にはスポンジ供給量が増加する可能性がある。然し、ここ 2-3 年は価格低迷によって大量の廃触媒は市場に出回っておらず、
精錬業者が生産余力を十分に有していたとしても、直ぐに価格が下落することはないだろう。
パラジウム
パラジウム価格トレンド ($/oz):
パラジウムは先週最も堅調に推移し、2015年末以来の最高値まで上
昇し、先週月曜日に3か月半振りの高値をつけた。
先週はゴールド・プラチナの上昇と同様にパラジウムも上昇しており、
またその中でも最も堅調に推移した。パラジウム価格は 100 日移動
平均を上抜け、更に 2014 年高値と 2016 年安値を結んだ 23.6%フィ
ボナッチリトレースメントの水準である$560-561/oz 上まで上昇した。
パラジウムは当時 12 年振りの高値をつけた 2014 年 8 月以来形成さ
れているダウントレンドチャネルの半ばで推移している。価格高騰に
より NYMEX における投機筋のグロス・ロングが更に手仕舞われると
同時に新たなショートポジションが積み上げられており、これによって
ネット・ロングは直近 10 年間で最低水準となった。ここ数日間ではショ
ートカバーが入り、新たにロングポジションが積み上げられた(実際、13 年振りの低水準であった NYMEX のパラジウムの在庫
Platinum prices $/oz
Palladium prices $/oz
Gold prices ($/oz)
Silver prices ($/oz)
last week:
last week:
last week:
last week:
600
1,000
1,300
500
800
4-Mar
Change: 7.2%
Support: $940
Resistance: $1,021
Outlook:
15
1,200
1,150
400
29-Feb
16
1,250
29-Feb
4-Mar
Change: 14.8%
Support: $556
Resistance: $600
Outlook:
14
29-Feb
4-Mar
Change: 3.0%
Support: $1,245
Resistance: $1,307
Outlook:
29-Feb
4-Mar
Change: 5.5%
Support: $14.85
Resistance: $16.00
Outlook:
th
Precious Metals Weekly Update
10 March 2016
は直近で増加している)。相対力指数に基づくと、直近の価格上昇によってパラジウムは現在買われすぎの水準にあり、今後売
りが入る可能性がある。
パラジウムの需要面での朗報として、先週報じられた様に米 2 月乗用車販売台数が非常に強い結果だったことが挙げられる。
また、乗用車販売台数は前年同月比ではほぼ横ばいとなる 572,000 台であった一方で、軽トラックの販売台数は前年同月比で
12.8%増加となる 772,000 台となった。大型のピックアップトラックや SUV は排ガス処理のため多くの触媒を搭載することから、
一般的には軽トラック販売台数の増加は乗用車販売台数の増加よりもポジティブなものである。先週発表された米雇用者数の
増加は米国の成長シナリオの確度を高めるものとなり、今年後半での利上げ実施期待が高まった。フェデラルファンド金利先
物によると、現在は 9 月に利上げが実施される見通しが強い。オートローンの借り入れコストが上がり米国の消費者の新車購
入に対する意欲が低減することで米自動車売上が落ち込む可能性があり、最終的にはパラジウム需要へ影響が及ぶ可能性
がある。
ゴールド
ゴールドは先週13か月振りの高値をつけて以来堅調に推移していたが、買われ過ぎの水準に達しているとの見方もある。
直近のゴールド価格上昇によってアジアの現物需要が活発化する可能性がある。上海黄金交易所（SGE）の取引量は減少（前
年同時期と比較して31%減少）しており、インド国内価格も国際価格と比較してディスカウントとなっている。しかしインド宝飾品
取引連合（Jewellers’ Trade Federation）によってゴールド宝飾品に対し売上税が導入された今、インド国内の潜在需要を正確
に把握する事は難しくなっている。
ゴールドETF（投資目的で運用されているゴールドの数量は2016年に入り208t増加、年初来で16%増となっている）は大量に買
われており、主要銘柄の一つ（iShares ETF）は、ETFの新規発行を一時的に停止、現在も新規発行が制限されている状態にな
っている。ゴールドETFや他の投資用商品向けの現物調達については足許問題ないようだ。短期の先物価格は順鞘となってい
る事に加えて、昨今の価格上昇を受けてスクラップからの供給量が増加しており、市場への供給量は十分である。しかし、一度
ETFの購入が一服すれば、最終的にスクラップの供給が過剰となり、ゴールド現物市場は供給過多となる可能性もある。
シルバー
シルバーは先週300日移動平均を突破、3週振りの高値である$15.80/ozを試しており、ゴールドを上回る推移を見せている。
2015年1月高値以来続いている下降トレンドチャネルがレジスタンスとなっており、直近のシルバーの上昇は同水準で再び上値
を抑えられた。同水準を突破すると、次の抵抗線は$16.07/oz（2015年高値と安値を結んだ50%フィボナッチリトレースメント）近
辺となるだろう。
ゴールドと同様、直近のシルバー価格の上昇要因は、米国の低金利が長期化する見通しが強まっていること・ドル安・世界経
済の先行きが不透明である事に起因している。さらには米国の労働市場が堅調である事も、工業的側面を持つシルバーのサ
ポート要因となっている。シルバーに対する投資家心理も強気になりつつある。シルバーETF残高は6か月振りの高水準に達し
ており、昨今の価格上昇を受けて今まで積み上げられていたショートポジションに対して大幅にショートカバーが入った。また注
目すべき重要な点は、銀貨やスモールバーの売上が好調な点だろう。米造幣局による1オンスのイーグル銀貨販売量は先月
149t（2月としては過去最高水準）に達した。足元の在庫状況では刻印が押されていない銀貨は販売に使用できない為、銀貨の
販売は依然として制限されている。
ECONOMIC CALENDAR Source – Bloomberg
Mar-7
Mar-8
US:
2 月 NFIB 中小企業楽
観指数
前 93.9 予 94.0
10th February, 2016
Mar-9
Japan:
2 月マネーストック M3
前 2.5% 予 2.6%
2 月工作機械受注数
前 -17.2%
UK:
1 月鉱工業生産
前 -0.4% 予 0.0%
US:
MBA 住宅ローン申請件数
前 -4.8%
1 月卸売在庫
前 -0.1% 予 -0.2%
Mar-10
Japan:
2 月企業物価指数
前 -3.1% 予 -3.4%
China:
2 月消費者物価指数
前 1.8% 予 1.8%
2 月生産者物価指数
前 -5.3% 予 -4.9%
EU:
欧州中央銀行政策金利
前 0.05% 予 0.05%
South Africa:
1 月製造業生産
前 1.5% 予 -0.5%
US:
新規失業保険申請件数
前 27.8 万件予 27.5 万件
三菱商事 RtM ジャパン(株)貴金属事業部
Mar-11
Germany:
2 月消費者物価指
数
前 0.0% 予 0.0%
転用・転送堅くお断りいたします
2
th
Precious Metals Weekly Update
10 March 2016
DATA BANK: Source – Mitsubishi from Bloomberg updated at 11.05 GMT on 8
th
March
Metal Price Indications (US$/oz)
Current spot price
Change from yesterday's close (%)
Platinum
1,001
0.17
Metal Forward Swap Indications (basis points)
1m
Platinum
Mid point of spreads
47.50
Daily change
0.00
Palladium
Mid point of spreads
35.00
Daily change
0.00
Gold
Mid point of spreads
32.00
Daily change
0.00
Silver
Mid point of spreads
67.50
Daily change
0.00
Palladium
568
-1.45
Gold
1,273
0.91
Silver
15.60
0.24
3m
6m
12m
52.50
0.00
57.50
0.00
70.00
0.00
35.00
0.00
35.00
0.00
35.00
0.00
36.00
0.00
37.00
4.00
40.00
0.00
77.50
0.00
80.00
0.00
87.50
0.00
PGM Sponge Indications ($/oz)
JMUK sponge vs. Zurich ingot switch
Platinum
Mid point of spreads
Palladium
Mid point of spreads
1.50
0.50
2.50
2.00
1.00
3.00
1m
0.44
0.00
3m
0.64
0.00
6m
0.90
0.01
12m
1.21
0.02
Latest
Daily change (%)
EUR / USD
1771.00
0.00
USD / JPY
112.96
-0.50
ZAR / USD
15.40
0.00
DXY
97.03
0.27
Non commercial futures
As at 1st March 2016
Net long position (Moz)
Weekly change (%)
Platinum
1.8
-5.1
Palladium
0.2
-44.1
Gold
17.1
25.8
Silver
326.2
-11.5
Platinum
2.4
-4.1
Palladium
2.4
-8.3
Gold
55.5
15.6
Silver
615
-0.9
Gold
16,177
-5
0.6
0.7
-0.1
Silver
14,640
222
LIBOR (%)
USD LIBOR Indication
Daily change
Foreign exchange indications
Exchange Traded Funds
Total holdings (Moz)
Weekly change (%)
Physical flows in China
SGE turnover (kg)
Comparison with 30-day average (%)
Local premium /discount (%)
Daily change (%)
Platinum
158
28
7.0
0.5
6.5
PGM basket price indications
USD basket price per ounce
Daily change (%)
ZAR basket price per ounce
Daily change (%)
10th February, 2016
844
-0.2
12,993
0.8
845.1672
12884.15138
三菱商事 RtM ジャパン(株)貴金属事業部
転用・転送堅くお断りいたします
3
th
Precious Metals Weekly Update
Spot
Gold
Forwards
Silver
Platinum
Leases
Palladium
10 March 2016
Futures
Rhodium
Options
Ruthenium
Swaps
Iridium
This document is not and should not be construed as an offer to sell or the solicitation of an offer to purchase or
subscribe for any investment. Mitsubishi Corporation has based this document on information obtained from
sources it believes to be reliable but which it has not independently verified; Mitsubishi Corporation makes no
guarantee, representation or warranty and accepts no responsibility or liability as to its accuracy or completeness.
Expressions of opinion are those of Mitsubishi Corporation only and are subject to change without notice.
Mitsubishi Corporation assume no warranty, liability or guarantee for the current relevance, correctness or
completeness of any information provided within this Report and will not be held liable for the consequence of
reliance upon any opinion or statement contained herein or any omission. Furthermore, we assume no liability for
any direct or indirect loss or damage or, in particular, for lost profit which you may incur as a result of the use and
existence of the information provided within this Report.
© Mitsubishi Corporation RtM Japan Ltd., 2016
他社への転送･転用堅くお断りいたします。
当資料は、信頼できると判断した情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。当資料はお客様の
お取引判断の参考となる情報提供を目的としており、弊社は、この情報の使用結果について一切責任を負いません。
10th February, 2016
三菱商事 RtM ジャパン(株)貴金属事業部
転用・転送堅くお断りいたします
4

Download Report