技術情報「飼料用稲「たちすずか」を活用した低コスト微細断収穫調整

技術
情報
飼料用稲「たちすずか」を活用した低コスト微細断収穫調製・給与技術
その②汎用型微細断収穫機による収穫作業と高密度輸送
広島県立総合技術研究所畜産技術センター 飼養技術研究部 城田 圭子氏
先月号に続き,飼料用稲「たちすずか」の低コスト微細断収穫・調製・給与技術のうち,6 月から発売の汎用型微細
断飼料収穫機(タカキタ製ワゴンタイプ)による収穫作業と高密度輸送について紹介します。
●収穫作業のポイント
・収穫機のワゴンにはお
よそロール 3 個分が入
ります。満載になった
らトラックへ直接荷下
ろしします。
・始めに荷下ろしのため
の後退スペースを確保
するように収穫してい
きます。
・地面に収穫物を下ろさ
ないため、湿田でも高
品質なサイレージ生産
が可能です。
・収穫と輸送を同時に行
うため、後でロールな
どを運ぶ必要がありま
せん。
※「 た ち す ず か 」等 の WCS
用 稲 だ け で な く、 ト ウ
モロコシやソルガムもア
タッチメント交換なしで
収穫可能です。
●荷下ろし方法
収穫機からトラックへの
荷下ろしは,圃場の条件に
よって次の 4 つのように行
います。
★「3」が最も作業効率が良い方法です。圃場にトラックが入れるよう地耐力を確保す
ることが必要です。
★トラックへの荷下ろしは収穫機が前傾,後傾にならないようできるだけ平らな場所
で行います。
●高密度輸送によるコストダウン
※青ラインは慣行体系のコスト
微細断(理論切断長 6mm)の場
合,2t トラックで 1 度に輸送でき
る WCS の 量 は 1t 以 上 で 29mm の
と き の 1.5 倍 量 で す。 こ の 場 合,
ワゴン満載までの時間が長くなり,
荷下ろしの回数が減るため,作業
時間が短縮し,トラックの数も減
らすことができます。
微細断収穫・調製体系は,輸送時
間が短いほど輸送トラックが少な
くてすむため,コストが低減しま
す。バンカーサイロ調製では,片
道輸送時間 30 分以内であれば慣行
体系
(コンバイン型専用収穫機⇒自
走式ベールラッパ⇒ロール輸送)よりも有利になり,最大 20%のコスト低減が可能です。
この体系は近距離の TMR センターや WCS 利用農場で調製する場合に適応した技術です。
次回は,微細断 WCS 調製技術について紹介していき
たいと思います。
なお,この技術は農林水産業・食品産業科学技術研
究推進事業(25073C H25~27)によって開発した技
広島
27
2016年
(平成 28年)7月
〔№ 268〕
術で,農研機構のホームページにマニュアル(画期
的 WCS 用稲「たちすずか」の特性を活かした低コス
ト微細断収穫調製・給与マニュアル)が掲載されて
いますので,詳しくはそちらを参考にしてください。