コンパネを活用した簡易バンカーサイロ(コンパネサイロ)の場合 , 原価償却費は , 骨組みを 10 年 , コンパネを 3 年として , 年間 10a あた り 1,415 円 /10a という試算となり , 低コスト化が可能となります。 3 飼料特性評価と給与実証 当畜技センターの河野幸雄副部長が「微細断 WCS の飼料特性評価 と乳用牛及び肉用種肥育牛に対する給与実証」について発表しまし た。 調製技術の紹介では , 株式会社雪印種苗「サイロ SP」 を収穫時に添 加した後,バンカーサイロ調製した場合は,無添加区と比較して,酢酸, プロパンジオールの生成により , 好気的変敗を抑制することができ るため , サイロ SP の添加が有効との結論でした。 次に , 当センターでの給与実証試験では , 泌乳中期牛に「微細断 WCS35%」と「微細断 WCS25%+ チモシー 10%」 を長期給与した場合 , 摂取量 , 乳量 , 乳成分等に差がなかったことを明らかにしています。 農家における現地実証では乳成分と血液性状は , いずれも正常範囲 であり , 明らかな問題は認められませんでした。 また , 肥育の現地実証では ,「微細断 WCS 給与区」は「いなわら区」 と比較して , 増体成績 , 飼料効率 , 枝肉成績(枝肉重量・BMS)が優れ る結果でした。 畜技センター河野副部長の発表 総合討論・質疑応答 〈最後に〉 12 月号 ,1 月号と 2 か月にわたり ,『WCS 用稲「たちすずか」の微細断収穫調製・給与体系の開発実証 現地検 討会』についての記事を掲載しましたが , 参集された方々からの質問も多く非常に関心の高い技術であるという ことを感じました。現在 , この技術に関するマニュアルを作成中であり , 今後は , この技術普及に動きます。 興味のある方は,2 月 10 日の畜産技術センターの成果発表会で詳細な報告を行いますので,是非ご来場ください。 お知らせ ひろらく女性グループ連絡協議会 酪農 ! この愛すべき天職 富安麻紀子さん講演・交流会 ■日 時:平成28年3月17日 ( 木 ) 午前11時30分~午後3時30分 ひろらく女性グループ連絡協議会(委 員長 岡田典子)は、昨年 7 月 15~16 日の 2 日間にわたり開催された「第 44 回全国酪農青年女性酪農発表大会」の 「酪農意見・体験の部」で最優秀賞を受 賞された、富安麻紀子(写真)さんを招 いて講演会を開催し、その後は、県域 女性グループ間の交流会を開催します。 ※詳しくは別途ご案内します。 ■場 所:グランラセーレ三次 ( 平安閣 ) 〒 728-0014 広島県三次市十日市南 1 丁目 5-5 TEL:0824-62-1234 ■演題 :“酪農! この愛すべき天職” ■講師 :九州酪農青年女性会議 富安麻紀子さん ■交流会:会食を交えた意見交換会 ■事務局:事業推進課(担当:山本)電話 0824-64-2072 広島 2016年 (平成 28年)1月 〔№ 262〕 12 技術 「たちすずか」の微細断収穫調製・ 情報 WCS用稲 給与体系の開発実証 現地検討会(後編) 広島県立総合技術研究所 畜産技術センター 飼養技術研究部 研究員 末永 晋一氏 〈はじめに〉 12 月号で『「WCS 用稲「たちすずか」の微細断収穫調製・給与体系の開発実証 現地検討会(前編)』として ,「微細断収穫 ~ バンカーへの貯蔵までの流れ」の作 業面での説明をさせて頂きました。 今月号では , 現地検討会二日目の室内検討会の様子を紹介します。 (※この研究は , 平成 25 年度から農水省の農林水産業・食品産業科学技術研究推進事業を 活用して , 共同研究機関と連携しながら『WCS 用稲「たちすずか」の特性を活かした微細 断収穫調製・給与体系の開発実証』の研究に取り組んでいます。) ポスターパネル発表 〈発表講演内容〉 1 微細断長稈対応収穫機の特徴 今回新たに開発された微細断収穫機の特徴についての説明が株 式会社タカキタからありました。 収穫機の主な情報は次のとおりです。 収穫機の特徴 ●機体 ・全幅 2250 ㎜ ・全高 2800 ㎜ ・全長 6800 ㎜ ・4450 ㎏(軽油 120 ℓ含む) ●台車 ・ヤンマー製コンバインベース ・エンジン 100 馬力 ,DPF 付 ・クローラー幅 550 ㎜ ・燃料タンク 120 ℓ ●刈取部 ・理論切断長 6~29 ㎜を実現 ・草丈 0.8m 以上に対応 ・作業幅 1.8m 全面刈り ●ハーベスタ ・省エネアップカット方式 ・微細断対応 ●ワゴン ・容積 5.2m³ ・後方ダンプ式 ・最大積載量 1200 ㎏ ●適応作物 ・飼料イネ , 麦等の飼料作物 ・トウモロコシソルガム等の長大作物 刈取条件としては , 草丈 80 ㎝以上が対象で , 倒伏作物は追刈対応でのみ作 業可能です。つる性の雑草を除き , 概ね刈取が可能なスペックです。 2 収穫・調製体系 近畿中国四国農業研究センターの高橋仁康主任研究員が , 微細断収穫調製体系における「バンカーサイロ調製 と , ロールベール調製」について発表しました。 12 月号で紹介したように , 微細断収穫調製体系では , 現地で微細断収穫したものをトラックで高密度輸送し , 牧場や TMR センター等の飼料基地でロールベール及びサイロ調製を行います。 通常は収穫した現地でロールベール調製したものを貯蔵場所に移動するため , 移動時の破損などによる品質低下 が懸念されますが , 本体系では , ロールベール調製を貯蔵場所で行うため移動が少なく , 高い品質が維持できます。 一方 , サイロ調製は , ラッピングをする必要がないため , 資材費が安く ,「たちすずか」の高糖分飼料特性 + 微細 断 + 乳酸発酵等の技術と組み合わせることで , 高品質調製と , 低コスト化が図れます。 広島 13 2016年 (平成 28年)1月 〔№ 262〕
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