3 質問と回答(その3)

電気回路学 I 及び演習 (web 公開:2016-08-01)
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QA–3
質問と回答 (その 3)
小テストについて
3.1
今までの小テストで,ほとんど単位を書いていなかったのですが,それはすべて
間違いになるんですか?(2016-07-26,メール)
小テストの解答で,単位が必要な場合に単位を書いていない解答には,基本的に
×をつけています.小テストによっては,△をつけて,部分点を与えている場合もあ
ります.
解答に単位を書くかどうかの判断は重要です.一般には,問題文をよく読み,単位
が確定するときには,答えに単位をつけるようにします.
期末試験の過去問について
3.2
2014 の期末試験の問題 4 でカパシタ C の皮相電力がカパシタ C の無効電力の大
きさになると書かれていますが,これはどのように導くのでしょうか?皮相電力は複
素電力の大きさではないのですか?(2016-07-29,メール)
一般に,皮相電力 Pa は複素電力 Pc の大きさで間違いありません.式で書くと,
Pa = |Pc |
(3·1)
です.
カパシタ C の場合 に絞ると,実効電力 P が零ですから,カパシタ C の複素電力は,
Pc = P + jPr = 0 + jPr = jPr
(3·2)
と書けます.ここで,Pr はカパシタ C の無効電力で,容量性負荷ですから Pr < 0 で
す.この結果に,式 (3·1) を適用すると,カパシタ C の皮相電力 Pa は
Pa = |Pc | = |jPr | = |j| |Pr | = |Pr |
(3·3)
となります.
同様の関係は.インダクタについても成り立つことが分かります(議論の過程で異
なるのは,誘導性負荷であるため Pr > 0 となる点のみ).
結局,純リアクタンス素子(カパシタとインダクタ)については,その実効電力が
零で複素電力が(たまたま)純虚数になるため,質問にあったような関係が成立する
ことになります.理解を深めるために,カパシタやインダクタについて,複素電力の
ベクトル図を描いてみるのもよいですね.
期末の過去問と模擬試験の問題 2 についてです.回路の電流 I はどこに流れ,電
圧 V はどこにかかっているんでしょうか?(2016-07-30,メール)
模擬試験(2014 期末試験)の問題 2 の回路を図 1(次ページ)に示します.
電流 I は,図 1(a) の薄いピンクの部分(枝)を流れる電流です.電流 I は,R3 と
E3 に流れていることになります.
電圧 V は,図 1(b) に示すように,薄い緑の部分の電位から薄い青の部分の電位を
引いたものです.したがって,電圧 V は R1 と J1 にかかっていることになります.
電気回路学 I 及び演習 (web 公開:2016-08-01)
電流 !
QA–4
電圧 " = ( の電位) ー ( の電位)
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図 1:模擬試験(期末試験 2014)-問題 2
同様に,2015 期末試験の問題 2 の回路を図 2 に示します.
電流 I は,図 2(a) の薄いピンクの枝を流れる電流です.電流 I は,R3 に流れてい
ることになります.また,KCL から,下側の枝にも同じ電流 I が流れていることが分
かります.
電圧 V は,図 2(b) に示すように,薄い緑の部分の電位から薄い青の部分の電位を
引いたものです.したがって,電圧 V は R4 と J にかかっていることになります.
電流 !
電圧 " = ( の電位) ー ( の電位)
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図 2:期末試験 2015-問題 2