確 率 論 ~大数の法則・中心極限定理~ 大数の法則 表と裏の出る確率が等しいコインを投げる試 行を考え、試行回数nと表の出る割合の関係を 調べる。ここで表の出る回数をXとする。 例えば、コインをn=5回投げるとき、表の出る 回数Xはパラメータn=5, p=1/2の二項分布に 従うので 表の出る割合 0.0 表の出る回数 0 1 2 3 4 5 0.03 0.16 0.31 0.31 0.16 0.03 確率 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1.0 コインをn=10回投げるとき、表の出る回数X はパラメータn=10, p=1/2の二項分布に従う ので 表の出る割合 0.0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1.0 表の出る回数 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 0.00 0.01 0.04 0.12 0.21 0.25 0.21 0.12 0.04 0.01 0.00 確率 コインをn=20回投げるときは 表の出る割合 0.0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1.0 表の出る回数 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 0.00 0.00 0.00 0.04 0.12 0.18 0.12 0.04 0.00 0.00 0.00 確率 n=5のとき n=10のとき 0.35 0.3 0.3 0.25 0.25 0.2 0.2 0.15 0.15 0.1 0.05 0.1 0 0.05 0 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1 n=20のとき 0.2 0.18 0.16 0.14 0.12 0.1 0.08 0.06 0.04 0.02 1 0.9 0.95 0.85 0.8 0.75 0.7 0.65 0.6 0.55 0.5 0.4 0.45 0.35 0.3 0 0.25 1 0.2 0.8 0.15 0.6 0.1 0.4 0.05 0.2 0 0 確率収束 確率変数の列 に対して、 c をある定数とする。与えられた正数 に 対して となるとき、確率変列 するという。これを で表す。 はc へ確率収束 大数の法則 確率変数 が期待値E,分散 b2の確率分布に従い、互いに独立であると する。また、 とする。確率変数の数n→∞のとき になる。 大数の法則の証明 チェビシェフの不等式から、与えられた正 数εに対して 中心極限定理 確率変数 が期待値μ,分散 σ2の確率分布に従い、互いに独立であると する。また、 とする。確率変数の数n→∞のとき、 は 期待値μ, 分散 σ2/n の正規分布に従う。 中心極限定理の証明 中心極限定理の例 中心極限定理の例 中心極限定理の例 中心極限定理の例 二項分布の正規分布による近似 表が出る確率が1/2であるコインを10回投げ る試行において、表が8回以上出る確率を求 める。この試行で10回中 k 回表が出る確率は の二項分布になる。よって、表が8回以上出る 確率は 次にコインを1000回投げたとき、表が520回以 上出る確率を求める。 12151960224675373195790978649798867852914574560134 9471164412224427446635600353253838367735103823782 5641493867559277386265379114214337210034770474666 6488604334146817684807853274676091762591303543175 78945748922587485262721184729423719552933742795909 21038519197243544259580292514478245780003471261501375 組み合わせの数が大きすぎて計算できない! コイン投げの各回はベルヌーイ分布で、1000回中 表の出る回数をX とすると、 なので、中心極限定理から はコイン投げの回数が大きいとき標準正規分布で 近似できる。 コインを1000回投げたとき、表が520回以上 出る確率は となる。 Mathematicaで正確な値を求めると、0.1087 である。二項分布の正規分布による近似を 行ったとき、十分な精度を得るための必要条 件は np>5 かつ n(1‐p)>5 である。 他の確率分布の正規分布による近似 ある会社に1日にかかってくる電話の数は Poisson分布に従っていて、その期待値は100で ある。この会社にかかってくる1ヶ月(30日)の電 話の数の合計が3100以上である確率を求め る。ただし、各日のかかってくる電話の数は独 立であるとする。 会社にk日(1 ≦ k ≦ 30)にかかってくる電話の 数をXk とすると、 Xk はパラメータ100のPoisson 分布に従っている。 1ヶ月(30日)の電話の数の 合計をY とすると、Y はパラメータ3000の Poisson分布に従う(Poisson分布の再生性)。 Poisson分布の定義に従い、この会社にかかっ てくる1ヶ月(30日)の電話の数の合計が3100以 上である確率を求めると を求めることになる。これは大変なので、中心 極限定理を用いて、正規分布で近似する。 なので、求める確率は Mathematicaにより前ページの級数を正確 に計算すると0.03517となる。 演 習 1冊の重さが期待値20g、標準偏差1gの 確率分布に従うパンフレットがある。これ を30冊束ねるとき、その重さが590g以上 610以下である確率を求めよ。ただし、各 冊の重さは独立であるとする。
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