通貨レポート Vol.4 ポイント① 2016年は概ね上昇基調で推移 ポイント②

通貨レポート Vol.4
ポイント① 2016年は概ね上昇基調で推移
2016年の南アフリカランドの対米ドル相場は、年初に大
幅に下落したものの、その後は米国の早期利上げ観測の
後退や資源価格の反発などを背景に、概ね上昇基調で推
移しました。6月23日の英国の国民投票でEU(欧州連
合)離脱派勝利が判明した際には、英国との経済的結び
つきが他の新興国に比べて強いことから、ランドは一時的に
大きく下落しましたが、その後は再び上昇に転じました。
2015年は、資源価格の下落や中国経済の減速懸念な
ど外的な環境に加えて、財務大臣の更迭など国内の政治
的な混乱もあり大きく売られましたが、2016年の上昇幅は
新興国通貨の中でも相対的に大きくなっています。
ポイント② 南アフリカの景気は低迷
ランドが足元で上昇している一方で、南アフリカの景気は
低迷を続けています。2016年1-3月期の実質GDP(国
内総生産)成長率は前年同期比▲0.6%と、2009年
以来のマイナス成長となりました。電力の供給不足や労働
争議などが成長を下押しし、慢性的な経常赤字も懸念さ
れています。景気後退や政治情勢の悪化を受け、国債が
投機的水準へ格下げされる懸念があることには留意が必
要です。
また、ランド安や干ばつの影響などによる食料品価格の上
昇などから、2016年に入りインフレ率の伸びが加速しました。
足元ではランドの反発などを受けやや減速しましたが、6月
のインフレ率は前年同月比+6.3%と依然高水準です。
ポイント③ インフレ対応や国内情勢に注目
インフレ圧力の高まりから、南アフリカ準備銀行(中央銀
行)は2015年7月以降、2016年3月までに計1.25%の
利上げを行ないました。インフレ率は同中銀のインフレター
ゲット(+3~6%)の上限を上回っていることから、今後も
金融引き締め姿勢を継続するとみられます。
また、8月3日には地方選挙が予定されています。選挙後
の政治リスクの高まりを心配する声もあります。
実質実効為替レートでみると、南アフリカランドは過去比
較では割安圏にありますが、中長期的に上昇するためには、
まずは政治情勢の安定が必要と考えられます。安定した政
権下で、インフレ抑制と財政健全化に取り組んでいけるか
が注目されます。
ご参考資料
2016年7月
図1:為替レートの推移
期間:2014年12月31日~2016年7月25日、日次
(円/南アフリカランド)
(南アフリカランド/米ドル、逆目盛)
11
10
対円レート(左軸)
対米ドルレート(右軸)
10
12
9
8
7
14
16
南アフリカランド高
18
南アフリカランド安
6
20
14/12 15/2 15/4 15/6 15/8 15/10 15/12 16/2 16/4 16/6
(年/月)
図2:インフレ率と政策金利、実質GDP成長率の推移
14
(%)
期間:2007年12月~2016年6月、月次
実質GDP(前年同期比)
12
インフレ率(前年同月比)
10
政策金利
8
6
4
2
0
-2
-4
07/12
09/12
11/12
13/12
(年/月)
15/12
政策金利は月末値。実質GDP成長率は四半期、2016年1-3月期まで。
図3:南アフリカランドの実質実効為替レートの推移
期間:1999年12月31日~2016年7月25日、日次
120
(2010年=100)
割高
110
100
割安
90
80
70
60
50
99/12
03/12
07/12
11/12
15/12
(年/月)
(出所)Bloombergデータより野村アセットマネジメント作成
当資料は、投資環境に関する参考情報の提供を目的として野村アセットマネジメントが作成したご参考資料です。投資勧誘を目的とした資料ではありません。当資料は市場全般の推奨や証券市場等の動向
の上昇または下落を示唆するものではありません。当資料は信頼できると考えられる情報に基づいて作成しておりますが、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。当資料に示された意見等は、
当資料作成日現在の当社の見解であり、事前の連絡なしに変更される事があります。なお、当資料中のいかなる内容も将来の投資収益を示唆ないし保証するものではありません。投資に関する決定は、お客
様ご自身でご判断なさるようお願いいたします。投資信託のお申込みにあたっては、販売会社よりお渡しします投資信託説明書(交付目論見書)の内容を必ずご確認のうえ、ご自身でご判断ください。
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【ご参考】各国の為替レート(対米ドル、対円) 期間:2013年12月31日~2016年7月25日、日次
南アフリカ
トルコ
(円/トルコリラ)
60
(トルコリラ/米ドル)
1.5
対円(左軸)
対米ドル(右軸、逆目盛)
50
40
2.0
2.5
3.0
トルコリラ安
14/6
14/12
15/6
15/12
3.5
16/6(年/月)
メキシコ
(円/メキシコペソ)
9
(メキシコペソ/米ドル)
12
8
14
7
16
(南アフリカランド/米ドル)
10
10
12
9
14
8
トルコリラ高
30
20
13/12
(円/南アフリカランド)
11
16
南アフリカランド高
対円(左軸)
7
6
13/12
14/6
14/12
15/6
ブラジル
(円/ブラジルレアル)
50
6
18
対円(左軸)
メキシコペソ安
5
13/12
14/6
対米ドル(右軸、逆目盛)
14/12
15/6
15/12
インド
20
16/6(年/月)
20
16/6(年/月)
15/12
(ブラジルレアル/米ドル)
2.0
ブラジルレアル高
45
2.5
ブラジルレアル安
40
メキシコペソ高
18
対米ドル(右軸、逆目盛)
南アフリカランド安
35
30
25
13/12
3.0
3.5
対円(左軸)
4.0
対米ドル(右軸、逆目盛)
14/6
14/12
15/6
4.5
16/6(年/月)
15/12
インドネシア
(インドルピー/米ドル)
50
(円/インドルピー)
2.0
1.8
55
(円/100インドネシアルピア)
1.1
(インドネシアルピア/米ドル)
11,000
ルピア高
1.0
12,000
ルピア安
ルピー高
1.6
60
0.9
65
0.8
13,000
ルピー安
1.4
1.2
13/12
対円(左軸)
対米ドル(右軸、逆目盛)
14/6
14/12
15/6
15/12
70
16/6(年/月)
0.7
13/12
対米ドル(右軸、逆目盛)
14/6
14/12
中国
15/6
15/12
20
6.2
(米ドル/豪ドル)
1.0
豪ドル高
(円/豪ドル)
110
100
0.9
人民元安
18
16
14
13/12
対円(左軸)
対米ドル(右軸、逆目盛)
14/6
14/12
15/6
15,000
16/6(年/月)
オーストラリア
(人民元/米ドル)
6.0
人民元高
(円/人民元)
22
14,000
対円(左軸)
15/12
(出所)ブルームバーグデータより野村アセットマネジメント作成
豪ドル安
6.4
90
6.6
80
6.8
16/6(年/月)
70
13/12
0.8
0.7
対円(左軸)
対米ドル(右軸)
14/6
14/12
15/6
15/12
0.6
16/6(年/月)
当資料は、投資環境に関する参考情報の提供を目的として野村アセットマネジメントが作成したご参考資料です。投資勧誘を目的とした資料ではありません。当資料は市場全般の推奨や証券市場等の動向
の上昇または下落を示唆するものではありません。当資料は信頼できると考えられる情報に基づいて作成しておりますが、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。当資料に示された意見等は、
当資料作成日現在の当社の見解であり、事前の連絡なしに変更される事があります。なお、当資料中のいかなる内容も将来の投資収益を示唆ないし保証するものではありません。投資に関する決定は、お客
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