2016.7.29|人間の忘れてしまうという欠点

東京ジャーミイ金曜日のホトバ
2016 年 7 月 29 日
人間の忘れてしまうという欠点
ムスリムの皆様。
人間は、本質的に善なる存在です。人間が悪事を
働くことの背景には、本質的に備えている良いと
ころを仕事や家庭、生活に活かしていないという
ことがあります。それでは、なぜ活かすことがで
きないのでしょうか。その善なる本質を忘れてし
まうからです。自らを忘れ、そして主の御前にい
ることも忘れ、やがてアッラーも忘れてしまいま
す。
兄弟姉妹の皆様。
人間は、被造物の中で知識を最もよく生み出し、
用いる存在です。しかしその特性にもかかわらず、
最も忘れやすいのも人間です。人間が忘れやすい
のは他者のことだけでな
く、自らの魂も忘れ、自
らに与えられた責務 も忘
れてしまいます。
しかし人間は、水のよ
うにアッラーの特徴を現
し、その美名を 映し出す
鏡のような存在です。つ
まり、知識、力、あわれ
み、気前のよさ、見極め
る力、叡智、真理、誠実
さ、信頼性、偉大さ、誉
れ、差恥心、生命などを人間が映し出すような形
で創造されています。
それゆえ悪魔は万物の主に対して、次のよう
に言っています。「最も尊い被造物として誤った
存在を選んだ。誤った者に使命を負わせた。それ
に適しているのは私だ。人間はアッラーから命じ
られたことを行なわない。貴方が誤って選んだた
1
め、私はサジダを拒否します」 と言いました。
天使達は、最初に人間が「地上で悪を行い、血を
流すものを置かれるのですか」 2 と心配したので
す。しかし崇高なるアッラーは、『本当にわれは
あなた方が知らないことを知っている』と仰せら
れ、心配することなく、やがて天使たちはアーダ
3
ムにサジダしました。 このように自らを忘れて
しまう人間は、アッラーから与えられた優れた資
質や責務を忘れてしまいます。
ムスリムの皆様。
『あなたがたが何処にいようとも、かれはあなた
がたと共にあられる』4 と聖クルアーンにあるに
もかかわらず、人間は時に家や学校そして職場で
アッラーと共にいること、そしてアッラーの御前
にいることを忘れてしまいます。このような人間
の一番の特徴は、災難が降りかかるとアッラーに
祈り、災難が去り、普段の生活に戻ればアッラー
を忘れてしまうのです。 5 人間の忘れるという欠
点は、社会における道徳的、社会的均衡を崩す原
因ともなります。さらに人
間の忘れやすさは、慈悲、
忠実さ、公正、冷静、慈し
み、率直さ、合法なものを
飲食すること、いたわりの
心といった人間的かつイス
ラーム的な価値を失うこと
になってしまうのです。
忘れ去ることは、自分
に『頸動脈よりも近い主』
6
、創造主、手にしている
あらゆるものにおいて借り
のあるお方を忘れるほど酷い状態になります。そ
れほどまで忘れ去ることは、最も恐ろしいことで
す。ここまで至ると、人間はあらゆる悪事に手を
染める可能性があります。なぜならその人は忘れ
てはいけないこと全て忘れたからです。自らの主
アッラーを忘れる者は、他のどのような善さえ思
い起こすことができなくなるのです。
何時でも何処にいても主の御前にいることを
忘れないようにしましょう。あらゆるとき、瞬間
においてそのお方を思い起こす言葉や振る舞いを
大切にし、そうすることによってこの世と来世を
よきものとしましょう。
3
参照、第 2 章 34 節.
第 57 章 4 節.
5
参照、第 39 章 8 節.
6
第 50 章 16 節.
4
1
参照、第 15 章 26-33 節; 第 16 章 49-50 節.
第 2 章 30 節.
2
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