『パンセ パスカル(100分de名著)』(鹿島 茂/NHK出版)〔抜粋〕

『パンセ パスカル(100分de名著)』(鹿島 茂/NHK出版)〔抜粋〕
H25.9.1
加藤 廣志
NHKの番組に「100分de名著」という番組があります。 これは、その番組の中で、「パスカルの原理」で知られるフ
ランスの数学者・物理学者のブレーズ・パスカル(1623-1662)の主著、『パンセ(=思想・思考)』を解説したテキストか
ら、一部を抜粋したものです。
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◇職業は
職業は偶然によって
偶然によって選
によって選ばれる .
・ 「一生のうちで
一生のうちで一番大事
のうちで一番大事なのは
一番大事なのは、
なのは、どんな職業
どんな職業を
職業を選ぶかということ
ぶかということ、
ということ、これに尽
これに尽きる。 きる。 ところが
。 ところが、
ところが、それは偶然
それは偶然によって
偶然によって左右
によって左右
される。 。 習慣
される
。 習慣が
習慣が、石工を
石工を、兵士を
兵士を、屋根葺き
屋根葺き職人をつくる
職人をつくるのだ
をつくるのだ。」
のだ。」(断章97)
。」
・ 「人間は
人間は、屋根葺き
屋根葺き職人だろうと
職人だろうと何
だろうと何だろうと、
だろうと、生まれつき、
まれつき、あらゆる職業
あらゆる職業に
職業に向いている。 いている。 向
。 向いていないのは、
いていないのは、部屋にじっ
部屋にじっ
としていることだけだ
としていることだけだ。」(断章138)
。」
◇幸福とは
幸福とは何
とは何か? .
⇒飢餓の時代には、空腹を満たすということが幸福です。 しかし、社会が飢餓から遠ざかると、空腹の充足だけでは
幸福と言えなくなりますから、幸福の到達目標もまた遠ざかることになります。 やっと掴まえたと思った幸福は、次の
瞬間には「幸福ではない」と判断され、到達目標はさらに遠ざかっていきます。
その結果、いつまで経っても幸福を掴めないから、自分は不幸だと考える人間がどんどん増えてくるのです。
・ 「私は、人間のあらゆる
人間のあらゆる不幸
のあらゆる不幸は
不幸は、たった一
たった一つのことから来
つのことから来ているという事実
ているという事実を
事実を発見してしまった
発見してしまった。 してしまった。 人
。 人は部屋の
部屋の中にジッ
としたままではいられないということだ
としたままではいられないということだ、 (
ということだ、 (中略
、 (中略)
中略)人が会話や
会話や賭け事などの気晴
などの気晴らしに
気晴らしに耽
らしに耽(ふけ)
ふけ)るのも、
るのも、自宅に
自宅にジッとして
ジッとして
いられないからに過
いられないからに過ぎない。」
ぎない。」(断章139)
。」
◇人間は
人間は暇を不幸だと
不幸だと感
だと感じる .
・ 「彼らは知
らは知らないのだ、
らないのだ、自分の
自分の欲望がどれほど
欲望がどれほど貪婪
がどれほど貪婪(どんらん)
どんらん)な性質を
性質を持っているかを。 っているかを。 だから
。 だから、
だから、自分は
自分は心の底から
休息を
なのだ。」(断章139)
。」
休息を欲していると思
していると思い込んでいるのだが、
んでいるのだが、実際に
実際に求めているのは、
めているのは、興奮すること
興奮することなのだ
することなのだ。」
・ 「あらゆる満足
あらゆる満足に
満足に取り囲まれた王
まれた王に、何の気晴らしも
気晴らしも与
らしも与えられていないとしたら、
えられていないとしたら、どうなるか? どうなるか? 王
? 王は必然的に
必然的に自分と
自分と
いうもののことを考
いうもののことを考え、考察を
考察を巡らすことになるはずだが、
らすことになるはずだが、こうした退屈
こうした退屈きわまりない
退屈きわまりない幸福
きわまりない幸福は
幸福は、王の心の支えとはなり得
えとはなり得
ないだろう
ないだろう。 (
。 (中略
中略)
)
だろう。 (中略
その結果
その結果、
結果、いわゆる気晴
いわゆる気晴らしというものを
気晴らしというものを持
らしというものを持たない王
たない王は、なんとも不幸
なんとも不幸な
不幸な人間、
人間、彼の臣下の
臣下の一番身分が
一番身分が下の者よりも
不幸な
不幸な人間となる
人間となるに
となるに違いない。 いない。 そうした
。 そうした身分
そうした身分が
身分が下の臣下は
臣下は、少なくとも賭
なくとも賭け事や気晴らしができる
気晴らしができる。」
らしができる。」(断章139)
。」
⇒パスカルは労働者にとっての労働も、遊び人にとっての賭け事も、また王侯貴族にとってのダンスやおしゃべりも、
すべて自分について考えないでいるための気晴らしであるという立場に立っています。 こうした気晴らしがあるからこ
そ、人間は自分の置かれている悲惨、すなわち、死すべき運命にあるということを考えないで済む、というわけです。
◇不幸から
不幸から目
から目をそらすための気晴
をそらすための気晴らし
気晴らし .
・ 「遊び人に賭け事をやめさせ、
をやめさせ、賭け事で稼げるはずの金額
げるはずの金額を
金額を与えても満足
えても満足しない
満足しない。 しない。 それでは
。 それでは、
それでは、次に男に金を掛けず
に賭け事をやらせたとしても、
をやらせたとしても、喜ばれないだろう
ばれないだろう。 だろう。 男
。 男に必要なのは
必要なのは、
なのは、カッカと
カッカと頭に血が上がること、
がること、および、
および、掛け金が
手に入れば幸
れば幸せになれると思
せになれると思い込んで、
んで、自分を
自分を欺くことなのだ。」
くことなのだ。」(断章139)
。」
・ 「人間というものは
人間というものは、
というものは、どれほど悲
どれほど悲しみで一杯
しみで一杯でも
一杯でも、
でも、何か気晴らしになるようなことに
気晴らしになるようなことに引
らしになるようなことに引き込まれたら、
まれたら、その間
その間は幸せに
なれるのだ
なれるのだ。」
のだ。」(断章139)
。」
◇人間は
人間は考える葦
える葦である .
・ 「人間は
人間は一本の
一本の葦(あし)
あし)に過ぎない。 ぎない。 自然
。 自然の
自然の中で最も弱いものの一
いものの一つである。 つである。 しかし
。 しかし、
しかし、それは考
それは考える葦
える葦なのだ。 なのだ。 人
。 人
間を押し潰すためには、
すためには、全宇宙が
全宇宙が武装する
武装する必要
する必要はない
必要はない。 はない。 蒸気
。 蒸気や
蒸気や一滴の
一滴の水でさえ人間
でさえ人間を
人間を殺すに足
すに足りる。 りる。 しかし
。 しかし、
しかし、たと
え宇宙が
宇宙が人間を
人間を押し潰したとしても、
したとしても、人間は
人間は自分を
自分を殺す宇宙より
宇宙より気高
より気高いと
気高いと言
いと言える。 える。 なぜならば
。 なぜならば、
なぜならば、人間は
人間は自分が
自分が死ぬこ
とを、
とを、また宇宙
また宇宙の
宇宙の方が自分よりも
自分よりも優位
よりも優位だということを
優位だということを知
だということを知っているからだ。 っているからだ。 宇宙
。 宇宙はこうしたことを
宇宙はこうしたことを何
はこうしたことを何も知らない。
らない。
だから、
。 私たちはその考
たちはその考えるというところから立
えるというところから立ち上が
だから、私たちの尊厳
たちの尊厳は
尊厳は、すべてこれ、
すべてこれ、“考える”
える”ことの中
ことの中に存する。 する。 私
らなければならないのであり、
らなければならないのであり、私たちが満
たちが満たすすべを知
たすすべを知らない空間
らない空間や
空間や時間から
時間から立
から立ち上がるのではないのだ。 がるのではないのだ。 ゆえに
。 ゆえに、
ゆえに、
よく考
よく考えるように努力
えるように努力しよう
努力しよう。 しよう。 ここに
。 ここに道徳
ここに道徳の
道徳の原理があるのだ
原理があるのだ。」
があるのだ。」(断章347)
。」
太字の
「」内
パンセの
文章、細字の⇒以下は、テキスト著者(鹿島 茂)の文章。
備考 太字
太字
の「」
内は、パンセ
の文章