NEWS RELEASE 2016年07月25日 【格付維持】 インド 外貨建発行体格付: BBB [格付の方向性:安定的] 外貨建短期債務: a-2 格付投資情報センター(R&I)は上記の格付を公表しました。 【格付理由】 経済は回復基調を保ち、インフレも抑制されている。財政赤字は削減基調にあり、各種の制度改革も 進められている。経常赤字はやや拡大する見通しだが、海外直接投資が堅調にはいっておりファイナン ス面で大きな問題とはならないだろう。金融システム上の懸念も限定的だ。これらの点を考慮し、外貨 建発行体格付BBBを維持した。当面の経済成長にも大きな崩れはないとの判断から格付の方向性は安定的 とした。経済改革への期待が高いモディ政権も巨大な民主主義国家にあって改革の実行には苦慮する が、現在、取り組まれている各方面の改革が進めば、中長期的にも高い成長率を見込めよう。 2015年度(2015年4月-2016年3月、以下同様)の実質国内総生産(GDP)が世界の主要国の中でもっと も高い成長率を記録。インフレの低下で民間消費が安定的に推移している。モディ政権の経済改革への 信頼感が増すことで民間投資に力強さが出てくれば、より裾野の広い成長が可能となろう。 ただ経済状況の認識においては、2015年に行なわれたGDP統計の改定の影響にまだ留意が必要だと考え ている。デフレーターや需要面の推計などが主な理由だ。インド経済が回復軌道に乗っていることは確 かだが、実際に7%台後半から8%の成長を遂げているかどうかは、まだ当面は議論の対象となろう。 財政赤字(中央・州政府合算)は一進一退だが削減されてきており、補助金制度の改革なども進んで いる。当面、財政規律は維持されるとみている。公共投資など経済基盤の強化に必要な支出を確保しつ つ、財政赤字の削減基調を保てるか、政府の手腕が問われよう。 累積する赤字で州財政を圧迫してきた州電力公社(SEB)の問題に関し、配電会社の債務買取り・証券 化を骨子とした改革案が認可されたことは評価できる。経営効率や配電ロスの低下などを含めた包括的 な対策を取り、一過性の措置に終わることなく、州政府財政に構造的な改善をもたらすか注目したい。 政府債務比率は緩やかな削減基調にあるが、足許では名目GDP成長率が伸び悩んだため、財政赤字の抑 制にも関わらず若干上昇した。緒に就いたインフレ抑制は経済にとって望ましいだけに、実質GDPの伸び を確かなものにするとともに、財政赤字を着実に減らして債務の伸びを抑制していくことが重要だ。 金融システムの中核を成す銀行セクターは依然として政府主導色が強い。政策的意図が業務に強く反 映される国営銀行は財務的に脆弱で、不良債権の85%程度が集中するなど健全性がやや気にかかる。金 融システム上のリスクというよりも経済成長への貢献ができるかという問題で、政府が着手する民間経 営者の任命などを骨子とする公的銀行部門の改善計画の効果がどれだけ表れるか注目だ。 与信の伸びが鈍る一方、不良債権比率は高まっている。資金需要の弱さもあるが、インド準備銀行 (RBI)が不良債権の取り扱いに関して厳しく対応するように各銀行に求めていることも背景にあろう。 貸出条件の緩和措置なども踏まえれば、実態はより厳しいという見方が大勢だ。 不良債権の抜本的処理に向けた動きは、短期的には銀行収益や与信の伸びなどに悪影響を及ぼすが、 経済成長を後押しする銀行部門へと転換するためには不可欠だ。政治が介入しやすいだけに、強いリー ダーシップを持つラグラム・ラジャンRBI総裁の退任が影響しないか注目したい。政府の側の姿勢も厳し く問われよう。 物品サービス税(GST)や土地収用法など、モディ政権の目玉ともいえる大がかりな法改正には今後も 大きな政治的努力が必要となる。与党連合は下院で過半数を占める一方、上院では少数派であり政策遂 行環境は万全ではない。上院は各州議会の議員による間接選挙であり、一進一退が続く州議会選挙で今 後も着実に勝利を重ねていく必要がある。自党をまとめるためにも選挙での勝利は重要だ。 R&Iは、ここまでRBI主導で試みられてきた金融政策や銀行セクターの改革を高く評価している。ラ ジャン総裁が端緒を開いた改革群は組織的に受け継がれるとは思うが、金融政策会合において最終決定 票を持つなど、総裁の存在は依然として大きい。万が一、ラジャン氏の退任後にRBIの政策目的を歪める 形で政府の意向が反映されるような状況になれば、信用力にも遠からず悪影響を及ぼすと予想される。 ■お問合せ先 :インベスターズ・サービス管理部 TEL.03-3276-3511 E-mail [email protected] ■報道関係のお問合せ先 :経営企画室(広報担当) TEL.03-3276-3438 株式 会社 格付投資情報センター 〒103-0027東京都中央区日本橋1-4-1 日本橋一丁目三井ビルディング http://www.r-i.co.jp 信用格付は、発行体が負う金融債務についての総合的な債務履行能力や個々の債務等が約定通りに履行される確実性(信用力)に対するR&Iの意見であり、事実の表明ではありませ ん。また、R&Iは、信用リスク以外のリスクにつき意見を表明するものではなく、投資判断や財務に関する助言や、投資の是非等の推奨をするものではありません。R&Iは、信用格付に 際し関連情報の正確性等につき独自の検証を行っておらず、これに関し何ら表明も保証もいたしません。R&Iは、信用格付(変更・取り下げ等を含む)に関連して発生する損害等につ き、何ら責任を負いません。信用格付は、原則として発行体から対価を受領して実施したものです。なお、詳細につきhttp://www.r-i.co.jp/jpn/policy/policy.html をご覧下さい。 ⓒRating and Investment Information, Inc. NEWS RELEASE 【格付対象】 発行者:インド 名称 格付 格付の方向性 外貨建発行体格付 BBB(維持) 安定的 名称 格付 外貨建短期債務 a-2(維持) ■お問合せ先 :インベスターズ・サービス管理部 TEL.03-3276-3511 E-mail [email protected] ■報道関係のお問合せ先 :経営企画室(広報担当) TEL.03-3276-3438 株式 会社 格付投資情報センター 〒103-0027東京都中央区日本橋1-4-1 日本橋一丁目三井ビルディング http://www.r-i.co.jp 信用格付は、発行体が負う金融債務についての総合的な債務履行能力や個々の債務等が約定通りに履行される確実性(信用力)に対するR&Iの意見であり、事実の表明ではありませ ん。また、R&Iは、信用リスク以外のリスクにつき意見を表明するものではなく、投資判断や財務に関する助言や、投資の是非等の推奨をするものではありません。R&Iは、信用格付に 際し関連情報の正確性等につき独自の検証を行っておらず、これに関し何ら表明も保証もいたしません。R&Iは、信用格付(変更・取り下げ等を含む)に関連して発生する損害等につ き、何ら責任を負いません。信用格付は、原則として発行体から対価を受領して実施したものです。なお、詳細につきhttp://www.r-i.co.jp/jpn/policy/policy.html をご覧下さい。 ⓒRating and Investment Information, Inc. NEWS RELEASE 信用格付に関わる事項 信用格付業者 登録番号 株式会社格付投資情報センター 金融庁長官(格付)第6号 直近一年以内に講じられた監督上の措置は、ありません。 主任格付アナリスト 関口 健爾 信用格付の付与について 代表して責任を有する者 細田 弘 信用格付を付与した日 2016年07月19日 主要な格付方法 ソブリンの格付の考え方 [2012.03.16] 上記格付方法は、格付を行うにあたり考慮した他の格付方法とともに以下のウェブサイトに掲載して います。 http://www.r-i.co.jp/jpn/cfp/about/methodology/index.html 評価の前提は、以下のウェブサイトの格付付与方針に掲載しています。 http://www.r-i.co.jp/jpn/ratingpolicy/index.html 格付符号とその定義は、以下のウェブサイトに掲載しています。 http://www.r-i.co.jp/jpn/cfp/about/definition/index.html 格付関係者 インド 注 格付関係者は、金融商品取引業等に関する内閣府令第三百七条に基づいて、R&Iが判断したものです。 利用した主要な情報 政府を含む公的機関が作成した財政・経済資料 品質確保のための措置 政府を含む公的機関が作成した、またはそれに準じた信頼性が確保さ れている資料であること。 情報提供者 - 信用格付の前提、意義及び限界 R&Iの信用格付は、発行体が負う金融債務についての総合的な債務履行能力や個々の債務等が約定 通りに履行される確実性(信用力)に対するR&Iの意見です。R&Iは信用格付によって、個々の債務等 の流動性リスク、市場価値リスク、価格変動リスク等、信用リスク以外のリスクについて、何ら意見 を表明するものではありません。信用格付は、いかなる意味においても、現在・過去・将来の事実の 表明ではありません。また、R&Iは、明示・黙示を問わず、提供する信用格付、又はその他の意見に ついての正確性、適時性、完全性、商品性、及び特定目的への適合性その他一切の事項について、い かなる保証もしていません。 R&Iは、信用格付を行うに際して用いた情報に対し、品質確保の措置を講じていますが、これらの 情報の正確性等について独自に検証しているわけではありません。R&Iは、必要と判断した場合に は、信用格付を変更することがあります。また、資料・情報の不足や、その他の状況により、信用格 付を保留したり、取り下げたりすることがあります。 利息・配当の繰り延べ、元本の返済猶予、債務免除等の条項がある債務等の格付は、その蓋然性が 高まったとR&Iが判断した場合、発行体格付又は保険金支払能力とのノッチ差を拡大することがあり ます。 信用格付に関わる留意事項 当該信用格付は、格付関係者からの依頼によるものではありません。 格付関係者から信用評価に重要な影響を及ぼす非公開情報は入手していません。 ■お問合せ先 :インベスターズ・サービス管理部 TEL.03-3276-3511 E-mail [email protected] ■報道関係のお問合せ先 :経営企画室(広報担当) TEL.03-3276-3438 株式 会社 格付投資情報センター 〒103-0027東京都中央区日本橋1-4-1 日本橋一丁目三井ビルディング http://www.r-i.co.jp 信用格付は、発行体が負う金融債務についての総合的な債務履行能力や個々の債務等が約定通りに履行される確実性(信用力)に対するR&Iの意見であり、事実の表明ではありませ ん。また、R&Iは、信用リスク以外のリスクにつき意見を表明するものではなく、投資判断や財務に関する助言や、投資の是非等の推奨をするものではありません。R&Iは、信用格付に 際し関連情報の正確性等につき独自の検証を行っておらず、これに関し何ら表明も保証もいたしません。R&Iは、信用格付(変更・取り下げ等を含む)に関連して発生する損害等につ き、何ら責任を負いません。信用格付は、原則として発行体から対価を受領して実施したものです。なお、詳細につきhttp://www.r-i.co.jp/jpn/policy/policy.html をご覧下さい。 ⓒRating and Investment Information, Inc.
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