(電磁気学 (I)(`16)予想問題解答例

(電磁気学 (I)(’16)予想問題 解答例)
1. C に置かれた点電荷は、A, B の電荷のいずれからも同じ大きさのクー
ロン力(引力)を受けるので、その合力は、線分 AB に垂直で、大きさは
√ Q2
3k 2
d
である。
2.
(1) 極板 A で単位面積の面を考えると、面内にある電荷は Q
であり、こ
S
Q
れから発する電気力線の総数は ²0 S 本。よって、極板間の極板と平行な単
位面積の面を考えると、その面を垂直に突き抜ける電気力線の数は、や
はり ²Q
本となるが、一方で、これは極板間における電界の大きさ E に
0S
他ならない。つまり E = ²Q
となる。
0S
極板間の電位差(電圧)V は、単位電荷を負極から正極まで運ぶのに
必要とされる仕事なので、V = Ed となる。よって V = ²Qd
。
0S
(2) 点 P から直線に下した垂線の足を O とすると、電荷分布は線分 OP
に関する折り返しの下で不変である。また電荷分布は、直線の方向に移
~ は直線に垂直
動しても不変である(無限に長いので)。よって、電界 E
で、またその大きさは、直線からの距離が同じであれば、どこでも同じ
になる。
そこで、直線を囲み、側面が点 P を通る様な長さ l の円筒(底面の円
の半径は r で、円の中心を直線が通る)を曲面 S としてガウスの法則を
用いる。 円筒の底面では電界は面に平行で En = 0 となるので、P にお
ける電界の大きさを E とすると
∫
S
En dS = E · (2πrl) =
λl
²0
が得られる。よって、E = 2π²λ0 r と求まる。
(3) 電荷の分布している球体の中心を O とする。まず、電荷分布は線分
OP を回転軸とする回転の下で不変なので、P における電界は線分 OP の
方向を向く。また、電荷分布は O の周りの回転の下で不変なので、電界
の大きさは O からの距離が同じであれば、どこでも同じになる。つまり、
電界ベクトルは、O を中心とした放射線状になる。そこで、O と中心と
し、点 P を通る半径 r (0 ≤ r ≤ a) の球面を曲面 S としてガウスの法則
を書くと、P における電界の大きさを E として
∫
∫
ρ 4πr
3
En dS = E dS = E · (4πr ) =
²0
S
S
3
2
となる。よって、E =
ρr
3²0
と求まる。
3. O を基準点としたときの P の電位は、O から P まで単位電荷を運ぶ
仕事 Ed に等しい(P の方が Ed だけ電位が高い)。よって電子が P で持
つ電気的な位置エネルギーは (−e)Ed = −eEd である。よって電子が O
から P まで運動するとき、電子の位置エネルギーは eEd だけ減少し、逆
に運動エネルギーは eEd だけ増加する。つまり、電子が P に達した時の
運動エネルギーは eEd であり、その速さ v は
1 2
mv = eEd → v =
2
√
2eEd
m
で与えられる。
4.
(1) 時刻 t において回路に流れる電流を I(t) とすると、電流はコンデン
サーの電荷の減少により生じるので
I=−
dQ
dt
の関係がある。一方、抵抗の両端の電圧を V とすると、オームの法則よ
り V = IR と書けるが、一方これはコンデンサーの電圧 V = Q
にも等し
C
いので
Q
I=
CR
という関係も得られる。これらを組み合わせると
Q
dQ
=−
dt
CR
という微分方程式が導かれる。 (2) (1) の微分方程式は “変数分離法”を用いて
∫
∫
dQ
dt
=−
Q
CR
→ log Q = −
t
+c
CR
→ Q(t) = Ce− CR (C = ec : 定数)
t
の様に解くことが出来る。ここで Q(0) = C = Q という初期条件を用い
ると、結局 t
Q(t) = Qe− CR
と求まる。また、十分時間が経つ (t → ∞) と Q(∞) = 0 となる。つまり、
完全に放電して電荷はゼロとなる。
5. 点 P に生じる電界の大きさは E = k rQ2 (r = |~r|) であり、また電界は原
点から P に向かう方向、つまり ~r の方向を向く。よって、電界は ~r の方
向の単位ベクトル ~r̂ = ~rr を用いて ~ = k Q ~r̂ = k Q ~r
E
r2
r3
の様に書くことができる。また、電位は、原点からある方向に引いた x
軸上での電界(の x 成分)E = k xQ2 を積分して ∫
x
kQ
x
∞
と求まるが、x 軸の方向は任意で良いので、この x は一般に原点からの
距離 r を表していると考えてよい。そこで x → r と置き換えて
kQ
φ=
r
が得られる。
∂r ∂φ
∂r
次に、grad φ = ( ∂φ
, ∂φ , ∂φ ) を計算する。例えば ∂φ
= ∂x
は、 ∂x
=
∂x ∂y ∂z
∂x
∂r
√
1
∂ x2 +y 2 +z 2
= 12 (x2 + y 2 + z 2 )− 2 · 2x = xr を用いると ∂φ
= xr (− kQ
) =
∂x
∂x
r2
x
−kQ r3 。よって、
φ=−
E(x0 )dx0 =
kQ
kQ
~
(x, y, z) = − 3 ~r = −E
3
r
r
~ = −grad φ の関係があることが
となる。よって、電界と電位の間には E
確かめられる。
grad φ = −
∫
6. S Bn dS は曲面 S を通って S で囲まれた領域から外に出ていく磁力
線の総数を表し、電気の場合のガウスの法則と同様に、S で囲まれた領
域内の磁荷の総量に比例する。しかし、電気の場合と違い、磁気の場合に
は「磁気単極子は存在しない」ので正負の磁荷が常にペアーで現れる。こ
∫
のため S で囲まれた領域内の磁荷の総量は常にゼロとなり、 S Bn dS =
∫
(これは、正負の磁荷が常にペアーになっ
S Hn dS = 0 となるのである。
ているため磁力線が常に閉じていて、面 S を通って外に出ていく磁力線
と中に入って来る磁力線の数が常に等しいためである、とも言える。)