Weekly Market Report 1. 為替相場概況

発⾏:市場営業部
Weekly Market Report
Jul 19, 2016
FX, JPY Interest Rate, Topic
1. 為替相場概況
ドル円は100円台から106円台まで上昇。6月24日英国⺠投票前の⽔準に値を戻す。
USD/JPY (1週間の値動き)
安倍首相、バーナンキ
前FRB議⻑と会談
トルコでクーデター
発生
(出所)Bloomberg
コメント
先週のドル円相場は、世界的な株高・債券安等を背景に週を通して大きく上昇した。前週末の米雇用統計が市場予想を上回る強い内容
となり、米企業の好決算も相まって、ダウ平均は連日の最⾼値更新。本邦参院選では与党が大勝し、新たな景気刺激策への期待も高ま
り、ドル買い円売りが強まった。また、前FRB議⻑のバーナンキ氏が安倍首相と会談し、追加緩和余地について指摘。市場では「ヘリコプター
マネー」が意識され、円売りを誘った。週末、トルコでクーデターが発生しドル円は一時104円台へ下落するも、未遂に終わったことが確認され
ると再び106円台へ戻している。今週のドル円相場は来週のFOMC、日銀会合を前に動意の薄い展開を予想する。市場の日銀会合への
追加緩和期待は根強く、結果を⾒極めるまではドル円相場の下⽀え材料となるだろう。
(市場営業部/淺川)
USD/JPY(2年間)
今週の経済指標(予定)
日付
イベント
予想
7/18(月)
(米国)NAHB住宅市場指数
60.0
7/18(月)
(⽶国)共和党⼤会(〜25日)
-
7/19(火)
(⽶国)住宅着⼯件数
1,170K
7/21(木)
(欧州)ECB理事会
-
7/21(木)
(米国)フィラデルフィア連銀景況指数
5.0
7/21(木)
(⽶国)中古住宅販売件数
5.46M
今週のレンジ予想(USD/JPY)
予想者
今週のレンジ
予想のポイント
高野一歩
104.00-108.00 ⽶⾦利上昇、国内追加緩和期待でドルは買われ易い展開。下値(105円台)を固めてレンジ切上げとなろう。
今村 仁
103.00-108.00 リスク回避からリスク嗜好へ市場の気運は変化。6/24の水準(106.87)回復できれば108水準へ上伸も。
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Jul 19, 2016
2. 円⾦利相場概況
⻑期⾦利は上昇しやすい地合い。20年債⼊札の結果には注意が必要。
10年国債⾦利と債券先物 (1週間の値動き)
ヘリコプターマネー、永久国債に関する報道
10年債利回り
債券先物
(出所)Bloomberg
コメント
先週の⻑期⾦利は、12日の30年債⼊札で最低落札価格(104円45銭)が市場予想(105円10銭)を大幅に下回ったことが嫌気
され-0.25%程度まで上昇するも、日銀の⻑期国債買い⼊れオペの影響もあり、週末にかけ概ね-0.28%〜-0.25程度で推移。週末に
はヘリコプターマネーや永久国債に関する報道を受け一時-0.22%程度まで上昇、結果-0.225%で越週。12日の30年国債⼊札はテー
ル75銭と2013年4⽉以来の⼤きさ、投資家需要の強弱を反映する応札倍率は2.64倍と低調な結果。14日の5年⼊札では最低落札
価格は102円31銭と予想と⼀致するも、応札倍率は3.45倍とやや低調な結果となった。
今週の⻑期⾦利は、トルコのクーデター未遂の影響で調整局面維持も、ヘリコプターマネーなどの景気対策に伴う国債増発への懸念から
売り圧⼒がかかりやすく、⻑期⾦利の上昇を予想。20日(水)の20年利付国債⼊札の結果には注意が必要。 (市場営業部/山添)
⾦利スワップ変化(1週間)
(%)
5年円⾦利スワップ推移(2年間)
(%)
今週のレンジ予想 (10年国債利回り)
予想者
後藤賢太郎
小野口裕美子
今週のレンジ
-0.26%-
-0.20%
-0.28%-
-0.18%
予想のポイント
ヘリコプターマネー等の政策対応期待はあるものの需給を崩す規模に膨らまない⾒込みであり⻑期⾦利の上昇は限定的。
過度なリスクオフが落ち着きを⾒せ、相場は株⾼・円安へ修正の動き。円債も来週の決定会合まではマイナス幅を縮める展開か。
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Jul 19, 2016
3. 今週のトピックス
CLL/CLN投資について
CLL投資の活用について考える 〜 代表的なスキームとリスク検証のフレームワーク
CLL/CLNは引き続き注目すべき商品
【図1】CDS インデックス推移
先月のBrexitをめぐる英国の国⺠投票が事前の予想に反した結
果となり、一時大幅に拡大したCDSプレミアムであったが、足元で
は英国国⺠投票の以前の⽔準に戻っており、クレジットロングの需
要の強さが示唆された格好である。
90
現物社債の利回りとの⽐較から、当⾯はCLL(クレジットリンク
ローン)/CLN(クレジットリンク債)は有⼒な投資先となる状況
が続いていくものと考えられる。
40
70
60
iTraxx Japan
50
社債(格付A,5年)…
30
20
借⼊⼈は⾦融機関や、取引のために設⽴されたSPVを利⽤する
ストラクチャーがあり、SPV型では信託を活用したCLLは代表的な
スキームのひとつである。
SPV型では、参照組織の信⽤リスク以外の追加的なリスクを極⼒
排除するため、信託勘定は安全資産として国債を保有するのが
一般的である。このため、当該スキームは必然的に国債の利回り
がマイナスに沈んだ影響を受けることになった。
出来上がりの⾦利は⾦融機関等発⾏の⽅がよくなる。発⾏体に
対する与信枠やリスクを⽐較考量しながら投資対象を選定してい
くことになろう。
クレジットリンクローン投資におけるリスクの所在
CLLを有効に活用することはクレジット投資のパフォーマンスを左右
し得る。各投資家において、投資目的に合致し、取組み意義のあ
るスキームであれば、取組みを前向きに検討したいところである。
CLL投資におけるリスクの所在については、⼀例として、図3のよう
な整理が可能である。CDS契約の仕組み以下が、商品の固有の
リスクファクターとなるが、このような整理に基づきリスク検証のフレー
ムワークを用意した上で、投資対象が取組可能な商品かどうかを
判断していくことになろう。
7/7
7/5
7/3
7/1
6/29
6/27
6/25
6/23
6/21
6/19
6/17
6/15
6/13
6/9
( 出所 Bloomberg )
代表的なCLLスキームとマイナス⾦利
CLLはCDSが内包された⾦融取引であり、元本弁済や利息⽀払
が、主にCDSにおいて信用リスク売買の対象となっている企業等
(参照組織)における信用事由の発生の有無に依存する。
6/11
6/7
6/5
0
6/3
10
6/1
運用難の環境に背中を押されて、投資先として新たに検討してい
る投資家がいる一方で、CDSと言うだけで依然ハイリスクな商品と
みなされることもあるようだ。あらためてCLLの商品性について簡単
に整理してみたい。
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【図2】CLLスキーム概要
A ⾃社発⾏型
発⾏体(⾦融機関等)
市場取引
部門
CDS取引
CDSプレミアム
資⾦調達
部門
CLL
投資家
CLL⾦利
CLLの⾦利は、発⾏体の調
達コストとCDSプレミアムからの
合成。
B SPV型
アレンジャー
委託者兼
受益者兼
カウンターパーティー
CDS取引
信託取引
信託勘定
CDSプレミアム
受託者兼
借入人
JGB利回り
安全資産/国債
国債を代替する安全資
産を求める動き
CLL
投資家
CLL⾦利
CLLの⾦利は、国債利回りと
CDSプレミアムからの合成。
マイナス⾦利の影響で出来上
がりの⾦利の魅が低下
【図3】CLL投資におけるリスクの所在
CLL投資のリスクの所在(投資家の視点)
クレジットリスク(参照組織、カウンターパーティ、発⾏体)
CDS契約の仕組み
担保資産の保有・管理の仕組み
ストラクチャリング由来のリスク(信託の破産や終了等)
マーケット由来のリスク(CDSのボラテリティ等)
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Jul 19, 2016
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