有機単分子バッファー層による デバイスグレード高結晶性有機薄膜 の作製法 東京大学 新領域創成科学研究科 研究員 伊高健治 客員教授 鯉沼秀臣 1 技術の背景:デバイス特性と薄膜の結晶性 一般的に、結晶性とデバイスの特性には密接な関係がある 移動度とグレインサイズの関係 5×5μm2 結晶性が良いほど、 高い移動度を示す しかしながら、多くの有機薄膜では、 結晶性のある膜が得られにくい。 2 従来法の問題点:C60・ルブレンの低い分子ぬれ性 “ぬれ性が悪い” Sapphire上 水における親水性、疎水性と同様ところが... 特性が期待される有機半導体 凝集力 →π軌道の重なりが大 →凝集力が大きい →ぬれ性がわるい 付着力 →マイグレーションしにくいため 結晶化しない 3 結晶性の薄膜となるには 有機分子同士の引力 基板との相互作用 有機分子同士の引力>基板との相互作用~0 ぬれ性が悪い→再蒸発>マイグレーション→アモルファス化 有機分子同士の引力>基板との相互作用>0 ぬれ性がいい→再蒸発<マイグレーション→結晶化 バッファー層による基板表面改質 4 分子間力とその起源 • • • • イオン間相互作用 ~200 kJ/mol 水素結合 双極子相互作用 van der Waals力 – 希ガス間の引力 – π電子を介在する引力 C60-C60 cohesion energy ~ 24 kJ/mol イオン結合、>>水素結合>>van der Waals力 5 新技術の特徴・従来技術との比較 • 従来法では、分子間相互作用、基板ー分子 相互作用が考慮されておらず、多くの材料で 3次元成長、もしくは非結晶化した薄膜となっ てしまう • 本技術の適用により、分子間相互作用、基 板ー分子相互作用を考慮して薄膜作製出来 るようになり、2次元成長した高結晶性の薄膜 が得られる。また移動度などの電子特性は、 格段に向上する。 6 想定される用途 • 有機デバイス一般 – 有機トランジスタ、フレキシブルRFタグ – 有機エレクトロルミネッセンス – 有機太陽電池 の有機活性層の薄膜化 7 想定される業界 • 想定されるユーザー 有機デバイスを作製している企業など • 想定される市場規模 参考に2005年の有機ELパネル市場は、 出荷枚数:6110万枚、出荷額:6億2000万米ドル 8 実用化に向けた課題 • 実デバイスレベルでの適用、材料の組み合 わせの検討など 現在では、モデル的な材料でしか確認してい ないが、応用物理学会や論文誌上では、追 試・もしくは類似材料での確認がなされつつ ある。 むしろ企業サイドで実用化に近い材料の情報 が必要。 9 企業への期待 • 企業内では、薄膜作製がうまくいっていない 場合に、なかなかその問題点が表面化しな いため、大学サイドとしてもどのような状況を 想定して研究を進めるべきか迷うこともある。 • 有機材料の薄膜化について、状況把握の共 有化を図りたい 10 本技術に関する知的財産権 • 発明の名称 :有機薄膜を有する基板及びそれを用 いたトランジスタ並びにそれらの製造方法 • 出願番号 :特願2004-88077 • 出願人 :科学技術振興機構 • 発明者 :鯉沼秀臣、伊高健治、山城貢 ※特許出願から1.5年未満の未公開特許情報を含んだ説明会ですので、情報の 取り扱いに十分ご注意下さい。公開する情報の範囲につきましては、特許出願 人(知財本部、TLO等)とご相談ください。 11 お問い合わせ先 【技術内容について】 東京大学 新領域創成科学研究科 鯉沼研究室 伊高 健治 電話:04-7136-4485 FAX: 04-7136-4485 E-mail: [email protected] 【技術移転について】 科学技術振興機構(JST) シーズ展開課 技術移転プランナー 鷲田 弘 電話:03-5214-7519 FAX:03-5214-8454 E-mail: [email protected] 12
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