危険ドラッグに関するプレスリリース(2015/03/09)

2015 年 3 月 9 日
岐阜薬科大学プレスリリース
地域を守る:危険ドラッグ蔓延防止のためのプロジェクトがスタート
岐阜薬科大学では、岐阜県保健環境研究所と連携し、『岐阜危険ドラッグ解析技術連携協議会』
を設立。危険ドラッグの検出技術の開発と作用の解明を進めることにより、その蔓延防止を推進
し、地域に貢献していきます。
危険ドラッグでの事件、事故による報道が連日行われていることは周知の事実であり、その蔓延は大きな社会
問題となっています。指定薬物はすでに 1,400 を超え、その数は増加の一途をたどっていますが、日々新たな物
質が流通する状況において、危険ドラッグの分析技術の確立は大きく立ち遅れており、危険ドラッグの違法な販
売や使用の行政による監視を迅速に行う観点からも、整備を推進することが強く望まれています。
このような社会的状況を鑑み、岐阜薬科大学では薬系大学としての薬物検出技術、薬物合成技術、薬効解析技
術などの強みを生かし、この問題に立ち向かっていくことを決意しました。そして、試買製品等に含まれる危険
ドラッグの成分分析を行っている岐阜県保健環境研究所と、連携大学院における協力体制の一環として、昨年 11
月に『岐阜危険ドラッグ解析技術連携協議会』を設立したところです。
本協議会では、危険ドラッグの検出技術の確立をキーワードに、①市中サンプルからの危険ドラッグ測定系の
確立、②危険ドラッグ使用者からの危険ドラッグ検出系の確立、③危険ドラッグの代謝産物*の同定とその効果
評価、④構造活性相関**による新規危険ドラッグの効果予測、などを通じ、大学と行政機関が協力し、危険ドラ
ッグの蔓延防止を推し進めたいと考えています。
岐阜薬科大学では薬物動態学研究室(北市清幸 教授)が、岐阜県保健環境研究所では生活科学部(堀内 正
部長)が中心となり、学内関連研究室[薬化学研究室(永澤秀子 教授)、薬品分析化学研究室(宇野文二 教
授)
、薬効解析学研究室(原 英彰 教授、副学長)など]と連携しながら研究を進めていきます。
なお、本研究では独立行政法人国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所薬物依存研究部(依存性薬物
研究室 室長:舩田 正彦 先生)とも連携。得られた知見を県内のみならず、広く社会に還元する予定です。
参照:ポンチ絵
用語解説
*代謝産物:危険ドラッグが体内で分解された物質を指す。この分解物が危険ドラッグのような作用を持っている場合は、危険ドラ
ッグそのものが分解されても有害な作用が持続することがあり、大変危険である。しかし、危険ドラッグの代謝産物については
ほとんど同定が進んでおらず、その作用についても情報がないのが現状である。
**構造活性相関:危険ドラッグには大きく分けて 2 種類(合成カンナビノイドとカチノン類)がある。指定されている危険ドラッ
グはほとんどがこの 2 つのいずれかに属し、構造や効果発現のメカニズムはそれぞれ類似している。構造活性相関研究はこの構
造類似性を利用し、新規な危険ドラッグが見つかったときにその作用の強さや代謝産物の効果を予測する技術である。