漁船法施行規則(昭和25年農林省令第95号)の一部改正の概要について

漁船法施行規則(昭和25年農林省令第95号)の一部改正の概要について
平成28年7月
水産庁研究指導課
1 改正の趣旨
(1)漁船法(昭和25年法律第178号。以下「法」という。)第4章に規定されている漁船
依頼検査制度は、船舶安全法(昭和8年法律第11号)による強制検査とは別に、漁業
の操業能率の向上、操業上の安全等を考慮し、併せて性能の向上を図ることを目的と
して、漁船の所有者の依頼を受けて、造船所、造機工場等において工事の監督及び技
術指導も行いつつ実施される任意の検査制度である。
(2)具体的には、法第25条第1項の規定に基づき、農林水産大臣は、漁船の所有者から、
その漁船の船体、機関、漁ろう設備、漁獲物の保蔵若しくは製造の設備、電気設備又
は航海測器設備について検査を依頼されたときは、
① 設計及び工事の期間中の農林水産省令で定める時
② 竣工又は改造工事完成の時
において、検査を行わなければならないこととされている。
(3)これを受け、漁船法施行規則(昭和25年農林省令第95号。以下「規則」という。)
第16条第1項においては、設計及び工事の期間中の農林水産省令で定める時に行う検
査(以下「期間中検査」という。)の時期が定められているところ、船体に係る期間
中検査については、設計及び工事の期間中の主要な建造工程の節目を捉え、
① 基本設計を完成した時
② 肋骨を建てそろえた時
③ 外板及び甲板を張り終わった時
④ 水密試験を行う時
⑤ 船体工事を完了した時
の計5回行うこととされ、ただし、農林水産大臣が特別の必要があると認めるときは、
他の時とすることがあるとされている。
(4)しかしながら、現在の船体の建造工程において、船体の基本設計は船体の主要寸法、
速力、配置等の仕様を決めるための重要な工程である一方で、船体設計や工法の変化
により、
① 肋骨を建てそろえた時並びに外板及び甲板を張り終わった時については、その工
程自体がない場合が多くなっていること
② 水密試験を行う時及び船体工事を完了した時については、竣工又は改造工事完成
の時と実質的に時期を同じくするようになってきていること
から、船体の期間中検査については、基本設計を完成した時には行う必要があるが、
それ以外の時は、行う必要がなくなってきている。
(5)さらに、船体の基本設計については、経済性に優れ、シンプルな設計である省エネ
漁船等への志向の高まりや建造費の削減のため、基本設計を漁法ごとに同一にする動
きが進んでいる。
このため、同一仕様及び同一図面の設計による漁船建造が複数行われる場合には、
建造される複数の漁船のうち一隻について、基本設計が完成した時に検査を行えば足
りることが想定される。
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(6)以上を踏まえ、今般、検査の効率化の観点から、以下のとおり規則を改正すること
とする。
2 改正の概要
(1)規則第16条第1項及び第2項の改正
船体に係る期間中検査を行う時について、基本設計を完成した時とする。
また、第2項で規定していた法第25条第1項第2号から第6号に掲げる事項の新設
計の検査を行う時についても第1項に規定することとする。
※ 1(3)②~⑤の時に検査の必要があると認めるときは、ただし書の規定に基づ
き検査を行うこととする。
(2)規則第16条第3項の改正
船体に係る期間中検査を行う必要がないと農林水産大臣が認めた場合には、当該検
査を省略することができることとし、第3項を第2項とする。
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今後のスケジュール(予定)
公布日 平成28年8月
施行日 公布の日
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