その場

物理学演習 III(量子力学)
[その場演習 No. 11]
2016. 7. 12
裏面のヒントを参照してよい
1. 【2 原子分子の回転運動 (a)】
2 原子分子を,慣性能率 I および電気双極子モーメント µ を持つ剛体でモデル化しよう。この
剛体を,重心を通る軸のまわりに回転できるように束縛したとき,Schrödinger 方程式は
−
h̄2 d2 ψ
= Eψ
2I dϕ2
と書ける。ただし ϕ は回転角 (0 ≤ ϕ ≤ 2π) である。これを解くと
( √
)
2IE
ψ = exp −i
ϕ
h̄2
を得るが,ψ(ϕ) は ϕ について周期 2π を持つ関数となる必要があり,固有エネルギーは
E = En(0) =
h̄2 2
n ,
2I
(n = 0, ±1, ±2, · · · )
(0)
と整数 n でラベルできる。対応して,固有状態は ψn =
固有状態
(0)
ψ0
は非縮退,n ̸= 0 の固有状態は
(0)
ψn
と
(0)
ψ−n
√1 einϕ
2π
と書ける。従って,n = 0 の
とが縮退している。
さて,この回転子を ϕ = 0 方向の一様な弱い電場 E の下に置くと,摂動ハミルトニアンは
H′ = −µE cos ϕ
となる。以下では H′ による ψn へのエネルギーの補正を考える。
(0)
(1) H′ の ψn に関する行列要素が
(0)
′
Hnm
∫
≡
0
2π
µ
(0)
dϕ ψn(0)∗ H′ ψm
= − Eδn,m±1
2
′ = 0 なので,全ての ψ
となることを確認せよ。これにより Hnn
n に対して 1 次の摂動エ
ネルギーはゼロであることがわかる。
(0)
(0)
(2)
(2) 縮退のない固有状態 ψ0 に対し,2 次の摂動エネルギー E0 を求めよ。
2. 【2 原子分子の回転運動 (b)】
(0)
前問で n ̸= 0 のとき,縮退した固有状態 ψ±n に対して 2 次の摂動エネルギーを求め,縮退が解
けるかどうか調べよ。
【ヒント】
1. 2 次の摂動エネルギー E0(2) は
(2)
E0 =
∑
′ |2
|H0m
(0)
(1)
(0)
m̸=0 E0 − Em
で与えられる。
2. 2 × 2 行列

∑
′
|Hn,m
|2

(0)
 m̸=±n En(0) − Em

′
′
 ∑ H−n,m
Hm,n

(0)
(0)
m̸=±n En − Em
(0)
′
′
∑ Hn,m
Hm,−n
(0)
(0)
En − Em
′
∑ |H−n,m
|2
m̸=±n
m̸=±n
(0)
(0)






(2)
En − Em
(0)
の固有値が,エネルギー En を持つ縮退した 2 状態 ψ±n に対する 2 次の摂動エネルギーを与
える。