PowerPoint - 国立障害者リハビリテーションセンター

情報提供 5
個別支援計画の修正のためのモニタリングの情報 1
平成27年7月初旬の時点の状況(7歳)
Mくんの発達に関すること~Mくんの成長に関して、この3カ月で急に成長してきたわけではないが、知的
なレベルとしては「重度」とされる発達検査の結果ながら、事業所としては、思いのほかMくんが興味・関心
を持つことが多く、視覚的にハンディを持ちながらも、よく見えているかのように遊ぶ様子も見られることが、
ずっと気になっていた。利用し始めたのは昨年の四月だが、様々な遊具や教材を準備して、個別的に対応
していく機会を少しずつ積み重ねて、Mくんの発達についての評価を検討してきた。そうした中で、この四月
に新たに購入した型はめの教材や、手先の操作を楽しめる各種玩具を通して、Mくんの様子を観察していく
と、試行錯誤しながら操作をする様子が多く見られた。手で触りながら、比較見当づけをしているのではない
かと推測できる姿も、遊びの様子から見られている。一つの教材・玩具で遊ぶ時間は長くなっており、一つ
ずつ机上に教材・玩具を出しながら関わっていくと、一通り遊んだ後に、次の教材・玩具は何が出てくるのか
を、楽しみに待つ様子も見られだした。職員が一対一で関わる時間は、ほぼずっと着席できており、昨年度
までとは違った姿を見ることができている。
また、時折液晶タブレットを使った子ども用のアプリで他の子どもと関わることがあるが、Mくんが身を乗り出
してのぞき込み、画面にさわることは以前から見られていた。この四月以降は、その操作が、上手になって
きた。事業所では、これまでの様々な行事や、お出かけ等を動画に記録しているが、プールに行った時のも
のなど、Mくんが気に入っている動画がいくつかあり、見たい動画のファイルを選んでいき、その再生、停止
を自分で操作して楽しめるようになっている。
事業所では、これまでのMくんへの発達の評価を大きく見直していくことにした。即ち、Mくんが持つ理解して
いく力は、今まで考えていた以上にあり、日常的な支援全体を考え直してみる必要性を感じている。
一方で、日常の生活の場面においては訴えてくることは多くなり、拒否することも多くなっている。本人に
とっては、苦手としている相手に対して、急に押して倒してしまうことも出てきた。母親としては、以前と比べ
ると、兄のこと、姉のことに目が向いている分だけ、不安定になってきたのではないかと感じている様子。
情報提供 6
個別支援計画の修正のためのモニタリングの情報 2
平成27年7月初旬の時点の状況(7歳)
Mくんの兄・姉に関すること~中学二年生の兄の昨年度の学校の担任の先生は、母親に対して、とにかく学
校に連れてきてほしい、学校ではできるだけの対応をしていく、といったことを本人が学校に行った日も含め、
電話で母親に連絡して伝えてきており、そのこと自体がかなりの母親のストレスとなっていた。今年度の担
任の先生は、本人と個別に話をする時間をほとんど毎日作ってくれており、4月は所属する教室に入って過
ごす時間も増えてはいた。しかし、5月の連休明けより、学校に全く行けなくなる。休み始めてからは、週に二
日は担任の先生が夕方訪問し、一時間ほど雑談や勉強を教えてくれるといった状況。母親としても、今の担
任に対しては信頼を寄せている。朝は一度起きて、皆と一緒に食事をとるが、母親が出勤してからは、また
床に就いたり、パソコンの前に座って過ごしたりしている様子。事業所としては、5月末から平日の日中に、
母親の許可を得て、週に一回のペースでは家族支援の一環として、家庭訪問をしている。本人と会うと、お
となしく表情に乏しいが、一緒に持参したボードゲーム(人生ゲームやチェスなど)で遊ぶと笑顔はよく出て
おり、コミュニケーションを楽しむことができる。学校が嫌いであるとか、いじめに遭っているというわけでは
なさそうであり、ゲーム三昧で昼夜逆転しているというわけでもない。学力的には、中学校に入ってから、次
第にテストを受けた時の点数は下がってきているが、アスペルガー症候群、ADHDの特徴を示す様相はなく、
知的に遅れている状態ではない。
小学三年生の姉については、勉強は苦手!と本人は言っているが、家の手伝いは自ら進んでしており、母
親としては大いに助かっている存在。Mくんの相手もよくしているという印象。学童保育を利用しており、宿
題はそこで取り組んでいるとのことだが、終わらせることができず、家に持ち帰ることがほとんどで、家では
母親がそばについていないとやらないため、宿題ができずに、学校に通う日は多い。書くことに時間がかか
る。何度も字を消して修正してしまう。「私みたいに、もっといい加減ならいいのに!」と母親は言い、兄のよ
うに学校に行けなくなったらどうしようと、心配で仕方がない様子。学校では、休憩時間に一人で図書室に
行って過ごすことがよくあるとのこと。授業中に、挙手をして意見を言うことはまずない。(上記のことは、4月
当初の障害児支援利用計画に兄弟への支援について盛り込まれていたこともあり、事業所として兄弟のこ
とに気にかけるようになった。4月以降になって得た情報がほとんど。)
情報提供 7
個別支援計画の修正のためのモニタリングの情報 3
平成27年7月初旬の時点の状況(7歳)
Mくんの母親に関すること~4月の時点では、中学二年生の兄のことで、学校の先生と話をするたびに、落
ち込んでしまうと言っていた母親ではあるが、今の担任の先生とは話がしやすく、「欠席が多くなっているけ
ど、卒業後の選択肢はいくつもあるし、彼はしっかりしているところもたくさんあるから、心配しないで!自立
心は他の同級生よりむしろあるし、素敵な大人になっていくよ。ただ、今は彼自身が苦しんでいるので、そこ
を見守っていこうね。今もがき苦しんでいることは、きっと将来の彼にとって、役立つはずだよ。」といった話
を、母親が不安になる度に話してくれ、先生の話を信じてみようという気持ちになってきたとのこと。
Mくんのことで、特別支援学校に転校してはどうかと話をしてきた特別支援コーディネーターの先生とは、今
年度になって話し合う機会はまだないが、二学期に入って同じ話が出てくるのではないかと不安になり、相
談支援専門員に話したところ、「その話し合いには、自分も参加する!Mくんのいいところをたくさん話す!
それまでは、目が合ったら逃げろ!」と言われ、気持ちは楽になったとのこと。
当事業所の利用日を増やしたいという要望には、多くても週三日までという事業所の方針を変えることはで
きないままで、申し訳ない限りではあるが、他の事業所とはより一層連携しながら、母親の就労支援が維持
できるよう、常に相談支援専門員とともに調整は図ってきた。週に三日利用ということで、母親の了承は得て
いる。
Mくんの長期休暇に関すること~学校の夏休み中は、Mくんが利用している三つの放課後等デイサービス
事業所ともに、受け入れの時間帯にずれはあるが、それぞれ午前中から夕方まで対応していくことになって
いる。どうしても対応ができない時間帯が出てきたら、当事業所が私的に母親と契約を交わして、その時間
帯を対応していくことにはしていたが、先日、所沢相談支援専門員から連絡があり、「いいところが見つかっ
たので、当初の予定通り、週三日の受け入れで十分です。」とのこと。4月の利用計画に示されていた、Mく
んに関わる支援者+αが一堂に会して、会議を行うことについては、7月末に実施が決定。その時に、Mくん
の長期休暇がうまくいっているかどうかの確認も行っていく予定。
情報提供 8
項目
日常生活
の技能
事例の発達の状態
状
態
平成27年7月時点の状況
4月と比べ変化した点や、特筆すべき点について、太字で示し
ています。太字以外の記述は、4月の時点の記述と同じ。
項目
状
態
食事は、まだ手づかみが目立っている。食べることができるものが限られている。着衣について、ファスナーの開閉が上手になってきたが、完全に
は一人で開けきれない。排泄については、事業所では職員の手を引いて一緒にトイレに行こうとする。関心のあるものを見つけると、さっと走り出す
ことがあり、外出の時は目を離さないようにしている。
ブランコでは揺らしている途中で手を放すことがあったため、
あまり大きく揺らさないようにしているが、前後の揺れは好き
な感覚。回転系になると、すぐ降りてしがみついてくる。泥、ス
ライム粘土遊びは大好き。
健康
体調
とても元気で、学校、事業所共にまず休むことはない。水分の補給は、事
業所では定時に勧めている。事業所内の設備はほぼ頭に入っているよう
で、転倒することもなく、壁伝いに歩くこともなく、元気に走り回る場面もよ
く見られている。
感覚
運動
機能
三輪車にまたがって、床をけって前に進む。特別支援学級中
学校区での3校合同のキャンプが6月にあり、山歩きをしたが、
半日疲れ知らずで、嫌がることなくよく歩いたとのこと。6キロ
はある行程だったとのこと。
道具
の
操作
ねじ式の蓋を開けること、ドアのカギを持たせると、カギ穴
に差し込んで回すこと、洗濯バサミを紙皿の周りに挟んで
並べていくことなど、上手に取り組めるようになった。
認知
型はめについて、6~8種の形弁別の教材に、両手を使って自力で入
れていく。何度もやっているものは、どこにどの型があるのか覚えてお
り、手に持ったピースを確かめると、スムースにその型に入れていく。
移動
これまでも感じてきたことではあるが、何度も行ったことのある公園など
の場所では、活発に行動している。初めての場所だと、その場面で一番
気に入っているスタッフのそばからはあまり離れていない。
表現の
仕方
有意語は特にない。涙を流して泣く時も、ほとんど声になっていない。
やってほしいことがあると拍手をすることは多い。このところ、しつこく訴え
てくることが出てきたが、袋・箱を持ってきて開けてくれと要求すること以
外では、何をどうしてほしいかわかってあげられないことも多い。
集団
参加
事業所で行う小集団でのルールのある遊びには参加できないが、わりと
決まったところに座って、その雰囲気を楽しんでいる様子は見られる。集
いの場面では、声をかけるとしばらく一緒に座っていることはできる。
好きなタ
イプ・嫌い
なタイプ
ダイナミックに関わってくれる男の人は好んでいる。手荒にくすぐっ
たり、じゃれ合うと、もっとやってくれと付きまとっていく。指示の多
い人、しつこく声をかけてくる人は、どうも苦手な感じではある。
理解の
仕方
「お片付け」「ゴミ捨てて」「カバンをかけます」といった声かけにさっと
反応することはある。公園に行くときは写真を見せているが、何度か
写真を手に取って眺め、靴を履こうとしないことがあった。そこに行く
気分ではなかったと解釈はしている。
対人
関係
学校では運動会などの練習でも、笑顔で過ごしており、たくさん
の子どもに囲まれることを、楽しんでいるとのこと。事業所では、
よくスタッフの膝に座るなど、スキンシップを求めてくる。
興味
関心
液晶タブレットでは、画面に顔をくっつけるように、特に左目を近づけ
て操作をしている。自分の思った動画が見つからないと、早くそれを
見せろと、タブレットを近くのスタッフに手渡してくる。描画の時に、特
にクレヨンを使って、画用紙を一色で塗りつぶすことが見られだした。
その他、
特記事項
外出中は、その時にMくん自身がその都度のメンバーで、一番頼りにするスタッフに寄り添って歩く。急な飛び出しなどはない。不思議と、ちょっとし
た段差につまづくことはないが、ボンヤリとしか見えていないはずということなので、今後も注意は必要。特に慣れない場所で、テンションが上がって
いる時は、要注意。
(3) 模擬支援会議(ロールプレイ)
15:50~17:00(70分)
本人及び家族に生じている新たな課題について確認し、
今後の支援の方向性について検討する。
・ロールプレイに関する説明(10分)
・グループごとに場面を確認し、目的を明確にし、役割を決定する(10分)
・ロールプレイの実施(30分)
・ロールプレイが終了した後のフィードバック(20分)
*児童発達支援管理責任者の役割や機能、本人の気持ちなどについて、児童発達支援管
理責任者役、本人役、観察者などから意見や感想を述べてもらいグループとしてフィード
バックする。
個別の支援会議の種類
(1) 支援者会議 【深める支援会議】
事業所内で行われる児童の支援に当たる職員等が出席する会議。支援利
用計画の作成・変更・修正のために、発達状況や家族のニーズ等の確認を行
うとともに、支援方針等について検討する。中間評価では、支援計画の達成状
況の確認を行うとともに、達成されない場合の原因の分析及び今後の対応に
ついて検討する。また、新たな発達ニーズ、家族のニーズなども確認する。
(2) 連携会議 【つながる支援会議】
① 複数機関の支援担当者会議
保育所や移動支援など、同時に複数のサービスを利用している場合の対
応等の情報共有、役割分担等について確認する会議
② 移行支援会議
保育所や学校等への移行を円滑に実施するための会議
③ 新たなニーズに対する支援検討会議
本人及び家族に生じている新たな課題について確認し、今後の支援の方
向性について検討する。
④ 支援利用計画(トータルプラン)のための会議
生活全体を支援する支援利用計画作成のための会議
ロールプレイの設定
目的: 個別支援計画の作成・実施後に発生した
課題に対応するための個別支援会議(家族
支援のための地域連携会議)
内容: 本人及び家族に生じている新たな課題に
ついて確認し、今後の支援の方向性につい
て検討する会議とする。
ロールプレイについて(概要)
1.ロールプレイとは
・ 現実に起こる場面を想定して、複数の人がそれぞれ役を演じ、疑似体験を通じて、ある
事柄が実際に起こったときに適切に対応できるようにする学習方法の一つである。
・ 学習者は、役割を演じなければならないが、演じ方はたいてい演者の自由である。
・ 対人関係や態度・行動を通して行われる学習に用いられる。
2.ロールプレイのメリット
・ 意志決定過程にみられるような物事のプロセスについて学ぶ可能性が高くなる。
3.ロールプレイの方法
1)事前準備
・ シナリオ:準備の段階でシナリオを作成するか、役割だけを決めて自由に行うか、目的
によって決定する。
・ 時間:決まっているわけではない
・ オリエンテーション:実施する前に学習者にその目的を十分に説明する。
2)実施
・ 実施中にロールプレイをビデオに録画しておけば、後で見直すことができる。
3)フィードバック
・ ロールプレイ終了後、気づきや学びを話し合うことで、学習を深め、広げることが大切
ロールプレイ(ロールプレイイング)の目的
日常生活の中で、人は必ず様々な役割を背負って暮らしていることを考えますと、人生は
まさにドラマと言えます。その中で、常に同じような役割ばかりをこなしていますと、新たな人
間関係を作り出すことは大変難しくなります。
ロールプレイとは、参加者が自由な雰囲気の中で、あるテーマについて即興的に役割を演
じ、協同して、役割行動の変容を図るもので、日常生活におけるそれぞれの役割を見直し、新
しい状況に応じられるようになることを目的としています。
(1) 日常生活における自分の役割を見直し、日常生活での課題を解決する手がかりを得る。
(2) 参加者全員が、感情の解放をします。
(3) 新しい、突発的な状況に応ずることができます。
したがって、ロールプレイは日常生活のリハーサルとも言えるでしょう。参加者はうまく演ず
る必要はありません。大切なのは、いかに自分なりに自発性を発揮して演ずるかです。
自発性が回復されれば、ロールプレイでの新鮮な役割体験は、新しい役割を日常生活に
取り入れる原動力となります。
自発性とは、新しい状況においても、周囲と自分自身にとって、より適切な、望ましい対応
ができるということです。一般に、人は、新しい状況に対しては、他人の意見や自分の既有の
体験をよりどころとして対応してしまいがちです。自発性は、そのような自分の外側から規制し
てしまうのではなく、自然に自分の中から自分を動かしていくことです。
自発性は、まず役割をとること(役割取得)から、自発的に個性的に演ずること(役割演技)、
さらに、新しい役割を創造すること(役割創造)へと段階的に高まっていきます。
ロールプレイを行う上での注意
1) ロールプレイを理解しているファシリテーターをグループごとに配置すること
2) 事前準備(オリエンテーション):参加者が主体的に関われるように情報や知識の整理
3) 役割別の準備:各役割ごとに自分たちの役作りを行い,場面設定を話し合う
4) 役割演技・討議:役になりきって演ずる。時間内で場面を変えて複数回実施しても良い
5) 誰か一人が時間を占領しないこと
6) 振り返り(フィードバック):必ず自分の役やほかの役について感じたこと、考えたこと
を振り返る時間をとり、ロールプレイの後,他の人へ感情・しこりが残らないよう配慮
〈時間配分の参考例〉
1) 知識の整理(5分)
2) ロールプレイの実施
①役割別の準備(5分)
②1回目の演技(15分):個別支援会議の準備の支援者だけの話し合い
振り返り(5分)
③2回目の演技(15分):本人や家族も含めた関係者が参加した個別支援会議
振り返り(5分)
ロールプレイ(役割演技)演習の手順
1 変更要因、課題、会議の目的の確認
2 会議参加者(役割)の選定
3 配役(キャスティング)
4 配置・席順の決定
5 ロールプレイ(役割演技)の実施
6 振り返り(フィードバック)
ロールプレイの配役
何のために会議を開催するのかを明確にする。
(→ 今回は、家族状況の変化に伴う関係機関との連携が必要になり、解決に向け
た検討会議とします。)
どういう関係機関、関係者を招集するかについては、問題の所
在や目的を明確にした上で、児童発達支援管理責任者を中心に
選定する。
児童発達支援管理責任者
児童指導員
保育士
行政職員・児相等
管理者
相談支援専門員
母親
Aさん本人
ロールプレイ演習に入る前の課題の検討
-支援計画の中間評価や変更時の修正のポイント一定期間ごとの見直しはもちろんだが、支援をしていく中で
計画を見直す必要が出てくる場合があります。
ロールプレイを実施するにあたり、モニタリング情報、修正し
た個別支援計画等を提示しておき、変更要因等に関して、事
前に受講者の皆さんで検討してもらうようにすると、様々な意
見も出やすく、ロールプレイに入っていく上で、よりリアリィー
のある演習が行えるようになります。
発達状況や家族状況を確認し、どういう課題が発生したの
か、その課題を解決するには、どのような連携が必要である
のかを、テーマを絞った上で、ロールプレイ演習を通して体験
してもらいます。
ロールプレイ 今回のケースにおける想定資料(参考)
・児童デイサービスすらり 児童発達支援管理責任者
・Mくんの母親
(会議の司会者・進行役。)
(一見大人しくまじめな感じなのですが、しゃべり出したら、次々といろんな心配事も含めて止まらなくなるお母
さんです!)
・児童デイサービスすらり 担任
・所沢相談支援専門員
(「すらり」での様子を報告する。)
(対象となる子どもについて、在宅福祉サービスの利用や利用計画の内容を説明する。)
・特別支援教育コーディネーター (学校における特別支援教育の体制、交流の在り方、親学級での対応等の意見を述べる。
Mくんに関しては、昨年度、特別支援学校への転校を勧めた人。)
・学校の特別支援学級担任
(学校での様子について話をする。)
・放課後等デイサービス「どあどあ」、または「ミンク 」 (それぞれの事業所でのMくんの様子を報告する。)
・市の障害福祉課の担当者
(支給量についての確認と、または相談支援専門員や各児童発達支援管理責任者からの
提案に対して答えていく。)
・□□市ホームヘルパーセンター希望 サービス提供責任者
・げんこつ山ヘルパーステーション サービス提供責任者
(Mくんの移動支援での状況を報告する。)
(Mくんの行動援護での支援状況を報告し、利用日をもっ
と増やしていくことなどの提案をしていく。)
・G児童発達支援センター
言語聴覚士
(対象となる子どもが幼児期に外来療育で通っていた児童発達支援セン
ターの担当の言語聴覚士。Mくんの発達の様子、今後の発達の可能性について話をする。)
・W保育園 園長
(対象となる子どもが幼児期に通っていた保育園の園長。園の様子や、今でも母親の相談にのっているこ
となどを報告する。)
・〇〇市障害者療育センター
理学療法士
(現在も、定期的に指導・訓練を受けている療育センターの担当の理学療法
士。Mくんの今後の成長についての所見を報告する。)
・民生委員 または、主任児童委員
(地域の中で行っている子育て支援についての説明を行う。)
ロールプレイ検討資料(配役表)
設
役
母
定
名
親
児童発達支援管理
責任者
相談支援専門員
観察者(会議に参加せずに会議後
に、まず最初に感想・コメントを話す)
役
柄
配役(氏名を記入)
振り返り(フィードバック)
16:40~17:00(20分)
役割を演じて体験したこと考えたことを全員が言葉にして分かち
合う。
…例えば
・ ○○役として、自分自身が感じたこと…
・ ○○役として、他者の役について、いつもの自分とは感じ方、見方、考
え方が違ったところ…
・ ○○役として、△△役に言動に抱いた感情……等
⇒演技であっても、思ったより内面が動かされることを経験する。
その内面のざわつき、揺れ、感情的な反応を表現し共有するこ
とでロールプレイによる気付きは深くなる。その気付きが会議
の機能を上げていく。
⇒分かち合うことで、役から離れられる(終わることが出来る)効果
もあるので時間がなくても必ず最後に行いましょう。
ロールプレイ振り返り整理表
役
名
母親
児童発達支援管理
責任者
相談支援専門員
観察者(会議に参加せずに会議後
に、まず最初に感想・コメントを話す)
振 り 返 り
(4)モニタリング・課題の整理
17:00~17:30(30分)
①演習3の進め方、留意事項の説明
②モニタリング後の課題の整理の実施
演 習 3
「支援提供プロセスの管理の実際:事例研究②」
(課題の整理と個別支援計画の修正・変更)
【獲得目標】
「演習1」において使用したものと同じ事例を用い、追加情報に基づく中間評価と計画
の修正について、模擬支援会議で確認するとともに各グループで討議しながら計画を
修正する。(中期及び終期個別支援計画を作成する。)
【内 容】
• 支援開始後の中間評価(モニタリング)結果を踏まえ、再アセスメントし個別
支援計画を適切に修正
• 終了時の帰結を想定し、終了時評価を作成
【研修企画運営のポイント】
□
□
□
□
□
演習1で用いた事例と同様の事例を用い、中間評価結果を提示する
モニタリングによる個別支援計画の修正・変更に演習の力点を置く
状況やニーズの変化を捉え、適切な支援内容へ修正が必要なことを学ぶ
中間評価を踏まえ、中期個別支援計画を作成する
事業所として他機関との連携、質の向上に関する手立てにも視点を当てる
□ 事例の帰結を想定し、終了時評価までを作成することで、支援内容の振り
返りができるようにする
第3日目午前
演習3の進行
1 時 間30分
9:00
10:30
10:00
(2)
(1)
課題の整理と個別支援計画の修正
個別支援計画修正に関す
る全体発表
(1)課題の整理と個別支援計画の修正 (60分)
① 中間評価に関する概要説明
② 発達状況、ニーズの変化、提供してきた支援内容等の確認(中間評価)を行う
③ 目標設定や期間設定、支援内容の変更・修正の検討
④ 計画の再設定
(3)個別支援計画修正に関する全体発表(30分)
グループからのプレゼンテーション
(2) 課題の整理(中間評価)と
個別支援計画の修正
9:00 ~ 10:00(60分)
①課題の整理を行い、支援内容の分析、新たなニー
ズの確認を行う。
②個別支援計画の変更・修正を行う。
・目標設定や期間設定、支援内容の変更・修正の検討
・計画の再設定
(参考様式)
個別支援計画の中間評価
利用者名
到達目標
達成状況の評価
1
達成 ほぼ達成 未達成
2
達成 ほぼ達成 未達成
3
達成 ほぼ達成 未達成
4
達成 ほぼ達成 未達成
5
達成 ほぼ達成 未達成
6
達成 ほぼ達成 未達成
達成されない原因の分析
今後の対応(支援内容・方法の変更等)
(参考様式)
中間評価のための確認表
中間時の評価等
(1)当初目標の達成状況とそれに要した期間
(2)次のステップとして本人、保護者が希望する生活等とその後の実際
①
本人、保護者の希望
②
評価時の実際の生活状況
(3)サービス提供事業者との連携状況
個別支援計画
記入様式 3
利用者名
○到達目標
グループ
作成年月日:
年
月
日
長期(内容、期間等)
短期(内容、期間等)
○具体的な到達目標及び支援計画等
具体的な
到達目標
項 目
支援内容
(内容・留意点等)
支援期間
(頻度・時間・期間等)
サービス提供機関
(提供者・担当者等)
優先
順位
総合的な支援方針
平成
年
月
日
利用者氏名
印
児童発達支援管理責任者
印
グループ討議
「マネジメントの実際」
(児童発達支援管理責任者の役割と業務の検討)
【獲得目標】
演習・討議を通して、個別支援会議の運営、支援提供プロセス全般における児童の支
援に従事する者への指導助言などマネジメント方法に関する知識と技術を習得する。更
に関係機関との連携(地域自立支援協議会への参画)等、児童発達支援管理責任者の
業務と役割について再確認する。
【内 容】
演習・討議を通して、児童発達支援管理責任者が行うべき業務と役割について、建設
的・発展的に検証する。その際、(1)支援プロセスの管理、(2)児童の支援に従事する職
員への指導助言、(3)関係機関との連携の3つのポイントにより行う。
【研修企画運営のポイント】
□ 討議の目的・手順を明確にしてグループ討議に入る。
□ 事前課題の事業所評価について、報告を行い、今後の課題について討議を行い、業
務と役割を再確認するとともに、今後の参考とする。
□ 各地域での独自の取り組みを情報交換し、今後の参考とする。
□ 研修者自身の今までの仕事を振り返り、今後の仕事に繋げられるよう、児童発達支
援管理責任者としての自覚を促す。
グループ討議の進行
第3日目午前・午後
2時 間30分(昼食除く)
10:40
11:10
(1)
児童発達支援管
理責任者の役割
について検討
12:40
11:40
(2)
総括
昼食
14:10
(3)
都道府県における分
野別研修の情報交換
(1)児童発達支援管理責任者の役割についての検討(30分)
・ ガイダンス(演習の目的、進め方について説明)。各グループで役割決定[進行・記録]
・ 児童発達支援管理責任者としての役割として事業のマネジメントを検証をし、関係機関との連携、会議運営、
人材養成等のあり方について検証していくために、どのようなグループ討議を行った方が良いかについて、情
報交換をする
(2)総括(30分)
・ 研修全体を振り返り、講師陣によるコメント
(3)都道府県における分野別研修の情報交換(90分)
(1)児童発達支援管理責任者の役割について検討
10:40~11:10(30分)
事前課題の参加者が作成してきた『「事業所評価」の課題の目
的』について、グループ内で、報告・検討を行う。
今回の事前課題を各参加者が報告し、都道府県研修において、児童発達支援管
理責任者の役割について検討をどのように行い、どういった留意点が必要か等の
情報交換を実施
参考様式
都道府県の研修を実施する際に、特に重視していきたいと考えられる項目や、その内容はどれになるでしょうか?
また、貴都道府県が、児童発達支援管理責任者研修で最も重視していこうとしていることはどんなことでしょうか。優
先順位の高い順番で少なくとも3項目以上ご記入してください。
優先順位
1
2
3
4
5
事業所としての重点的な今後の課題
参考様式
都道府県研修用のスライド
児童発達支援管理責任者の役割(まとめ)
グループ
児童発達支援管理責任者の
事項
備考
留意すべき視点
支援過程
相談~計画~
モニタリング~
再計画~終結
研修
会議運営
連絡調整
その他
具体的役割
(参考)児童発達支援管理責任者の業務整理表①
業務内容
(1)支援プロセスの管理
見学案内
アセスメント
家族面談
支援計画の作成
支援計画案の修正
利用者・家族への支援計画の説明
モニタリング
支援の進行管理
個別支援会議の開催・運営
取組状況
課題
ウエイト
都道府県研修用のスライド
(参考)児童発達支援管理責任者の業務整理表②
業務内容
(2)事業管理
利用者数の適正化
利用期間の適正化
第三者評価の導入
利用者満足度調査の実施
経営への参画
事業展開への提案
リスクマネジメント
苦情受付責任者
取組状況
課題
ウエイト
都道府県研修用のスライド
(参考)児童発達支援管理責任者の業務整理表③
業務内容
(3)支援に従事する者への指導助言
利用者面接への同席
家族面接への同席
アセスメントへの指導と助言
課題の整理への指導と助言
支援計画作成への指導と助言
モニタリング
支援の進捗への助言
個別支援会議の開催・運営
研修の企画・実施(運営)
スーパーバイズ等の活用
取組状況
課題
ウエイト
都道府県研修用のスライド
(参考)児童発達支援管理責任者の業務整理表④
業務内容
(4)関係機関との連携
個別支援会議への出席
次ステージへの引継支援
自立支援協議会への参画
地域での連携事業への協力
施設見学・実習の受入れ
地域や他機関への事業PR
地域住民への普及啓発
社会資源の創出
取組状況
課題
ウエイト
(2)総括
11:10~11:40(30分)
① 講師陣によるコメント
② 講義や演習を通して、3日間の研修を総括し、
児童発達支援管理責任者の役割について再度確認
講師・参加者相互のエンパワメントにより、今後の活躍を確認
児童発達支援管理責任者業務の要点整理
都道府県研修用のスライド
児童発達支援管理責任者となる方へ
「今だって大変なのに、そんな大変なこと
自分にできる訳ない…」と思われがちな
児童発達支援管理業務。
しかし、利用者への直接支援だけではな
く、人材育成、事業所運営、さらに地域
社会へと活躍が期待されるとてもやりが
いがある仕事です。
管理者となったからには、事業所内部か
ら関係機関へ、そして地域社会へと目を
向け足を運びましょう。
児童発達支援管理責任者業務の要点整理
都道府県研修用のスライド
児童発達支援管理責任者の業務整理
外部の関係機関
地域社会
(地域自立協議会)
事業所内
①支援プロセス ・進行管理 ・課題の整理 ・個別支援計画の修正
の管理
②職員への
指導助言
・指導と助言 ・人材育成
・質の向上
③関係機関と
の連携
・連携の要
・地域社会への発信
・社会資源の創出
④その他
・利用者満足度の向上
・第三者評価の導入
など
児童発達支援管理責任者業務の要点整理
都道府県研修用のスライド
①支援プロセスの管理
●進行管理
・支援計画と時間軸はセットで提供
・時間軸の妥当性のチェックとタイムキーパー役
・ゴール設定(長期目標と短期目標)の妥当性のチェック
●個別支援会議の開催
●支援課題の整理と大方針の設定
●個別支援計画の作成または管理(←最も重要!!)
・児童発達支援管理責任者には最終的な責任がある。署名と
押印で責任の明確化を!
⇒個別支援の質を担保する役割
児童発達支援管理責任者業務の要点整理
都道府県研修用のスライド
②支援に当たる者への指導助言
●適宜のスーパーバイズ
●「個別支援会議(事業所内カンファレンス)」の進行役として、議
論を深める
●「支援利用計画書」に基づく、事業所としての「個別支援計画」
の作成
●研修等で off the job trainingを行う
●利用者面接、家族面接、見学案内に同席する等
On the Job Trainingを行う
…やってみせ、言って聞かせて、させてみて、 ほめてやらねば人は動かじ。話し合い、
耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。やっている、姿を感謝で見守って、
信頼せねば、人は実らず…。 山本五十六
児童発達支援管理責任者業務の要点整理
都道府県研修用のスライド
③関係機関との連携(その1)
●「支援担当者会議(支援利用計画作成会義)」への参加
・相談支援専門員と連携し、支援チームによるネットワーク構築
に寄与
⇒「障害児支援利用計画書」をもとに「個別支援計画」を作成するこ
とで、地域や外部につながる支援になっていく
●必要に応じて、児童相談所と連携
・虐待児童の支援に当たって、共通認識を持って対応
顔の見える関係の“顔”になるってことですね!
児童発達支援管理責任者業務の要点整理
都道府県研修用のスライド
③関係機関との連携(その2)
●自立支援協議会への参画 例えば…
・必要な支援が福祉計画に盛り込まれるように働き掛ける(ボト
ムアップ)、
・地域の工夫と知恵で、足りない資源を創出する、
・事例検討会を定例化し、地域の課題を地域で解決する仕組
みを作る、
・事業所の顔として地域活動や行事に積極的かつまめに参加
し、利用者が地域に溶け込む呼び水となる、
・事業の対象や効果を外部に解り易く説明し、PRする…
⇒事業所、利用者、障害者を地域社会へつなげる役割
児童発達支援管理責任者業務の要点整理
都道府県研修用のスライド
④その他
●利用者満足度調査の実施
・支援者の自己満足に陥らないよう“利用者満足度”に注目し
て事業所を見直す
●第三者評価の導入
・客観的な評価に基づく質の向上へ
グループ討議
都道府県研修用のスライド
理想の児童発達支援
管理責任者イメージを
共有するためにグルー
プ討議…
各自治体ではどんな演習を実
施しているのかについて情報交
換を行う。
意外なご当地ネタが地元での演
習企画のヒントになるかも……?
業務のウエイトを
円グラフで表現し
てみる…
「児童発達支援管
理責任者とは?」
をテーマにグルー
プ毎に自由にプレ
ゼンテーション…
「チェックリスト」を
作成して各自で業
務を総括する個人
ワーク…
本研修用のスライドです。都道府
県研修では必要ありません。
都道府県研修の企画運営にあたって
-都道府県研修を実施するための事前の準備-
• 講義と演習の重点ポイントを明確に示す
• 事前学習会などの実施
– 講師は教示すべき内容を理解する
– ロールプレイの事前学習を行う
– ファシリテーターの役割を確認する
• 演習事例は自前で準備する
• 演習の流れを意識したスケジュール(進行表)を
作成
• 受講者が主体的に参加出来る工夫を検討する
H21年度サービス管理責任者指導者研修資料を一部改編
本研修用のスライドです。都道府
県研修では必要ありません。
(参考資料)
ファシリテーターを担っていただく皆さんへ・・・
参加者の心の動きや状況を見ながら、実際にプログラムを進行して行く人のことを
ファシリテーター(促進者)と呼びます。ファシリテーターの媒介によって、参加者の本
来的な学びが促進され、体験したことを次のステップへと、結びつけることが容易にな
ります。
ファシリテーターとして求められること
その人の力、グループの力を引き出すために、ファシリテーターとしては、以下のよ
うな視点を持つことが望まれます。
参加者の主体性を引き出すこと
知識と体験を統合できるような素材の提供をすること
体験をより大きな気づきへと導くこと
参加者自らが主体的に考えられるような援助をすること
状況を見ながら適切な“介入”を行うこと
ファシリテーターは指導者ではないので、全ての解答を用意している必要は
ありません。「葛藤を誘う場面を用意すること」と、「主体的な発言を促すこと」
ができる促進者の役割です。
H21年度サービス管理責任者指導者研修資料を一部改編
本研修用のスライドです。都道府
県研修では必要ありません。
ファシリテーターが介入するということ
介入とは、何等かの意図をもって相手にかかわっていくプロセスのこと。たとえば、ロー
ルプレイが円滑に進行していない時、実施のルールが守られていない時、グループでの
課題達成が難しいと判断された時、ふりかえり・わかちあいが進んでいない時、参加者か
ら質問を受けた時、などが考えられます。
介入はあくまでもその立場でおこなわれるものであって、主体的な学びのプロセスを妨
げないように配慮してください。ファシリテーターとしては、何らかの目的や意図をもって
かかわっているので、つい自分の思いを達成したいあまりに、気づきを押し付けるような、
ある種の“操作”をしがちです。その意味では、介入とは「しなくてはならないこと」ではなく
て、「必要があった時にあえて行なうもの」と考えていいかもしれません。進行が自然であ
れば「何もしない介入」もあるという認識が大切です。
ファシリテーターの基本姿勢
参加者の主体性を尊重し、操作的な言動はつつしむこと。 どのような過程を経て現在の
討議があるのか・・・・・・といったプロセスが見えていること、または理解しようと努めること。
開放的な雰囲気作りを心がけること。 問題の解答を教えるのではなく、解決は参加者自
身にまかせること。
良き促進者とは、何でも教えてくれる人ではなくて、迷った時に解決までの道筋を、さり
げなく示してくれる人のこと。参加者自身の成長の姿に、陰ながら満足できる人のこ
と・・・・・・と言うことができます。
これより以降の参考資料は、児童発達支援管理責任者として、自事業所のスタッフをスーパーバ
イズしていくために、必要な基礎知識として作成したものです。都道府県研修で説明する必要あり
ませんが、ぜひ現場において、時折見返してほしい資料の一つであることはご紹介ください。また、
児童の分野の専門研修、ステップアップ研修、グループリーダー研修にて、こどもの事例検討を
行っていく際に、有効なツールをいくつか紹介していますので、利用してください。
参考資料
児童発達支援管理ワークショップ
支援者の専門性を活かすための協働・連携の推進
(児童発達支援管理責任者のスーパーバイザーとしての役割)
事業所内にて(ある放課後等ディサービス事業所において)
母親
このところ、迎えに
行ったAくんが、車に
乗ろうとしないんです。
事業所についても、
機嫌が悪いし、ごろご
ろ寝そべっているし、
体調が悪いのではな
いですかね?
Aくん
家ではいつも通りで、
夜遅い日があります
が、以前からそうで
すし…。ご飯はよく食
べますし、体調が悪
いようには見えませ
ん。
Aくん担当のJさん
このところよく私の顔
をひっ掻いてくるんで
す。制止すると、足で
けってきます。どう対
応したらいいですか?
事業所スタッフのKさん
病院に行ってもらって
はどうですか?生活リ
ズムが整わないから服
薬を昨年からしている
ようですが、薬の量が
足りないのではないで
すか?
事業所のスタッフMさん
スタッフKの混
乱はよくわかる
し、スタッフMの
気持ちもわかる
けど、どう対応
したらいいのか
しら?
《児童発達管理責任者の悩み》
児童期における連携の大切さ~ケース1
事業所内にて(ある放課後等ディサービス事業所において)
★取り敢えず、せっかく利用していただいているのだから、何とか頑張っていこ
う!と声をかけてみたところで、Aくんが落ち着いてこないことには、スタッフの
頑張りにも限界があります。
★当然ながら、Aくんの生活全体から、Aくんのことを見つめ直すことが大切です。
事業所内での生活は、Aくんにとってはほんの一部です。丁寧に情報をつなぎ
合わせていくことが大切です。
★自分たちの支援が役に立っている!という実感がなければ、職員は育ちませ
ん。困ったことがある度に、やる気と根性で乗り越えよう!というわけにもいき
ません。
⇒《児童発達管理責任者としてできること》~Aくんについて、もっと知りたい!どんなこと
で喜んでいるのかを知りたい。日常的には、子どもの笑顔で支えられているスタッフの
ために、以前のAくんの笑顔に出会わせてあげたい。
悩みって、一人で考えて結論を出しても、あまりいい結果に結びつかないことも多いも
のです。声に出して聴いてもらうことで、頭の中の整理は少し進みます。聞いてくれる
人、他の場所でのAくんを語ってくれる人を探していきたいですね。情報を少しでも得て、
できることをまずやってみて、それから「考えて」、「悩む」ようにしたいものです。
事業所内にて(ある児童発達支援事業所において)
★注意が移り易い5歳のCくん、支援目標の設定において、いろいろな意見が出ています。
関心のあることはよく集中
できているので、そうしたこ
とに取り組む時間をもっと
増やしたい。
いや、体の動きがぎこちなく、
協調性に欠けるところがま
だ目立っている。運動遊び
の中に~しながら、~すると
いったものを多く取り入れる
べきだ!
個別療育担当のPさん
いや、来年から一年生になる
のだし、両親は普通級を希望
しているのだから、もっと集団
の中で対応できるよう、生活
の中に多くの役割・当番を設
定し、達成感を感じさせるべ
きだ!
作業療法士のQさん
Cくん
担任のRさん
「どれもやったらいいんじゃない!」と言ってみると、
「それは無理でしょう!協力しながら方針は絞って
やらないと準備できない!」と皆に言われしまっ
た!どうやってまとめていこうかな?
今ひとつ見通しが持て
ていないから、落ち着
かないのじゃないの?
視覚支援を強化させ、
集中できる環境の設定
について、見直すべき
だ!
心理判定員のUさん
児童発達管理責任者Yさん
児童期のおける家族の混乱
▼多くの専門家がいて、相談を受けるごとに異なる価値観での助言を受けることが
ある。事業所内においても、話をする人によって、違った答えが返ってくることがあ
る。
▼助言の内容については、楽観的な内容と、今あなたが頑張らなければ大変な子ど
もに育つ!的な内容と両極に分かれることもある。
▼「たくさん声をかけ、関わってあげてください。」などと言われ、助言が大まか過ぎて
戸惑い、一方で具体的な内容の指導を受けても、日々の生活の上で時間的に実
施できる内容ではなく、結果としては自信を失ってしまうことはある。
▼就学、進学のたびに、子どもの人生において、大きな岐路に立たされてしまう気持
ちが起こる。親の希望を伝えると、「本当にそれでいいのか?」と言われてしまい、自
分が親でなかったら、この子は幸せなのにとも思ってしまう。
▼後悔のないように育てましょうと何度も言われてきたが、その都度、深く後悔してし
まう自分がいる。
▼ここではできるので、家でもできるはず!と言われ、途方に暮れる。
▼「今頑張らなければ、お子さんの将来に大きな影響が出ますよ!」といったことを
言われた時は、よしがんばろうと思ったが、何度も同様なことを言われると、さすがに
気持ちが滅入ってしまう。
児童発達管理責任者のスーパーバイザーとしての役割
◆児童発達管理責任者の役割として、支援に当たるものへの指導助言、
子どもと家族が地域で生活しやすくなるために関係機関と連携を取り
ながらの支援といったこともあげられます。
○三つのケースで紹介しましたように、児童発達支援管理責任者は、各
分野の支援者の専門性が発揮できるような環境作りが必要です。また、
異なる立場や価値観に立つ人と協働し、効果的な支援を実施していく
ための、おとしどころを見つけ、意見のとりまとめを行う力を持つことが
必要です。
○会議の進行のためのテクニック、話し合いの質を深めていくための方法、
スタッフをスーパーバイズしていくときの指導・助言のあり方などについ
て、できるだけ知識を得ておくことは大切です。年齢的な上下関係、経
験値の差だけでは人は育ちません。もちろん、スタッフに信頼され、有
益なアドバイスができるスーパーバイザーにいきなりなれるわけではあ
りません。
〇スタッフを育てていくことができて、ようやく地域に根ざし、必要とされる
事業所に育っていくことでしょう。
本項での参考資料としては・・・、
▼ファシリテーションについての資料を紹介します。
▼ファシリテートしていく力とその経験は、児童発達管理責任者
としての役割を果たす上で、とても有益なものとなるでしょう。
▼事業所内の会議や地域の関係者による連携会議、都道府
県研修でのファシリテーター用の資料としても、ご利用ください。
ここでの資料としては、以下の内容でまとめていますが、十分な量と内容で
はありませんので、さらに自己研鑽されていくと良いと思います。
①職員集団・組織として留意したいこと
②ファシリテーションとは?~会議の進め方
③ツールを使った検討会議の例~見える会議を!
④マネジメントに有効なツール
▼様々な考えや意見、価値観を上手にくみ取っていくにはどうしたらいいかを考えて
いく前に、どんなに小規模な事業所であったとしても、一つの組織であり、職員集
団であることを改めて意識していただき、集団としての怖さについて、「集団思考」
といったテーマでまとめた資料を掲載します。
▼わかりにくいところもあろうかと思いますが、我が身とわが職場を振り返るための
キィーワードがたくさんあるはずです。
▼集団としてまとまりがあることを目指していくと言えば、それはそれでよいことのよ
うに思えてしまうのですが、まとまりがあるという根拠が、皆が同じ方向を向かされ
ているためだとしたら、健全な職場だとは言えません。少なくとも、児童期の支援に
おいて、様々な価値観のもとで、時には埋もれそうになっている保護者の頭の中を
整理整頓し、前を向いて一歩踏み出していくための支援が重要です。様々な療育
的な支援とその考え方、支援手法を受け止め、家族はどうしたいのか、子ども本人
にとってはどうなのかを、児童発達管理責任者が判断するのではなく、家族が納得
して選択していくための過程に寄り添いたいものです。そのためには、様々な考え
の職員集団であった方が健全ですし、様々な支援手法に目を向けていける職員集
団であった方が、家族への応援はしやすいでしょう。
▼いろんな問題提起が含まれる資料ですので、繰り返し目を通してみてください。
集団思考
•
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groupthink
[(参考・引用)有斐閣 心理学辞典]
ジャニスがその著書(Janis, I. L.1972,82)のなかで,ジョージ・オーウェルの著名な
小説『1984年』に出てきた二重思考(doublethink)の語をもじって名づけた概念。
その定義は、「人々が凝集性の高い内集団に深く関与し、その集団の全員一致傾向が、
現実的な代替案の評価に対する動機よりも優先してしまう場合に陥りやすい思考様式
(Janis, I. L.1982) 」である。
歴史上の重要な政策決定がしばしば重大な失敗に終わるという諸事例の研究のなかから,
なぜ集団の決定の質がしばしば個人の決定の質に勝らないのかを検討することを通じて
概念化された。
それは,凝集性の高い集団のなかで,そのメンバーが集団の決定にとって重要な情報を
適切に処理し損なうことから生じる思考の形態であるとされる。それは集団のなかでの意
見の一致追求傾向を中心として,メンバーが個人的な疑問を抑圧し,他メンバーに対して
その批判的思考をさえぎり,集団全体として過度の楽観主義,外集団の蔑視や軽視,ス
ローガン的単純思考(ステレオタイプ的思考)などの傾向に陥ることをさし,これらが集団の
討議の質を低下させるのである。
ジャニスはこの現象を促進する変数として外部のストレスやリーダーシップの問題等をあ
げている。
歴史的な例としては,アメリカ大統領ケネディの1962年のキューバ・ピッグズ湾侵攻の失
敗や,ジョンソン大統領のヴェトナム戦争に対する泥沼的介入拡大がある。またジャニス
以外が指摘している事例研究ではスペースシャトルの爆発事故直前の打ち上げの決定過
程(1986)の研究などがある。
集団思考概念は広範な議論を引き起こし,また実験的な検討の対象となった。そのなかで,
凝集性を集団の課題へのコミットメントや集団のプライドで指標化せずに集団のなかでの
対人魅力で指標化した時にのみその効果がみられるという指摘や,凝集性よりは決定
ルールが全員一致を要求するとき,また決定に及ぶまでのコストが高い時に誤った選択肢
への固執が生じ,それが集団思考を生み出す,といった指摘もみられる。
2007 広島県サービス管理責任者研修テキスト 「分野別のアセスメント及びモニタリングの実際」等の 寿波苑 鐙本智昭氏講義資料より抜粋
先行する条件
A.凝集性の高い集団である
+
B-1 構造的欠陥
1.集団の孤立化(外部から隔離)
2.公平無私なリーダーシップ
様式の欠如
3.メンバーの思想や社会的
立場・背景の同質性
+
(
意
見
の
一
致
を
求
め
る
傾
向
集
団
思
考
の
傾
向
B-2 誘因となる状況的文脈
1.外部の脅威・ストレスが強く、
リーダーの解決策より良い
案が出そうにない
2.下記の原因により一時的に
「自尊感情」が低下する
)
a. メンバーとしての不適任さを目立た
せる最近の失敗
b. 意思決定作業の困難さにより、メン
バーが自分の能力を低く感じる
c. 倫理基準を外れた代替案 しかない
ように思われるモラルジレンマの出
現
C.集団思考の徴候
観察できる結果
タイプⅠ 集団への過剰評価や幻想
1.その集団の完全性への幻想、根拠のない過度の楽観
主義(完全性への幻想)
2.その集団固有の倫理観を無批判的に受け入れ、疑問を
持たない傾向(倫理性への幻想)
タイプⅡ 閉鎖性
3.不都合な情報や警告を割り引いて解釈して、合理化す
る集合的努力(自己正当化)
4.相手方のリーダーを強くないとか賢くないなどとステレオ
タイプ(判で押したように同じ考えや態度や見方が、多くの人に共
有されている状態)化する(共有されたステレオタイプ)
タイプⅢ 意思の斉一化へのプレッシャー
5.集団から逸脱しないように発言の「自己検閲」が起こる
6.満場一致の幻想
7.異議を唱えるものに対して圧力がかかる(同調圧力)
8.不都合な情報から集団を守る「自発的監視人」の出現
D.欠陥意思決定の徴候
1.選択可能な選択肢を不完全にしか検索・検討しない
2.目標を不完全にしか検討・考慮しない
3.乏しい情報
4.手持ちの情報の分析に選択的なバイアスがかかる
5.前に退けた代替案を再考しようとしない
6.選んだ選択肢の持つリスクやコストを検討しない
7.状況に即応した選択肢の実行プランが欠如している
(参考)集団思考の発生
成功率の低い行動を選択
条件とその帰結
(I.L.Janis,1982)
2007 広島県サービス管理責任者研修テキスト 「分野別のアセスメント及びモニタリングの実際」等の 寿波苑 鐙本智昭氏講義資料より抜粋
同調現象
参考: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
• 同調現象とは、社会心理学の用語で、人々の意見がある方向
のみに傾斜する事を指す。
• 同調現象が起きたら、異論は歓迎されない。ただ、「みんな」の
意見を補強する意見のみが歓迎される。そうして、異論に対して
は、沈黙を強制される(同調圧力)。
• 周囲を見回し、自分に異論があっても、他に異論がないようなら
ば、異論の表明を控える(自己検閲)。
• そうして、「満場一致の幻想」が現れる。同調現象の結果の採決
は、「みんな」が賛成あるいは反対していると推測される。
• さらに、「自発的監視人」が現れる。異論が現れないように、外
部から情報を遮断あるいは異論を述べそうな人物の影響力を
削ぐ。
• 自分が同調を受け入れたら、今度は自分が他者に対する同調
源となる(循環ダイナミクス)。
• 同調現象で、集団の結束を維持しようとするのである。
2007 広島県サービス管理責任者研修テキスト 「分野別のアセスメント及びモニタリングの実際」等の 寿波苑 鐙本智昭氏講義資料より抜粋
集団思考の病状を防ぐためのリーダーの心得(Janis,1982)
1 集団思考とは何か、また、その原因と結果についてメンバーに
理解させる。
2 どのような意見に対しても擁護者とならない。
3 批判者をもつ。反論や疑義が出やすい雰囲気をつくる。
4 ひとり以上のメンバーに反対意見の擁護者の役割をさせる。
5 ときどき集団を分割し、別々に会議をさせた後で、全体会議を
する機会をもつ。
6 相手集団にかかわる事柄は、十分時間をかけて警戒情報を検
討し、相手がこれからなにをしようとしているかをつきとめる。
7 ひとまずある決定までたどり着いたら、第2案を決定する会議
を招集する。
8 外部の専門家を会議に出席させて、自分たちの見方を批判さ
せてみる。
9 メンバーに集団の熟考を信頼できる関係者に伝えさせ、どんな
反応だったか報告させる。
10 もうひとつの独立した集団をつくって、同じテーマについて平行
して検討させる。
2007 広島県サービス管理責任者研修テキスト 「分野別のアセスメント及びモニタリングの実際」地域生活(知的・精神)寿波苑 生活支援員 鐙本智昭氏資料より抜粋
組織風土のチェック
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
8.
(2001岡本浩一)
「鶴の一声」で物事が決まり、ひっくり返る?
組織や集団への忠誠心を重く見る?
オーバーワークを期待し、評価する?
些細なことも細かな報告を求めすぎる?
犯人捜しをする傾向が強い?
トップが下位者の人間関係を気にしすぎる?
上下関係において公私のけじめが甘い?
「偉業」が強調される?
2007 広島県サービス管理責任者研修テキスト 「分野別のアセスメント及びモニタリングの実際」地域生活(知的・精神)寿波苑 生活支援員 鐙本智昭氏資料より抜粋
【組織不祥事招く 企業風土】 讀賣新聞 2005年5月30日(月)
岡本浩一 東洋英和女学院大教授・リスク社会心理学 1955年大阪生まれ。 著書に「権威主義の正体」「無責任の構造」、共編著に「リスク・マネジメ
ントの心理学」など。
• 組織風土の「属人思考」を定義し、それが組織的
不祥事の原因であると提唱し、実証してきている。
• 属人思考とは、判断や意志決定過程で「ことがら」
よりも「人」の要素を重く扱う思考(対極は「属事思考」)
• 複雑な事案において、「あいつが提案者なら大丈
夫だろう」などと「人」によって自分の意見を決める
思考がその典型である。発言者への好き嫌いに
よって発言内容への賛否を決めるのも同じだ。
• 属人思考の強い職場では、対人関係が不適切に
濃密、権威主義的、懲罰的になり、セクショナリズ
ムが強くなる。
2007 広島県サービス管理責任者研修テキスト 「分野別のアセスメント及びモニタリングの実際」地域生活(知的・精神)寿波苑 生活支援員 鐙本智昭氏資料より抜粋
◇ファシリテーションとは・・・。
会議、ミーティング等の場で、発言や参加を促したり、話の流れを整理したり、参加者の
認識の一致を確認したりする行為で介入し、合意形成や相互理解をサポートすることに
より、組織や参加者の活性化、協働を促進させる手法・技術・行為の総称
コミュニケーションスキル以外にも、グランドルールが必要な場合の内容設定や補助、
プロセスデザイン、ミーティング自体の進め方や、さらに会議の場所や参加者の選択、
日程のデザインなど、オーガナイザー(まとめ役)やリーダーの役割を含む場合もある
会議の場に限定せずとも、日常での組織コミュニケーション全般において、ファシリテー
ション技術は活用することができる。また、会議の場などでコンテンツ(議論の内容)に
対して公平な立場にたち、話し合いのプロセス(流れ)に介入してファシリテーションを行
う者のことをファシリテーター(Facilitator)という。
ファシリテーターにはファシリテーション技術もさることながら、参加者または組織に対し
て良心に基づいた、達成イメージへの情熱と信念も合わせて必要とされる。
★児童分野は、他の障害分野と比べても、ファシリテーションの考えや手法を、職場の
中に取り入れきれていない分野だと考えられます。「専門性」といったものが先行してい
るからでもあります。より専門的な知識を持った人が、管理責任の立場に立ち易い分野
でもあるからでしょう。しかしながら、ファシリテートの手法は、ケース検討会にもとても有
用です。職員それぞれの力量に合わせた研修の設定が可能なのです。
効果的な討議の例
手順 1
手順 2
手順 3
手順 4
「目的」を明確にする
「役割」を決める(全員参加)
「テーマ」を設定する
「アイデア」を出す
できるだけ多くの意見を出し合っていく。
職員集団の今の力量に沿ったものから、
夢物語だよ!と言われそうなものまで、と
にかくたくさん数が出てくることを目指し
ていく。
⇒「拡散思考」
◎(リーダーの役割)→ 気軽で、楽しい、自由な雰囲気作り
「発言カード」を使う → 「Post-it」カ-ド
手順 5 アイデア(=思いつき)を記録(書記の役割)
アイデアに「とおし番号」をつける
出されたアイデアを振り返り、「変形」・「組み合わせ」
手順 6 時間を決めて、時間内に終わる
手順 7 アイデアを分類、整理
ばらばらに出た意
見をまとめていく
作業。自分の意見
が入っているので、
集中力は途切れ
にくい!
(タイムキーパーの役割)
「拡散思考」から
「収束思考」
へ
「親和図法」で「似通ったアイデア(イメージ)」を幾つかに整理
手順 8 組み合わせ・評価
手順 9 考察する
→ 目標達成可能な具体案かを検討
ケース会議の促進と参加
司会の機能
会議の促進役
参加メンバーの参画態度
異職種交流
会議の主人公
1、人の話を聴く
全員の話しに注目、相づち、メモ
目標との関連付け、組み合わせ
*場の雰囲気作り
*参加者への気配り
*全員参加の機会
2、分かりやすく話す
大きめの声、明瞭な言葉使い
対象の明確化、表情、視覚的道具
*発言内容の確認
*発言の交通整理
*議論の方向性修正
3、積極的に参加する
情報の積極的な提供、理由と根拠
相手の感情や知識を読む
*目標の計画化
*まとめ
4、目標達成に努力する
進行の流れを読む、進行を助ける
無駄な論争を避ける、解決策を支持
*時間管理
チームワーク
*参考 千名貴志、高橋誠、野中猛
ファシリテーターとして求められていること
その人の力、グループの力を引き出すために、ファシリテー
ターとしては、以下の視点を持つことが望まれます。
• 参加者の主体性を引き出すこと
例:意見を出すための雰囲気づくり、
意見が出た時の「いいね!」などの同調と共感、思い付きの意見を評価し認めていく
ことなど・・・、
• 知識と体験を統合できるような素材の提供をすること (会議の目的
とメンバー構成に沿って、どのツールを使っていけばいいかを考えていく)
• 体験をより大きな気づきへと導くこと(使用していくツールが適切であれば、
多くの会議参加者は、自分と違う発想や考えに出会っていくことになる。)
• 参加者自らが主体的に考えられるような援助をすること(視覚的に
整理された意見や情報を眺めながら、テーマに沿った自分なりの考えを持つように
なってくる。)
• 状況を見ながら適切な介入をすること
①会議を進めるためのルール
が守られていない時、②意見が滞ってしまった時、 ③設定された会議の時間内に
進行しそうにない時、④話し合ったことの振り返りや確認した方が良い時、⑤テーマの
確認をした方が良い時、⑥質問が出た際に答えた方が良いと判断した時 などがあ
げられます。進行は自然であれば、最後まで介入しないということもあります。
子どものケース会議で使用するツール例:子どもの背景・イメージを常に共有しながら検討できる。
ジジババです。
に在住です。
子育ての応援でできることは、
誰が何について困っている?訴えの内容は?
父です。
休みの日は、
僕の希望は、
困っていることは、
平日の活動の場
ママです。趣味は、
私の希望は、
困っていることは、
休日は、
担任です。
私と さんは、
私と さんのママは、
同じクラスの
私の名は、
才の女の子。
好きな人は、
好きなことは、
嫌いなことは、
。
です。
さんのこと、
と思います。
さんは私のことを
と思います。
私は
子どものケース会議で使用するツール例その2
ママよ!
子どもの名前
父です
子どもの状態について気になること
心配なこと・困っていること
学校の担任
どんな子どもに育ってほしい?
ぼくってね・・・
(興味・関心、できること、
困っていることなど)
事業所ができること・役割
子どもの強み
♡
♡
♡
♡
♡
♡
♡
家族の願い・目標
★
★
★
★
そのために・・・
(子どもにとって価値のある
現実的に実施可能な小さな目標を作る)
子どもの状態
ストレングスモデル版のツール例
発達段階を中心とした評価を考えていく幼児期のケースのツール例
支
援
目
標
子どもの興味を活かした目標:
つまずきの中心となると考えられることに関する課題:
支援者が気になっていること
保護者が気になっていること
好んでいる遊び、普段の姿、表現活動(関心のある造形・音楽あそび)
聴知覚・聴き取る力
視知覚について・見分ける力
人への興味の様子
手の操作
感覚系について:過敏なところ、鈍感なところ、前庭系、ボディーイメージ等々
運動機能
保護者の気持ちとズレはあるか
子どもの支援目標や課題が多く出てきたときに整理していくツール例
取り組みやすい
急
が
な
い
時
取
組
み
易
さ
難しい
間
急
ぐ
★会議や研修は、お互いが切磋琢磨し、「相乗効果」を生み出す「場」です。事
業所のスタッフのスキルを上げていくには、座学を繰り返しても、スタッフ全体
の向上に結びつかないことも多いものです。話し合いを重ねていくことが何より
も、スタッフ全体のスキルアップにつながっていくことでしょう。
★そのためには、スタッフ皆の意見や考えを引き出していくことが必要です。語
り明かすまではいかないにしても、互いを知り、互いを認め合う作業を少しずつ
でも実施していきたいものです。話し合いを重ねることで、新たな発想、支援方
法の糸口が見つかっていくかもしれません。そもそも、一人の子どもを支援して
いくのに、どんなに優秀な人が接したところで限界は出てきますし、チームで対
応していくことでしか、有効な支援は継続できないものです。意見を出し合って
は一度は収束させて、実践に移していけるようにしたいものです。
★しかしながら、意見をぶつけ合う文化があまりない風土の中、意識的に反対
意見が言いやすい雰囲気づくりや、異なった見解を提示することが大切だと意
識する集団づくりのために、仕掛けが必要です。
★誰のための、何のための事業所なのか、誰に向かって支援をしているのか
を、頻繁に、しかも真摯に確認していける事業の展開を行っていきましょう。
*以上のような観点から、マネジメントに有効なツールについて、以下の資料
を参考にしてください。
サービスの「改善」・「改良」・「開発」
アイデアが生まれ、具現化するまでのプロセス
ア
イ
デ
ア
を
出
す
視
点
を
得
る
具
着想のアイデ
アを出す
育 て る
発 想 のアイ
デアを出 す
体
る案
・ヒラメキ
・思いつき
・ヒント
・経験
アイデアの出発点
・組合せ
・拡大・縮小
・修正
・追加発想
・原理
・原則
・現実
・具体案
・実行案
・理論の企画
・実際の物品
・先行した事例
アイデアを練りあげる
に
す
アイデアの具現化
ブレーン・ストーミング
1939年にアメリカの広告代理店BBDO社の副社長であったアレッ
クスF.オズボーンが考え出したもの
「まったく制約のないリラックスした状態の中で、自由な反応の中か
ら、自由に空想し、たくさんの奔放なアイデア、代替案を生み出す」
こと
「ブレーン(頭脳)で問題にストーム(突撃)する」
「頭の中に嵐を起こす」
(1)人間は個人でアイデアを考えるより、集団で考えた方が
お互いを刺激し合うために、よいアイデアが出る
(2)批判のない自由な環境であれば、着想の力は最高度に
発揮される
ブレスト4原則
1.批判厳禁
☆良い悪いの評価はしない
☆ けちを付けない
☆ 評価は次のステップで
☆ ヒントは飛躍しているほどよい
☆ 批判されると言えなくなる
2.自由奔放
☆ 目的からのはずれ具合が人の頭脳を刺激
☆ アイデアは自由な発想・奇抜な考えから
☆ おもしろいもの、滑稽なもの、奇想天外なもの、とんでもないものこそ大歓迎
☆ 常識を捨てる(既成の概念・固定観念にとらわれない)
① 似た働きをするものがないか
② 代用品はないか、借りられないか
③ 替えてみたら(発想・着眼点・物品・方法etc) ④ おとぎ話や子供、友人の経験をヒントに
⑤ からだを動かし没入する
⑥ 現場・現物・現状をよく見る
⑦ 従来のものを組み合わせる
⑧ まったく新しい発想でアプローチ
3.質より量
量は質を生む
☆ 量を求めると批判のひまがない
☆ 量を求める → 思考が止まらない
目標は100個!
☆
4.アイデア便乗
一つの思いつき → 別のアイデアを誘発
☆ メンバーの相乗効果に期待
☆ メンバーのアイデアには「なるほど!」「おもしろい!!」を連発しよう
☆ 遠慮しないで、他人のアイデアに便乗しよう
☆
K J 法
• KJ法は、ブレーンストーミングなどによって得られた発想を整序し、問題
解決に結びつけていくための方法です。KJ法という呼び名は、これを考
案した文化人類学者、川喜田二郎氏のアルファベット頭文字からとられ
ています。
• 用意するもの:大きな紙とカード(通常、付箋を使います。)、
ペン
• 手順
①意見・アイディアをカードに記入
②カードを小グループに分ける
③小グループの表題を作る
④小グループを大グループ化する
⑤大グループの表題をつける
⑥大グループ間の関係を線等で結ぶ
http://www2.dwc.doshisha.ac.jp/akatoh/shajoh/shakai04.files/frame.htm#slide0028.htm より
親和図法
「KJ法」(考案者 川喜多二郎氏)に由来。
将来予測される問題、未経験の問題、これまで解明できなかった課題など、モヤモヤしていてはっきり
しない問題や課題に取組むとき、現状レベルや要望レベルがつかみにくい場合に有効な手法。
手順 1 目的を明確にする 何をテーマに、なんのための親和図か
手順 2 言語データを集め、データカードに記入(たくさん出す)
短い文で簡潔に 2つ以上のことを書かない 泥臭く、本音を大切に
手順 3 カードを「親和性」で集める
親和性→親近感のある、同じような、似ているetc
手順 4 親和カードを作る
→ 寄せたカードをひとくくりするキーワードを作る
手順 5 親和図を作成
→ グループをまとめる親和カードを作り、枠線で囲む
手順 6 必要事項を記入
手順 7 考察する
極めて簡単な解説
通常演習等では、ブレインストーミング+KJ法をよく取り入れて行います。ブレインストーミングによって広げていっ
た発想を、KJ法で収束させていくといったイメージでとらえても良いと思います。また、作業の進め方としては、KJ
法と親和図法は同じようなところが多くあります。
品質管理
品質管理の進め方は、一般に, Plan - Do - Check - Action (PDCA) の
サイクルを廻すこと
初歩的な品質管理の手法として良く使われる
QCの7つ道具
パレード図
特性要因図
ヒストグラム
グラフ/管理図
チェックシート
散布図
層別
新QC7つ道具
親和図法
連関図法
系統図法
マトリックス図法
マトリックス・データ解析法
アロー・ダイヤグラム法
PDPC法
http://www.shiojiri.ne.jp/~hnaka/hidehiko/qc-tech/qc.htm より
課題達成型ストーリー
問題解決型ストーリー
テーマの選定
~できない
悪さ加減
現状の把握
魔法の言葉
なぜ?
なぜ?
なぜ?
目標の設定
要因の解析
対策の立案
活動計画の作成
可能性・希望
シンプルに
要約
~したい
課題の明確化
核心を突
いたゴール
「ツール」が
異なる
対策の実施
目標の設定
魔法の言葉
方策の立案
最適策の追求
~するため
には?
最適策の実施
~するため
には?
効果の確認
起こる(発生型)問題
処置する問題(定型業務)
歯 止 め
反省と今後の計画
~するため
には?
創る(形成型)課題
さがす(潜在型)課題
課題達成型ストーリー
系統図
ブレーク・ダウン(課題の掘り下げ)
目的:ねらいを達成する具体的な手段や方策を
もれなく求める手法
~するため
(基本目的)
(1次手段)
基本目的
手 段
~したい
可能性・希望
手順1
手順2
手順3
目的
(2次手段)
(3次手段)
手 段
目的
魔法の言葉
手 段
基本目的を明確にする(例:一人でご飯を食べるようになる!)
1次手段を追求する(そのために、スプーンの使い方が上手になる。)
2次手段、3次手段を追求する(そのために、手首の廻旋がスムースになっ
ていく。そのために、大きめのねじのついた玩具等、「ひねる」遊びを楽しむ。)
手順4
手順5
手順6
には?
~するため
には?
~するため
には?
目的と手段の関係を確認する
必要事項を記入する
考察する
問題解決型ストーリー
特性要因図の作成
Cause-and-Effect Diagram
(作成手順)
• 特性の決定
– 問題とする特性を決め、その特性と背骨を書く。
• 主たる要因を挙げ、大骨を入れる。
– 要因の原因を挙げ、中骨を入れる。具体的なデータが取れるようにな
るまで原因を掘り下げ、逐次小骨、孫骨を入れる。
なぜ○○なのか?××だから、を繰り返す。
魔法の言葉
• 原因の重み付け
– 重要な原因を枠で囲む。
• 原因の確認
– データが取れる原因まで掘り下げたか。
– 目的に合った表現か。
– 特性に関係のない原因が入っていないか。
なぜ?
なぜ?
なぜ?
http://leo.aichi-u.ac.jp/~tsaito/N72.html 宮川宏之「どこでどう使うQC手法」ブレーンダイナミックスより
問題解決型ストーリー
特性要因図例
http://leo.aichi-u.ac.jp/~tsaito/N72.html
宮川宏之「どこでどう使うQC手法」ブレーンダイナミックスより
課題達成型ストーリー
系統図例
http://leo.aichi-u.ac.jp/~tsaito/N72.html 宮川宏之「どこでどう使うQC手法」ブレーンダイナミックスより