歴史戦争を勝ち抜くための「魔法の言葉」

平成 27 年 4 月 24 日
渡部昇一書下ろしニューズレター
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★歴史戦争を勝ち抜くための「魔法の言葉」★
国内外のマスコミを中心に安倍首相をリビジョニスト(歴史修正主義者)と批判する動きが
続いています。安倍首相は現存する日本の政治家の中でも、極めてまっとうな国家観、歴史観
を持つ一人です。戦後レジームからの脱却を一貫して唱えているのは、それが日本が真の独立
国になる上で欠くべからざる要件であるためです。戦後70年の節目に、河野談話や村山談話
に替わる新たな談話を発表しようとするのもその思いの表れに他なりません。
アメリカや日本のマスコミが言うリビジョニストとは、そういう安倍首相を、ナチズムの台
頭やヒトラーの独裁主義、国粋主義を信奉し待望するネオナチと結びつけ、重ね合わせた悪質
かつピンぼけな言葉です。だが、悪質、ピンぼけと一蹴するだけでは済まされないところに、
この問題の深刻さがあります。日本の将来を考えた時、リビジョニストという言葉を独り歩き
させてしまうダメージは限りなく大きいと自覚しなくてはいけません。
歴史の修正といえば、それを象徴するような事実が昨年、明らかになりました。『朝日新聞』
による〝従軍〟慰安婦報道です。朝日は無辜のコリア人女性を軍が強制的に拉致して慰安婦に
したという事実無根の噂話を、さも真実であるかの如く捏造して記事を流し続けました。歴史
を間違った方向にねじ曲げて、世界へと拡散させました。リビジョニストを言葉どおり歴史修
正主義者と解すれば、他でもない朝日の捏造記事を正すことこそリビジョニストの仕事なので
すが、いまはこの言葉がネオナチ支持のように使われているのです。
朝日の慰安婦報道をさらに掘り下げると、東京裁判という強固な根っこにぶつかります。東
京裁判を一言で言えば、アメリカをはじめとする連合国が日本を侵略国と決めつけ、日本人に
鎖をつけて身動きの取れない状態にしてしまった一方的なインチキ裁判です。日本を苦しめる
〝従軍〟慰安婦報道も南京大虐殺もすべてはここに端を発しています。東京裁判で植え付けら
れた日本は悪なる侵略国というイメージは、日本が独立を回復して以降もなお左翼に受け継が
れ、中韓の反日思想と混じり合いながら政財界や教育界、学界、マスコミ界など日本のあらゆ
るジャンルを席巻していきました。中韓に対する日本政府の謝罪外交がその流れの中にあるこ
とは多言を要しないでしょう。
もう一つ、東京裁判には、アメリカが犯した重大な罪を覆い隠す意図があったことも忘れて
はいけません。広島や長崎への原爆投下、東京をはじめとする都市部への大空襲という非戦闘
員の無差別な大量虐殺(ホロコースト)は、世界史上稀なる重大戦争犯罪です。その根底にあ
ったのはアメリカ=正義の国、日本=悪魔の国という一神教や人種差別に基づく図式です。ア
メリカもまた自国に非が及ばないよう、裁判という形をとりながら巧妙に話の筋をすり替え、
歴史を大きく塗り替えてしまったのです。
ところが、裁判が終わってほどなく、誰より早く東京裁判の間違いに気づいた人がいました。
東京裁判で日本を断罪したダグラス・マッカーサーその人です。朝鮮戦争時にアメリカ上院軍
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事外交合同委員会に呼ばれたマッカーサーは「彼ら(日本人)が戦争に飛び込んでいった動機
は、主として自衛に迫られてのものだった(Their purpose, therefore, in going to war was
largely dictated by security. )」と証言したのです。マッカーサーこそ正しい意味でのリビ
ジョニストでした。
マッカーサーは朝鮮戦争を通して共産主義の実態を知りました。アジアから日本を追い払っ
た結果、出現したのはアメリカと対峙するソ連や中国という強大なる共産主義国家でした。北
朝鮮軍はソ連軍や中国軍を味方につけて、一気に半島南部に攻め入ってきました。この時、マ
ッカーサーは日本が戦った意味を一瞬にして理解したに違いありません。日本の戦いは侵略行
為ではなく自衛戦だという言葉は、朝鮮戦争を戦う中で生まれた彼の実感だったのです。これ
こそ彼にとっての歴史修正であり、正しいことでした。
いま政府が果たすべき役割と責任は、そういう事実を一つひとつ繙きながら、正しい史実を
明らかにしていくことなのです。東京裁判史観を打ち砕くのに、このマッカーサー発言ほどパ
ンチのある言葉はありません。日本は残虐な侵略国家だ、謝罪しろといった類の批判には「東
京裁判で日本を裁いた張本人のマッカーサーが、日本は自衛のための戦いをしたと公の場で述
べている」とだけ答えたら、相手に最早反論の余地などありません。学問の世界に限らず、こ
れを持ち出すと不思議なくらい相手は何も反論できなくなる〝魔法の言葉〟というものがあり
ます。このマッカーサー発言はその典型でしょう。
いま中国は「抗日戦争勝利七十周年」を打ち上げ、国民の反日感情を煽っています。国家主
席の習近平氏がこのことに触れる時、必ず対になって出てくる言葉があります。「南京大虐殺」
です。だが、この切り札のように持ち出されてくる言葉も専門家が調べに調べ抜いて民間人に
対する虐殺は限りなくゼロであることがすでに証明済みです。習氏の言う30万虐殺などとい
うのは戦場の戦死者やゲリラの死者でしょう。これを虐殺とは言いません。
ここでも南京大虐殺を主張して憚らない人たちを黙らせる〝魔法の言葉〟があります。
「あなたは国民政府軍を率いた蒋介石よりも歴史を詳しくご存じのようですね。蒋介石は日本
軍の南京攻略の後、外国人記者を集めて200回以上の記者会見を開いていますが、大虐殺が
あったなどとは一言半句言っていませんよ」
シナ事変において日本軍のちょっとした行為でもあげつらって、批判し、国際裁判に持ち込
むのが蒋介石のお決まりのパターンです。南京で大量の市民が虐殺されたとあらば、じっとし
ておくはずがないのです。にもかかわらず一言の言及もないのは、そういう事実がなかった何
よりの証です。大虐殺自体がないのですから、発言のしようもないのです。
平和ボケの日本が直面する歴史戦争を勝ち抜くのは、生半可な覚悟ではできないことですが、
そういう時、魔法の言葉を知っておくと有利です。日本政府にもこれを国民一般に広く知らし
めてほしいものだと念願しています。
【お知らせ】次回の配信は 5/1(金)とさせていただきます。
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