パワーポイント - 人口研究: study_memo

人口経済論 第7回
2005年5月30日(月)
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地球環境と食糧需給
ビョルン・ロンボルグ(山形浩生訳)2003『環
境危機をあおってはいけない:地球環境のホ
ントの実態』文芸春秋.
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環境現象(含む人口)を見るときのポイ
ント
世の中、よくなっているのか?
ものごとは改善しているが、十分ではない
・よくなっているかどうか
・水準が十分かどうか
大事なことはトレンドである
以前よりもよくなっているのかどうかをみる
こと
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環境現象(含む人口)を見るときのポイ
ント
グローバルトレンドをみる重要性
グローバルな数字は、良い話も悪い話もす
べてひっくるめるので、全体的な状況がどうか
を判断できるようにしてくれる。
(ただし、地域差に着目しないことを意味するわけではない)
長期トレンドと短期のリバウンド
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環境現象(含む人口)を見るときのポイ
ント
悪いニュースばかり流される
・研究と偏り
・メディアの影響:悪いニュースがニュース
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「人類を養うための戦いは終わった。1970年代の
うちにこの世界は悲劇的な割合で飢餓を体験するこ
とになるだろう- 何億もの人々が飢え死にすることに
なる」(ポール・エーリック『人口爆弾』1968年)
「開発途上国の国々で起こっている食糧問題は、
人類がこれからの数十年で直面する解決困難な問
題の一つだろう」1965年レスター・ブラウン(ワールド
ウォッチ研究所所長)
→2人とも間違った。人口は1961年の2倍になった
が、先進国発展途上国のどちらでも一人当たりの食
料はもっと増えた。
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「人類を養うための戦いは終わった。1970年代の
うちにこの世界は悲劇的な割合で飢餓を体験するこ
とになるだろう- 何億もの人々が飢え死にすることに
なる」(ポール・エーリック『人口爆弾』1968年)
「開発途上国の国々で起こっている食糧問題は、
人類がこれからの数十年で直面する解決困難な問
題の一つだろう」1965年レスター・ブラウン(ワールド
ウォッチ研究所所長)
→2人とも間違った。人口は1961年の2倍になった
が、先進国発展途上国のどちらでも一人当たりの食
料はもっと増えた。
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地球環境と食糧需給
1.古典派経済学の人口・食糧論
(1)マルサス理論の誤謬(ごびゅう)と有効性
(2)人口圧力と農業開発
2.飢餓と飽食の共存
3.緑の革命とその影響
4.食糧輸出国と輸入国の現状
5.食糧需給の展望
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1.古典派経済学の人口・食糧論
(1)マルサス理論の誤謬(ごびゅう)と有効性
マルサス(Thomas Robert Maltus 1776-1834)の有名な人
口論(初版は1798年)において、次のことを仮定した。
・食糧は人間の生存に不可欠であり、また、両性間の情欲は
これからも変わらない。
・人口は幾何級数的(1,2,4,8・・・)と増加するのに対し、食料
は算術級数的(1,2,3,4,・・・)にしか増産できない。
・その結果、人口が食糧を超えて増加しようとする過程で、必
然的に、社会に貧困と悪徳をもたらすとともに、過剰人口が
淘汰され、そうした自然の秩序の本で、人口は抑制される。
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1.古典派経済学の人口・食糧論
(1)マルサス理論の誤謬(ごびゅう)と有効性
マルサス理論によれば、常に、食料の供給は
潜在的な食糧需要に追いつけず、人間社会
にはいつでも食糧危機もしくは食糧問題が存
在せざるを得ない。そして、結果的には、人口
は算術級数的にしか増加できないこととなる。
しかし、第2次世界大戦後に発生した人口増
加の事実はマルサス理論を否定する。大局
的に見る限り、マルサス理論は間違っている。
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1.古典派経済学の人口・食糧論
(1)マルサス理論の誤謬(ごびゅう)と有効性
その最大の理由は、農業における技術進歩
の可能性を見落としたことにある。マルサス
理論では、農業技術を固定化し、収穫逓減の
法則が作用すると仮定した。短期的には正し
い。しかし長期的には農業技術の開発努力
がなされる限り、技術進歩による食糧供給力
の逓増的拡大が可能となる。
→緑の革命
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1.古典派経済学の人口・食糧論
(1)マルサス理論の誤謬(ごびゅう)と有効性
とはいえ、マルサス理論はまったくの誤謬として切り
捨てられるか?
→できない
結局のところ、人口増加の水準と農業技術開発能
力の相対的関係が問題。歴史的にはマルサス的状
況は短期的に、絶えず地球上のどこかで発生してい
た。→南北問題
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1.古典派経済学の人口・食糧論
(1)マルサス理論の誤謬(ごびゅう)と有効性
先進諸国では、一般に低い増加率に比べ、
高い経済発展を前提条件とした農業技術開
発努力が行われて、マルサス理論が通用しな
かった。
途上諸国では、高い人口増加率に比べ農業
技術開発努力が十分でない場合が多く、マル
サス理論が通用する地域がある。
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1.古典派経済学の人口・食糧論
(2)人口圧力と農業開発
ボズラップは、人類が、耐えざる人口圧力の
下でこそ、農業技術を初期の焼き畑農業から
休耕農業さらには連作制へと進化させ、農業
生産性を高めてきたと主張する。
ただし、過度な人口圧力は、直接に食糧問題
や貧困と結びつき、農業発展にもマイナスに
作用する可能性が強いので、人口圧力は両
刃の刃。
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1.古典派経済学の人口・食糧論
(2)人口圧力と農業開発
人口が大きいことは、一方で豊かな労働力を
提供するとともに、他方で、大きな国内市場を
その国の産業にもたらすので、国力を増大さ
せ、規模の経済が働く有利性を持っている。
しかし、経済や社会がいまだ未熟で、そうした
有利性を発揮できる経済運営を欠く場合は、
失業問題や職業問題が深刻化し貧困から抜
け出せない。
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2.飢餓と飽食の共存
世界の食糧生産は、先進国での農業開発研究の
進展と途上国での「緑の革命」の成果もあって過去
約30年間に著しい増産を達成した。先進諸国にお
いては「飽食の時代」が到来。
一方で途上国に飢えにあえいでいる人がいる。
同じ世界、同じ時代に、「飢餓」と「飽食」が共存し
ている。これこそ、現在の世界食糧問題の本質のひ
とつ。
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3.緑の革命とその影響
(1)緑の革命:国際技術移転の成功
第2次世界大戦後、途上国の人口爆発によって世
界の食糧需要は著しく増大したが、それによっても
たらされたかもしれない世界的な食糧危機の回避に
最大の貢献を果たしたのが「緑の革命」。
1960年代に、アメリカ・日本などによる農業開発国
際協力の一環として、フィリピンに国際稲研究所、メ
キシコに国際とうもろこし・小麦改良センターが設立
される。先進国側の研究者が中心となって、それぞ
れの現地条件の下で高収量の新品種を開発。
その結果、世界のコメ・小麦・とうもろこし生産は30
年間で倍増した。
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3.緑の革命とその影響
(2)緑の革命の技術的特性
例:茎が短くて太く葉が二項を受け入れやす
いように直立。効率よく大量エネルギーの吸
収をおこなう。
例:多作化が可能となる。
欠点:病害虫に弱い、味が悪い
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3.緑の革命とその影響
(3)緑の革命の経済・社会的影響
マクロ的貢献
緑の革命の結果、インドやインドネシアなど人口大
国をはじめとして多くの途上国での食糧供給を飛躍
的に拡大させ、各国の食糧自給率を高めた。また世
界の需給バランスの改善に貢献。供給増大により穀
類価格が低下し、途上国の低労賃が維持され国際
競争力を強めて工業化に貢献し、また、貧困層の食
糧アクセスを容易にして社会的緊張緩和にも役立っ
た。
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3.緑の革命とその影響
(3)緑の革命の経済・社会的影響
農村経済社会への影響
ネガティブな側面:従来から農村にあった共
存的社会慣行が破壊され、零細農家が資金
欠如と技術的無知から肥料・改良種子を入手
できず、また、水利条件が悪い地域は緑の革
命の恩恵に浴せず、農民間・地域間所得格
差が増大した。
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3.緑の革命とその影響
(3)緑の革命の経済・社会的影響
農村経済社会への影響
ポジティブな側面:農作物の集約化や多期作
化によって土地なし労働者や劣悪地域からの
出稼ぎ者に追加的就業機会を与えた。また、
農村賃金の均等化にも作用したので、むしろ、
労働分配所得を高めて経済的不平等を縮小
させた。コメの実質価格の低下が貧困層の低
所得問題を緩和した。
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3.緑の革命とその影響
(4)緑の革命の今後の展望
2つの修正
肥料農薬多投からの転換
穀類集中からの転換
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4.食糧輸出国と輸入国の現状
世界各国は、食糧需給バランスの不一致を
食糧の輸出入で調整している。食料のうち最
も重要な農作物は穀物である。
世界諸地域の穀物純貿易量(輸出と輸入の
差)によって区分したものが表4-1
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5.食糧需給の展望
(1)食糧需給の変動要因と将来予測
需給:経済発展水準、経済成長率、為替・外貨事
情、国内食品流通機構、貿易自由化政策のいかん
を含む食糧政策など。
需要:人口増加率と年齢構成の変化、所得水準と
その増加率、嗜好変化、都市化、女性の社会進出、
食品加工産業・外食産業の発展など。
供給:耕地面積の変化、生産調整面積、土壌流出、
土地の砂漠化、砂漠の緑化、個別作物の作付面積
構成の変化、農業技術革新、土地生産性の変化、
地球温暖化、気象変化など。
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5.食糧需給の展望
(2)食糧需給の地域別展望
食料輸入低所得途上国:アフリカ諸国中心
経済発展がいまだ軌道に乗らずに低所得水
準にあり、しかも人口増加に食糧増産が追い
つかず、今後も需給のアンバランスが拡大し
食糧不足が続くか(?)。
援助食糧に頼らねば餓死者を出すほどに食
糧不足が構造化している国は、安定した食糧
基盤なしに経済発展はありえず、早急にその
改善が必要。
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5.食糧需給の展望
(2)食糧需給の地域別展望
食料輸入先進国:日本が典型
穀物と畜産物とをあわせた食料輸入は将来
も増大する可能性が高い。
国内農業保護をWTO体制下で以下に行うか
が重要な課題。
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5.食糧需給の展望
(2)食糧需給の地域別展望
食料輸出先進国:アメリカ、カナダ、オースト
ラリアなど
これらの国の食糧供給力は、WTO体制の下
では輸出補助が低く抑えられることにより縮
小される可能性がある。しかし、需給穀物バ
ランスが崩れて濃く最古価格の上昇が生じた
ら、輸出余力が増大する。
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5.食糧需給の展望
(2)食糧需給の地域別展望
食料輸出途上国:タイ、アルゼンチンなど
これらの国の食糧供給力は、WTO体制の下
では今後高まり、さらに国際協力などでの技
術導入・技術革新が進めば、農産物及び加
工食品の輸出拡大も可能である。
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5.食糧需給の展望
(3)世界全体としての食糧需給
食糧危機が発生するかどうかは、食料輸入
低所得途上国で適切な食糧増産が実現でき
るかどうかにかかっている。
このグループへの国際的な食糧の直接援
助は、必要最小限の短期に限るべきである。
さもないと援助した食糧が自助努力の阻害要
因となる。
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