中村さやか

経済学入門 第3回
需要曲線と消費者行動
中村さやか
今日やること
1.需要の弾力性
2.需要曲線のシフト
3.個人の需要曲線と市場全体の需要曲線
需要曲線: 価格と需要量の関係
価格
焼き芋の需要曲線
 価格が決まると需要量
が決まる
 需要曲線は右下がり
200
100
D
50
100 数量
需要曲線の傾きと弾力性
P
傾きが緩やか
⇔弾力的な需要曲線
P
P1
P1
P2
P2
価格変化による需要
量の変化が大きい
Q1
Q2 Q
傾きが急
⇔非弾力的な需要曲線
価格変化による需要
量の変化が小さい
Q1 Q2
Q
価格弾力性の定義
価格が1%変化した時に需要量が何%変化するか
数式では:
需要が何 %変化したか
需要の価格弾力性 
価格が何%変化したか
需要量の変化率
=
価格の変化率
変化分
変化後の数-変化前の 数
変化率=
=
変化前の数
変化前の数
価格弾力性と需要曲線の傾き
数学的には
需要量の変化率
需要の価格弾力性=
価格の変化率
ΔQ ΔP ΔQ
P
ΔQ P
=

=

=

Q
P
Q ΔP ΔP Q
-1
 ΔP 
=

ΔQ 
P
1
P
 

Q 需要曲線の傾き Q
だから、傾きが急なほど価格弾力性が小さい
弾力性の大きい財、小さい財
生活必需品 (米、トイレットペーパー等)
 価格が高くてもなしで済ますわけにはいかない
⇒価格弾力性が小さい
奢侈品 (海外旅行、宝石、お父さんのスーツ、花柄&
香りつきのトイレットペーパー)
 無いなら無いで済む
⇒価格弾力性が大きい
短期と長期の弾力性
短期より長期のほうが需要の価格弾力性は大きい
例:燃料価格の値上がり
短期:
 車を使わないと会社や買い物に行けない!
 車はワゴン車でガソリンをがぶ飲み
長期:
 もっと便利な場所に引っ越し
 燃費の良い車に変える
需要曲線と支出額
P
P1
支出額1
P2
支出額2
Q1
D
Q2
Q
支出額=価格×需要量
=
 価格が下がると支出は
減る? 増える?
 縦の長さが減る
 価格が下がれば需要量
は増えるので横の長さが
増える
⇒どっちの影響がより大き
いか?
価格弾力性が大きいケース
P
価格が下がると支出は?
 弾力性が大きい
⇒需要量が大きく増加
⇒支出額増加
P1
P2
Q1
Q2 Q
価格弾力性が小さいケース
P
価格が下がると支出は?
 弾力性が小さい
⇒需要量があまり増えな
い
⇒支出額減少
P1
P2
Q1 Q2
Q
例1: 石油ショックと日本の石油輸入額
 短期: 需要の価格弾力性が小さい
(急には石油依存を変えられない)
⇒石油ショック直後は石油輸入額が大幅に増大
 長期: 需要の価格弾力性が大きい
(省エネ・他のエネルギー源への切り替え)
⇒数年後には石油輸入額は石油ショック前の水準に近
づく
例2: 価格差別
支出額=供給者の収入 なので
 お金持ち: 需要の価格弾力性が小さい
⇒ 価格を下げても需要はあまり増えない
⇒ 高い価格をつけたほうが収入が増える
 貧乏: 需要の価格弾力性が大きい
⇒ 価格を下げると需要が大きく増加
⇒ 価格を抑えたほうが収入が増える
価格差別の例: 学生料金、レディースデー、「医は忍術」
今日やること
1.需要の弾力性
2.需要曲線のシフト
3.個人の需要曲線と市場全体の需要曲線
需要量は何によって決まるか?
リンゴの需要量
=f(リンゴの価格、所得、他の果物の価格、テレビの健
康番組、などなど)
リンゴの価格以外の要因が全て一定ならば、
リンゴの需要量=f(リンゴの価格)
となり、リンゴの価格が決まればリンゴの需要量が決まる
価格以外の要因が変化するとどうなるか?
リンゴの需要量
=f(リンゴの価格、所得、他の果物の価格、テレビの健
康番組、などなど)
リンゴの価格以外の要因が変化すると需要曲線がシフト
他の要因の例:
 消費者の好み・新しい情報
 所得の増加・減少
 他の財の価格
需要曲線のシフト
D2
価格
D1
 右シフト:同じ価格に対
してより多い量が需要さ
れる
需要量
D1
価格
D2
 左シフト:同じ価格に対
してより少ない量が需
要される
需要量
所得変化が需要量に与える影響
 財によって、所得が増えると需要が増える財と減る財
がある
正常財(上級財) : 所得が増えると需要が増える財
 ほとんどの財がこれに含まれる
劣等財(下級財) :所得が増えると需要が減る財
 お金がないときにたくさん消費して、お金があるときに
はあまり消費しない財
 もやし、卵、おから、学食の安いメニュー、などなど
他の財の価格が需要量に与える影響
 財と財の関係によって決まる
代替財: お互いの価格が上がると需要が増える財
 互いに似ていてライバル関係にある財
 コカコーラとペプシコーラ、うどんとそば、など
劣等財:お互いの価格が上がると需要が減る財
 両方を一緒に消費する財
 プリンターとトナー、コーヒーとクリーム、など
需要曲線上の変化と需要曲線のシフトの違い
Q: リンゴの価格の変化によってリンゴの需要曲線は
シフトしますか?
 その財の価格の変化
⇒同じ需要曲線上のある点から別の点へ移動
 その財の価格以外の要因が変化
⇒需要曲線がシフト
需要曲線上の変化
価格
焼き芋の需要曲線
200
 価格が200円から100円
に変化
⇒需要量が50から100に
変化
 その財の価格が変化
100
D
50
100 数量
⇒同じ需要曲線上のある
点から別の点への変化
今日やること
1.需要の弾力性
2.需要曲線のシフト
3.個人の需要曲線と市場全体の需要曲線
一人一人の消費者の最適化→需要曲線
 与えられた予算と消費財の価格のもとで、消費者一人
一人がそれぞれの財の消費量を決定
→一人一人の消費者の需要が決まる
→全ての消費者の需要を横に足し合わせたものが、市場
全体の需要曲線
消費者が二人だけのケースを図に書いてみよう
市場全体の需要曲線
消費者1の
需要曲線
消費者2の
需要曲線
消費者数2の場合の
市場全体の需要曲線