第七課 文章について 第七課 <注釈> 芳賀綏(はが やすし) 国語学者、評論家。日本熊本県熊本市に生まれ た。東京大学文学部を卒業。東洋大学・藤女子大 学・法政大学助教授・東京工業大学教授を歴任。 言語社会心理学を専攻で、表現・文法・方言など を研究分野としているが、政治評論家の分野での 活躍にもめざましいものがある。また、NHKラジ オ・テレビなどにも出演し、新聞のコラムなども担当 する幅広い活躍ぶりを見せている。代表作には 『日本文法教室』『日本人の表現心理』『言語・社 会・日本』『日本語と日本人』『売り言葉と買い言 葉』『言語と日本人』『日本人らしさの構造』『あいま い語辞典』など多数ある。 第七課 <新しい言葉> 1.頭の働きの調子のよいときには、めじろおしで待っているといって もそれほど言い過ぎではない状態になる。 目白押し (メジロが木の枝にとまるとき、おしあうようにたくさん並ん で止まることから来た言葉) ①子供が大勢で押し合い、おされて列外に出た者が、また端に加わっ て中の者を押す遊び ②多くの人や物事がぎっしり並んだり続いたりすること。 ○開発計画はめじろおしだ。 第七課 <新しい言葉> 2.ひるがえって思うに、文章を書くことは恐ろしい。 翻って 反対に。他の方面から。 ○ひるがえって我が国の経済情勢を考えてみると問題は山積してい る。 ○ひるがえって我が国の科学技術の現状を見ると、まことに憂慮す べき状態にあります。特に、独創的・先端的科学技術の源泉となる 基礎研究の水準は欧米に著しく立ち遅れており、基礎研究の担い手 たるべき大学・大学院、国立試験研究機関等の研究環境は欧米に比 べ劣悪な状況に置かれております。 第七課 <新しい言葉> 3.内に何が欠けているかがみえすいて、読者の気持ちを寒々とさせる こともある。 見え透く ①底まで通って見える。内まで透いて見える。 ○彼の心の底まは見え透いている。 ②(人の言動の裏にかくれた意図などが)よくわかる。 ○見え透いたうそ 第七課 <新しい言葉> 4.思いの内容をかふそくなく言葉に表すこと、これがまた容易ではな い。 過不足ない 過ぎたことと足りないこと、ちょうどよい程度。 ○かふそくなく説明する。 第七課 <新しい言葉> 5.言葉足らざるもどかしさは、いつまでも尾を引いて心が平らかにで ない。 尾を引く 物事の影響や余波がずっとあとまで続く。比喩的に何かが済んだ 後までもその影響が残るという意味。 ○この問題は今後も長く尾を引くものとみてよい。。 ○あの事件はまだ尾を引いていて、その影響が完全に消えるまでに はまだ時間がかかるだろう。 もどかしい 思うようにならないで、気がもめる。じれったい。 ○時間のたつのはもどかしい。 ○靴をはくのももどかしげに飛び出していった。 第七課 <新しい言葉> 6.壁に向かって九年間も沈黙を続けた達磨大師の面壁九年は、さしず め、その好例といっていい。 差し詰め ①落ち着くところ。結局。 ○さしずめそういう結論になるね。 ②さしあたり。今のところ。 ○さしずめ生活には困らない。 ○さしずめ不自由は感じていない。 第七課 <新しい言葉> 7.それが難解でひとりよがりな表現とつながり、飛躍ばかりでとりと めもない表現とつながる。 独りよがり 自分ひとりだけでよいと思って、他人の説を顧みないこと。 ○ひとりよがりに陥る。 とりとめがない まとまりのない。要領を得ない。 ○とりとめがないことを言う。 第七課 <新しい言葉> 8.この文章によって、何を人に伝えたいのか、どんなことを訴えたい のかということから、目をそらせてはいけない。 逸らす 目などを他のほうへ向ける。 ○子供から目をそらすな。 ○わざと話をそらしてしまった。 ○気をそらす 第七課 <新しい言葉> 9.結論の部分が長すぎて、くどい印象を与えたりすることはないだろ うか。 くどい ①何度も同じことを繰り返し言って煩わしく感じられる様子。 ○あのばあさんは話がくどくてほんとうにいやだ。 ○そんなにくどく聞くものではない。 ②物の味や色などが濃厚でくせがある。 ○くどい味 第七課 <新しい言葉> 10.材料が多すぎてごたごたしたり、一方に偏って散漫になったりし てはいけないだろうか。 ごたごた ①種々の物が雑然と入り混じって整理が悪いさま。 ○家の中がごたごたしている。 ②とりとめもなくあれこれ言い続けるさま。 ○ごたごた文句を言う ③もめていたり、突発的な出来事で取り込んでいたりするさま。また、 面倒なもめごとが起こっていること。 ○あの会社にごたごたが絶えない。 第七課 <新しい言葉> 11.いやにだらだらと、どこまでも続くセンテンスは鈍重で切れ味が 悪い。 だらだら ①粘り気のある液体が糸を引くようにしたたるさま。 ○冷や汗がだらだらと流れる。 ②なだらかな傾斜が続くさま。 ○だらだらとした坂 ③物事の進行が非常に遅く、際限なく続くさま。 ○演説がだらだらと続く ④無意味に怠けて時を過ごすさま。 ○家でだらだらしている。 第七課 <新しい言葉> 12.やたらにぶつぶつと、センテンスをこま切れにすればよいという のでもない。 ぶつぶつ ①大まかに切り分けたり、刺し貫いていくつも穴を開けたりする音。 また、そのさま。 ○魚をぶつぶつと輪切りにする。 ○皮のソファにぶつぶつ穴を開けている。 ②噴出した細かい気泡や水泡などが破れる音。また、そのさま。 ○シチューがぶつぶつ煮立つ。 第七課 <新しい言葉> 12.やたらにぶつぶつと、センテンスをこま切れにすればよいという のでもない。 ぶつぶつ ③物の表面に小さな粒状の突起やへこみがあるさま。 ○顔ににきびがぶつぶつができている。 ○汁の中の粉が溶けずにぶつぶつ残っている。 ④口中でつぶやく不明瞭な声。また、そのさま。 ○何かぶつぶつ不平を並べていた。 第七課 <新しい言葉> 13.短いセンテンスを積み重ねて、たたみかけていく呼吸。そして、 長いセンテンスで、じっくりと説いていく呼吸。 畳み掛ける 物事を続けざまにする。相手に余裕を与えずに行う。 ○たたみかけて質問する。 じっくり 落ち着いて時間をかけて念入りに行うさま。 ○じっくり案を練る。 ○じっくり煮込む。 ○あわてないでじっくりやればなんとかなる。 第七課 <言葉の学習> 1.~というものだ ①あるものの機能や内容の説明をするのに用いる。 ○この研究は生産量を10年のうちに2倍にするというものだ。 ○相手から出された取引の条件は利益の30%を渡すというものだった。 ○この新型の旋盤は一日に200ぐらいの部品を造ることが出来るという ものだ。/这个新型旋床一天能制造出二百个左右零件。 ○今回作られたタイムカプセルは200年先の人々に20世紀からのメッ セージを送るというものだ。/这次制造的时空罐是给200年以后的人们 送去20世纪的祝福。 ○タバコの煙は体によくないというものだといっても沢山の人がやっぱり 吸っているのだ。/虽说香烟的烟雾对身体不好,但好多人还在吸。 第七課 <言葉の学習> 1.~というものだ ②話す人がある事実を見て、それについて批判、感想を断定的に言い、「心から~ だと思う」の意味。話し言葉では「~ってもんだ」をよく使う。(就是~、这才 真是~、才称得上是~。) ○儲けを独り占めしようなんて、虫が良すぎるってもんだ。/赚钱的事想一个人独 占,这才真是自私呢。 ○困ったときにその手を差し伸べるのが真の友情というものでしょう。/困难的时 候,伸出援助之手,这才称得上是真正的友谊。 ○同じ仕事をしているのに、女性の方が給料が低いのは不公平というものです。/ 做同样的工作,给女职工的薪水就少,这真是太不公平了。 ○何でも自分の思い通りになると思ったら、大間違いってもんだ。/如果认为什么 事都能像自己所想象的那么顺利的话,那就大错特错了。 ○その僧が鬼になったのは過去の因縁というものであろう。/那位僧变成了鬼,可 能是前世因缘吧。 第七課 <言葉の学習> 2.~というものではない ある主張や考え方について、それが全面的に妥当だとはいえない という意味。 ○食べ物などは安ければそれでいいというものではない。 ○有名な大学を卒業したからといって、それで幸せになれるというも のでもない。 ○人には自由があるからといって、何をしてもよいというものではな い。 ○高価な材料を使いさえすればおいしい料理ができるというものでも ない。 第七課 <言葉の学習> 2.~というものではない *「~というものだ/*~というものではない」区別 ♪ 会話 ♪ 課長:慣れてきたらしく、ずいぶん早くなったな。だが、早く済ませ ればいいというものではないぞ。 山田:似たような仕事でも、何から何まで同じというものでもありま せんから 課長:そうだ。臨機応変に一通りこなせるようになってこそ、独り立 ちしたというものだ。甘くはないよ。 第七課 <言葉の学習> 2.~というものではない *「~というものだ/*~というものではない」区別 【解説】 「~というものだ」「~というものではない」は形式名詞「も の」が作る慣用文型で、それぞれ「正に~だ/一般に~だ」「決し て~ではない/一般に~ではない」という断定や一般論を表します。 この話し言葉が「~ってもんだ」、「~ってもんじゃない」です。 断定か一般論かは文脈から理解するしかないでしょうが、会話で は口調によっても変わってきます。例えば例文5の「弁償すれば済 むってもんじゃない」は静かな口調で話せば「一般にそうではな い」になりますし、強く叱るような口調で言えば「決してそうあっ てはならない」という批判や非難にもなるでしょう。 第七課 <言葉の学習> 2.~というものではない *「~というものだ/*~というものではない」区別 § 例文 § ○儲けを独り占めしようなんて、虫が良すぎるってもんだ。 ○合格おめでとう。努力したかいがあったというものだ。 ○同じ仕事をしているのに、女性の方が給料が低いのは不公平というもの です。 ○何でも自分の思い通りになると思ったら、大間違いってもんだ。 ○弁償すれば済むってもんじゃない。金には換えられないものもある。 第七課 <言葉の学習> 3.とかく~だ 書きことば的。文末に「~がちだ」「~やすい」「ものだ」な どの傾向を表す表現を伴い、「どちらかというと~ような傾向があ る」という意味。あまりよくない事柄に使うのが普通。そして、 「とかく」のかわりに、「ともすれば」「ややもすると」なども用 いられる。 ○新しい試みはとかく受け入れられがたいものだよね。 ○血液A型の男の子はとかく危険を冒すものだ。 ○その意志とは、一つには、とかく学問に縁遠い当時の婦女子にも 読めるようにという事において、二つには物質文明を支える知識学 識万能主義に対する警告として、であると現在では理解されている。 第七課 <言葉の学習> 3.とかく~だ ○若いものは,とかくそういうふうに考えるものだ。 ○しかし、実弟の三宅右近(9世三宅藤九郎の次男)に対して破門騒 ぎを起こしたり、周囲の反対を押し切って長女・淳子と次女・祥子 を狂言師とした上、祥子に10世・三宅藤九郎を継がせたりと、独断 専横が目立ち、とかく問題の多い人物であった。 ○運動が健康の鍵であるのを私たちはとかく忘れがちだ。 ○小人に罪無し、玉を抱いて罪有り…小人というだけで罪はないの だが、小人が身分不相応の財宝を持つと、とかく過ちを犯しやすい。 第七課 <言葉の学習> 3.とかく~だ ○しかし、室町時代はとかく守護の力も強く、武士が中心の社会で あり、こうした慣行が取り締まられることはなかった。 ○面と向かって誉めるような人は、とかく陰で悪口を言うものだ。 ○寒い季節に入ると、体の弱い人はとかく風邪を引きやすい。 ○人はとかく自分は欠点がないと考えがちである。事実をありのま まに述べなさい。 第七課 <言葉の学習> 4.つもり ①「動詞過去形(た)」「名詞+の」「形容詞・形容動詞の連体形」の 後につき、ある行為をする前提として、仮に想定してという意味。 「したと見なして」「したと考えて」「したと仮定して」などに言 い換えられる。 ○海外旅行にしたつもりで、お金は貯金することにした。 ○この工事は完成までまだ一週間かかるのに、もう終わったつもり で飲みに行った。 ○私も子供いないので、この子を自分の子のつもりで育てようと 思っている。 第七課 <言葉の学習> 4.つもり ②a.主語が一人称の場合、話し手がそう思っている、そう信じている という意味を表し、それが他の人が事実だと考えることと食い違っ ているかどうかは関係がない。 ○ミスが多かったが、今日の試合は練習のつもりだったから、それ ほど気にしていない。 ○まだまだ元気なつもりだったけど、あの程度のハイキングでこん な疲れてしまうとは。 ○よく調べて書いたつもりですが、まだ間違いがたくさんあるかも しれないが、なにとどご指導くださいよう。 第七課 <言葉の学習> 4.つもり ②b.主語が二人称や三人称の場合、その人が信じていることが(話し手 や他の人の考え)事実と食い違っている、という意味。 ○あの人が自分では優秀なつもりだが、その仕事振りに対する周囲 の評価は低い。 ○彼女の、あの人を小ばかにしたような態度は好きじゃないなあ。 自分ではよほど賢いつもりなんだろうけどね。 ○君がちゃんと説明したつもりかもしれないが、先方ははっきり聞 いていないと言っているよ。 第七課 <言葉の学習> 5.それでいて [接続詞]前に述べた事柄とは、似つかわしくない事柄を次に述 べる意を表す。それでいながら。それなのに。 ○腕は半人前、それでいて料金は一人前にとるんだから ○以下にちょっとした、それでいて完全な例を示します。 ○被災者支援は遅い、少ない、それでいて財務省には充分な配慮 (……財務省の術中に嵌って、民主党のみならず自民党も公明党も 「財源論」に終始して実際の政策を語って来なかった。国会に政治 家は不在で、そこには官僚とその使い走りがいるだけだ。国民の代 表はいつの間にか官僚の下僕となり、この非常事態にも拘らず与野 党は国会で財源論を長々と闘わしていた。それだけでは不足と見え て、野田無能政権はさらに消費税増税だという。) 第七課 <言葉の学習> 5.それでいて ○大阪南部近辺のシニア向けの品がよく、それでいて気軽に入れる ブティックで探したいと思います。住まいは大阪南部の岸和田近辺 なのですが,ドライブ気分で多少遠くへ行ってもいいかなと考えて います。ただし梅田や難波みたいな賑やか過ぎるところは歩くのが キツイですし色々大変なので,むしろ車で行きやすい郊外にあるお 店がいいです。ネット通販という手もありますが,一緒に見に行っ て買いたいので,やはりお店を探したいです。また,高級過ぎるブ ランド店は予算の都合もありますし家族揃ってガチガチになりそう なので避けたいと思っています。 第七課 <言葉の学習> 6.といって ①状況を表す文を受けて、「しかしながら」という意味。後ろには、 その状況から当然予測できる事態には続かないということが表され る。 ○お金をなくしたのは気の毒だが、といって、わたしにも貸せるほ どのお金はない。 ○入社以来週末も働き通しで、疲れ果ててしまった。といって、こ こで仕事をやめることもできない。 ○このような対応の仕方では、解決はおぼつかないという批判が集 中した。といってこれに代わる案が出てきたわけではなかった。 第七課 <言葉の学習> 6.といって ②「…という理由を言って」という意味。 ○頭が痛いといって、彼は会社を休んだ。 ○大きな事故が起こったといって、当局はトンネルを通行止めにした。 ③これといって~ない:否定を伴い、「特にとりあげるべきものがない」 という意味。 ○現代絵画の展覧会にいったが、これといっておもしろい作品には出会 わなかった。 ○食べ物の好き嫌いはこれといってないんですが、お酒はまったく飲み ません。 ○初めて高い山に登るので少し不安だったが、これといって事故もなく 無事に下山できた。 第七課 <類語の学習> 1.という/といった/といって/として/にしても [共通する意味] 強調を表わす。 第七課 <類語の学習> 1.という/といった/といって/として/にしても [使い方] という ○これという事態の進展もないまま、話し合いは中断された。 ○今日という今日は絶対に許しません。 といった ○病状にはこれといった変化はありません。 ○これといった長所もない男だが、悪い人間ではない。 といって ○そのほかにはこれといって準備するものはない。 ○なぜといって特に理由はないのだが、どうしても気が進まない。 第七課 <類語の学習> 1.という/といった/といって/として/にしても [使い方] として ○だれ一人としてこの胸の内をわかってくれない ○息子が行方不明になってこのかた、一時(いっとき)として心安ま る日はない にしても ○部屋の飾りつけ一つにしてもその家の主人の心配りが感じられた。 ○御飯のおかず一つにしても好みが合ったためしがない。 第七課 <類語の学習> 1.という/といった/といって/として/にしても [使い分け] 【1】「という」「といった」「といって」は、「これという」「これ といった」「これといって」の形で下に否定の語を伴い、特に取り 立てて問題とすべきことのない様子を表わす。 【2】「といって」には、疑問詞「どこ」「どれ」「なぜ」などを受け て下に否定の語を伴い、場所・事物・理由などが特定できないこと を示す用法がある。「どこといって行きたいところもない」 【3】「という」には、「XというX」の形で、上下に同じ名詞を用いて 意味を強める用法がある。Xと呼ばれるものは全部、すべてのX、Xこ そは、の意である。「人間という人間すべてに共通する機能」 第七課 <類語の学習> 1.という/といった/といって/として/にしても [使い分け] 【4】「として」は、「(だれ)一人」「一つ」「一日」など、最低限を 示す語について下に否定の語を伴い、全面否定を強調する。例外な く…ない、~といえども…ない、の意である。「だれ一人として やって来なかった」「一日として忘れたことがない」 【5】「にしても」は、「…一つ」などの語を受けて、ある状況のほん の一部を取り上げて評価を下しながら、それ以外の場合にもそれと 同等以上の評価がなされる可能性のあることを言外にほのめかす。 「をとっても」「に限っても」と言い換えることができる。 第七課 <類語の学習> [対比表] 一年中これ どこ…特に 庭の花…花 何一つ…高 言葉づかい …仕事もな 行きたい所 が一斉に開 価な物はな 一つ…性格 い はない いた い が現れる という ○ ― ○ ― ― といった ○ △ ― ― ― といって ○ ○ ― ○ ― として ― ― ― ○ ― にしても ― △ ― ― ○ 第七課 <類語の学習> 2.~ときたら/ったら 「~ときたら」: というのは、相手が「~」について話したテーマをこんどは自 分が引きとって、そのことについて自分の思うこと(たいていは、 相手が言った否定的な評価を、裏付けるような内容)を話すときに 使う表現です。多くの場合、「~ときたら」というのは、そのこと について「あきれた」「いやになってしまう」というような、否定 的な気持ちを持っていることを表わしています。 第七課 <類語の学習> 2.~ときたら/ったら 「~ときたら」: ○「山田くん、遅いねえ。また遅刻かなあ。」 「そうだね。山田くんときたら、試験だって遅刻するんだか ら。」 ○今時の若いもの( ①だったら ○うちの女房( ①にしたら )、老人に席をゆずろうともしない。 ②としたら ③ときたら ④といっても )、みそ汁も満足に作れないんだから。 ②としては ③ときたら ④にしては 第七課 <類語の学習> 2.~ときたら/ったら 「ったら」: 主に子供や女性が使い、話し手が非難・からかい・心配などの 気持ちをこめて言っている。 ○うちの子ったら、ママにあまえてばかりいて困ります。 第七課 <練習> 一、次の文の下線部を辞書で引いて日本語で説明した上、全文を中国 語に訳しなさい。 1.人はあまりにしばしば書いて自分の貧困を世にさらす。 2.他人を益すだの、問題を投ずるだのと、楽天的に構えてばかりはい られない。 3.書くことは己の足らざるところを人に示す行為である。隠すより現 る。 4.これは表現すること、さらに人が生きることの背負っている宿命と いうものかもしれない。 第七課 <練習> 二、文頭にあげた言葉の用法として、次の文の下線部ではどのように 使われているか。意味かその用法を日本語で説明なさい 心 1.相手役の反応を見ながら、その心をつかもうと働きかけていく。 2.少しでも自分の心にぴったりくる言葉を選ぼうとするのはものを書 く者の責任だ。 3.言葉足らざるもどかしさがいつまでも尾を引いて心が平らかでない。 4.心からの温かい言葉が相手への励みにもなる。 第七課 <練習> 二、文頭にあげた言葉の用法として、次の文の下線部ではどのように 使われているか。意味かその用法を日本語で説明なさい 心 5.心を狂わせてまでやりたいことに執着するのが、まさに彼の魅力的 なところじゃないか。 6.人間の心がまだ完全に消えていない者にはこんなに残虐なことはで きないだろう。 7.親の意見なんか求めなくていい。これは君の心次第で決まることだ。 第七課 <練習> 三、次の文中の( )に最も適切なものを一つ選びなさい。 1.うちのバカ息子( )、大学を卒業しても就職しないでパチン コばかりしている。 ①といっても 2.あの店( ②としては ③ときたら ④としたら )サービスが悪くて……。味だけは一流なんだけど ね。 ①としたら ②として ③ときたら ④ときて 3.結婚ってことは、愛情(さえ/すら)あればいいって(こと/も ん)じゃないんだよ。 第七課 <練習> 三、次の文中の( )に最も適切なものを一つ選びなさい。 4.海外旅行( )ヨーロッパがいいよ。イタリア、パリなど見る ところが多いよ。 ①なら 5.北海道( ①ときたら ②ときたら ③となると ④というと )、広い草原や牛の群れを思い出す。 ②というと ③とすれば ④となると 第七課 <練習> 四、次の中国語を日本語に訳しなさい。 1.他取得这么好的成绩绝不是偶然,是努力加努力的结果,是本该取得 的。(べくして) 2.我原来以为自己的日语不错,可是和日本人交谈之后感到非常羞愧, 认识到自己的基础还很不扎实。(つもり) 3.从他平时花钱的样子看,积蓄是有的,但不会很多。(高が知れる) 4.的确他很老实。虽然话不多,可是无论做什么都很认真,而且充满活 力。(それでいて)
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