小学2年生自閉症児の 口を閉じて話している教師を見る行動に対する 強化スケジュールを用いた指導の効果 1 標的行動 口を閉じて話している教師を見る 2 現状のABC分析 教師の 注目(↑) 教師の話 発言をする 教室 友だちの 注目(↑) 友だちと 話す 支援学級の 友だち 担任 教師の 回答(↑) 教師の 注意(↓) 3 3 解決策のABC分析 教師の 注目なし (-) 教師の話 教室 友だちの 注目なし (-) 教師を見る よくできま したカード (↑) 支援学級の 友だち 担任 言語賞賛 (↑) 4 4 方法 【対象】 2年生 自閉症児 ( FIQ=53 ,VIQ=52,PIQ=64 ) 【指導場面】 朝の会で教師が話をしている時 授業で教師が話をしている時 【教材】 よくできましたカード ポケットモンスターのシール 5 手続き(1) 【介入1】定時隔強化スケジュール 1. 教師の話が始まると同時に「よくできましたカード」を渡す。 2. タイマーが振動するまで、口を閉じて話をしている教師を見ることができ たら言語賞賛をし、「よくできましたカード」を渡す。 3. タイマーが振動するまでに発言をしたり友だちと話をしたりしたら「よくで きましたカード」をもらう。 【記録】 発言をした回数+友だちと話をした回数 ×100 教師が話した時間 【達成条件】 記録した数値1以下が5日間連続であらわれる →タイマーの設定時間を15秒間のばす 【中止条件】 記録した数値1以上が3日間連続であらわれる →タイマーの設定時間を15秒間縮める 75秒間の定時隔強化スケジュールでも達成可能 6 →カードでの強化をなくし、言語賞賛だけにする 定時隔強化スケジュール(FI) 前回の好子の出現から一定時間経過後の最初の 行動の直後に好子が出現する強化スケジュール。 (産業図書出版 行動分析学入門引用) 本研究の場合(FI30秒とは) • カードと言語賞賛をした後、30秒経過してから標的 行動を行った場合にカードと言語賞賛をする。 7 結果(1) 1分あたりの話した回数 (回) ベースライン 介入1(カード+言語賞賛) 介入1(言語賞賛) 3 2.5 2 1.5 60秒 75秒 1 45秒 0.5 30秒 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 記録日 1 2 3 4 5 6 7 8 8 考察(1) • • • • • 定時隔強化スケジュールを用いた結果 タイマーを見ながらではあったが、口をとじて教師の方を見る という行動を形成することができた。 教師の話と同時に「先生、口はとじる。」と確認するようになっ た。 「手を上げて教師に当てられたら発言をする」という行動が身 についた。 言語賞賛のみにした結果 言語賞賛されて笑顔が見られることがあったが、話が長くなる と行動の維持が難しかった。 口をとじていたが、友だちのほうを見て笑ったり指差したりす る行動が見られてきた。 9 冬休み後 教師の話を静かに聞くことはできていたが、 カードを要求するようになった。 →カードを渡すことの開始 教師の話よりタイマーを見つめることが増え てきた。 →変時隔強化スケジュールで強化する。 10 手続き(2) 【介入2】変時隔強化スケジュール 1. 教師の話が始まると同時に「よくできましたカード」を渡す。 2. タイマーを教師がもち、タイマーが振動するまでに口を閉じて話をしてい る教師を見ることができたら言語賞賛をし、「よくできましたカード」を渡す。 3. タイマーが振動するまでに発言をしたり友だちと話をしたりしたら「よくで きましたカード」をもらう。 【記録】 発言をした回数+友だちと話をした回数 ×100 1分間 【達成条件】 記録した数値1以下が5日間連続であらわれる →タイマーの設定時間を15秒間のばす 【中止条件】 記録した数値1以上が3日間連続であらわれる →タイマーの設定時間を15秒間縮める 11 変時隔強化スケジュール(VI) 前回の好子の出現からある時間経過後の最初の行 動の直後に好子が出現する強化スケジュール。 (産業図書出版 行動分析学入門引用) 本研究の場合(VI30秒とは) • カードと言語賞賛をした後、平均して30秒経過して から標的行動を行った場合にカードと言語賞賛をす る。 12 結果(2)1分あたりの話した回数 ベースライン 介入1(カード+言語賞賛) 言語賞賛 介入2(カード+言語賞賛) 3 2.5 2 1.5 30秒 1 60秒 45秒 0.5 14 12 10 8 6 4 2 7 5 3 1 20 18 16 14 12 10 8 6 4 2 9 7 5 3 1 0 13 考察(2) • • • 変時隔強化スケジュールを用いた結果 タイマーを気にしなくなり、ほとんどずっと教師の方 を見ることができるようになった。 教師の話の途中、カードが欲しいと静かに手を出す ことが何度かあった。 授業中などの指導場面以外では、友だちを見て 笑ったり指差したりする行動が見られている。 14 考察(3) • • • 本研究を通して、教師が話をしている場面で はほとんど話をしなくなっている。 担任がいない場面では、友だちと話をする行 動が見られており課題になっている。 まだ学習場面では友だちに話しかけること行 動が見られており、今回の研究の応用が可 能であるか実証してみたい。 15
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