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徳島ABA
研究会
中学部3年生自閉症生徒が作業
中に停滞する時間を減らす指導
藤﨑 照代
1
指導目標
【長期目標】
決められた時間以内に決められた作
業量を終えることができる。
【短期目標】
牛乳パック切りの作業を10分間停滞
せずに行うことができる。
標的行動
牛乳パック切りの作業を10分間停滞
せずに行うことができる。
2
現状のABC分析
横に
教員あり
個別
スペース
切れてない
大量の牛乳
パック
牛乳
パックを
切る
切った牛乳
パックあり
(?)
切れていな
い牛乳パッ
クなし
(?)
休み時間
(?)
賞賛なし
(?)
トークンあ
り(↑)
3
解決策のABC分析
横に
教員あり
教室の個別
スペース
介入1~9
側にお菓子
介入1
切れてない1
片の牛乳パッ
ク
牛乳
パックを
切る
切った牛乳
パックあり
(?)
切れていな
い牛乳パッ
クなし
(?)
休み時間
(?)
賞賛なし
(?)
介入2~10
お菓子の選択
あり
切れてない
介入2~10
2~10枚
の
介入1~10
介入10
他の生徒
あり
おかしあり
(↑)
4
方法
【対象児】
A児(支援学校中学部3年生 男児)
自閉症 知的障害
PEP-R発達年齢:3歳7ヶ月、めばえ4歳1ヶ月
【指導場面】
対面課題場面
【般化場面】
陶芸作業等、他の作業場面、お手伝い活動場面
【教材】
牛乳パックの片(切り取る線が入った物)、好きな食べ物
(ジュース、お菓子、プリン等)、かご、はさみ
5
手続き(1)
【ベースライン】
1日1回指導場面を設定する。
(1)スケジュールに対面課題場面を設定しておく。
(2)材料(牛乳パックの片50枚)が入ったかご,切った物を入れ
るかご,はさみを机上に並べておく。
(3)本児が席に着いたら横に立ち,「切ってください」と指示する
(4)かごに入った材料(50枚)が全て無くなったらトークンを手渡
す。
6
手続き(2)
【介入1】
1日1回指導場面(10分間)を設定する。
(1)スケジュールに対面課題場面を設定しておく。
(2)切った物を入れるかご,はさみを机上に並べておく。
(3)本児が席に着いたら10分間の計測を開始。
(4)本児の横に立ち,オレンジジュースを見せ,かごに牛乳パック
の片を1枚入れる。
(5)1枚切り終えたらオレンジジュースが入ったコップを渡す。
(6)ジュースを飲み終えたら,すぐ材料を一枚かごにいれる。
(7)(4)~(6)を繰り返す。
(8)10分経ったら「終わりです」と伝え,トランジッションカードを手
渡す
7
手続き(3)
作業量に下降傾向がみられはじめたので,
好子の選択制を導入
【介入2】
1日1回指導場面(10分間)を設定する。
(1)スケジュールに対面課題場面を設定しておく。
(2)切った物を入れるかご,はさみを机上に並べておく。
(3)本児が席に着いたら10分間の計測を開始。
(4)本児の横に立ち,好きなお菓子やジュースを2種類見せ「どっ
ち?」と聞き選択させる。
(5)選択した食べ物を見せ,かごに牛乳パックの片を1枚入れる。
(6)1枚切り終えたら選んだ食べ物を渡す。
(7)食べ終えたら材料を一枚かごにいれる。
(8)(4)~(7)を繰り返す。
(9)10分経ったら「終わりです」と伝え,トランジッションカードを手
8
渡す。
手続き(4)
大きなムラなく安定して切り続けることができた
ので,介入3~9と徐々に提示する枚数を増
やす。
【介入3】
手続きは介入2と同じ。
1回に提示する牛乳パックを2~4枚とする。
【介入4】
手続きは介入2と同じ。
1回に提示する牛乳パックを3~5枚とする。
【介入5】
手続きは介入2,3と同じ。
1回に提示する牛乳パックを4~6枚とする。
9
手続き(5)
【介入6】
手続きは介入2と同じ。
提示する牛乳パックを5~7枚とする。
【介入7】
手続きは介入2と同じ。
提示する牛乳パックを6~8枚とする。
【介入8】
手続きは介入2と同じ。
提示する牛乳パックを7~9枚とする。
【介入9】
手続きは介入2と同じ。
提示する牛乳パックを8~10枚とする。
10
手続き(6)
【介入10】
指導場面(10分間)を1日のうち1~2回設定する。
(1)スケジュールに作業場所(美術室,家庭科室)を示しておく。
(2)以降の手続きは介入2と同じ。
記録方法
10分間で切った枚数を記録する。
11
70
60
数
50
介入1
1枚提示
日 付
図 10分間で切った牛乳パックの枚数
11/14
11/15
11/16
11/19
11/20
11/21
11/22
11/23
枚
ベースライン
10/16
10/17
10/18
10/19
10/22
10/23
10/24
10/25
10/26
10/29
10/30
10/31
11/1
11/5
11/6
11/7
11/8
11/9
11/12
80
9/11
9/12
9/13
9/14
9/18
9/19
9/20
9/21
9/24
9/25
9/26
9/27
9/28
10/1
10/2
10/3
10/4
10/5
10/9
10/10
結果(1)
介入2
選択制
40
30
20
10
0
12
選択あり
+
4~6枚
選択あり
30
介入7
20
選択あり
介入8
+
6~8枚
選択あり
10
+
7~9枚
2/7
2/18
2/20
2/21
2/26
2/27
介入6
1/23
1/24
1/25
1/28
2/4
介入5
1/16
1/17
1/18
1/22
選択あり
+
3~5枚
1/8
1/9
1/10
1/15
選択あり
+
2~4枚
介入4
12/17
12/18
12/19
12/20
12/21
60
介入3
12/7
12/11
12/12
12/13
12/14
70
11/27
11/28
11/29
11/30
12/4
12/5
12/6
80
+
5~7枚
50
40
介入9
選択あり
+
8~10枚
0
80
70
60
50
40
介入10
選択あり
+
8~10枚
+
教室外
30
20
10
2/28
2/28
2/27
2/26
2/25
2/22
2/21
0
14
結果(4)



ベースラインでは作業開始からずっと停滞し
てしまい,1枚も切れない日もあった。切った
枚数に0枚~70枚と大きなムラがみられた。
介入1では,作業量に少しのムラはありつつ
も,停滞が続き全く行動が生起しないといっ
たことはなかった。切った枚数が減少するこ
とが11月7日以降,3日続いた。
介入2では作業量に大きなムラや下降傾向は
みられず安定していた。
15
結果(5)


介入3から介入9と徐々に枚数を増やして
も,作業量が極端に少なくなることはなく一
定量以上を安定して切ることができた。緩や
かではあるが,作業量に上昇傾向がみられ
た。
介入10でも初回は28枚と減少したが,それ以
降は43枚から60枚切ることができた。
16
考察(1)

作業量を極端に減らしての連続強化
ベースラインでは,作業量に大きなムラが
みられたり,徐々に作業量も下降する傾向が
みられた。介入後は停滞せず牛乳パックを切
ることができ,作業量にも大きなムラがなく
なり,本生徒には効果的であったと思われる。

好子の選択制を導入
好子を選択できる方が材料を提示した時の
反応も良く,作業量が安定した。選択制の導
入により,好子に飽きてしまうことを防ぎ,
本生徒には効果的だったと思われる。
17
考察(2)

好子の量の工夫
1回の好子の量が多いと要求が満たされ、次の
取りかかりが遅くなった。好子の量を少なくし
た方が,次の作業にとりかかる時に反応が良く,
停滞が少なくなった。本生徒の様子に合わせた
好子の量の工夫も大切だと思われる。
18
考察(3)

今後の課題
指導場面の位置づけを今後,どのようにしてい
くか検討が必要。
他の作業場面に般化させていき,どの活動でも
停滞時間が減るよう指導していきたい。
現在の指導を続け、作業量を増やしていき、完
結強化にもっていきたい。
19