Twilight Flatが使えるかどうか考える 2005-02-19 田中壱 Twilightフラットが正しいかどうか見るため、Twilightデータと同じカウントを持つ天体フレームを それで割り算してみた。どちらも空なので、多かれ少なかれ平らになるはずだが、かなり違った。 とりあえずTwilightはやめておこうと思った、というのが結論である。 *正しい評価法と言えるかどうかは疑問なので、ご意見ください(茶会ネタにでも)。 1日目の天体フレーム(GOODS試験データ:50秒露出)とTwilightフラット用データ (10秒露出)の比較 CHIP 1 ほぼ同じカウント(12000ADU)を持つ両者同士で割り算してみた。 0.9 1.1 1.3 1.5 MCSA0003801 / MCSA0003477の結果。 twilightフレームがグローバルな感度較正に使えるなら、両者を割り算した結 果はほぼ平らになるはず。しかし50%もの違いがある。 露出が違うのが本質的な問題なのか、twilightで迷光が入ってしまったのか。 1日目の天体フレーム(GOODS試験データ:50秒露出)とTwilightフラット用データ(10秒露出)の比較 CHIP 2 ほぼ同じカウント(12000ADU)を持つ両者同士で割り算してみた。 0.9 1.0 1.1 1.2 MCSA0003800 / MCSA0003486の結果。 chip2でも20%程度の違いが見られる。違うセットで割り算しても、グローバルパ ターンには大きな違いがない。 考察: Twilightデータをフラットフレームに使える前提として何を評価すれば良いかが良く分 からなかったので、とりあえず同じ様なカウントを示すTwilightデータ(K;露出10秒)と天 体データ(露出50秒)同士を割り算し、グローバルなパターンがどの程度違うのかを見 てみた。結果は非常に大きな振幅でパターンが違っている事が分かった。その大きさは 最大50%にも達する。つまり、フラットフレームとしてTwilightフラットを使うのと天体フ ラットを使用するとでは、天体の明るさこれだけの差が出てきてしまう事になる。なお、 ここではTwilightとして12000ADUの明るいデータ1枚を用い、空が明るくなる前のデー タをここから引く事はしていない(試したが、パターン、振幅とも大きな違いはなかった)。 なぜこの差が出てくるのか。露出が今回は違う(ダークはここでは全く効かない)。では 同じ露出時間で、空の明るさが違う(11000ADUと12500ADU)ケースでは、割り算の結 果はどういう振る舞いをするのか。次のページでそれを調べたが、振幅が小さい(58%)ものの、同じ様なパターンが現れた。 これは一つのヒントになっており、露出の違いは本質的ではない事を意味する。また、 twilightフレーム取得時に、天体データ取得時には無かった迷光が入ったためでも無い ことを示唆している。 ここでの違いは単位時間に来る光の強度である。チップの応答が、単位時間あたりに チップに来る光の強度に依存して変化している事を示唆する。後者の実験では光の量 が1.18倍になって5-8%のムラが出た。Twilightと天体フレームとでは入射光強度は5倍 違うが、結果のグローバルなムラのレベルは20~50%であった。この効果は低照度ほ ど顕著なのかもしれない。 結論としては、Twilightフラットは、グローバルな感度較正が難しいかもしれない。低照 度でドームを使った方が良い結果になる可能性もある。 1日目の天体フレーム(GOODS試験データ) CHIP1 スカイカウントが違うフレーム同士を割り算して残るパターンを見る試験。 矢印は画像断面(右図)の方向。 0.9 1.1 1.3 1.5 MCSA3479(平均11960ADU)をMCSA3509(平均10664ADU)で割った。先 (p1)と同じレンジで表示した。 先と同じようなグローバルパターンが見えるが、振幅のレンジは0.08の程度で 小さい。 1日目の天体フレーム(GOODS試験データ) CHIP2 スカイカウントが違うフレーム同士を割り算して残るパターンを見る試験。 矢印は画像断面(右図)の方向。 0.9 1.0 1.1 1.2 MCSA3480(平均12540ADU)をMCSA3510(平均10930ADU)で割った。先 (p2)と同じレンジで表示した。 やはり先と同様なグローバルパターンが見えるが、振幅のレンジは非常に小 さく0.05の程度。
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