Additive Combinatorics 輪講 5章 Proof of Szemerédi’s Regularity Lemma 木下直紀 e-正則 定義5.1.1. e >0,グラフ G=(V,E), U,W⊆V とす る。任意の S⊆U, T⊆W, |S|≧e|U|, |T|≧e|W| に ついて |d(S,T)–d(U,W)|≦e を満たすとき、ペア (U,W) は e-正則であるという。 定義. A,B⊆V について、枝密度 d(A,B) を次で 定義する。 E A, B d A, B , AB E A, B u, v E | u A, v B Regularity Lemma 定理5.1.2. e >0, t∈N, constant k(e,t), ∀G=(V,E) with |V|≧t, ∃partition (V1,V2, …,Vk) with t≦k≦k(e,t), |V1|=|V2|=…=|Vk-1| ≧|Vk| s.t. 少なくとも (1-e)kC2 個のペア (Vi,Vj) は e-正則である。 任意のグラフは定数サイズ近似表現を持つ 各区画(Vi)内の枝の状況については述べられ ていないが、最低区画数 t により区画をまた ぐ枝の割合を調整できる。 ランダムな分割 命題. ランダムな分割では定理の命題である e-正則な分割にならない。 例. 大きな二部グラフ (V=A∪B) のランダム分 割 (V1,V2, …,Vk) を考える。どの区画も A,B 両 方の頂点を多く含む。ペア (Vi,Vj) において、 A⊇S⊆Vi, B⊇T⊆Vj → d(S,T)≒d(A,B)>e, A⊇S⊆Vi, A⊇T⊆Vj → d(S,T)=0 よってほとんどのペアは e-正則ではない。 アルゴリズム [1/2] e-正則な分割を与えるアルゴリズムを示す。 1. P=(V1,V2, …,Vk) を V の任意の分割とし、 |V1|=|V2|=…=|Vk-1| ≧|Vk|, k=max(1/e,t) とする。 2. P が定理の条件(e-正則)を満たすなら終了。 満たしてなければ、少なくとも e kC2 個のペア (Vi,Vj) について Sij⊆Vi, Sj⊆Vj が存在して |Sij|≧e|Vi|, |Sji|≧e|Vj| かつ |d(Sij,Sji)–d(Vi,Vj)|≧e を満たす。 (続く) アルゴリズム [2/2] 3. 各 Vi を Sij⊆Vi のなす完全加法族に従って 高々 2k–1 区画にの任意の分割し P' とする。 |P'|≦k2k–1 を満たす。 4. P' の各区画をさらにサイズ n/(k2k–1)2 の区画 (+余り)に分割する。余りをまとめてサイズ n/(k2k–1)2 の区画(+余り)に分割する。 以上で得た分割を Si1 P と書き直し、k=|P| を更新。2.に戻る。 Si2 Si3 ポテンシャル関数を導入 このアルゴリズムが定数ステップで停止する ことを示す。 ある時点における「正則性」を表すポテンシャ ル関数 F を定義。分割 P=(V1,V2, …,Vk), A,B⊆V についての確率変数 X[A,B] を、 v1,v2←RV について v1⊆A, v2⊆B なら X[A,B]=d(A,B)2, o.w. X[A,B]=0 として、 Vi V j 2 F P EX Vi ,V j d Vi ,V j 2 1i j P 1i j P V ポテンシャル関数の性質 ポテンシャル関数は次の確率変数 Z の分散 であると解釈できる。v1,v2←RV として、v1⊆Vi, v2⊆Vj なら Z=d(Vi,Vj) また、v1,v2 が同じ区画 に入っていれば Z=0 d(Vi,Vj)≦1 より、任意の分割 P について F(P)≦1 次に、アルゴリズムにおける P から P' への改 良は常に F(P')≧F(P) となることを示す。 F(P')≧F(P) の証明 区画 Vi を S,Vi\S の2個に分割する場合を 考えれば十分。 FP FP E X S ,Vi \ S EX S ,V j EX Vi \ S ,V j EX Vi ,V j j i 確率変数 Yj を v←RVi について次で定義 v S d S ,V j Yj d Vi \ S ,V j v Vi \ S F(P')≧F(P) の証明 確率変数 W について E[W]2≦E[W2] より、 EX Vi ,V j Vi V j 2 EY j 2 Vi V j V V E X S ,V j E X Vi \ S ,V j 2 E Yj 2 以上により、P から P' への改良はポテンシャ ル関数を減少させないことがいえる。 次に、正則でないペア (Vi,Vj) を分割すると F が大きく増加することを示す。 補足 E X Vi , V j Vi V j V 2 d Vi , V j , d Vi , V j 2 S Vi \ S E Y j d S , Vi d Vi \ S , Vi Vi Vi S E S , Vi Vi \ S E Vi \ S , Vi Vi S Vi Vi Vi \ S Vi E S , Vi E Vi \ S , Vi E Vi , V j Vi V j Vi V j Vi V j 2 E X Vi , V j E Y j 2 V Vi ,V j間のエッジ数 E Vi , V j Vi V j (Vi,Vj)→(S,Vi\S,T,Vj\T) e正則でない Vi,Vj をそれぞれ分割したとき、 FP FP E X S , T EX S ,V j \ T E X Vi \ S , T EX Vi \ S ,V j \ T E X Vi ,V j 確率変数 Y を v1←RVi, v2←RVj について Y=d(A,B) (A∈(S,Vi\S), B∈(T,Vj\T)) とすると、E[Y]=d(Vi,Vj) となり、e2 以上の確率 で Y の値は期待値より e 外れる。よって、 Var[Y]=E[(Y–E[Y])2]≧e2・e2 (Vi,Vj)→(S,Vi\S,T,Vj\T) E X S , T E X S ,V j \ T E X Vi \ S , T E Vi \ S , V j \ T Vi V j Vi V j 2 2 4 EY e E Y 2 2 V V Vi V j 4 E X Vi , V j e 2 V 従ってポテンシャル関数は少なくとも e4|Vi||Vj|/|V|2 増加する。 P→P' ポテンシャル関数の評価 F P F P E X A, B E Vi , V j 1i j P A, BP Vi ,V j :非正則 AVi , B V j E X A, B E Vi , V j 1i j P A S ij ,Vi \ S ij Vi ,V j :非正則 BS ji ,V j \ S ji Vi V j 4 5 e e 2 V 1i j P Vi ,V j :非正則 P→P' ポテンシャル関数の評価 アルゴリズムは1回の繰り返しで (e5) ポテン シャル関数を増加させるので O(1/e5) ステッ プで停止。分割サイズ |P|=k は毎ステップ k←(k2k–1)2 で増加するから、最終的に保証さ れる k(e,t) は高さ O(1/e5) の tower になる。 e の tower は必要[Gow97] Sij,Sji を効率的に見つける方法は Regularity Lemma では述べられていないが、Lemma の 保証する分割を見つける多項式アルゴリズ ムが存在する[ADL+94]。
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