発達障害の特徴と その支援について

発達障害の特性
について
熊本県発達障害者支援センター‘わっふる’
田邊剛政
発達障害
注意欠陥多動性障害(AD/HD)
 学習障害(LD)
 自閉症スペクトラム
・自閉症(AU)
・高機能自閉症(HFA)
・アスペルガー症候群(AS)
 その他これに類する脳機能障害

図Ⅰ
通常
標
発準
達
程
度
学習障害
精神遅滞
自閉症
能力の様々な分野
参考資料:山崎晃資「医学的研究の最新動向」
図Ⅱ
自閉症
知的障害
LD
AD/HD
原因

脳の器質的な障害
・脳の物理的な障害
・脳の機能的な障害
*脳という見えない部分に障害があるた
め理解されることが困難である
自閉症

1.
2.
3.
自閉症の3つ組
社会性の障害
コミュニケーションの障害
イマジネーションの障害
*1.2.3のような症状が3歳以前に現
われている
高機能自閉症




自閉症の3つ組を持っている
IQ70以上で言語面での遅れがある
社会性の障害、同一性へのこだわりは、
低機能自閉症と差異がない
「高機能」とは「適応がよい」ということで
はない
アスペルガー症候群






自閉症の3つ組を持っている
知的な遅れはない
言語発達に著しい遅れがない
表面的にはよく発達した話し言葉、形式
的で細かい事にこだわる話し方
言語理解の悪さ
運動の不器用さがある
社会性の障害





人との関係がとりにくい(親兄弟であって
も)
人にどう見られているかに気づきにくい
成長と共に身についていくものが、自然
に身につくということが難しい
相手の気持ちを想像するのが苦手
暗黙の了解がわかりにくい
社会性のタイプ
孤立型=人が存在しないように振舞うが
要求だけは伝える
受身型=人にあわせて行動するが意味
は理解していない
積極・奇異型=一方的に話しかけるがや
り取りは難しい
コミュニケーションの障害

表出のコミュニケーション

言葉の遅れがある
自分の要求が上手く伝えられない

理解のコミュニケーション





耳から入ってくる情報の処理は苦手
相手の言っていることが分からない
相手の気持ちを想像するのが苦手
一方的
コミュニケーションの障害





言葉の遅れがある
会話が続かない
一方的に自分の言いたいことだけを言う
オウム返しの応答が目立つ
難しい言葉を使うが、その意味をよく分かって
いない
イマジネーションの障害


いつも通りを好む(同一性の保持)
同じ動作を反復する(常同行動)
学校への道順、物の配置、一列に並べる、手をヒ
ラヒラ、身体を前後左右に揺らす、物をくるくる回
す、スイッチを点滅させる、紐を持ち歩く、電話帳
や誕生日にこだわる、コマーシャルのフレーズ

自己の興味に没頭
数字、文字、標識、自動車の種類、電車の種類
時刻表、バス路線図、世界の天気予報、世界地図、
国旗
その他





つま先で歩くことがある
過去の嫌なことを思い出して不安定になる
偏食が激しく食べ物のレパートリーが極端に
狭い(味覚過敏や口中の触覚過敏)
何でもないものをひどく怖がる
何かにつけ自分が一番でないと気がすまな
い
感覚について(過敏・鈍麻)

聴覚:トイレに入れない、体育館に入れない
テスト中のサラサラ
視覚:まぶしい光、蛍光灯
嗅覚:トイレに入れない、台所に入れない
味覚:辛いものが苦手、手作りのものしか食べれな
い、マヨネーズのメーカー
触覚:シャツのタグを切ってしまう、ちょんちょん
が叩いた!、苦手な手触り肌触り、散髪、爪
切り、耳掻きが苦手
温痛覚:冬に半袖一枚、熱い汁物一気飲み、

その他:細部への注目→魚より泡





AD/HD(注意欠陥多動性障害)
3.
不注意
多動性
衝動性
不注意優先型
多動性・衝動性優先型
混合型

7歳以前に現われる(出生率は5~10%)



1.
2.
不注意

1.
2.
3.
4.
5.
注意の集中が短く、興味の対象がめま
ぐるしく移り変わる
片づけを忘れる
注意しても直ぐに忘れる
忘れ物やなくし物が多い
気が散りやすい
何かに熱中していると他のことが目に
入らない、気づかない
多動性

1.
2.
3.
落ちつきなく、着席している事ができな
い、座っていても常に体のどこかを動
かしている
目的もなく動き回る
おしゃべりが止められない
結果を考えずに行動してしまう
・・・など
衝動性

1.
2.
3.
ちょっとした刺激に敏感に反応する
聞こえたもの、見えたものに反応
物事をパッと見て判断する
質問が終わる前に出し抜けに答えてし
まう
思いついたらすぐにやってしまう
・・・など
LD(学習障害)






医学的定義(読む、書く、計算する)
教育的定義(読む、書く、計算する、聞く、話す)
知能に見合わないほど著しい学習の困難
視覚障害、聴覚障害、情緒障害、などの環境的要
因によるものではない
「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要
とする児童生徒」として教育現場において最初に取
り組まれた障害
就学後に判断される(出生率は3~6%)

読む
3.
似た文字を読み間違える
行をとばし読みする
教科書の文字を追えない

書く
1.
2.
・・・など
3.
漢字を書くと線が足りなかったり多かったり
鏡文字が見られる
図形の学習が苦手
・・・など

計算する
1.
2.
1.
2.
筆算の桁がずれる
くり下がりで「隣から借りた」事を忘れる
・・・など

1.
2.
3.
4.

1.
2.
3.
話す
話しているうちに話題がずれていってしまう
わかりきっていることをずっと話す
言葉の裏にあるものを推測するのが苦手
相手が幼児でも同年齢でも大人でも、同じ
調子で話しかける
・・・など
聞く
似た音を聞き誤る
一斉授業の内容が聞き取れず学習が遅れ
ていく
行動を起こしても他の言葉や音につられて
ちがう行動をしてしまう
・・・など
HFAとAS
レインマン
ミスター・ビーン
ASDな偉人たち
アインシュタイン
ガリレオ
野口英世
LDな有名人
黒柳徹子
トムクルーズ
AD/HDな偉人たち
トーマス・エジソン
J,Fケネディー
モーツアルト
休憩(こんな人たちも・・・)
二次的な障害を防ぐために
先天性の脳の障害(脳の器質的な障害)
一次的な障害(認知、感覚の障害)
適切な対応で予
防
二次的な障害(パニック、不適応行動など)
指導する際に配慮すること
視覚優位(見て分かる)
実物・写真・絵・文字・ことば
 始めと終わりが分かる、見通し(安心)
スケジュール、ワークシステム
 成功体験を増やす(自信)
失敗体験を減らす
 達成感を味わう、誉められる(意欲)
