ミクロ経済学第11回 企業と費用4: 短期と長期の費用関数 長期と短期の費用曲線 長期: • 資本を含む全ての生産要素の投入量を自由に 選べる 短期: • 資本は急には増やしたり減らしたりできない → 労働など可変的生産要素だけを調整 今日やること 1.長期と短期で主体的均衡点はどう違うか? 2.長期と短期の総費用曲線 3.長期と短期の平均費用曲線 4.長期と短期の限界費用曲線 長期と短期の生産拡大 1.当初、Y=Y0で費用最 K 小化⇒● (L0, K0)が Y=Y0 主体的均衡点 Y=Y1 2.Y=Y1に生産拡大 ⇒ が長期的な主体 的均衡点 3.短期的にはK=K0の まま資本の量が固定 K0 ⇒短期的には で生産 するしかない L 短期的には費用最小化点は選べない 生産をY0=F(K0,L0)からY1に拡大 • 長期では等生産量曲線が等費用曲線に接する点に 移行可能 → 費用最小化 • 短期では資本投入量KはK0のまま → 費用最小化できない • 短期では労働投入量Lだけを増やして生産拡大 → 労働の限界生産は逓減 → 短期では限界費用が逓増 数値例: 長期の費用最小化 Y KL ⇒ 規模に対する収穫一定 w=r=1 と仮定 長期の最小費用と限界費用は? 生産量Yが2のときの長期的費用最小化点: K=L=2 → 総費用=wL+rK=1*2+1*2=4 生産量Yが3のときの長期的費用最小化点: K=L=3 → 総費用=wL+rK=1*3+1*3=6 生産量Yが4のときの長期的費用最小化点: K=L=4 → 総費用=wL+rK=1*4+1*4=8 数値例: 短期の総費用 Y KL , w=r=1 資本Kが2のまま生産量Yを3に拡大 → 短期的にはLを4.5に増やすしかない → 総費用=wL+rK=1*2+1*4.5=6.5 資本Kが2のまま生産量Yを4に拡大 → 短期的にはLを8に増やすしかない → 総費用=wL+rK=1*2+1*8=10 数値例: 短期と長期の比較 生産量 長期の総費用 長期の限界費用 K=2の短期の総費用 K=2の短期の限界費用 2 4 4 - 3 6 2 6.5 2.5 4 8 2 10 3.5 1.短期の総費用≧長期の総費用 2.収穫一定の場合、長期的には限界費用は一定で も、短期的には限界費用は逓増する 今日やること 1.長期と短期で主体的均衡点はどう違うか? 2.長期と短期の総費用曲線 3.長期と短期の平均費用曲線 4.長期と短期の限界費用曲線 資本増加と短期費用曲線 C 生産量が小さい 資本少 資本多 ⇒資本少が効率的 ⇒資本少のほうが資本多 より低費用 Y 生産量が大きい ⇒資本多が効率的 ⇒資本多のほうが資本少 より低費用 長期費用曲線の導出 1. 資本投入量が小さいときの短期費用曲線を描く 2. 資本投入量を少し増やしたときの短期費用曲線を 描く 3. 2を繰り返して、様々な資本投入量に対応する短 期費用曲線を描く 4. 短期費用曲線群の中で一番下の点を全てつなげ る ←これが長期費用曲線 長期費用曲線の特徴 • 短期費用曲線の包絡線(=全ての短期費用曲線に 接する曲線)となっている • 短期の費用曲線群の中で、最も効率的(=費用が 最小)な点を集めたものが長期費用曲線 ←長期では資本が自由に調整できるため、その生産 量を達成するために最も費用が安くなるような資本 と労働の組み合わせを選ぶことができる 今日やること 1.長期と短期で主体的均衡点はどう違うか? 2.長期と短期の総費用曲線 3.長期と短期の平均費用曲線 4.長期と短期の限界費用曲線 資本増加と短期平均費用曲線 C 資本少 資本多 Y 生産量が小さい ⇒資本少が効率的 ⇒資本少のほうが資本多 より平均費用が低い 生産量が大きい ⇒資本多が効率的 ⇒資本多のほうが資本少 より平均費用が低い 長期平均費用曲線の導出 長期平均曲線と同じようにして描ける 1. 資本投入量が小さいときの短期平均費用曲線を 描く 2. 資本投入量を少し増やしたときの短期平均費用 曲線を描く 3. 2を繰り返して、様々な資本投入量に対応する短 期平均費用曲線を描く 4. 短期平均費用曲線群の中で一番下の点を全てつ なげる ←これが長期費用曲線 長期平均費用曲線の特徴 • 短期平均費用曲線の包絡線(=全ての短期平均費 用曲線に接する曲線)となっている • 短期の平均費用曲線群の中で、最も効率的(=平 均費用が最小)な点を集めたものが長期平均費用 曲線 ←長期では資本が自由に調整できるため • 生産の最適規模=長期平均費用が最小になる点 今日やること 1.長期と短期で主体的均衡点はどう違うか? 2.長期と短期の総費用曲線 3.長期と短期の平均費用曲線 4.長期と短期の限界費用曲線 長期限界費用曲線の特徴 • 長期費用曲線や長期平均費用曲線と違い、短期限 界費用曲線の包絡線ではない • 短期限界費用曲線よりも傾きが緩やかになる ←短期では資本は一定のまま労働だけを増やして増 産するので、労働の限界生産が逓減して限界費用 がどんどん増えていってしまうが、長期では資本投 入量も変えられるため • 収穫一定の生産関数では、長期限界費用曲線は水 平になる (短期限界費用曲線は右上がり)
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