パレットレンタルシステム における施設の数及び規模に関する検討

パレットレンタルシステムにおける
輸送ネットワーク形態の特徴に関する研究
流通情報工学専攻
松山 健太郎
目次
はじめに
立地計画モデル
施設の数及び規模の検討
結論
はじめに
1.1 研究の必要性
 1.2 研究目的

現状の物流の問題点
物流コストの削減
内外価格差(エネルギー、土地、労働力)
労働環境の改善
3K、長時間労働、少子高齢化、労働力不足
環境問題への対応
地球温暖化(CO2等)、
大気汚染(NOx、PM等)
新総合物流施策大綱
国際的レベルの物流サービスを実現
・高度かつ全体効率的な物流システムの構築
・正確な物流コストの把握と管理
・規制改革、行政手続きの簡素化、効率化
・新技術の開発と利用
一貫パレチゼーション中心
・ユニットロード化の推進
・物流関連社会資本の整備推進
・港湾の24時間フルオープン化等への対応
・モーダルシフトの推進
ユニットロード化
ユニットロード化の概要
輸送、荷役、保管等の物流活動を合理化
→貨物を1つの単位にまとめて、機械、器具
による取り扱いを行う
ユニットロード化の利点
・合理的な機械荷役
・荷役時間の短縮
・作業環境の改善
・荷役経費の削減
ユニットロード化の現状
パレタイズ化の現状
パレタイズ可能貨物のパレット化率:77%
JIS規格パレットのパレット化率:40%~50%
パレタイズ化の目標
平成17年には、
パレタイズ可能貨物のパレット化率:90%
JIS規格パレットのパレット化率:50%~60%
→欧米並みの普及率を目指す。
ユニットロード化の問題点
管理面
・流出、紛失パレットの発生
・保管、修繕等の管理が必要
・無駄な空パレットの返送
作業面
・製品の包装寸法が合わない
・保管や荷役設備が合わない
・パレットが輸送機関の荷役と整合がない
パレットレンタルシステム
レンタル
デポ
貸し出し
発荷主
パレタイズ輸送
受荷主
返却
利用者の利点
・保管、補修といった管理が不要
・空パレットの回送が不要
・パレットの初期導入コストが不要
レンタル
デポ
パレットレンタルシステム
レンタル
デポ
貸し出し
発荷主
パレタイズ輸送
供給者側は低廉化に
迫られている
受荷主
返却
利用者側の問題点
・パレットレンタル料金が割高
・パレットレンタル料金を含めた
物流コスト管理が困難
等々
レンタル
デポ
パレットレンタルシステムの改善課題
短期
長期
生産計画
設備計画
立地計画
在庫管理
デポ立地の見直
品質管理
し
スケジューリング
レイアウト
輸送計画
需要推定
1.2 研究目的
一貫パレチゼーション推進するため
パレットレンタルシステムの運営改善ツールを構築する
立地計画モデルの構築し、
供給者側の意思決定の支援を目的とする。
研究の流れ
①モデルの設計
 ②基本立地計画(拠点集約についての検討)
 ③生産能力と輸送可能距離についての検討
 ④新たな直営デポ新設についての検討
 ⑤輸送ネットワークに関する検討
 ⑥結論

研究の流れ
 ①モデルの設計
 ②基本立地計画(拠点集約についての検討)
 ③生産能力と輸送可能距離についての検討
 ④新たな直営デポ新設についての検討
 ⑤輸送ネットワークに関する検討
 ⑥結論
立地計画モデル
パレットレンタルシステムの概要
定式化
・目的関数
・制約条件
パレットレンタルシステム
の概要図
生産=修繕・補
修
b:サテライトデポ
c:貸し出し
需要地
a:直営デポ
紛失
パ
レ
タ
イ
ズ
輸
送
rc:返却
需要地
a’
b’
d:新規購入工場
製品パレット
返却パレット
新規購入パレット
定式化
目的関数
総費用(TC)=輸送(リンク)費用
+施設(ノード)費用
+新規購入費用
(円)→min
目的関数
A
B
C
D
E
1
直営デポ間製品パレット輸送費用
2
直営デポ、サテライトデポ間製品パレット輸送費用
デポ間輸送費用
3
サテライトデポ、直営デポ間製品パレット輸送費用
製品パレット輸送費用
4
サテライトデポ間製品パレット輸送費用
5
デポ、需要地輸送費用 直営デポ、貸し出し需要地間製品パレット輸送費用
6
サテライト、貸し出し需要地間製品パレット輸送費用
7
直営デポ間使用済みパレット輸送費用
輸送(
リ
ンク)費用
8
直営デポ、サテライトデポ使用済みパレット輸送費用
デポ間輸送費用
9
サテライト、直営デポ間使用済みパレット輸送費用
使用済みパレット輸送費用
10
サテライトデポ間使用済みパレット輸送費用
11
デポ、需要地輸送費用 返却需要地、直営デポ間済みパレット輸送費用
12
返却需要地、サテライトデポ間済みパレット輸送費用
13
新規購入、直営デポ新規パレット輸送費用
新規パレッ
ト
輸送費用
各ノ
ード
への輸送費用
14
新規購入、サテライトデポ新規パレット輸送費用
総費用
15
新規購入、需要地新規パレット輸送費用
16
運搬費
生産費
17
施設関係費
変動費
18
生産費
保管費
19
直営デポ運営費用
20
運搬費
生産費
21
施設関係費
固定費
施設(ノード)費用
22
生産費
保管費
23
入庫費
24
変動費
出庫費
25
サテライトデポ運営(委託)費
保管費
26
契約費等
27
固定費
新規パレット購入費
新規パレット購入費
28
変動費
定式化
制約条件
「輸送(リンク)に関する制約条件」
(1)輸送(製品パレット、返却パレット、新規パレット)
に関する制約式
「施設(ノード)に関する制約条件」
(1)直営デポに関する制約式
(2)サテライトデポに関する制約式
(3)貸し出し需要に関する制約式
(4)返却需要に関する制約式
定式化
制約条件
「輸送(リンク)に関する制約条件」
(1)輸送(製品パレット、返却パレット、新規パレット)
に関する制約式
施設
輸送可能距離[㎞]
需要地
定式化
「施設(ノード)に関する制約条件」
(1)直営デポに関する制約式
◎生産能力 ◎取り扱い量 ◎ 通過量 ◎ 有無
(2)サテライトデポに関する制約式
◎取り扱い量 ◎ 通過量 ◎ 有無
(3)貸し出し需要に関する制約式
(4)返却需要に関する制約式
◎需要量の満足
直営デポの生産能力に
関する制約条件
a:直営デポ
b:サテライトデポ
Pa
=
-
rc:返却
需要地
0  Pa  PAMAX a
生産能力
a’
研究の流れ

①モデルの設計
 ②基本立地計画(拠点集約につい
ての検討)
③生産能力と輸送可能距離についての検討
 ④新たな直営デポ新設についての検討
 ⑤輸送ネットワークに関する検討
 ⑥結論

対象とするパレットレンタルシステム
の概要
前提条件(デポ立地状況)
直営デポ数:14
サテライトデポ数:33
デポ間製品パレット輸送
『存続』直営デポ
1
『消去』直営デポ
2
4
7
6
3
8
9
5
デポ間製品パレット輸送
『存続』直営デポ
1
『消去』直営デポ
2
4
7
6
3
9
8
5
設計結果
数について
直営デポ数 :14→11ヶ所
サテライトデポ数:33→21ヶ所
総費用の内訳
費用項目
総費用
値(
円)
構成費(
%)
23,992,000,000
100.00
輸送費
14,086,500,000
58.71
直営デポ(合計)
3,578,636,875
14.92
変動費
370,296,875
1.54
固定費
3,208,340,000
13.37
サテライトデポ(
合計)
2,095,324,800
8.73
変動費(
荷役費) 2,095,324,800
8.73
(
契約基本料金)
0
0.00
新規購入費
4,231,500,000
17.64
研究の流れ
①モデルの設計
 ②基本立地計画(拠点集約についての検討)

 ③生産能力と輸送可能距離につい
ての検討
④新たな直営デポ新設についての検討
 ⑤輸送ネットワークに関する検討
 ⑥結論

施設の数及び規模に関する検討
直営デポとサテライトデポの数
生産能力及び輸送可能距離の向上
直営デポの規模(生産能力)
生産能力の向上
施設の数についての検討
直営デポ数の変化
直営デポの数[ヶ所]
15
14
13
輸送可能距離倍率
12
生産能力倍率
11
10
現状
9
8
初期データ
2倍
3倍
∞
向上倍率[倍]
施設の数に関しての検討
サテライトデポの数[ヶ所]
サテライトデポ数の変化
35
30
230㎞
25
輸送可能距離倍率
20
生産能力倍率
15
10
現状
5
0
初期データ
2倍
3倍
∞
向上倍率[倍]
施設の規模に関しての検討
総費用[億円]
総費用に対する生産能力の向上
241.0
240.0
239.0
238.0
237.0
236.0
235.0
1.3~1.4倍が有効
1
1.5
2 2.5 3 3.5
生産能力倍率
総費用
4
総費用[億円]
総費用への影響
245
240
235
230
225
220
215
210
205
200
約6%削減
生産能力向上
輸送可能距離
向上
初期データ 2倍
3倍
向上倍率[倍]
∞
研究の流れ
①モデルの設計
 ②基本立地計画(拠点集約についての検討)
 ③生産能力と輸送可能距離についての検討

 ④新たな直営デポ新設についての
検討
⑤輸送ネットワークに関する検討
 ⑥結論

需要枚数[千万枚]
年間需要枚数と生産能力
5.0
4.5
4.0
3.5
3.0
2.5
2.0
1.5
1.0
0.5
0.0
貸し出し需要量
返却需要量
生産能力
北
海
道
東
北
関
東
信
越
東
海
近
畿
・
北
陸
エリア
中
国
四
国
九
州
施設増設の検討結果
総費用[億円]
250
生産能力向上
240
輸送可能距離
230
の向上
220
改善案
210
約19%の削減
200
190
180
∞ 改善案
3倍
初期データ 2倍
研究の流れ
①モデルの設計
 ②基本立地計画(拠点集約についての検討)
 ③生産能力と輸送可能距離についての検討
 ④新たな直営デポ新設についての検討

 ⑤輸送ネットワークに関する検討
 ⑥結論
輸送ネットワークに関する検討
時間価値を取り入れた検討
レンタルコストだけではなく、輸送のサービスを
含めた総合評価を行うための検討

時

時間価値による輸送サービスの表現

S = Cost + d*T*x

S:犠牲量
C:コスト
D:時間価値(円/輸送時間*運搬量)
T:輸送時間(時間)
X:運搬量(枚)




確率密度
時間価値と確率密度
農水産品
林産品
鉱産品
金属機械工業品
化学工業品
軽工業品
雑工業品
特殊品
0.014
0.012
0.01
0.008
0.006
0.004
0.002
0
0.000001
0.0001
0.01
1
時間価値(円/時・トン)
100
10000
b:サテライトデポ
c:貸し出し
需要地
a:直営デポ
rc:返却
需要地
a’
b’
製品パレット
d:新規購入
返却パレット
新規購入パレット
平均輸送距離の比較
100
平均輸送距離(km )
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
0
100
200
300
400
製品パレットの時間価値(円/枚・時間)
500
直営デポの取扱量
直営デポ取扱量(枚)
14000000
12000000
10000000
8000000
6000000
4000000
2000000
0
0
100
200
300
400
製品パレットの時間価値(
円/枚・
時間)
500
サテライトデポの取扱量
10000000
サテライトデポ取扱量(枚)
9000000
8000000
7000000
6000000
5000000
4000000
3000000
2000000
1000000
0
0
100
200
300
400
製品パレットの時間価値(円/枚・時間)
500
総費用
トータルコスト(円)
112%
110%
108%
106%
104%
102%
100%
98%
0
100
200
300
400
製品パレットの時間価値(円/枚・時間)
500
結論
まとめ(1)

パレットレンタルシステムにおける
施設立地計画モデルを構築した。
結論
まとめ(2)
数について
直営デポ数 :14→11ヶ所
サテライトデポ数:33→14~15ヶ所
輸送可能距離に影響
規模について
生産能力は1.3~1.4倍がもっとも有効
結論
まとめ(3)
大幅な総費用削減を行うのであれば
直営デポの移転・増設を考慮することも必要である。
需要地との近接性を重要視した、
輸送ネットワークが必要である。
今後の課題②

期間を取り入れた立地計画モデルの検討
研究事例も少なく、パレットレンタルシステム
についての研究は始まったばかりである。
→1年間需要の変動
→適正保管量の推定
3.1 パレットレンタルシステム
の概要図
生産=修繕・補
修
b:サテライトデポ
c:貸し出し
需要地
a:直営デポ
紛失
パ
レ
タ
イ
ズ
輸
送
rc:返却
需要地
a’
b’
d:新規購入工場
製品パレット
返却パレット
新規購入パレット
改善計画の流れ
パレットレンタルシステム運営改善項目
どこに立地
?
位置と量
需要推定
どこからどこへ
施設立地計画
どれだけ入出庫
輸送計画
年間どれだけ
施設内レイアウト計画
生産計画
もう片方企業の施設立地状況
既存の直営デポ
立地候補地
1
2
4
7
6
3
9
8
5
2.2 推定結果(返却需要)
返却需要[枚]
返却需要量(パレットレンタル企業一社あたり)[枚/日][市場シェア50%]
16,000
返却需要(パレットレンタル企業一社あたり)[枚/日]
14,519
14,000
12,000
合計208,345枚
12,817
11,737
11,183
11,354
9,716
10,000
9,632
8,546
8,065
7,697
8,000
6,002
6,000
5,291
4,975
5,317
5,136
4,856
4,438
4,000
3,245
3,829
3,312
2,620
2,573
2,318
2,000
3,995
1,883
1,469
1,566
1,497
1,211
4,659
3,888
3,013
2,501
1,623
1,067
834 961
2,601
2,413
2,233
2,130
2,042
1,830
1,692
1,600
1,388
1,196
0
北 青 岩 宮 秋 山 福 茨 栃 群 埼千 東 神 新 富 石 福 山 長 岐 静 愛 三 滋 京 大 兵 奈 和 鳥 島 岡 広 山 徳 香 愛 高 福 佐 長 熊 大 宮 鹿 沖
海 森 手 城 田 形 島 城 木 馬 玉葉 京 奈 潟 山 川 井 梨 野 阜 岡 知 重 賀 都 阪 庫 良 歌 取 根 山 島 口 島 川 媛 知 岡 賀 崎 本 分 崎 児 縄
道
川
山
島
都道府県
4.施設の数及び規模に関する
検討
・現状の立地状況のままでの課題
・在庫管理
・生産能力の向上
・日々の輸・配送能力の向上
・施設内レイアウト
・その他
4.1新な改善案(施設の移転・増設)
の検討結果
現状
直営デポ数:14
サテライトデポ数:33
初期データと改善案の比較
生産可能距離倍率 直営デポ[
ヶ所]サテライトデポ[
ヶ所]
初期データ
11
21
改善案
14
16
関東地方から移転した。
T11型パレットとその他のパレット
Jis規格
「一貫パレチゼーション専用パレッ
ト」
1.1[m]
1.1[m]
T11型パレット
Zラック
b:サテライトデポ
c:貸し出し
需要地
a:直営デポ
rc:返却
需要地
a’
b’
製品パレット
d:新規購入
返却パレット
新規購入パレット
立地と配置
立地
流通センターの立地の問題とは「生産地から消費地の
間において、どの地点に流通センターを計画すべきか」
というものである。
配置
「複数の流通センターや倉庫など効率よく使い分ける
計画」が配置計画である。
苦瀬 博仁;「付加価値創造のロジスティクス」より
立地と配置
立地
(1)商工業などを営むのに適した土地を決めること。
(2)たちば。立脚地。
配置
人や物を適当な位置や持ち場に割りあてること。
また、その位置や持ち場。
三省堂;大辞林第二版より
TotalCost   X pq  S pq  Cost
pP qQ
   Yrp  S rp  Cost
「目的関数」
rR pP
  N dq  S dq  Cost
d D qQ
  Z a  Fa  M a  Pa 
a A




Z b  Fb 







   I b    X pb   Yrb   N db 
bB 
rR
d D
 pP





  X  Y 



bq
bp

 Ob  qQ

pP

  N dq  CostN d
d D qQ
Type  Minimize
「輸送(リンク)に関する制約条件」
(1)輸送(製品パレット、返却パレット、新規パレット)
に関する制約式
X ,Y , N  0
S PC , S RCP , S DC  TMAX
X PC , YRCP , N DC  0
(1)直営デポに関する制約式
◎生産能力 ◎取り扱い量 ◎ 通過量 ◎ 有無
Pa   Yra   Yap
rR
pP
PAMAX at  Z a  Pa  0
X
pP
pa
  X aq   Yra  Yap   N da  Z a  Va
qQ
X
qQ
rR
aq
pP
d D
  X pa   N da  Pa
pP
d D
Z a  0,1
(2)サテライトデポに関する制約式
◎取り扱い量 ◎ 通過量 ◎ 有無
X
pP
pb
  X bq   Yrb   Ybp   N db  Z b  Vb
qQ
rR
X
qQ
bq
d D
  X pb   N db
pP
Y
rR
pP
rb
  Ybp
pP
Z b  0,1
d D
(3)貸し出し需要に関する制約式
(4)返却需要に関する制約式
◎需要量の満足
Dc   X pc   N dc
pP
d D
Drc   Yrcp
pP
デポ間製品パレット輸送
『存続』直営デポ
1
『消去』直営デポ
2
4
7
6
3
9
8
5
デポ間返却パレット輸送
1
『存続』直営デポ
『消去』直営デポ
2
4
7
6
3
9
8
5