ミクロ経済学第9回 企業と費用2:費用最小化 生産関数のグラフ (立体図) 2 生産関数を二次元で表したのが等生産量曲線 Y KL Y=3 Y=2 Y=1 3 今日やること 0.前回の復習: 等生産量曲線 1.技術的な限界代替率 2.等費用曲線 3.費用最小化 4 技術的な代替率 • 等生産曲線上で、どちらかの生産要素を増やす (減らす) ⇒生産量を一定に保つには、もう一方の生産要素を どれだけ減らせば(増やせば)よいか LのKに対する代替率 = Kの減少分 ÷ Lの増加分 = Lの増加1単位あたりKをどれだけ減らせるか = KをLの増加分の何倍減らせるか 5 技術的な(平均の)代替率 労働の資本に対する(平均の)代替率 = 資本の減少分÷労働の増加分 資本 資本の減少分 等生産量曲線 労働の増加分 労働 6 技術的な限界代替率 労働の資本に対する技術的な限界代替率 =労働を限界的に増加させたときの平均代替率 =|(その点での)等生産量曲線の接線の傾き| 資本 等生産量曲線 労働 7 増やす? 減らす? 労働の限界代替率 • 労働が限界的に1単位増えたとき生産量を一定に 保つためには資本をどれだけ減らせばよいか • 労働を限界的に1単位減らしたとき生産量を一定に 保つためには資本をどれだけ増やせばよいか 労働の変化分を0に近づければどちらでも同じ (瞬間の傾きを求める=微分する) 投入量と限界代替率 • 原点に対して凸の等生産量曲線では、労働が増える と労働の(技術的な)限界代替率はどうなる? 資本 労働少し、資本 たくさん ⇒労働を増や すことで、資本 をたくさん減ら せる 資本少し、労働 労働の限界 たくさん 代替率減 ⇒労働を増やし ⇔|傾き| 減 ても、資本を少 ししか減らせな い 労働 9 技術的な限界代替率=限界生産の比率 1 生産関数を全微分する と、 Y Y Y K L K L 同じ等生産曲線の上で は生産量は一定なので 、 Y Y Y 0 Y K L 0 K L Y Y L K L K つまり、労働を増やす ことによる生産量の増 加分と 資本を減らすことによ る生産量の減少分が等 しい 10 技術的な限界代替率=限界生産の比率 2 Y Y K L 0 K L K Y Y 上式を変形すると、 L L K したがって、 労働の資本に対する (技術的な )限界代替率 = 等生産量曲線の傾き 労働の限界生産 = 資本の限界生産 11 今日やること 0.前回の復習: 等生産量曲線 1.技術的限界代替率 2.等費用曲線 3.費用最小化 12 生産要素の調達 • 企業は生産要素を料金を払って市場で借り て生産を行う • 労働者を人身売買するのではなく、労働者に 一定時間働いてもらって賃金を払う • 資本を買うのではなく、資本を借りてそれにレ ンタル料を払うと考える • レンタル料や賃金は生産要素市場で決定さ れると仮定 (後期に詳しくやります) 等費用曲線(曲線じゃないけど) • 生産に要する費用が等しくなる生産要素投入量の 組み合わせ • 横軸にL、縦軸にKをとってグラフを描いてみよう • 生産にかかる総費用をCとすると、 C=wL+rK これをKについて解くと、 K=C/r-(w/r)L 等費用曲線は切片C/r、傾き-w/rの右下がりの直線 例題) • 資本1単位のレンタル価格が1、労働1単位の賃金 が2のときの等費用曲線を描きなさい 等費用曲線からわかること • 等費用曲線はtrade-offの関係を表している 等費用曲線の傾き = -w/r = (費用を一定に保つためには)労働投入量Lを1単位 増やすために減らさなければならない資本投入量K の量 • 消費者にとっての予算線と似ているが、生産者の 場合、費用がいくらになるかあらかじめ決められて いるわけではない ⇒費用に応じて無限にたくさん等費用曲線がかける 15 今日やること 0.前回の復習: 等生産量曲線 1.技術的限界代替率 2.等費用曲線 3.費用最小化 16 費用最小化 • 資本の1単位当たりのレンタル率をr、労働1単位当 たりの賃金(wage)をwとする • 資本レンタル率と賃金は市場で決定(各企業にとっ て所与) Min rK wL subject to F ( K , L) Y0 K,L 「生産量をY0にするという制約条件のもとで、費用を 最小化する資本投入量Kと労働投入量Lをもとめよ」 費用最小化と等生産量曲線 労働 等生産量曲線: Y=Y0 資本 • 生産量Y0を生産するために 費用を最小化する資本と労 働の投入量を選ぶ • 等生産量曲線より左下の点 ⇒ 生産量が足りない • 等生産量曲線より右上の点 ⇒生産要素の投入量を減ら せば費用減 (作りすぎ) ⇒費用最小化点ではない ⇒費用を最小化する点はY=Y0 の等生産量曲線上にある 主体的均衡点 資本 Y=Y0 労働 生産量Y0を達成しながら 費用を最小化する点 ≝主体的均衡点 =等生産量曲線と等費用 曲線の 接点 • これ以外の等生産量曲 線上の点は、より高い費 用に対応する等費用曲 線と交差 等生産量曲線と等費用曲線の交点は 費用最小化点ではない Y=Y0 • △では等生産量曲線と等 費用曲線が交差 資本 • 同じ等費用曲線上にある ので、 △点と○点での費 用は同じ 労働 • ○より左下の点、例えば◇ は、生産量Y0を達成しなが ら費用は△より少ない ⇒△は費用最小化点では な い 限界メリット=限界デメリット • 主体的均衡点では等生産量曲線の傾き(-ΔK/ΔL)と 等費用曲線の傾き(-w/r)が同じなので 労働の限界代替率=w/r • 労働の限界代替率: 労働を1単位増やすとき、生 産量一定で資本をどれだけ減らせるか →労働を増やすことの限界メリット • w/r : 労働を1単位増やすとき、費用を一定に保 つには資本をどれだけ減らさなければならないか →労働を増やすことの限界デメリット ⇒主体的均衡点では、限界メリット=限界デメリット 限界生産均等の法則 主体的均衡点では 、 等生産量曲線の傾き= 等費用曲線の傾き 労働の限界生産 等生産量曲線の傾き= 資本の限界生産 賃金 等費用曲線の傾き= 資本レンタル率 労働の限界生産 資本の限界生産 = 賃金 資本レンタル率 • 費用を最小化しているなら、1円当たりの限界生産 が等しくなるはず 消費者と生産者の主体的均衡点 消費者: 効用最大化 生産者: 費用最小化 与えられた予算で効 用を最大化するように 消費を決定 与えられた生産量で 費用を最小化するよう に投入量を決定 1. 各財の価格と所得か ら予算線がかける 1. 生産量に対応する等 生産量曲線がかける 2. 予算線に接する無差 別曲線をかく 3. 接点が均衡点 2. 等生産量曲線に接す る等費用曲線をかく 3. 接点が均衡点 宿題(提出の必要なし) • 資本投入量をK、労働投入量をLとすると、ある企業 の生産関数がY=2KLだとします。資本一単位あたり の資本レンタル率が500円、労働一単位あたりの 賃金率が1000円であるとします。 (1)10000円の総費用に対応する等費用曲線のグラ フを描きなさい。 (2)生産量が100のとき、費用を最小化する資本投入 量と労働投入量をそれぞれ求めなさい。 (3)(2)において、労働の資本に対する技術的な限 界代替率を求めなさい。
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