13.生産の費用 <キーワード> 生産関数、限界生産物 平均費用、限界費用 供給法則、企業の目的 供給法則( Law of Supply )によれば、 財の価格が高いとき、企業はその財をたくさ ん生産し多くを売ろうと考える。 その結果として、供給曲線は右上がりになる 。 企業の目的 企業の経済的目標は、利潤を最大化すること である。 13.生産の費用 2 供給曲線についてより深く考える 供給曲線はなぜ右上がりなのか、どうす れば供給法則をより具体的に説明できる か? → 企業の限界費用が逓増することから説明 できる(14章3節参照) それでは、限界費用とは何なのか? どのような理由で、限界費用が逓増す るのか? から考えていくことにしよう 13.生産の費用 3 総収入、総費用、および利潤 総収入(Total Revenue) 生産した財の販売により企業が受け取る量 総費用(Total Cost) 企業が生産において利用する投入物の市場価値 利潤(Profit) とは、企業の総収入マイナス総 費用である。 Profit = Total revenue - Total cost 利潤=総収入-総費用 本章では費用について、14~16章では総収入に ついて詳しく分析する。 13.生産の費用 4 例:キャロラインのクッキー工場 労働者 の数 (1時間当たり) 0 0 1 50 50 2 90 40 3 120 4 140 5 150 6 155 生産量 (生産量の単位=個数) 13.生産の費用 限界生産物 工場の 費用(㌦) 労働者の 費用(㌦) 総費用 (㌦) 30 30 10 (マンキュー『ミクロ』p.381の設例に同じ) 5 生産関数と総費用 生産量 (1時間当たり) 生産関数 総費用曲線 総費用(㌦) 180 100 160 90 140 80 120 70 60 100 50 80 40 60 30 40 20 20 10 0 0 0 1 2 3 4 5 6 労働者の数(人) 0 50 100 150 生産量(1時間当たり) 何が読み取れるだろうか グラフの傾き、Y切片の値、・・・ 13.生産の費用 6 限界生産物逓減 労働者の数が増えるにつれて 「限界生産物」は_______ 労働者を増やすと・・・ 後から加わった労働者の貢献は・・・ » 労働者だけが増えた場合 » 工場をもう1つ建てたらどうなる? 13.生産の費用 7 肩慣らし ジョーンズ農場の「生産関数」と「総費用 曲線」をグラフに描きなさい 種は1袋あたり100㌦する 13.生産の費用 播く種 (袋) 収穫量 (ブッシェル) 0 0 1 3 2 5 3 6 8 コーヒーショップの費用 1時間当たり何杯出すか、その数と費用の関係 生産数量=出すコーヒーの杯数 固定費用 店の賃料 器具も借りているとしよう 経理の社員を雇っている 何杯出しても変わらない 可変費用 コーヒー豆 ミルク・砂糖 バイトの給料 生産量とともに増える 13.生産の費用 9 コーヒーの量を増やしていくと 杯 総費用 固定費用 可変費用 1時間当たり 平均 固定費用 平均 可変費用 平均 総費用 限界 費用 0 3.0 3 0.0 - - - - 1 3.3 3 0.3 3 0.3 3.3 0.3 2 3.8 3 0.8 0.4 1.9 0.5 1.5 0.5 1.5 0.6 1.35 0.9 1.1 3 4 5.4 3 2.4 5 6.5 3 3.5 1.3 6 7.8 3 4.8 1.3 7 9.3 3 6.3 0.43 8.0 0.38 1.0 8 0.75 1.5 9 12.9 3 9.9 0.33 1.1 1.43 1.9 10 15.0 3 12.0 0.3 1.2 1.5 2.1 (費用の単位はドル) 13.生産の費用 (マンキュー『ミクロ』p.384) 10 「平均」と「限界」 言葉の定義を覚えよう 概念 平均総費用 ATC Average Total Cost 式で書くと ATC=TC/Q 総費用TC=固定費用FC+可変費用VC TC=FC+VC 平均固定費用 AFC Average Fixed Cost AFC=FC/Q 平均可変費用 AVC Average Variable Cost AVC=VC/Q 限界費用 総費用の「増分」を生産量の「増分」で割ったもの 13.生産の費用 MC=∆TC/∆Q 11 費用がどう変化するか 1 コーヒー1杯つくるのに、どれだけの費用がかかるか 2 コーヒー1杯多くつくると、どれだけの費用がかかるか 1番は_______に対応 2番は_______に対応 13.生産の費用 12 固定費は次第に軽くなる 3.5 平均固定費用(ドル) 3.0 2.5 2.0 1.5 1.0 0.5 0.0 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 生産量(コーヒーの杯数) 生産量が増えれば、1杯当たりの固定費負担は軽く 13.生産の費用 13 限界費用は次第に上がる 3.5 3.0 2.5 2.0 1.5 1.0 0.5 0.0 費用(ドル) 限界費用 0 1 総費用(ドル) 16 14 12 10 8 6 4 2 0 2 はじめは、 従業員が機械、スペース を効率的に使える 3 4 5 6 7 8 9 10 総費用 次第に、 ・厨房が混み合ってくる ・機械がフル稼働 →効率が落ち →人がいる割には 生産量が増えない →「次の1杯」の費用増す 逓増 =次第に上がること 0 1 2 3 13.生産の費用 4 5 6 7 8 9 生産量(コーヒーの杯数) 10 14 では、可変費用は? 14 12 10 8 6 4 2 0 費用(ドル) どう見える? 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 生産量(コーヒーの杯数) 限界費用と可変費用の関係 0杯から1杯に増える時は? VC1 MC1 1杯から2杯に増える時は? VC2 VC1 13.生産の費用 MC2 15 平均総費用は下がって上がる 費用(ドル) 16 14 12 10 8 6 4 2 0 総費用= _____+____ 平均可変費用(AVC)は 次第に______ 0 3.5 3.0 2.5 2.0 1.5 1.0 0.5 0.0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 平均費用(ドル) 平均固定費用(AFC)は 次第に______ 平均総費用(ATC)は __________ 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 平均総費用はU字型に 生産量(コーヒーの杯数) 13.生産の費用 16 一番下がったところ→効率的規模 3.5 費用(ドル) 3.0 2.5 _______________ 2.0 1.5 _______________ 1.0 _______________ 0.5 _______________ 0.0 0 お さ ら い 1 2 3 4 5 6 7 限界費用は________ 平均総費用は__字型になる 13.生産の費用 8 9 10 生産量(コーヒーの杯数) 平均総費用が一番低い点 「効率的規模」 17 「限界」と「平均」ふたたび 3.5 費用(ドル) 3.0 2.5 2.0 1.5 1.0 0.5 0.0 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 生産量(コーヒーの杯数) ATC > MC の範囲では__________ ATC < MC の範囲では__________ ATC = MC の点では __________ 13.生産の費用 こう考えてみよう 平均総費用 =成績の平均点 限界費用 =次の科目の成績 最初に高得点を とって・・・ 18 より一般的な費用曲線 3.5 費用(ドル) 限界費用は当初、下がる 場合もありそう 3.0 2.5 従業員を増やした時、チー ム作業(分業、比較優位! )によって、生産性が上が ることもある。 2.0 1.5 1.0 限界生産物が当初増える 可能性 0.5 0.0 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 生産量 限界費用は最終的には生産量とともに増加する 平均総費用はU字型になる 限界費用は平均総費用が最小の点で平均総費用曲線と交わる 13.生産の費用 19 短期と長期の費用(1) 短期とは (ミクロ経済学では) 工場、機械、(技術)などを所与として操業・運営する期間 雇う人、働く時間を調整して、最適な生産量を探る (米国的な発想が含まれている点に注意) 長期とは 工場、機械、(技術)なども変えられる 新設あるいは削減する自由度あり 労働だけ増やすと生産性は落ちるが、設備を増やせば効率を保てる 可能性 13.生産の費用 20 短期と長期の費用(2) 平均総費用(ドル) 7000 6000 大規模工場 のATC 小規模工場 のATC 5000 4000 中規模工場 のATC 3000 2000 規模の不経済 規模に関して収穫一定 規模の経済 1000 0 0 10 20 30 40 50 60 1人の生産台数(百台) 規模の経済 規模(労働・設備)の拡大とともに平均費用が低下する 規模の不経済 規模の拡大とともに生産効率が落ちる (指示が徹底しにくくなる、調整に時間がかかる、など) 規模に関して収穫一定 規模を変えても平均費用は変わらず 13.生産の費用 21 練習問題 様々な費用 1. 下線にあてはまる費用の概念を答えなさい a. ある行動を起こすために、あきらめなければならないものは _______である。 b. _____は、限界費用がそれより下方に位置するときに減少し、 それよりも上方に位置するときに増大する。 c. 生産量に依存しない費用は______である。 d. アイスクリーム製造会社の短期費用を考える時、_____にはク リームと砂糖の費用が含まれるが、工場の費用は含まれない。 e. 利潤は総収入から_____を差し引いたものである。 f. 1単位多く生産するための費用は_____である。 13.生産の費用 22 問題【13-1】 限界・平均費用 あなたはデジタル音楽プレーヤーを売る会社の最高財務責任者である。 あなたの企業の平均総費用は以下のようになっている。 数量(台) 平均総費用(ドル) 600 300 601 301 現在の生産量600台はすべて売れているとする。プレーヤーを550ドル で1台売ってほしいという電話があった。あなたはこの申し出を受ける べきか、断るべきか、理由も説明しなさい。 13.生産の費用 23 問題【13 -2】 効率的規模 いとこのヴィニーは塗装店を経営している。その固定費用は200ドルであり 、可変費用は以下の表のようになっている。 1ヵ月にペンキを 塗る家の数 1 2 3 4 5 6 7 可変費用 10 20 40 80 160 320 640 生産量(塗装する家の数)ごとの平均固定費用、平均可変費用、平均 総費用を求めなさい。塗装店の最適な規模はどれだけだろうか。 13.生産の費用 24
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