2008

専門科目:社会と経済
科目名「政治学の基礎概念と応用」
(Basic concepts and practices of
politics and political science)
10月25日(土) 1時限~3時限 (10:00~17:55)
10月26日(日) 1時限~2時限 (10:00~15:20)
<授業概要>
政治学の基礎概念とその応用について講義します。
政治、権力、国家、政党などの概念をはじめ、自由主義、民主
主義や平等主義、市場や政府、産業主義や資本主義、近代
主義などの概念について説明します。
特に、市場と政治、法と政治という視座を重視します。
グローバル化と現代日本政治をテーマに、そうした概念の実
際の政治現象への応用についての理解を深めます。
成績判定は出席状況のほか、レポートの評点により行います。
政治学の基礎概念とその応用
政治とは?
権力とは?
国家とは?
政党とは?
自由主義、民主主義、平等主義
市場と政府
市場と法、法と政治、市場と政治
グローバル化のなかの現代日本政治
関連文献(放送大学テキスト)
小林 良彰、河野 武司、山岡 龍一,2007.
[新訂]政治学入門
阿部
放送大学教育振興会
⇒(新)
齊、久保 文明、山岡 龍一,2003.
[改訂新版]政治学入門
放送大学教育振興会
⇒(改)
フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
政治とは何か?
「政治」のイメージ
政治学が対象とする「政治」
「政治」のイメージ
• 彼は「政治的」である。
– 力、策略、意図、党派、
• それは「政治的」にしか解決できない。
– 力、強制、拘束、妥協、決断、
• 危機は「政治的」に回避された。
– 決断、介入、調整、妥協、紛争の終結、平和、
• 彼には「政治力」がある。
– 力、調整、妥協、決断、強制、
• 人々は「政治」に翻弄された。
– 社会の大きなうねり、歴史、個人の意思を越えたもの、
• 彼は「政治」を志した。
– 理想、善、正義、権力、利益、
「政治」の多義性
• 共通善(common good)
• 権力(power, political power)
• 正当性(legitimacy)
(新)p.3-9
• 紛争の解決(利害や考えの対立と調整)
• 社会の統合(社会秩序の維持)
• 統一的な意思決定(自治と統治)
(改)p.16-18
• 社会の動きと個人の意思、意図せざる結果
– 「天」と「運」と「命」
政治学が対象とする「政治」
• 「共通善、権力、正当性、といった概念によっ
て理解される『政治的なるもの』を、学問的に
探求するのが政治学である」((新)p.10)
• 「自治と統治」、「統治における政府や国家」
• 「どのような組織集団であっても、対立や紛争
を調整あるいは解決し、集団の統合を図る活
動がみられる場合には、そこに政治と呼びう
る現象がある」((改)P.18)
共通善・権力・正当性
• 「共通善」とは何か?
– 論者によって多様かつ論争的な概念
• ex.ルソーの「一般意思」
– 「全体意志と一般意志のあいだには、時にはかなりの相違が
あるものである。一般意志は、共通の利益だけをこころがけ
る。全体意志は、私の利益をこころがける。それは特殊意志
の総和であるに過ぎない。」(ルソー『社会契約論』)
– 「真・善・美」や「正義」をめぐる古代政治哲学まで
さかのぼる問題
⇒本講義では、権力と正当性の問題に限定
権力とは?
統治と権力
権力と支配
法による支配
統治と権力
• 「権力とは、社会秩序を維持するための制度
化された強制力」((改)p.18)
– 「政治による紛争の解決も、権力を背景とした解
決といってよい」 ((改)p.18)
• 社会的な紛争や対立を、権力によって、調整
あるいは解決し、社会統合を図る活動として
の「統治」
権力(power)とは?(1)
• 権力(ドイツ語 Macht、英語 power)は、何ら
かの物理的強制力の保有という裏づけをもっ
て、他者をその意に反してでも服従させるとい
う、支配のための力のことである。
– 権力者とは、そうした権力を独占的に、あるいは
他に優越して保有し、それを行使する可能性をも
つ者を言う。
(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』(2008/10/21))
権力(power)とは?(2)
• 権力は、社会のあらゆる場面で成立する余地
がある。一般に政治的な場面で用いられる権
力(「政治権力」)といえば、一定の範囲の住
民すべてに及ぶ強制力を有し、それを服従さ
せるようにまで至った権力のことをさす。
– そして、今日、政治権力といえば、国家権力を指
すのが通例である。国家は、法の制定権、警察と
軍隊、政府と官僚集団を独占的に保有することに
よって、実効的な統治権を確保する。
(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』(2008/10/21))
権力(power)とは?(3)
• 強制の有無という点で、被治者の自発的な同
意・服従を要請する権威とは区別される。
– 物理的強制力をともなう政治権力を保持するだけ
では、政治的正当性を確保するまでには至らず、
安定的な支配を維持することは難しい(権威の欠
如)。
– 政治的正当性を確保するためには、政治権力・国
家権力が被治者から支配に対する自発的な同
意・服従を調達する必要がある。
(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』(2008/10/21))
なぜ税金を払うのか?
• 100円のおにぎりを買うのに、105円払う理由
-なぜ、消費税を払うのか?
– 法律で決まっているから?
– なぜ店員に言われなければならないのか
– なぜ警官に命令されなければならないのか
– 強制的に払わされる?
– 払わないと処罰される?
正当性と服従
• 人はなぜ服従するのか?(Max Weber)
– 慣習的に!
– 物質的利害、目的にかなった利害から!
=目的合理性
– 情緒的動機、価値にかなった動機から!
=価値合理性
これらに加えて、
正当性の信念から!
• 「合理的(合法的)」、「伝統的」、「カリスマ的」
権力と支配
正当的支配の三つの純粋型(Max Weber)
• 「合理的なもの」
• 成文化された秩序の合法性と、この秩序によって支配を及ぼす
権限を与えられた者の命令権の合法性に対する信念に基づく。
• 「伝統的なもの」
• 古来の伝統の神聖性と、それによって権威を与えられた者の正
当性に対する日常的信念に基づく。
• 「カリスマ的なもの」
• ある人物と、その者によって啓示されるか制定された秩序のもつ、
神聖さとか超人的な力とか模範的資質への非日常的な帰依に基
づく。
「三つの「理念型」は一つとして歴史上まったく「純粋に」あら
われるためしはない」←「理念型」の混合としての「現実」
合理的支配(合法的支配)
• 「合法的に成文化された没主観的・非人格的秩
序に対して、服従がなされる」
• 「この秩序によって規定された上司(=人格)に
対しても服従がなされるが、それは、彼の指令
が形式的な合法性をもつためであり、この指令
の及ぶ範囲内においてである。」
• 「官僚制的支配」← 「合法的支配」の純粋型
• 「官僚制的で単一支配的な、文書に基づく行政は、形式
上もっとも合理的な支配行使の形態である。」(Max Weber)
合法的支配の妥当性(Max Weber)
• 「任意の法が約定または欽定によって、合理的(目
的合理的and/or価値合理的)な志向をもって制定さ
れ、団体の成員による遵守を要求し、遵守されるよ
う要求できること。」
• 「あらゆる法は、抽象的かつ意図的に制定された規
則のコスモス(体系)であり、司法も行政も、法規の
定めるところに従ってなされるものであること。」
– 「合法的首長である『上司』も、指令を発し、命令を下す過
程で、彼の指令がその非人格的秩序に対して、自分自身
も服従するということ。」
– 「このことは『官僚』ではない合法的首長、たとえば選出さ
れた大統領についてもあてはまる。」
法による支配
• 法制による支配
– 非人格的、没主観的
– 形式的、抽象的
– 目的合理的、価値合理的
– 合法的に成文化
• 法制の束としての国家
– 法の支配、立憲主義、法治主義
– 立憲主義国家化、成文憲法主義
– 法律と予算の議会による承認、司法権
合法的支配と民主制
• 「合法的支配=民主主義」ではない
• 法を制定する主体は問わない。
– 君主制でも独裁制でも寡頭制でも民主制でもあり
うる。
• 合法的支配の特徴は、官僚制的秩序
– 「合法的支配のもっとも純粋な型は、官僚制的行政幹部による支配である。」
(Max Weber)
自治という統治
• 合法的支配と自治
• 官僚制と民主制
– 「専門的に資格ある者から後継者を補充できるよう、平準
化への傾向をもつ」
– 「官僚制化は身分的平準化をおこなうが、逆に、どのよう
な社会的平準化も官僚制化を促進することになる」
– 「それは、身分的支配者を排除し、財産による「名誉職
的」官職保持者を排除する」(Max Weber)
• 「官僚制化は、「大衆民主制」につきまとう影なので
ある」(Max Weber)
国家とは?
近代主権国家の成立
主権国家の法的権利
主権の超越性と官僚制
資本主義と近代的主権と植民地主義
国家とは何か?
• 「国家とは、ある一定の領域の内部で、正当な物理
的暴力行使の独占を(実効的に)要求する人間共同
体である」(Max Weber,(新) p.38)
• 領域性
• 正当な暴力行使の独占の要求
• 人間共同体
⇒「国家の主権性」
国家とは?
• 国家は、一定の領域と人民に排他的な統治権を有
する政治団体もしくは政治的共同体のこと。
– 人民を含む場合と、統治機構に限定する場合があり、前
者の場合は国と呼ばれることが多い。
• 国家の三要素
– 領域(領土、領水、領空)
– 人民(国民、住民)
– 権力ないし主権
• 正統な物理的実力のことである。この実力は、対外的・対内的に
排他的に行使できなければ、つまり、主権的でなければならない。
(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』(2008/10/21))
主権とは?(1)
• 対外主権(最高独立性)
– 「国家が 外に対して独立している」ということが、「主権」
の内容として語られることがある。国家は互いに平等であ
り、その上に存在する権威はないため、「最高独立性」と
いわれることもある。
– 近代国家である以上、対外的に独立していなければなら
ず、逆に、対外的に独立していない場合は、それは国家
ではない(国際法上の国家の要件が欠缺している)という
ことになる。
(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』(2008/10/21))
「外に対して独立」
「主権国家」間の平等性
国家間システム
主権とは?(2)
• 対内主権(統治権)
• 「国家が内に対して最高至上である」ということが、「主権」の内容
として語られることがある。
– 近代国家においては、国家は、自らの領土におい て、い
かなる反対の意思を表示する個人・団体に対しても、最
終的には、物理的実力を用いて、自己の意思を貫徹する
ことができる。
– この意味で、国家は対内的に至高の存在であり、これを
「主権的」と表現する。
• この意味で用いる場合には、「主権」という語は、領土に対する統
治権という意味とほぼ同じ意味内容を持つ。
(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』(2008/10/21))
「対内的に至高」
領域性(領土)
正当な暴力行使の独占の要求
主権とは?(3)
• 最高決定力(最高決定権)
– 「ある国家のうちで、実際に至高の存在は誰なのか? 即
ち、実際に最終的に決定する力を持っているのは誰なの
か?」という問題も、「主権」の問題として語られることが
ある。
• この問題について、日本では、ドイツ流の議論とフランス流の議
論の両方が混在している。
(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』(2008/10/21))
国家主権
君主主権
国民主権
議会主権
近代的主権の時代へ
• 国家間システムの形成
• 「30年戦争」の終焉とヴェストファーレン体制(1648年~)
• 近代的主権国家の時代
• 法的権利としての国民国家の主権的権利
⇒国際的な法権利
⇒国際法(国家間法制)の諸原則の確立へ
⇒新しい「法権利の体系」としての近代的主権システム
30年戦争(1618-1648)とは?(1)
• 三十年戦争は、ボヘミアにおけるプロテスタントの
反乱をきっかけに勃発し、神聖ローマ帝国を舞台と
して、1618年から1648年に戦われた国際戦争。「最
後の宗教戦争」、「最初の国際戦争」などと形容され
る。
• 三十年戦争は新教派(プロテスタント)と旧教派(カトリック)との間
で展開された宗教戦争と捉えられることが多いが、それはこの戦
争の単なる一側面に過ぎない。当初は宗教闘争に名を借りた民
族対立の様相を呈していたが、戦争の第2段階から徐々に国家
間の権力闘争の側面が露わになり、ヨーロッパにおける覇権を確
立しようとするハプスブルク家と、それを阻止しようとする勢力間
の国際戦争として展開されることになった。
(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』(2008/10/21))
30年戦争(1618-1648)とは?(2)
• この戦争は、神聖ローマ帝国という枠組みを越えて
全ヨーロッパの情勢に多大な影響を与え、その後の
フランス革命に至るヨーロッパの国際情勢を規定す
ることになった(ヴェストファーレン体制)。
• 1648年に締結された史上初の多国間条約である
ヴェストファーレン条約(ウェストフェリア条約)によっ
て戦争に最終的な決着がつけられ、この結果、およ
そ300に及ぶ領邦国家の分立状態が確定すること
になった。
– なお、神聖ローマ帝国は、この後も1806年にナポレオン・ボナパル
ト(ナポレオン1世)によって滅ぼされるまでの間存続。
(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』(2008/10/21))
ヴェストファーレン体制(1)
• ヴェストファーレン体制は、三十年戦争の講和条約
であるヴェストファーレン条約によりもたらされたヨー
ロッパの勢力均衡(バランス・オブ・パワー)体制で
ある。
• 日本では英語読みからウェストファリア体制とも呼ばれる。
– ヴェストファーレン条約によって、ヨーロッパにおいて30年
続いたカトリックとプロテスタントによる宗教戦争は終止符
が打たれ、条約締結国は相互の領土を尊重し内政への
干渉を控えることを約し、新たなヨーロッパの秩序が形成
されるに至った。
» 1648年10月24日に、ヨーロッパのほとんどの大国が参加して、
現在のドイツ・ノルトライン=ヴェストファーレン州にあるミュン
スターで締結された。
(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』(2008/10/21))
ヴェストファーレン体制(2)
• この枠組みにより、宗教的にはプロテスタントとロー
マ・カトリック教会が対等となることで、政治的にはロー
マ・カトリック教会によって権威付けられた神聖ローマ
帝国の領邦に主権が認められたことで、中世以来の
超領域的な存在としての神聖ローマ帝国の影響力が
薄れた。
• これに代わってヨーロッパでは、世俗的な国
家がそれぞれの領域に主権を及ぼし統治す
ることとなった。各国の国家主権の独立・平
等など現代国際法の諸原則が生まれた。
(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』(2008/10/21))
主権国家間システムの形成へ
• 世俗国家による主権
• 市場の肯定
• 対外的独立(⇒分離の要求)
• 近代的主権と植民地主義
• 国家間の対等・平等の原則
• 独立した国民国家と植民地の並存
• 国際法(国家間法制)の諸原則の整備へ
• 国際的紛争(戦争)と国際的法秩序の形成
主権の超越性
• 主権者(主権的権力)の超越性
– 「主権的至高権威と絶対的権力の要点は、臣民全般の同
意なしに彼らに法をあたえることからなる。」(ジャン・ボダ
ン,1576)
– 「正しい理性が実在しないのだから、あるひとりの人間、
または人びとが主権的権力を所持することになる。」(トマ
ス・ホッブズ,1640)
⇒主権者の代表性 (⇒社会契約論)へ
(君主制・寡頭制から民主制・共和制へ)
• 「近代的官僚制は超越論的なものの本質的な機関
である。」(ネグリ/ハート,2000)
近代的主権の形成装置としての官僚制
• 新しい「法権利の体系」としての近代的主権システム
• 「合法的支配のもっとも純粋な型は、官僚制的行政
幹部による支配である。」 (Max Weber)
• 「官僚制的行政は、知識による支配を意味する。これ
こそは、官僚制に特有な合理的根本特徴なのであ
る。」(Max Weber)
• 「官僚制は、合法性と組織的な効率性、権原(法的根
拠)と権力の行使、政治と保安(警察)を結合させるよ
うな装置を操作する。」(ネグリ/ハート)
官僚制と資本主義的企業
• 「専門知識に由来する強大な権力的地位にと
どまらず、官僚制は、職務上の知識(交渉能
力や実務知識)によってその勢力をいっそう
増大させようとする傾向がある。」
• 「知識(専門知識や実務知識)の点で、官僚制
よりも勝っているのは、自己の利害に関する
範囲内では、おおむね、私的な営利に利害関
係をもつ人、したがって資本主義的企業者だ
けであるに過ぎない。」(Max Weber p.16)
市場の拡大と近代的主権システム
• なぜヨーロッパに近代的主権が成立したか
– 背後に、「資本主義」と「市場」の発展とその肯定
– ヨーロッパ「市民社会」の発展
• ヨーロッパ発、「市場のグローバル化」の開始
– 資本主義的市場と市民社会の拡大
• 資本の諸権力による支え
– 産業化と富裕化
– 「国家」と「国民」の経済的構築
– 『諸国民の富』(アダム・スミス,1776)
• 近代的主権と植民地主義
イギリスの産業革命
• イギリスで産業革命が始まった要因として、原料供
給地および市場としての植民地の存在、清教徒革
命・名誉革命による社会・経済的な環境整備、蓄積
された資本ないし資金調達が容易な環境、および農
業革命によってもたらされた労働力、などが挙げら
れる。
• これらの条件の多くはフランスでもそれほど変わる
ことはなかったが、唯一決定的に違ったのが、植民
地の有無である。
(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』(2008/10/21))
産業革命以前の市民革命
• イギリス革命(「内乱」から「連合王国」へ)
• 1641年~1649年「清教徒(ピューリタン)革命」
• 1688年~1689年「名誉革命」
– 絶対君主制から責任内閣制へ
• 王位継承をめぐる内乱から国王と議会の対立へ
– 「英国資本」と「大英帝国」
• 資本主義と近代的主権と植民地主義
• 1760年代から「産業革命」が始まる
産業革命と経済グローバル化
• イギリス産業革命は1760年代に始まるとされるが、
七年戦争が終結し、アメリカ、インドにおけるイギリ
スのフランスに対する優位が決定づけられたのは
1763年のパリ条約によってである。
– イギリスはライバルであるフランスに先んじて産業革命を
開始し、フランスに限らず一体化しつつあった地球上の全
ての国々に対して有利な位置を占めることとなった。
• 世界史に目を向ければ、最初の工業化であるイギリ
ス産業革命を期に、奴隷貿易を含む貿易の拡大や、
現在にも繋がる国際分業体制の確立といった地球
規模での大変化が始まったとも言える。
(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』(2008/10/21))
市民革命とは?(1)
• 市民革命とは封建的・絶対主義的国家体制を解体
して近代的市民社会をめざす革命をさす歴史用語
である。
– 一般的に啓蒙思想に基づく、人権、政治参加権あるいは
経済的自由を主張した「市民」が主体となって推し進めた
革命と定義される。
• 代表的なものはイギリス革命(清教徒革命・名誉革命)、アメリカ
独立革命、フランス革命などである。
– 「市民」とは、封建・絶対主義から解放され、自立した自我
を持つ個人という意味、および商人・資本家という2つの
側面を持っている。
(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』(2008/10/21))
市民革命とは?(2)
• 革命をなすための市民社会の形成には資本主義の
発達が不可欠であり、私的所有の絶対を 原則とす
る資本主義社会の成立が必要だった。
– ブルジョワジーの誕生と市民社会の形成とは相支え合う
要素であり、ともに市民革命の要件とされる。
• ブルジョワジーが発展するためには労働力の移動、
流通の自由や私的所有などが認められていなけれ
ばならず、これは市民社会の成長を要件としている。
(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』(2008/10/21))
産業革命以後の市民革命
• アメリカ独立革命(1775-1783)
• 1775年「アメリカ独立戦争」⇒1776年「アメリカ独立宣言」
⇒1783年「パリ講和条約」(イギリス軍撤退)
• 1787年「アメリカ合衆国憲法」(88年発効)
– 「植民地」から「成文憲法国家」へ
• 植民地から独立諸邦、さらに合衆国(大統領制・連邦共和制)へ
• フランス革命(1789-1794)
• 1789年「バスティーユ襲撃」(「憲法制定国民会議」発足)
• 1789年「人権宣言」 ⇒「1791年憲法」と「フランス第一共和制」
– 1792年~「フランス革命戦争」(フランス革命政府とオーストリア・イ
ギリスなど)
• 1793年「ルイ16世処刑」⇒「ジャコバン独裁」
• 1794年「ロベスピエール失脚・処刑」
– 1803年~「ナポレオン戦争」
– 「絶対王政」から「統治機構の実験室」へ
• 英国との対抗
フランス革命後
立憲主義定着までの長い道のり
• フランス革命 (1789-1794)
• 第一共和政 (1792–1804)
– 国民公会 (1792–1795) 総裁政府 (1795–1799)
– 執政政府 (1799–1804) ナポレオン・ボナパルト
– 第一帝政 (1804–1814) 「ナポレオン一世」と「フランス帝国」
– ブルボン第一復古王政 (1814–1815)
– ナポレオンの百日天下 (1815)
• ブルボン第二復古王政 (1815–1830)
• 七月王政 (1830–1848)
• 第二共和政 (1848–1852)
– 第二帝政 (1852–1870) ルイ・ナポレオン(ナポレオン三世)
• 第三共和政 (1870–1940)
• 自由フランス (1940–1944) ヴィシー政権 (1940–1944)
• 第四共和政 (1946–1958) 第五共和政 (1958– )
国家形成と国民形成
• 国家形成と「国民」形成
•
•
•
•
世襲制国家から国民的国家へ
絶対君主の所有物としての臣民⇒市民への転換
君主主権から国民主権へ
「国家」と「国民」の法制的・行政的構築
• 主権形成機構としての近代官僚制
• 政府と国家的および地方行政の法制化・組織化
• 立憲国家の成立(constitution)
• 形式的政体構成(constitution)としての「憲法」
• 社会的諸力の編成の絶え間ない再形成としての実質的政体構成
世界的金融市場と国家
• 国際金融とはなにか?
– 政治的権力を背景としたプロジェクト
– 戦費調達と金融
• 軍事力増強の資金調達としての政府による外債発行
– 日露戦争時の高橋是清による資金調達
» 国債の引受け手としての金融資本家
» 外債発行と日露戦争の勝利
– 国債デフォルトに対する信用としての立憲国家
– 金融力と軍事力
手形システムと国際金融の発展
• 約束手形と中世イタリア商人
• メディチ銀行の発展(決済システムとしての金融)
イタリア商人A →(商品)→ ロンドン商人B
イタリア商人A ←(為替手形)← ロンドン商人B
商人A→ (為替手形)→フィレンツェ本店
商人A← (1000フローリン)←フィレンツェ本店
↑↓(手形の決済)
ロンドン支店←(200ポンド)←商人B
ロンドン支店→(為替手形)→商人B
決済システムとしての金融
イタリア商人A
イタリア商人C
イタリア商人A
イタリア商人C
→(商品)→ ロンドン商人B
←(商品)← ロンドン商人D
←(為替手形)← ロンドン商人B
→(為替手形)→ ロンドン商人D
商人A→ (為替手形)→フィレンツェ本店
商人C← (為替手形)←フィレンツェ本店
商人A← (1000フローリン)←フィレンツェ本店
商人C→ (1000フローリン)→フィレンツェ本店
↑↓(差額の決済)=「この場合は0」
ロンドン支店←(200ポンド)←商人B
ロンドン支店→(200ポンド)→商人D
ロンドン支店→(為替手形)→商人B
ロンドン支店←(為替手形)←商人D
戦費の融資と金利
• 国債や教会債の引受け手としての国際金融
– メディチ家、フッガー家、ロスチャイルド家・・・
• 金貸しビジネスによる繁栄
• 国家財政のためのファイナンスとしての国際
金融
– 債券市場の発展
株式会社と金融資本
• イギリス
– 東インド会社に起源
– 株式会社の時代へ
• 1855年 有限責任法
• 1856年 株式会社法
• 1862年 会社法
– 「世界の工場」から「世界の銀行」へ
– 株式会社と金融資本の巨大な成長
• 株式市場の発展
法制の束としての「国家」
立憲国家の成立
国家の政治
政府(官僚制)・議会・司法
制度(institution)とは?
• 制度(せいど,system, institution)は人間行動の定
型化されたパターン。
– 社会関係を円滑に営むために社会を構成する集団の構
成者や、その社会の統治者によって定められた決まりご
ととして定式化され公認されていることが多い。
– 集団の構成者個々の意志は別として集団の構成者全員
が締結した契約として考え得るほど拘束力を強めること
がある。
– 社会全般に関わる制度を社会制度という。法治国家に於
ける制度は法によって定められている。
(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
(2008/10/21))
法制の束としての「国家」
• 「近代的主権」と「合衆国の主権」
– 帝国と植民地
– イギリス革命、アメリカ革命、フランス革命
– 「最古」の成文憲法国家としてのアメリカ合衆国
• 国家の政治
– 法制的・行政的・組織的構築物としての「国家」
• 政府・議会・司法
– 官僚制と政府、有権者と議会、市民社会(契約社会)と司法
• 経済と財政と金融
– 「国民経済」に責任を負う国家
– 「国家財政」に責任を負う国家
– 「民間金融資本」と国家
「近代的主権」と「合衆国の主権」
• イギリス革命から「大英帝国」へ
– 近代的主権と植民地主義
• 英国資本と大英帝国によるグローバルな権力
• アメリカ独立革命から合衆国憲法へ
– 近代的主権(植民地主義)からの断絶
• 「分離・独立の権利」と「成文憲法主義」と「民主主義的共和制」
– 立憲的編成(成文憲法的編成)としての権力
• 合衆国憲法(constitution)という法制としての「構成的権力」
• 「内部植民地」としての「奴隷制」
• フランス市民革命から「体制の振り子」へ
– 帝国の夢、民主主義的共和制の夢
イギリスは立憲国家なのか?
• イギリスはいつ立憲君主制になったのか?
• 1641年~1649年「清教徒(ピューリタン)革命」
• 1688年~1689年「名誉革命」
• グレートブリテン王国(連合王国)の成立
– 1707年 イングランド-スコットランド「合同法」
• 1742年 第一大蔵卿ウォルポールの辞任
• 1832年 一元主義的議院内閣制への転換
» 国王にではなく、下院のみに責任を負う議院内閣制
• 1932年 第一次選挙法改正
イギリスにおける議院内閣制の形成(1)
• ロバート・ウォルポール(1676-1745)の辞任
• ハノーヴァー朝ジョージ1世のもとで第一大蔵卿に就任。
– 事実上の首相として1721年から1742年までの21年間に
及ぶ長期政権を運営。
– 政治腐敗や消費税拡大、対フランス平和政策などが原因
で政権が傾き、1741年における総選挙ではスコットランド、
コーンウォールなどで敗れ、与野党の差が縮まった。
• 国王ジョージ2世の慰留にもかかわらず、翌1742年
に第一大蔵卿を辞任した。
• このことから、議会内で優勢な勢力が内閣を組織し
て議会に対して責任を持つという、議院内閣制(責
任内閣制)の基礎がつくられた。
(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』(2008/10/21))
イギリスにおける議院内閣制の形成(2)
• 1832年 一元主義的議院内閣制への転換
– 庶民院(下院)でホイッグ党が多数であったが、
国王がトーリー党の首相を任命しようとするが、
失敗する。
(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』(2008/10/21))
– ホイッグ党内閣が第一次選挙法改正案を議会に提出した
が、上院が反対。国王は、グレイに代えてW.ウェリントン
に組閣させようと試みたが、失敗し、国王はグレイに再度
組閣を命ぜざるを得なかった。
– こうして、国王の信任がなくとも、下院の信任があれば組
閣は可能だという「一元的議院内閣制」の先例が生まれ
た。(的場,1998)
イギリスはいつから立憲制になったか?
• 責任内閣制の確立による議会政治の発展と
選挙権の拡大(1832年~)
– 1832年の第一次選挙法改正の後、責任内閣制
と議会政治の発展と平行して、選挙法の改正が
1867年、1884年、1918年、1928年と行われた。
• 「1867年の(第二次)選挙法改正では都市部労働者に
対して選挙権が付与され、有権者の総数は200万人
程度まで増えた。1884年の(第三次)選挙法改正では
地方の労働者に対して選挙権が与えられ、有権者は
440万人まで増えた。」 (出典: フリー百科事典『ウィキペディア
(Wikipedia)』(2008/10/21))
成文憲法主義と民主主義
• 成文憲法主義とはなにか?
– 超越的な主権から、内在的な主権に
– 外部への拡大プロジェクトに
– 主権を構成するコードとしてのConstitution
• 合法的支配の一形態としての成文憲法体制
– 成文憲法主義と民主主義の拡大
– 選挙権の拡大(外部への拡大プロジェクト)
立憲国家の政治
• 立憲国家の政治
– 法制的・行政的・組織的構築物としての「国家」
• 政府・議会・司法
– 政府と官僚制
– 議会と有権者
– 司法と市民社会(市場=契約社会)
政府
• 統治機構としての政府
• 議院内閣制と大統領制
– イギリスにおける議院内閣制の発展
• 立憲君主制国家への導入
– アメリカにおける大統領制の発展
• 民主主義的共和制国家への導入
• 執政府と官僚制
– 官僚制的行政組織の発達
議会
• 法律の制定と予算の承認
• 立法権の独占
• 責任内閣制(議院内閣制)
– 議会に責任を負う内閣(=執政府)
• 下院(衆議院)の優越
• 選挙権の拡大(有権者の拡大)
– 議会の民主主義的統制
司法
• 市民社会の紛争処理制度としての司法
• 立憲国家における司法
– 司法の独立
– 違憲立法審査権
• 「裁判所の完全なる独立は、権力を制限する憲法に
とっては、ことに欠くことのできないものである。」
• 「憲法の明白な趣旨に反する一切の立法行為を無効
であると宣言するのが裁判所の義務なのである。」
(以上、ハミルトン)
政党
政府・議会・有権者
政権獲得と選挙
政党と民主主義
政党とは何か?
• 「特定の原理に基づきながら公共的利益を達成する
ために選挙を通じて政権の獲得を目指す組織化か
された集団」
– 「政権の獲得を平和的に、すなわち選挙において国民[有
権者]の支持を票の獲得という形で追求」
– 「公共の利益を掲げ、一旦政権の座に就いたならば、公
共政策に責任を負う」(以上、(新)p.91)
• 「選挙に参加し、あるいは政治権力の獲得を目指し
て活動し、自ら政党と名乗る政治団体」
– 「単に選挙に候補者を擁立する政治団体と定義すること
も多い」((改)p.64)
選挙権の拡大と政党の大衆化
• 制限選挙から普通選挙へ(選挙権の拡大)
– 有権者の拡大・増大
• 名望家政党から大衆政党へ
• 政党制の類型
•
•
•
•
一党制
一党優位制
二大政党制
穏健な多党制
– 政党数が3~5、政党間のイデオロギーの差が大きくない
• 分極的多党制
– 政党数が6~8、政党間のイデオロギー距離が大きい
民主主義
民主主義とは何か?
• Democracy
「人民の人民による人民のための政治」(リンカーン)
「デモス(人民)」+「クラトス(支配)」
• 古代ギリシアのアテナイの民主制
民会(年に40回以上)
500人評議会(抽選で選出、任期1年)
50人委員会(在任期間1ヵ月)
民衆裁判所(陪審員制度)
10人委員会(行政機関、抽選で選出、任期一年、再任禁止)
10人の将軍(直接選挙による選出)
輪番制(抽選)=民主制
選挙による選出は特定の個人や集団に権力が集中するという意味で
貴族政的とされた
アテナイ民主制の特徴
• 市民の政治的能力の平等が前提(抽選民主主義)
• 権力の不平等は政治の腐敗や僭主を生むとされた
(陶片追放)
• アテナイ民主制の排他性
– 奴隷、女性、居住外国人
• アテナイ民主制における「対話」という文化
「対話」の場としての「アゴラ(広場)」
⇔王権や一元的官僚制国家では生まれない文化
混合政体論
• 古代ローマの共和政(⇔君主政)
– 君主政と貴族政と民主政からなる「混合政体」
• 執政官、元老、民会(護民官)
– 民会による執政官(君主)の選出
• 相互のけん制と権力の均衡(権力分立論)
» 共和国全体の公共的利益(res publica)の実現
– とはいえ、貴族制的共和政
• ノビレス(支配身分)、パトリキ(貴族)、プレブス(平民)か
らなる「身分社会」
共和制と民主制
– 現代においては共和制=民主制と混同されるきらいがあ
る。これは大いなる誤解であり、欧州における立憲王国
(イギリス・オランダ・ベルギーなど)のように君主制である
が民主制の政治形態の国家もあれば、ソビエト連邦・朝
鮮民主主義人民共和国・ドイツ第三帝国・旧イラクのよう
に共和制により選出された国家元首により非民主制政治
が敷かれた事実により明らかである。
• 市民革命により1783年に独立したアメリカ合衆国や、
1789年のフランス革命によって生まれたフランスの
共和国が、近代的な共和制のモデルとなり、19世紀
以後、世界中に広まった。
(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』(2008/10/21))
立憲君主制と民主制的共和政
• イギリス「立憲君主制」
– 議会(下院)中心の議院内閣制
– 国王・貴族院・庶民院
• アメリカ「民主制的共和政」
– 混合政体としての「アメリカ合衆国」
– 厳格な権力分立
混合政体の発展
• イギリスにおける内閣制の発展
– 立憲君主制と「古き良き国制」
• フランス革命後
– 混合政体化への長い道のり
• 断絶としてのロック的合理主義
• モンテスキュー的混合政体
• アメリカ独立宣言におけるロック問題
• 合衆国憲法制定におけるモンテスキュー的国制
• アメリカにおける混合政体論
– フェデラリストとモンテスキューと合衆国憲法
制限政治としての立憲主義
「権力を制限するために生まれたもの」
「制限政治」的理解
古き良き法(コモンロー)による制限
「古き良き法の回復」による制限政治
「中世的立憲主義」
イギリスにおける
「中世的立憲主義」の継承
イギリスにおける
「コモンロー」と「主権」の対立
「混合政体」としての「イギリス立憲主義」
国王 貴族院 庶民院
ジョンロックの社会契約論は、コモンローからの
断絶という側面をもつ
モンテスキューの「混合政体」論
⇒「三権分立」論
→アメリカにも影響
伝統からの断絶としての
「アメリカ独立宣言」
ロック社会契約説の全面開花
「歴史を持たない国」
「アメリカ合衆国」の誕生
ザ・フェデラリストにおける
「権力分立」と「混合政体」の思想
コモンローの伝統とアメリカ憲法
• 「アメリカの法に・・・・最も大きな影響を与えた
のはコモン・ロー、すなわち、・・・・イギリスの
裁判所が積み重ね、発展させてきた法準則
である。」(M.L.ベネディクト『アメリカ憲法史』p.7-8)
• 「国王と議会の協働」としての主権
(M.L.ベネディクト『アメリカ憲法史』p.25)
社会契約説と混合政体論(「古き良き国制」)
ロック的合理主義とモンテスキュー的国制
アメリカ政治制度の植民地的起源
• 「1600年代に入ると・・・植民地に適用されるルール
の制定と、総督および総督への助言を行う参議会
の任命は特許状を受けた新領主が行う」
• 「しかしこのシステムには重大な問題が残されてい
た。植民地には警察力も常備軍も存在しなかったの
である。」
• 「新領主たちは、植民者たちの服従を確保しうる唯
一の方法は、その代表にルール定立に協力させる
ことにより、決定過程への参画を許すことだと速や
かにみてとった」
(M.L.ベネディクト『アメリカ憲法史』p.14)
イギリス植民地の統治機構(概要)
1. 総督
国王から特許状を得た会社や個人が任命(国王に
よる特許状の破棄、国王による総督の任命)~重
要な植民地官吏の国王による任命
2. 参議会
少数の有力者からなる総督の諮問機関
3. 植民地議会
1688年の名誉革命以来、本国の下院になぞらえら
れ、威信が高まる。
国王の利益を代表する総督と
選挙民の代表である議会の対立
(M.L.ベネディクト『アメリカ憲法史』p.15-16)
イギリス本国との関係
• 「一般的には、本国政府は植民地支配にあま
り熱心であったとはいえない。」
• 「ただし、二つの領域においては、本国政府
は大変積極的であった」
• 「その一つは、戦争である。」
「アメリカの民兵はイギリス陸軍に編入され、植民地の人々
は軍費と軍備の補給に協力した。しかし、この場合でも、そ
の手配は植民地議会が行ったのである。」
• 「もう一つの領域は貿易である。」
(M.L.ベネディクト『アメリカ憲法史』p.17)
本国と植民地における理解のずれ
• 「要するに、イギリス人とアメリカ人は、大英
帝国における政府の権能について異なった
考えを持っていたのである。」
• イギリス側:イギリス政府が至高の権能を有
する。植民地議会に任せるところは任す。
• アメリカ側:自分たちが代表を送っている植民
地議会による同意なしにはイギリス議会はア
メリカに手を出せない。
(M.L.ベネディクト『アメリカ憲法史』p.17-18)
戦費負担と課税問題での対立
• 1756-1763年の七年戦争(イギリス&植民地vs.
フランス)の戦費負担問題
• 課税問題に発展
• 1765年印紙税法(印紙不買運動と印紙税法廃
止)
• 1767年タウンゼント諸法(交易規制による課税、
イギリス商品ボイコット運動)
• 1773年茶法(ボストン茶会事件)
• 1774年大陸会議召集から独立宣言(1776年)へ
Stateにおける立憲主義
• 1776年に大陸会議が独立宣言を採択したの
に続いて、個々の植民地もイギリスからの独
立を宣言した。」
• 「大半の邦(state)は新政府を樹立するための
新しい憲法を起草した。」
• 「それらの邦は一つの例外もなく、王政や貴
族政ではなしに、共和制を選択した」
(M.L.ベネディクト『アメリカ憲法史』p.27-30)
邦憲法により樹立された政府
• 「おおむね、植民地時代の経験に基づくもの
であり、大半は知事、司法府、そして二院制
をとる立法府により構成」
• 「下院が上院よりも強い権限」
• 「裁判官に対する行政の干渉を避けるため、
最大限に司法の独立が保障」
• 「根本法=『憲法』すなわち、政府といえども
従わなければならない根本的諸原則があ
る。」「本国との抗争の中で、・・・アメリカ人た
ちは『立憲主義』を信奉するようになった」
(M.L.ベネディクト『アメリカ憲法史』p.29)
• 恣意的政府の排除
立憲主義とは何か?
• 立憲主義とは、「憲法は遵守されなければな
らないという人々の確信」である
(M.L.ベネディクト『アメリカ憲法史』p.2)
• 立法権と執行権の分離という原則へ~信用
創造
(M.L.ベネディクト『アメリカ憲法史』p.1)
共和主義的伝統とロック的断絶
• 「アメリカ革命の思想的背景について・・・・今
では、ロックの影響を単純に主張することは
できなくなっている。」
(大森雄太郎『アメリカ革命とジョン・ロック』p.3)
• 「革命の『信念の大きな背景』となったのは、
ロックではなく、植民地人が18世紀前半のイ
ギリス本国から受け継いだ『共和主義』だっ
た。」
(大森雄太郎『アメリカ革命とジョン・ロック』p.4)
共和主義的伝統とロック(1)
• 「第一に、ロックは自然法や自然権といった概
念を用い、これらの概念を前提として合理主
義的な議論を展開した。
• これに対して『共和主義』は、『古き良き国制』
(the Ancient Constitution)という理想的な混
合政体がイギリスの過去にあったと想定して、
君主政、貴族政、民主政のバランスによって、
『共和国』の自由が保障されると主張する。
• 合理的思考vs.歴史的思考
(大森雄太郎『アメリカ革命とジョン・ロック』p.3)
共和主義的伝統とロック(2)
• 「第二に、ロックはいわば商業社会の申し子
であって、商業社会に適した個人主義的な権
利の主張を展開した。
• これに対して『共和主義』は、商業を政治的・
道徳的な『腐敗』(corruption)の元凶とみなし
た。そして、農業に立脚した独立の市民が、
自己の利益をかえりみず、『公徳心』をもって
『共和国』に貢献することを要請する。」
• 「ロックが権利の言語を語ったのに対して、
『共和主義』は義務の言語を語った」
(大森雄太郎『アメリカ革命とジョン・ロック』p.3)
市場社会としての市民社会
• 市場の発展=市民社会の発展
• 経済と財政と金融
– 「国民経済」に責任を負う国家
– 「国家財政」に責任を負う国家
– 「民間金融資本」と国家
• 市民社会における信用システムとしての立憲国家
– 議会による法制定(税法)
– 議会による予算の承認(国債発行)
成熟社会における市民政治
• 市民社会
• 市場経済
• 政治的決定権力
• 市民社会の成熟と民主主義との関係
• 市場経済と民主主義との関係
• 政治的決定権力と民主主義との関係
市民社会・市場経済・政治的決定
• 市民社会の成熟≠民主主義の成熟
– 民主主義成熟には政治的契機が要る
• 市場経済≒自由民主主義
– 親和性、相互規制、相互支持
• すべての政治的決定≠民主主義
– 民主主義手続きを通過しない政治的決定が大多数
市民社会の成熟とは?
• 社会的資本
– 相互利益のための調整と協力を容易にする、
ネットワーク、規範、社会的信頼
• 社会的資本∝市民度
• 社会的資本⇒民主主義
• 民主主義の成熟と社会的資本の関係
社会的資本と民主主義
• 社会的資本が民主主義の成熟をもたらすプ
ロセス
• 民主主義的経験が社会的資本の蓄積を促す
プロセス
• 12人の優しい日本人を材料に
– 強制された民主主義的経験と社会的資本の蓄積
– 人的資本の蓄積と民主主義的経験
EXITできないからVOICEする
• 密室に閉じ込められた12人
• 評決を出すまで退出(EXIT)できない
⇒討論(VOICE)せざるを得ない
• 討論と決定の制度的強制という契機
• 強制された政治的経験
• こうした政治的契機がなければ社会的資本
の蓄積は促進されなかった
社会的資本・VOICE・民主主義
• 社会的資本はコミュニケーションと発言(VOI
CE)のプロセスを通じて、民主主義的経験に
動員される。
• 民主主義的経験はコミュニケーション(VOIC
E)のプロセスを通じて、社会的資本を蓄積す
る。
• コミュニケーションは退出(EXIT)の可能性が
閉ざされている場合に活性化しやすい。(沈
黙する場合もある)
コミュニケーションの好循環と悪循環
• 市民的対話の水準の高低
• 人的資本の蓄積度
• 退出の可能性
– 個人的退出が可能⇒発言しない/(発言する)
– 集団的退出が可能⇒退出する/発言する
• 社会的資本の蓄積を促すコミュニケーション
を強制する政治的契機・制度的契機
市場と民主主義
• 制度としての市場経済
– 人為的な諸制度の複雑なネットワークとしての市場
• 非市場的制度と市場制度
– 企業、契約法、諸制度、国家
⇒諸市場が存在する
• 個人主義的分権システムとしての市場
• 「複雑性の縮減」システムとしての市場
– 個別的意思決定、市場価格、コミュニティと市場
市場を制御するEXITオプション
• 商品を買う/買わない
• 株式を買う/買わない(売却する)
• 他商品・他企業に乗り換える(競争メカニズム)
• 自由な離脱=市場
• 離脱オプションの存在⇒企業間の競争
市場を制御するVOICEオプション
• 消費者からの苦情やモニタリング
• 株主による意見表明
• 従業員(労働者)による意見表明
• 不満を解消(品質を改善)する(改善メカニズム)
• 発言する顧客/離脱する顧客
• 発言オプションの存在⇒企業側の社会的応答
市場を制御する自由主義と民主主義
• 発言オプション∽民主主義原理
• 離脱オプション∽自由主義原理
• 討論による改善
• 競争による改善
• 市場経済の制御≠国有化、民主的規制
• 市場経済の制御=(自由主義+民主主義)
– 株式会社制度や企業情報公開、自由な離脱/自由な発
言、株主総会、労働組合、消費者運動
自由主義社会としての市場社会
• 決定権の分散システムとしての市場
– 個人的選択/決定(自由と責任)
– 複雑性の縮減
• 悪魔のひき臼と共同体的規制
– 経済的自由主義と(共同体的)社会防衛
– 市場社会と(共同体的)制度的制御
– 不確実性の縮減
市場社会と民主主義
• 市場社会と自由主義国家への「あとからの追
加」としての民主主義
• 自由主義国家=責任政党制(と立憲主義)
• 多数者の利益⇒競争的政党制⇒政府
• 市場社会⇒個人の平等な権利と機会の平等
⇒選挙権要求へ
• 民主主義は、競争的な社会による論理的な
要求
市場社会と議会と政府
• 責任政党制とそれに基づく政府は、市場社会の要
求でもあった
• 議会と政府とは
– 決定権力を民主主義的に制御するメカニズム
– 民主主義的圧力を制度的に制御するメカニズム
– 市場社会における多数者の利益の変動に反応する政府
– 不確実性の縮減(信用)メカニズムとしての立憲主義
市場社会の制御
• 離脱による制御と発言による制御
• 自由主義的制御と民主主義的制御
• 二つの原理を具体的制度へと設計し実現す
る
• 制度はいつでも改善に対して開かれている
決定権力の責任と制度的制御
• 複雑化する社会における諸決定の分散
• 決定権者のアカウンタビリティが問われる
– 重大決定であればあるほど社会的責任が問われる
• 離脱と発言を通じて
• 制度的に制御することによる不確実性の縮減
– 立憲制、責任政党制、契約法制、経済法制、労働法
制、社会福祉法制、、、、
市場社会と平等主義
• 市場社会を前提とした平等主義の追求
• 制度的制御を通じた平等主義の追求
• リベラルデモクラシーの枠内での平等主義の
追求
• 市場社会と共同体的規制という永遠のテーマ
多元的、多層的、分権的制御
• 複雑性の縮減
– 自由と競争、価格評価、品質評価
• 不確実性の縮減
– 企業における責任経営者制、法制的規制
• 政府間システムの競争と法制的規制
社会的資本の好循環
• 民主的な意思決定という公共への関心
• 自由な意見形成という個人的関心
• 発言⇒信頼と妥協に基づく選択
• 非妥協的選択⇒離脱
• 離脱と発言のバランス
• 自由な意見の形成と意見の修正
過剰蓄積抑止のための制度的制御
過剰蓄積は抑止できるのか?
• 複雑性の縮減メカニズム(=市場社会)の中
で実現される諸決定の帰結
• 共同体的規制と制度的制御の設計次第
市民の成熟と政治的契機
• 社会的資本の蓄積を促すような制度的強制
• 人的資本の交流を促すような政治的契機
• 発言の権利と離脱の権利の適切な保障
• 適切な制度の設計と不断の改善
政治学とは?
意図せざる結果
• 社会の動きと個人の意思
• 歴史のうねりと個人
– 無知、無力、無我
– 対話、祈り、沈黙
– ソクラテス、古代イスラエル預言者、釈尊
• 「天」と「運」と「命」
– 「五十にして天命を知る」(孔子)
– 天命と運命
• 運命と政治的責任
未来への責任としての政治
• 「政治学者が目指すのは学問的方法によっ
て得られた知識に基づく政治現象の予測可
能性の実現である」((新)p.11)
関連文献
小林 良彰、河野 武司、山岡 龍一,2007. [新訂]政治学入門 放送大学教育振興会
阿部 齊、久保 文明、山岡 龍一,2003. [改訂新版]政治学入門 放送大学教育振興会
山口 二郎、杉田 敦,2003. 現代日本の政治 放送大学教育振興会
Max Weber, (濱島朗訳,1967. ) 権力と支配 有斐閣
的場敏博,1998.政治機構論講義,有斐閣
ハミルトン=マディソン=ジェイ,ザ・フェデラリスト
倉都康行,2008.金融vs.国家,ちくま新書
碓井敏正・大西広編,2007.格差社会から成熟社会へ,大月書店