Column ご参考資料 「投資のヒント」 2016年6月30日 足もとの為替ヘッジコスト(対米ドル)と今後の見通し 足もと、英国のEU(欧州連合)離脱に伴う市場の混乱により、対米ドルの為替ヘッジコストが上昇しています。そこで、改めて為 替ヘッジコストについて確認してみます。為替ヘッジとは、一般に外貨建資産を組み入れた際の為替変動リスクを低減するため に用いられる方法です。 ※為替ヘッジを行った場合でも、為替変動リスクを完全に排除できるとは限りません。 ◆為替ヘッジコストの実勢値と理論値(短期金利差)の比較 米ドル資産の運用商品を為替ヘッジ(対円)する場合のコストは、理論的に米ドル短期金利と円短期金利の差となります。それ に加えて、円に対する米ドルの調達コストも影響する点に留意が必要です。 米ドル資産を為替ヘッジ(対円)する場合、米ドル資産の購入時にあらかじめ将来の米ドルから円への交換取引(先物為替予 約)を行うこととなりますが、これは将来の期日までの期間、円を担保に米ドルを借りる(調達する)行為と同様です。そのため、 市場における米ドルの調達コストが円に比べて高ければ、その調達コスト分が上乗せされることになります。 6月24日現在の為替ヘッジコストを見ると、日米短期金利差(1ヵ月LIBOR*1)から算出した理論値とフォワードレート*2(1ヵ月)か ら算出した実勢値に、通常時よりも大きな乖離が生じています。これは、市場における米ドルへの需要の高まりにより、米ドル調 達コストが通常時よりも高まっていることによるものです。 *1 LIBOR:ロンドン市場における銀行間での資金取引金利。短期金利の国際的な指標 *2 フォワードレート:為替フォワード市場で実際に取引されているレート ◆ヘッジコスト上昇の要因と今後の見通し 足もとのヘッジコストの実勢値と理論値の乖離は、英国のEU離脱に起因した信用不安の拡大により、信用力の高い米ドルへ の需要が調達コストの上乗せとして影響していることが背景にあると考えられます。過去もヘッジコストの実勢値と理論値の乖離 は米ドル需要に対する思惑が大きく影響しており、2015年以降、米国が利上げに転じる一方、日本がマイナス金利政策を導入 するなど日米間の金融政策に対する方向性の違いが鮮明化した際にも、米ドル需要の高まりを背景に乖離が発生しています。 ただし、実勢値と理論値の乖離は比較的短期間で一定水準に収斂する傾向が見られます。 今般、想定外の英国EU離脱を受けたリスク回避の動きにより基軸通貨である米ドル需要が高まり、ヘッジコストの実勢値が理 論値に対して大きく上昇していますが、主要国の中央銀行による流動性供給などの対応策が既に合意済みであり、リーマン ショック時の様な信用不安の拡大に繋がる可能性は低いと見られています。信用不安が一過性のものとなれば、従来通り、実 勢値は通常時の水準に収斂していくものと考えられます。 なお、米ドル/円相場自体は英国のEU離脱問題や米大統領選挙を控えた米政府の米ドル安容認姿勢が重石となる一方、先 行きは米景気の底堅さを背景に再度米利上げが意識されること、日本政府・日銀による為替介入や追加金融緩和への期待が 下支えすることから、当面は一進一退の展開を見込みます。 足もとの為替ヘッジコスト(対米ドル)の推移 (理論値と実勢値の比較) 8 (%) (2006年1月4日~2016年6月28日、日次) 理論値-実勢値 実勢値:フォワードレート(1ヵ月)で算出した為替ヘッジコスト 6 理論値:日米短期金利(1ヵ月LIBOR)で算出した為替ヘッジコスト 4 (2016年6月28日現在) 2 1.65%(実勢値) 0.54%(理論値) 0 -2 06/1 08/1 10/1 12/1 14/1 ※グラフ範囲外のデータを含みます。 (出所)Bloombergのデータを基に三井住友トラスト・アセットマネジメント作成 理論値(青線)-実勢値(紫 線)は、比較的短期間で通常 時の水準に収斂 16/1 (年/月) ※上記は過去のデータであり、将来の運用成果を示唆あるいは保証するものではありません。 当資料は、三井住友トラスト・アセットマネジメントが作成したものであり、金融商品取引法に基づく開示書類ではなく、 証券取引の勧誘を目的としたものでもありません。当資料のお取扱いについては最終ページをご覧ください。 1/2 ご参考資料 【 ご留意事項 】 ●当資料は三井住友トラスト・アセットマネジメントが投資判断の参考となる情報提供を目的として作成したもので あり、金融商品取引法に基づく開示書類ではありません。 ●ご購入のお申込みの際は最新の投資信託説明書(交付目論見書)の内容を必ずご確認のうえ、ご自身でご判断 ください。 ●投資信託は値動きのある有価証券等(外貨建資産には為替変動リスクを伴います。)に投資しますので基準価 額は変動します。したがって、投資元本や利回りが保証されるものではありません。ファンドの運用による損益は 全て投資者の皆様に帰属します。 ●投資信託は預貯金や保険契約とは異なり預金保険機構および保険契約者保護機構等の保護の対象ではあり ません。また、証券会社以外でご購入いただいた場合は、投資者保護基金の保護の対象ではありません。 ●当資料は信頼できると判断した各種情報等に基づき作成していますが、その正確性、完全性を保証するもので はありません。また、今後予告なく変更される場合があります。 ●当資料中の図表、数値、その他データについては、過去のデータに基づき作成したものであり、将来の成果を示 唆あるいは保証するものではありません。 ●当資料で使用している各指数に関する著作権等の知的財産権、その他の一切の権利はそれぞれの指数の開発 元もしくは公表元に帰属します。 当資料は、三井住友トラスト・アセットマネジメントが作成したものであり、金融商品取引法に基づく開示書類ではなく、 証券取引の勧誘を目的としたものでもありません。 2/2
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