第21回原子力委員会 資料第1号

第21回原子力委員会
資料第1号
岡原子力委員会委員長の海外出張報告
平成 28 年 6 月 28 日
1.出張先
アメリカ(ワシントン DC 他)
2.期間
平成 28 年 6 月 12 日(日)~19 日(日)
3.渡航目的
米国原子力関係者と原子力研究開発、廃炉・廃止措置への取組について意見交換を行
った。
4.主要日程
6 月 12 日(日)東京発、ワシントン DC 着
6 月 13 日(月)米国エネルギー省
6 月 14 日(火)原子力専門家等との打合せ
6 月 15 日(水)米国エネルギー省 ハンフォード・サイト
6 月 16 日(木)アイダホ国立研究所
6 月 17 日(金)アイダホ国立研究所
6 月 18 日(土)アイダホ発
6 月 19 日(日)東京着
5.結果概要
(1)米国原子力エネルギー政策
米国エネルギー省原子力エネルギー局はアイダホ国立研究所をリードラボとして原子力
エネルギー政策を推進している。
米国の原子力発電所において、60 年運転の更新許可の期限を 2030 年頃に迎えるプラ
ントが多いことを念頭に、軽水炉持続プログラムでは、さらに 20 年の延長を目指した準
備が進められている。既に 60 年から更に 20 年の運転期間延長の計画を表明した複数
のプラントがある。また、研究開発では材料の劣化、安全マージン特性、先進計測技術、
過酷事故対策技術等を進めている。
VOGTLE3、4 号機を建設する電力会社に 8.3B$の債務保証をして、その建設を後押しし
ている。これは NP2010 としてエネルギー省が進めてきた計画の成果である。NP2010 の
計画では、サプライチェーン、初号機技術、NRC の許認可取得が重要な点であった。ま
た、中国で建設中の同型炉の経験も利用する。
-1-
電気出力が 30 万キロワット以下の小型モジュール炉(SMR)の設計認証の取得等を支
援するプログラムを 2012 年より 6 年計画で進めている(当初5年計画で1年延長)。支援
計画の総額は 452M$でコストシェアの協力協定を産業界のパートナーと結んで進めてい
る。この取組は、2023 年の商業化を目標としている。
産業界主導の新型炉の開発を支援するため、複数年計画による上限総額 80M$の支援
を産業界が 20%コストシェアする条件で、2015 年度に公募し、2 つのプロジェクトを選定し
た。
原子力技術の研究開発実証を組織化する GAIN(Gateway for Accelerated Innovation in
Nuclear)と呼ばれるプログラム(技術、規制及び財政上の支援)を開始している。本取組
では、アイダホ国立研究所に機能を集め、各地の国立研究所等のテストベットと実証用
施設を利用できるようにしている。焦点をあてた研究環境を提供し、関心のある産業の
参画を図るほか、NRC との協力を拡大し技術開発組織の許認可取得を支援する。
原子力エネルギー研究開発における大学向けプログラムとして、R&D 予算の 20%を用い
て、大学の研究支援、大学院生へのフェローシップや学部生への奨学金、大学の研究
炉支援と研修プログラムを行っている。
(2)米国国立研究所等における廃止措置
エネルギー省環境管理局が核兵器開発施設の廃止措置と環境回復を 1989 年より行っ
ている。2016 年度の予算総額は、約 6.2B$(約 7000 億円)で、1994 年から毎年ほぼこの
額の予算があてられ、同規模が 2038 年まで必要となると見込まれている。1989 年以来
全国 107 サイトのうち 91 サイトでクリーンアップ作業を完了している。DOE では、自らで
基準を設けて、クリーンアップを行っている。ステークホルダと公衆の参画が成功のカギ
である。水銀と Tc99、Cs137、Sr90 の処理処分などの技術開発を行っている。ワシントン
州ハンフォード・サイトでは、プルトニウム生産炉等の廃止措置と汚染土壌の処理、タン
クに貯蔵された再処理廃液の処理処分を進め、プルトニウム精製工場の廃止措置を完
了している。アイダホ国立研究所では多数の施設の解体や、複数の試験炉で廃止措置
が進められた。EBR-Ⅱのナトリウムの処理も行われたほか、放射性廃棄物、鉛、アス
ベスト、ナトリウム、水銀などの処理処分も行われていた。
-2-