一般演題ポスター 血液透析2 ポスター P

一般演題ポスター 血液透析2 ポスター
6月18日 11:00〜12:15
ポスター会場 (パシフィコ横浜会議センター 3階 301+302,311~314)
司会
篠田 俊雄 司会 (河北総合病院透析センター)
P-217 血液透析患者の治療抵抗性高血圧は脈圧が増大している
演者
大橋 宏重 (朝日大学歯学部附属村上記念病院腎臓内科)
操 祐樹 (朝日大学歯学部附属村上記念病院腎臓内科)
大野 道也 (朝日大学歯学部附属村上記念病院腎臓内科)
加藤 周司 (朝日大学歯学部附属村上記念病院腎臓内科)
【目的】血液透析(HD)患者では3剤以上の降圧薬を服用している治療抵抗性高血圧が多い.今
回,HD患者の治療抵抗性高血圧の特徴について検討した.【方法】対象としたHD患者は112名
(平均年齢69歳,糖尿病性腎症45名)であり,降圧薬が投与されていた患者は98名(87.5%)
であった.1剤21名(21.4%),2剤52名(53.0%)であり,3剤以上の降圧薬が投与されていた
患者は25名(25.6%,男性11/女性14名,平均年齢65.7歳,糖尿病性腎症12名)であった.病
歴,胸部X線検査,心エコー・ドプラー法,脈波伝搬速度(PWV),Na利尿ペプチド,血漿レニ
ン活性,血中アルドステロン濃度を測定・評価した.【結果】治療抵抗性高血圧では,ARB,Ca
拮抗薬が投与され,β遮断薬,α1受容体拮抗薬,α2受容体刺激薬のいずれかが併用されていた.
脈圧が大きく,PWVは高値を示し,心拍出量と末梢血管抵抗に治療抵抗性と非治療抵抗性に有意
差は認められなかった.心拡大なく,HANPは100pg/mL以下であったが,BNPは左室心筋重量
係数(LVMI)に相関していた.また,E/e’,左房容積係数(LAVI)より左室拡張能の低下が認
められたが,左室駆出率は保持されていた.【結論】HD患者の治療抵抗性高血圧では脈圧は増
大し,大動脈硬化による後負荷がその原因であることが示唆され,心肥大ならびに心機能低下に
関与している.
P-218 高齢透析患者の血圧管理要因について
演者
工藤 啓 (富谷中央病院)
【目的】高齢入院透析患者の慢性期血圧に関連する要因について検討した.【方法】対象者は当
院療養病床入院透析患者とし入院時平均年齢78.6歳の20名を対象とした.入院から1年後の平均
血圧を目的変数に,説明変数として降圧薬の種類(ACE阻害薬,ARB,β遮断薬,カルシウム拮
抗薬,中枢性交感神経遮断薬,利尿薬:ダミー変数とし投薬なしを0,投薬ありを1,途中中止を
-1,追加増量投与を+2とした),ドライウェイトの増減(体重当たりの%),生存期間(月数)
,入院前外来透析期間(月数),入院時年齢として重回帰分析を行った.血圧は入院時の1週間
と1年後の1週間の平均血圧とした.【結果】入院後1年で入院時の平均の血圧よりも収縮期で12
mmHg,拡張期で5mmHg,平均血圧で7mmHg低下し,ドライウェイトは体重あたり平均4.5%低
下した.1年後の平均の収縮期血圧(R2=0.58, p<0.03)と平均血圧(R2=0.60,
p<0.03)は,両者とも入院前の外来透析期間に有意に,それぞれ回帰係数推定値 -0.21,
p<0.01,-0.14, p<0.003と負に回帰した.しかし降圧薬は種類を問わず,ドライウェイトの増
減および生存期間も血圧低下に回帰しなかった.【結論】高齢入院透析の慢性期の収縮期血圧お
よび平均血圧は入院前の透析期間が長ければ長いほど低下することが示唆され,降圧薬の種別や
ドライウェイトの増減についての関与はそれほど強くないことが示された.
P-219 維持血液透析患者の家庭血圧管理状況
演者
小泉 智三 (国立病院機構水戸医療センター循環器科)
後藤 達宏 (医療法人青藍会大場内科クリニック)
大場 正二 (医療法人青藍会大場内科クリニック)
背景
高血圧治療ガイドライン2014では,透析患者については血圧測定法が確立されていなく明確な
目標値の根拠がない.一方,一般の高血圧患者に対する家庭血圧の診断基準は確立しており,家
庭血圧による診断を優先することが推奨さ
れている.目的
維持血液透析患者の家庭血
圧を調査し,その管理状況を把握する.方法
対象は週3回(火木土)の維持血液透析患者108名(年齢 66±10歳).家庭で月,金曜の朝夕
に測定.結果
平均収縮期血圧は朝139±12mmHg,夕142±15mmHg,目標値を135/85mmHgとすると,目標
達成率は,朝32.6%,夕27.6%であった.収縮期血圧は朝,夕とも月曜から金曜にかけて有意に低
下した(図).結語
血液透析患者の家庭血圧は,目標値を135/85mmHgと設定すると達成率は低かった.週初から
週末にかけて有意に収縮期血圧の低下を朝夕で認めた.
P-220 維持血液透析患者における透析前後のヘモグロビン値変化量と体重
変化率の血圧への影響
演者
古庄 正英 ((株)麻生飯塚病院腎臓内科)
米谷 拓朗 ((株)麻生飯塚病院腎臓内科)
前園 明寛 ((株)麻生飯塚病院腎臓内科)
中嶋 崇文 ((株)麻生飯塚病院腎臓内科)
冨田 圭吾 ((株)麻生飯塚病院腎臓内科)
原 崇史 ((株)麻生飯塚病院腎臓内科)
三浦 修平 ((株)麻生飯塚病院腎臓内科)
武田 一人 ((株)麻生飯塚病院腎臓内科)
【目的】血液透析患者における透析前後のヘモグロビン(Hgb)値変化量と体重変化率の透析前
後の血圧への影響を検討する.【方法】対象は外来維持血液透析中の58名(68.2±11.2歳).2
日空き透析前後のHgb値と体重を測定.透析前後Hgb値変化量(dHgb)と体重変化率(前体重-
後体重/後体重, %dBW)をそれぞれ中央値にて二分割した2×2の4群を作成し,透析前後の血圧
を評価項目とする.【結果】対象全体の透析前Hgb値11.7±1.1g/dl,透析後Hgb値12.6±1.2g/d
l,dHgb 0.86±0.66(中央値0.85),前体重55.6±8.9kg,後体重53.5±8.6kg,%dBW
3.9±1.1%(中央値3.9)であった.各群はそれぞれA群(dHgb≦0.85,
%dBW≦3.9):20名,B群(dHgb≦0.85, %dBW≧3.9):12名,C群(dHgb≧0.85,
%dBW≦3.9):9名,B群(dHgb≧0.85, %dBW≧3.9):17名であった.透析前,透析後いずれ
においてもB群にて血圧が有意に高値であった.【結論】除水量が多いが,透析前後でHgb値の
変化が少ない群は他群と比較し血圧が高値であり,ドライウェイト(DW)の見直しが必要な可
能性が示唆された.
P-221 血液透析患者の慢性心房細動は心機能が障害され,Na利尿ペプチ
ドと尿酸が上昇している
演者
操 祐樹 (朝日大学歯学部附属村上記念病院腎臓内科)
大野 道也 (朝日大学歯学部附属村上記念病院腎臓内科)
加藤 周司 (朝日大学歯学部附属村上記念病院腎臓内科)
大橋 宏重 (朝日大学歯学部附属村上記念病院腎臓内科)
【目的】心房細動 はうっ血性心不全の原因となるばかりでなく,頻拍時には透析困難症の原因と
もなる.今回,血液透析患者の慢性ならびに発作性心房細動の特徴について検討した.【対象・
方法】対象は慢性心房細動(A群)20名,発作性心房細動(B群)20名である.病歴を聴取し,
血清クレアチニン,尿素窒素,尿酸,電解質,心機能(心エコー・ドプラー法),Na利尿ペプチ
ド(ANP,BNP)を測定・評価した.【結果】心房細動は調査した全血液透析患者の10.6%に認
められ,慢性5.7%,発作性4.9%であった.A群とB群は年齢,性,透析歴をマッチさせた各20
名づつとしたが,A群はB群に比較して年齢が高い男性に多く,糖尿病性腎症の頻度が高く,平均
透析歴が長い傾向にあった.透析導入時にすでに心房細動を有した患者はA群に多く,左房は拡
大し,心肥大は高度であり,左室拡張能ならびに収縮能は低下していた.また両群とも凝血塊は
左右心房に認められなかった.なお,A群はB群に比較して尿酸は高値であり,ANPならびにBNP
が上昇していた.【結論】血液透析患者の慢性心房細動は年齢が高い男性に多く認められ,心機
能が低下している心肥大例が多く,Na利尿ペプチドと尿酸が上昇していた.
P-222 透析前後のBNP値変化の臨床的意義
演者
木下 千春 (京都民医連中央病院腎循環器センター)
ファムグェン クィー (京都民医連中央病院腎循環器センター)
三浦 拓郎 (京都民医連中央病院腎循環器センター)
鶴岡 歩 (京都民医連中央病院腎循環器センター)
藤野 高久 (京都民医連中央病院腎循環器センター)
井上 賀元 (京都民医連中央病院腎循環器センター)
神田 千秋 (京都民医連中央病院腎循環器センター)
【はじめに】透析前後のBNP値の変化が何によって規定されているか明らかでない.【目的】血
液透析前後BNP値の変化率と体液量,心機能の関連について検討.【方法】当院維持血液透析患
者71名を対象に,透析前後でのBNP値の変化率を50%以上と未満の2郡にわけ,各郡の透析後hA
NP値,InBodyS10Ⓡ で測定した浮腫率,心エコーのLVMI(left ventricular mass
index),LVEF(left ventricular ejection fraction)ついて比較し,関連性を検討.除外対象
は心房細動,ペースメーカー挿入例.【結果】対象者の平均年齢は67.1±11.1歳,男性は56.3%
.透析前BNP値,透析後BNP値,変化率の平均(最小-最大値)はそれぞれ398.1(34-1971)p
g/mL,194.1(10-1198)pg/mL,55.9(-1.5-92)%.両群で透析前BNP値に有意差はなく,
hANP値は50%未満群で有意に高値(56.4±39.7pg/mL vs
105.1±59.1pg/mL,p<0.001).浮腫率も50%未満群で高値(0.396±0.101 vs
0.404±0.123,p=0.021).LVEFには両群で有意差は認めず,LVMIは
50%未満群で有意に高値(96.0±24.8 vs
117.8±37.8g/m2
,p=0.011).有意差があった変数による多変量ロジスティク回帰分析ではBNP変化率にhANP
値は有意な影響を認めた(odds比0.98[0.98-0.991]).【考察】BNP変化率が少ない場合,
器質的心疾患にも注意が必要であるが,ドライウエイトの減量を必要とする可能性があると考え
られた.
P-223 血液透析患者におけるCAVIおよびABIと生命予後
演者
池辺 弥夏 (高知高須病院腎臓内科)
末廣 正 (高知高須病院腎臓内科)
水口 隆 (高知高須病院腎臓内科)
【目的】血液透析患者の生命予後は動脈硬化による心血管疾患合併の有無により大きく左右され
る.血管の動脈硬化指標であるCAVIおよびABIがどの程度,生命予後の予知因子となるかを前向
き検討する.【対象と方法】当院透析外来で2010年5月から2012年6月の間,CAVIおよびABIを
測定した502名で,測定日を開始日として,2015年8月1日まで観察し,全ての原因の死亡をout
comeとした. 【結果】観察期間中央値は46.4ヶ月であった.Kaplan-Meier曲線ではCAVIで0.9
以上と0.9未満の両群で,ABIでは0.9以下と0.9超過の両群で比較すると,前者では0.9以上の群
で有意に生存率が低く(log rank
p=0.0014),後者では0.9以下の群で有意に生存率が低かった(log rank p<0.0001).しか
し,Cox比例ハザードモデルでみるとCAVIを変数に入れた場合,年齢,性別が有意な因子となり
,CAVI(p=0.0536)は有意でなかった.一方,ABIを入れた場合,年齢,性別,透析歴に加え
,ABI(p<0.0001)が有意な因子であった.【結論】ABIは血液透析患者の生命予後の予知因子
となり,ABI低値の患者に対しては他のリスクに対しても,より集約的な管理が必要と考えられ
る.
P-224 透析患者におけるArterial Verocity IndexとArterial Pulse
indexの検討
演者
町田 慎治 (聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院)
大石 大輔 (聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院)
松井 勝臣 (聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院)
今井 直彦 (聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院)
白井 小百合 (聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院)
柴垣 有吾 (聖マリアンナ医科大学病院)
近年,血圧測定時に血圧脈波を解析するオシロメトリック血圧測定器が開発され,より簡易に日
常血圧測定時の血圧脈波からArterial Verocity Index(AVI),Arterial Pulse volume Index(
API)などの動脈硬化の指標が測定可能となり,有用性が報告されている.しかし,これまで透
析患者におけるAVIやAPIの報告は少ない.今回我々は,当院外来通院中のPD患者とHD患者に対
しAVI・APIの測定,比較検討を行った.対象は,2013年7月から2015年12月に当院外来通院さ
れているHD患者19名(年齢 73±9歳,男性12名,糖尿病6名,透析継続期間
20±35ヶ月)およびPD患者9名(年齢 68±11歳,男性6名,糖尿病3名,透析継続期間
12±17ヶ月)とした.AVI・APIの測定には志成データム社 AVE-1500
PASESAを使用した.PD患者における,AVI・APIは,それぞれ23.2±2.8,
27.1±9.0,またHD患者におけるAVI・APIは,それぞれ34±9.2, 37.9±7.9であった.(p=
0.004, p= 0.002). PD患者において,APIは収縮期血圧(r= 0.98, p=
0.001)と有意な正の相関を認めた.また,HD患者においてAVIは BNP(r= 0.84, p=
0.001)と,APIは収縮期血圧(r= 0.75, p= 0.001)と有意な正の相関を認めた.簡易に動脈硬
化の評価が可能なオシロメトリック血圧測定器は,透析患者においても有用な検査法となると考
えられる.
P-225 血液透析導入患者の虚血性心疾患合併率の経時的変化の検討
演者
倉田 遊 (三井記念病院)
安倍 寛子 (三井記念病院)
古川 恵美 (三井記念病院)
市川 雅大 (三井記念病院)
青江 麻里 (三井記念病院)
大原 健 (三井記念病院)
本田 智子 (三井記念病院)
古瀬 智 (三井記念病院)
齊藤 克典 (三井記念病院)
三瀬 直文 (三井記念病院)
【目的】血液透析導入時の虚血性心疾患(IHD)合併の経時的変化について検討する.【方法】2
008年1月~2014年12月における当院の血液透析導入患者298例(男性228例)を対象として,
導入時のIHD合併率および背景因子を解析した.【結果】導入時年齢は69±13歳.原疾患は,糖
尿病性腎症139例(46%),腎硬化症63例(21%),慢性糸球体腎炎37例(12%),他59例(
20%).導入前にIHDと診断されていた症例は69例(23%).導入年2008年~2011年をA群,
2012年~2014年をB群に分類したところ,IHD合併率はA群で多い傾向があった(28.2% vs
18.8%, p=0.053)【考察】当院の血液透析導入時IHD合併率は,1993~1997年は12.8%,199
8~2002年は15.0%であり,経年的に増加していたが,近年は増加が頭打ちになる傾向がみられ
た.
P-226 透析中の下大静脈径,E波,肺エコーB-linesの変化について
演者
大坪 茂 (関川病院腎臓内科)
梶本 克也 (関川病院循環器内科)
葛原 信三 (関川病院腎臓内科)
木村 和生 (関川病院腎臓内科)
井上 英行 (関川病院腎臓内科)
葛原 敬八郎 (関川病院バスキュラーアクセス治療センター)
【目的】透析中の下大静脈(IVC)径,拡張早期波(E波),肺エコー異常像(Blines)の変化について検討した.
【方法】透析中除水を行った当院の維持透析患者22例を対象に透析開始直後,中間時,終了直前
に心エコー並に,8区域の肺エコーを行いB-lines数をカウントし比較した.
【結果】透析時間は3.8 ± 0.4時間,総除水量は2.0 ± 1.2kgであった.E波は71.8 ±
14.9cm/sより55.5 ± 14.3cm/s(vs 開始時 P<0.0001),47.1 ± 11.6m/s(vs 中間時
p<0.0001)と低下した.IVC径は13.9 ± 3.6mmより11.0 ± 3.3mm(vs
開始時p=0.0002),9.9 ± 3.1mm(vs 中間時 p=0.0108)と低下した.B-lines数は開始時8.9
± 4.6本より6.3 ± 3.6本(vs 開始時 p<0.0001),3.4 ± 3.0本(vs 中間時 p<0.0001)と低
下した.それぞれの透析前半と後半の変化量はIVC径,E波ともに前半で低値であった(それぞれ
p=0.036, p=0.009)が,B-lines数は一定であった.
【結論】除水とともにE波,IVC径は透析前半により大きく減少したが,Blinesは一定に減少した.
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