先端医療科学特論(基礎編)

平成28年度
第24回
大学院セミナー開催通知
平成 28 年 6 月 21 日
講
座
名
生命医科学講座 病理学分野
責任者名(下川
功)
内線 (7051)
(責任者名)(内線)
肥満症病態におけるオートファジー・リソソーム機能障害とその
演
講
題
師
等
制御
樋上 賀一 先生
(東京理科大学 薬学部生命創薬科学科
分子病理・代謝学研究室 教授)
オートファジーは、ユビキチン・プロテアソーム系と並ぶ主要な細胞内分
解機構であり、細胞の恒常性の維持に重要な役割を担っている。我々は、肥
満症マウスの脂肪組織や、分化を誘導した脂肪細胞を用いてオートファジー
フラックスを解析したところ、肥満の進行に伴いオートファゴソームが顕著
に増加することを見出し、オートファジーが肥満症の病態に関わる可能性を
報告した。そこで、肥満症の脂肪組織におけるオートファジー障害に関して
より詳細な解明を目指し、最終的な分解過程を担うリソソームに着目して研
セミナーの概要
究を行った。その結果、リソソームの主要なプロテアーゼであるカテプシン
活性のバランスの乱れが肥満症早期から観察されること、この乱れが肥満症
脂肪組織の病態に関わる可能性を明らかにした。また、オートファジーの機
能改善を目的とした候補化合物として天然二糖類であるトレハロースに注目
した。我々はトレハロースがp62の発現増加を介して酸化ストレス防御を担う
Keap1-Nrf2機構に作用し、抗酸化遺伝子群の発現を有意に増加させるという
新たな作用を見出した。オートファジー促進作用と抗酸化作用を併せ持つ化
合物は、複合的に生体内のストレス耐性機構を高く維持できると考えられ、
肥満症や加齢性疾患などの予防に効果的であると期待される。
開催日時
平成28年7月22日(金)
17:00〜18:00
場
所
病理学教室 医局図書室(医学部基礎棟5F)
備
考
NPO) Medical Information Network 協賛
■先端医療科学特論(基礎編)
□先端新興感染症病態制御学特論
□先端医療科学特論(臨床編)
□先端放射線医療科学特論