景気循環研究所レポート 日銀短観(16 年 6 月調査)予測 2016 年 6 月 21 日 業況判断は製造業・非製造業ともに悪化の予想 大企業・製造業の業況判 日本銀行は、7 月 1 日に「企業短期経済観測調査」(日銀短観、16 年 6 断 DI は 1 ポイント低下、 月調査)を発表する。6 月の大企業・製造業の業況判断 DI は、前回 16 年 同・非製造業は 4 ポイン 3 月よりも 1 ポイント低い+5 となる見通しだ(表 1、図 1)。鉄鋼など素材 ト低下の予想 業種では、市況の回復を受けて業況がやや持ち直した模様だが、平成 28 年熊本地震の影響などから減産を余儀なくされた自動車や電機などで、業 況が大幅に悪化したとみられる。一方、大企業・非製造業の業況判断 DI は+18 となり、前回 3 月に比べ 4 ポイント低下する見通し(表 1、図 2)。 インバウンド消費の失速などを背景に小売の業況悪化が見込まれるほか、 減産に伴う物流の停滞から運輸業の業況が悪化した模様である。先行きの DI については、製造業で横ばい、非製造業では小幅の上昇が見込まれる。 大企業の設備投資計画は 16 年度の設備投資計画は、大企業・中小企業ともに上方修正が見込ま 堅調が見込まれるも、長 れる。ただし、大企業で比較的高めの上方修正幅が予想されるのに対し、 期の物価見通しは低下へ 中小企業の上方修正幅は、3 月調査としては小幅にとどまる見通しである (図 3、図 4)。 嶋中 雄二 景気循環研究所長 鹿野 達史 景気循環研究所副所長 シニアエコノミスト 宮嵜 産業、前年比)については、「1 年後」が前回 3 月調査と同水準(0.8%) の見込みに対し、「5 年後」は一段の下方修正が見込まれる。QUICK 社が大 企業を対象に毎月実施している QUICK 短観をみると、6 月の「物価全般の 見通し」は、 「1 年後」で 3 ヵ月前比横ばいだったが、「2 年後以降」では 3 月調査の水準を下回っている(図 5、図 6)。原油など商品市況が持ち直 浩 シニアエコノミスト 03-6627-5132 miyazaki-hiroshi@sc.mufg.jp 福田 一方、7 月 4 日に発表される企業の物価全般の見通し(全規模合計・全 しつつあるものの、長期の期待インフレ率は依然として下げ止まっていな い模様である。今回の短観が上記の予想結果通りなら、7 月 28-29 日の金 融政策決定会合での追加金融緩和の実施を促すものになるとみられる。 表1. 業況判断DI 圭亮 シニアエコノミスト 03-6627-5133 (「良い」-「悪い」、%ポイント) 16年3月調査 fukuda-keisuke@sc.mufg.jp 本レポートは、嶋中雄二の見方に基づ き、宮嵜・福田が執筆を担当しています。 景気循環研究所 東京都千代田区大手町 1-9-2 大手町フィナンシャルシティ グランキューブ 大 企 業 中 小 企 業 16年6月調査(予測) 最近 先行き 最近 製造業 6 3 5 ▲ 1 5 0 非製造業 22 17 18 ▲ 4 19 1 製造業 ▲ 4 ▲ 6 ▲ 5 ▲ 1 ▲ 6 ▲ 1 非製造業 4 ▲ 3 2 ▲ 2 2 0 前期差 先行き 前期差 (注)16年6月調査は当研究所の予測。 (資料)日本銀行「企業短期経済観測調査」などより三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所作成 1 2016 年 6 月 21 日 図1. 業況判断DIの比較(大企業・製造業) 50 40 30 20 10 0 -10 -20 -30 -40 -50 -60 -70 -80 -90 図2. 業況判断DIの比較(大企業・非製造業) (%ポイント) 40 (%ポイント) 30 20 10 0 -10 -20 -30 -40 日銀短観(大企業・製造業) -50 ロイター短観(主要企業・製造業) -60 日銀短観(大企業・非製造業) ロイター短観(主要企業・非製造業) -70 98 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 (年、四半期) 15 16 (年、四半期) ( 注 1) ロ イ タ ー 短 観 は 四 半 期平 均 値 。 直 近 の 日 銀 短 観 ( 細 線 ) は 当 研 究 所 予 測 ( 現 状 と 先 行 き ) 。 ( 注 1) ロ イ タ ー 短 観 は 四 半 期 平 均 値 。 直 近 の 日 銀 短 観 ( 細 線 ) は 当 研 究 所 予 測 ( 現 状 と 先 行 き ) 。 ( 注 2) 日 銀 短 観 の 03年 12月調 査 以 前 と 04年 3月 調 査 以 降 の 計 数 は 連 続 し な い 。 ( 注 2) 日 銀 短 観 の 03年 12月 調 査 以 前 と 04年 3月 調 査 以 降 の 計 数 は 連 続 し な い 。 ( 資 料 ) 日 本 銀 行 「 企 業 短 期 経 済 観 測 調 査 」 、 ロイターな ど よ り 三 菱 UFJモルガン・スタンレー証 券 ( 資 料 ) 日 本 銀行 「 企 業 短 期 経 済 観 測 調 査 」 、 ロイターな ど よ り 三 菱 UFJモルガン・スタンレー証 券 景気循環研究所作成 景気循環研究所作成 図4. 中小企業の設備投資計画(全産業) 図3. 大企業の設備投資計画(全産業) 12 (前年度比、%) 15 9.3 10 10 10.9 7.7 6 15年度 0 -2 -4 3.6 7.0 3.8 2.7 -6.1 -5 -2.8 -10 3.0 16年度 -14.3 -15 -20 0.9 -0.9 -1.2 -0.2 0 4 3.4 3.9 5 16年度 2 6.4 15年度 10.8 9.8 8 (前年度比、%) 84~15年度の平均 -25 -1.4 -8.5 -15.7 -19.3 -20.4 -21.2 84~15年度の平均 -16.8 -30 3月調査 6月調査 9月調査 12月調査 実績見込み 3月調査 実績 6月調査 9月調査 12月調査 (注1)土地を含み、ソフトウェア投資を除く。10年3月調査以降はリース会社対応ベース。 (注1)土地を含み、ソフトウェア投資を除く。10年3月調査以降はリース会社対応ベース。 (資料)日本銀行「企業短期経済観測調査」より三菱UFJモルガン・スタンレー証券 (資料)日本銀行「企業短期経済観測調査」より三菱UFJモルガン・スタンレー証券 景気循環研究所作成 図5. 短期(1年)の期待インフレ率 実績 図6. 長期(2~5年)の期待インフレ率 (前年比、%) (前年比、%) 1.8 1.7 1.6 1.5 1.4 1.3 1.2 1.1 1.0 0.9 0.8 0.7 日銀短観(四半期、右目盛) QUICK短観(月次、左目盛) 14 実績見込み 景気循環研究所作成 (前年比、%) 1.7 1.6 1.5 1.4 1.3 1.2 1.1 1.0 0.9 0.8 0.7 0.6 -0.3 15 16 (年) 日銀短観(四半期、右目盛) 1.8 1.7 1.6 1.5 1.4 QUICK短観(月次、左目盛) 1.3 1.2 1.1 14 (注1)1年後の物価全般の見通し。 (注2)日銀短観は全規模企業・全産業、QUICK短観は上場企業・全産業。 (資料)日銀「短観」、QUICK「QUICK短観」をもとに三菱UFJモルガン・スタンレー証券 景気循環研究所作成 (前年比、%) 1.9 2.1 2.0 1.9 1.8 1.7 1.6 1.5 1.4 1.3 1.2 1.1 1.0 0.9 0.8 15 16 (年) (注1)2年後以降(QUICK短観)および5年後(日銀短観)の物価全般の見通し。 (注2)日銀短観は全規模企業・全産業、QUICK短観は上場企業・全産業。 (資料)日銀「短観」、QUICK「QUICK短観」をもとに三菱UFJモルガン・スタンレー証券 景気循環研究所作成 (以 上) みやざき ひろし (16.6.21 宮嵜 浩) 本資料は信頼できると思われる各種データに基づいて作成されていますが、当社はその正確性、完全性を保証するものではなく、利用に際してはお客様 ご自身でご判断くださいますようお願い申し上げます。巻末に重要な注意事項を記載していますので、ご参照下さい。 2 2016 年 6 月 21 日 本資料は信頼できると思われる各種データに基づいて作成されていますが、当社はその正確性、完全性を保証するものではありません。本 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 資料で直接あるいは間接に採り上げられている有価証券は、価格の変動や、発行者の経営・財務状況の変化およびそれらに関する外部評価 の変化、金利・為替の変動などにより投資元本を割り込むリスクがあります。ここに示したすべての内容は、当社の現時点での判断を示している に過ぎません。本資料は、お客様への情報提供のみを目的としたものであり、特定の有価証券の売買あるいは特定の証券取引の勧誘を目的と したものではありません。本資料にて言及されている投資やサービスはお客様に適切なものであるとは限りません。また、投資等に関するアドバ イスを含んでおりません。当社は、本資料の論旨と一致しない他のレポートを発行している、或いは今後発行する場合があります。本資料でイン ターネットのアドレス等を記載している場合がありますが、当社自身のアドレスが記載されている場合を除き、ウェッブサイト等の内容について当 社は一切責任を負いません。本資料の利用に際してはお客様ご自身でご判断くださいますようお願い申し上げます。 当社および関係会社の役職員は、本資料に記載された証券について、ポジションを保有している場合があります。当社および関係会社は、 本資料に記載された証券、同証券に基づくオプション、先物その他の金融派生商品について、買いまたは売りのポジションを有している場合が あり、今後自己勘定で売買を行うことがあります。また、当社および関係会社は、本資料に記載された会社に対して、引受等の投資銀行業務、 その他サービスを提供し、かつ同サービスの勧誘を行う場合があります。 三菱UFJモルガン・スタンレー証券の役員(会社法に規定する取締役、執行役、監査役又はこれらに準ずる者をいう)が、以下の会社の役員 を兼任しております:三菱UFJフィナンシャル・グループ、三菱倉庫。 債券取引には別途手数料はかかりません。手数料相当額はお客様にご提示申し上げる価格に含まれております。 本資料は当社の著作物であり、著作権法により保護されております。当社の事前の承諾なく、本資料の全部もしくは一部を引用または複製、 転送等により使用することを禁じます。 c 2016 Mitsubishi UFJ Morgan Stanley Securities Co., Ltd. All rights reserved. Copyright ◯ 〒100-8127 東京都千代田区大手町 1-9-2 大手町フィナンシャルシティグランキューブ 三菱 UFJ モルガン・スタンレー証券株式会社 景気循 環研究所 (商号) 三菱 UFJ モルガン・スタンレー証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第 2336 号 (加入協会) 日本証券業協会・一般社団法人金融先物取引業協会・一般社団法人日本投資顧問業協会・一般社団法人第二種金融商品取 引業協会 本資料は、英国において同国the Prudential Regulation Authorityとthe Financial Conduct Authorityの監督下にあるMitsubishi UFJ Securities International plcが配布致します。また、米国においては、Mitsubishi UFJ Securities (USA),Inc.が配布致します。 本資料は信頼できると思われる各種データに基づいて作成されていますが、当社はその正確性、完全性を保証するものではなく、利用に際してはお客様 ご自身でご判断くださいますようお願い申し上げます。巻末に重要な注意事項を記載していますので、ご参照下さい。 3
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